小倉クラッチ
【東証スタンダード:6408】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営方針は、適宜見直しを行い、時宜に合ったものを提唱しております。以下のとおりに経営方針を掲げております。
①クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして盤石な企業体質を築き上げお客様から愛される企業を目指す。
自動車業界が100年に一度の変革期と言われる今、安定した利益を確保して人・設備・開発に投資することで、クラッチ・ブレーキの総合メーカーとして新たな高付加価値品を提供して行く。世界規模で物流が混乱する中において、当社の強みであるフレキシブルな対応力でお客様のビジネスを支え、必要とされる企業となる。
②総合的な品質力を高め顧客満足を向上する。
製品設計や製造はもちろん、営業活動や管理業務などあらゆる仕事の側面において品質を高めることでお客様の信頼を獲得することができる。品質力の向上に近道は無い。4M(Man:人、Machine:機械、Material:材料、Method:方法)管理を徹底して標準を遵守し、更にその標準をレベルアップさせることで一歩一歩着実に地力を上げる。
③技術力を結集し積極的に新分野へ進出する。
統合された技術部門の力をフルに発揮し、更には一般産業用と輸送機器用の垣根を越えたものづくりにより、それぞれで培ってきたものづくり技術を融合することで、新製品開発や新市場開拓にチャレンジし、小倉クラッチの次代を担う事業を創出する。
④次世代を担う人財を育成し適切な人員配置で組織を活性化する。
グローバル化など激変する環境の中で生き残れるのは変化する企業である。企業の変革には、それを構成する社員一人ひとりの変革が不可欠であり、当社の次代を支える人材=人財を計画的に育成する。その人財が力を発揮できるよう効果的に配置することで、組織を活性化する。
⑤スピーディーな報・連・相で情報共有を徹底し一元化された組織を運営する。
縦の情報伝達はもちろん、その情報を横へもスピーディーに展開し、各階層において同じ情報が共有されることで組織は同じ方向を向ける。情報共有は手段であり、情報共有によって自分たちの置かれた状況を正しく捉え、適切に組織を運営して行く。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、経済的価値に基づく次のマテリアリティ(重要課題)に注力し取り組みます。財務目標として、2027年3月期に、売上高営業利益率5.0%、ROE6.3%、総資産回転率1.0回転、売上高成長率110%の向上を目指しております。
(3) 中期的な会社の経営戦略
自動車のEV化は一時的な減速感はあるものの、長期的に見れば気候変動対策や化石燃料依存に対する経済安全保障上のリスク回避などの観点から確実に進んで行くと考えられます。こうした状況に対応するため、輸送機器用事業においてはパワートレイン系ソレノイドやモーター用保持ブレーキ、燃料電池用ブロワというEV化に対応した製品群や、スライドドア用クラッチなど動力系の変化に囚われない製品の開発を強化して行きます。但し、2035年以降のエンジン車の新車販売禁止という方針を掲げていたEUは、合成燃料を使用したエンジン車の使用を認めるという方針に転換するなど、完全EV化には現実的な課題も多いと考えられます。従って、既存事業であるカーエアコン用クラッチについても性能向上とコスト改善も進め、全方位でビジネスを展開してまいります。また、一般産業用事業においては、技術の根幹である摩擦材開発に積極的に投資して行きます。同時に、高齢化社会による労働力不足で一層のロボット化が進むと予想されることから、拡大が見込まれる協働ロボットなどの市場をターゲットとした製品開発をより強力に進めます。当社は、軽量・静音・小径・薄型など他社との差別化を図ることで、拡大されるロボット市場での拡販に努めてまいります。当社の開発したクラッチ・ブレーキは5,000種類以上ものラインナップがあります。しかし、世の中にはこれ以外にまだ2,000種類も存在すると言われ、そこには新たなビジネスチャンスが存在します。お客様のニーズに柔軟に対応することで、ポテンシャル案件を1つ1つ着実に獲得いたします。
利益を上げ、それをステークホルダーに還元して行くことは企業としての使命の一つです。従って、100年企業を実現するために規模重視から利益志向へと価値観を転換し、外部環境の変化に強い企業体質を確立してまいります。企業は人なりと言われるように、企業体質を強化するには人材の確保・育成が必要となります。そのため、人事制度の改革やダイバーシティに対応した人材開発・教育などにより人的資本の強化を進めてまいります。また、変化する外部環境に柔軟に対応するには、IT化・DX化が欠かせません。仕事の質と効率を高めるために、生産管理システムの再構築や間接部門のDX化に取り組んでまいります。
当社はこれからも、クラッチ・ブレーキの専門メーカーとしてのプライドを持ってお客様の要求にお応えして行くことで、お客様から愛される企業、そして100年企業を目指してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
当社は80年以上の長きに亘り、お客様のニーズに合わせた高品質な製品を供給し続けてまいりました。現在、当社の主要ドメインである自動車産業はかつてない変革期を迎えており、変化に即応した柔軟かつ持続的な対応が求められております。当社グループが今後も安定的な成長と社会的責任を果たしていくために、以下の諸課題に対し計画的・積極的に取り組んでまいります。
①高付加価値事業への転換と市場の選択・集中
自動車がEV化へとシフトする中、従来型の部品需要は中長期的に縮小傾向にあります。従って、当社は長年培ってきた設計開発力・加工技術力を活かし、電動車(xEV)に対応した製品群の開発・提案を強化して行きます。また、一般産業用事業においては、労働力不足を背景としたロボット市場の拡大が見込まれることから、ロボット関連製品に注力して行きます。さらに、こうした製品ポートフォリオの変化をチャンスと捉え、より高付加価値を重視し、パーツレイヤーからユニットレイヤー・システムレイヤーへと製品領域を拡大し、市場の変化に対応してまいります。
②財務体質の強化と利益を生む体質への転換
外部環境の激しい変化にも耐え、持続的に成長して行くためには財務体質の強化が必要です。グループ全体として棚卸資産の圧縮や不良損失の削減などによりムダを減らし、借入金比率を低減して自己資本を充実させ、キャッシュフローの健全な管理を通じ、外部環境変化に左右されにくい強固な財務体質を構築してまいります。また、当社は過去において中国ローカルメーカーとの競争のために、価格競争力を最重視した時代がありました。しかし、製品価格とは本来、技術と信頼の対価であると考えます。従って、高付加価値の製品を開発し、培ったものづくり技術に裏付けられた安定した品質で、中堅企業の強みである柔軟さとスピードを活かしてお客様にご提供することで、適切な価格でのビジネスにより利益を獲得してまいります。さらに、商品別・顧客別の採算管理の精緻化・迅速化と、不採算商品からの撤退により、利益重視への体質転換を加速させて行きます。
③人材の確保とエンゲージメントの向上
創業以来培ってきたものづくりのノウハウは当社の重要な競争優位性であり、その維持・発展には人材の確保と育成が不可欠です。少子高齢化が進む中、優秀な人材を確保するためにも、従業員にとって魅力的で公平な人事制度を構築すると共に、多様な従業員が活躍できる働きやすい職場環境を実現して行きます。また、会社と従業員との相互コミュニケーションを充実させ、従業員と会社との結びつきを強化します。さらに、その結果をエンゲージメントサーベイにより評価・確認し、新たに発見した課題を改善するというPDCAサイクルを回して行きます。
④業務の効率化と管理レベルの向上
経営環境の変化のスピードはますます加速しています。従って、企業も自ら進化しなければ成果を生みだして行くことができません。製造部門においては、サイクルタイムの短縮や設備稼働率の向上はもちろん、工場の情報基盤を再構築して生産管理システムを一新し、物と情報の流れを含めたものづくりの管理レベルを向上させます。同時に、間接部門においてはIT化を推進し、仕事の標準化と見える化により業務を効率化することで、働き方改革も実現してまいります。
株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
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