小田原エンジニアリング
【東証スタンダード:6149】「機械」
へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来、社是である「開拓の精神で顧客に奉仕する」をモットーに事業を展開しております。また、顧客第一主義を経営の基本方針として掲げ、お客さまの求めに対して果敢に応じ、お客さまの満足を得ることを追究いたします。その実現のため、技術と品質でナンバーワンとなることを目指すとともに、活気ある職場づくりと企業体質の強化に努めてまいります。
(2) 経営環境
我が国経済は、1年を通じて消費者物価が上昇し続けたことに加え、倒産件数が11年ぶりに1万件を超えるなど一部に足踏みがみられたものの、円安基調の為替相場やインバウンド需要の増加などを背景に、企業収益、雇用・所得環境の改善が進み、生産や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、全体として景気は緩やかに回復しました。
一方世界経済は、欧州では一部に足踏みがみられるもののインフレの収束、利下げの開始によって持ち直しの動きがみられ、中国では政策効果により供給の増加がみられるものの足踏み状態が続き、米国では、個人消費、雇用者数、設備投資の増加により景気の拡大が続くなど、全体として景気の持ち直しが続きました。
当社グループを取り巻く環境におきましては、巻線機事業の主要顧客である自動車産業において、自動車販売の増勢が鈍化し、「車の電動化」の潮流の中で、BEVからHEVやPHEVへの揺り戻しや、新型車の開発計画の変更などにより設備投資計画の見直しや遅れがみられました。また、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動、原材料価格の高止まりなどの下振れリスクもみられるなど、全体として不安定な状況が続きました。
今後の見通しにつきましては、世界経済は持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、米国の今後の政策動向による影響、欧米における金融引き締めの継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響、ウクライナや中東地域をめぐる情勢など、様々な下振れリスクが顕在化しております。我が国経済は、デフレ脱却を確かなものとするため、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を目指して政府と日本銀行が機動的な政策運営を行う下で、雇用・所得環境の改善を背景に、景気は緩やかな回復が続くことが期待されている一方で、海外景気の下振れリスク、物価上昇、金融資本市場の変動の影響に引き続き留意する必要があります。
巻線機事業の主要顧客である自動車産業においては、「車の電動化」という潮流は変わらない中でモーター巻線機の需要は引き続き拡大することが期待されるものの、後ろ倒しとなっている自動車メーカーの新型車開発をはじめとした「車の電動化」に伴う設備ニーズを捉えた製品開発が求められております。
送風機・住設関連事業は、送風機事業において工作機械や産業用ロボット向け軸流ファンの需要は一部主要顧客で回復の兆しがあるものの、送風機全体としては需要が低調に推移することが予測され、住設関連事業においては、浴室用照明器具は堅調な需要が見込める一方で、全館空調システムを含む住宅換気装置については、原材料価格高騰の影響を受けて、販売価格が高い換気装置の需要が低下し、新規案件の需要も低調に推移することが予測され、引き続き全体として厳しい状況が予測されます。
(3) 中期経営戦略
当社グループは2024年2月14日付で2024年12月度から2026年12月度を対象とする中期経営計画を策定し、最終年度である2026年12月期において、売上高180億円、営業利益18億円を連結財務目標として設定しております。
セグメント別の重点施策は以下のとおりであります。
①巻線機事業
a.事業競争力の強化
巻線機市場の拡大に伴い、より一層の競争激化に打ち勝つため、マーケティングの強化、市場・お客さま・競合の先を行く競争力ある製品と要素技術の開発力を強化し、受注拡大を目指す。特に市場の拡大していくxEVの駆動モーター・発電機用巻線システムとブラシレスモーター用巻線システムの競争力強化に向けての技術開発に注力する。
・技 術:お客さま・市場が求めるニーズをより高いレベルで達成するための製品・技術開発力の強化
・スピード:製品の高速化
市場環境やお客さまのニーズの変化への対応、短納期対応など様々な面でスピード重視の経営を
推進
・品 質:モーターやコイルの高次元での品質均一化ができる製品の開発と品質管理体制の構築
・コ ス ト:製品の市場競争力ある売価に向けて、コストダウンだけでなく、高生産性・高稼働率等を含めた
コスト・パフォーマンスの向上を図る
b.地域別戦略の設定
巻線機市場の急拡大と競合メーカーとの競争が激化しているマーケットにおいて、各地域の市場特性を踏まえた地域別戦略で、当社の優位性が生きる分野・市場に重点を置きつつ、グローバル市場に合わせた地域戦略で市場拡大をフォロー。
・自動車・家電製品等の最大市場でもあり、生産拠点でもある中国市場の販売・サービス体制強化
・xEVの駆動モーター・発電機をはじめとした車載用モーター生産の拡大が見込まれる北米市場は、子会社
を通じたサービスを含めた、きめ細やかなアプローチの強化
②送風機・住設関連事業
a.送風機事業
・軸流ファンは、耐油、耐水、耐振動を強化した製品開発による差別化を図り、付加価値向上
・クロスファンは、生産機種、生産設備を見直し、コンパクトながら利益の出る体制へ移行
・マーケティングの強化、送風技術の応用商品の開発と市場投入の早期化
b.住設関連事業
・マーケティングの強化、新市場に向けての製品開発力の強化
・照明は浴室用に特化しているが、浴室照明技術の応用できる商品をリサーチし、製品化に向けて検討を開始
・今後伸びが期待される住宅用空調装置との組み合わせ製品の拡販に向けて製品開発と新規営業、宣伝、販売
強化
・換気技術と送風技術を組み合わせた空気循環、清浄装置の市場ニーズをリサーチし、商品開発
また、競合メーカーとの競争激化が進むマーケットにおいて、事業競争力強化「スピードと品質」を高めるため、設備投資、研究開発投資、DX投資、人的資本投資を中心として、資本コストを意識した投資戦略により資本収益性を高め、持続的成長可能な組織を目指します。
(4) 会社の優先的に対処すべき課題
巻線機事業では、従来は当社がモーター巻線機市場、吸収合併した株式会社多賀製作所がボビンコイル巻線機市場を担ってまいりましたが、今後は一体となって両市場に対してマーケティングの強化を行い、設備ニーズを捉え、市場・顧客・競合の先を行く競争力ある製品と要素技術の開発を進めるとともに、製品の共通化・標準化を進めることで、技術、品質、コスト、スピード・納期・供給能力における競争力を強化してまいります。
送風機・住設関連事業では、予測される需要の低迷や受注減少に対応すべく、引き続きマーケティングの強化を行い、送風機応用製品や換気改良製品を戦略アイテムとして拡販を目指すとともに、新商品の早期開発、販売促進を進めてまいります。
当社グループは、社是である「開拓の精神で顧客に奉仕する」を常に念頭に置き、他社に差別化した製品を通して顧客満足度を向上させるとともに、常に新しい市場を開拓していくことにより当社グループの優位性を更に高める経営に邁進してまいります。
- 検索
- 業種別業績ランキング