富士通
【東証プライム:6702】「電気機器」
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企業概要
当社グループでは、デジタルテクノロジーにより、「人」「企業」「システム」「プロセス」「データ」などが複雑かつ無限につながる社会において、あらゆる局面で求められる信頼「Trust」を確保することを重要な技術戦略に位置付けております。そして、このデジタル時代のTrustの実現と共に、デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす、DX(デジタルトランスフォーメーション)企業を目指し、イノベーションが絶えず生まれるために必要な先端テクノロジー開発に取り組んでおります。
当社グループの事業は、「サービスソリューション」、「ハードウェアソリューション」、「ユビキタスソリューション」の各セグメントにより構成されており、上記の研究開発方針のもと、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「サービスソリューション」では、Fujitsu Uvanceを中心としたオンクラウドのデジタルサービス等に関する研究開発を行っております。「ハードウェアソリューション」では、次世代のサーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。
特に、当社グループの成長領域であるサービスソリューションをはじめとするビジネスに貢献するため、「Computing」、「AI」、「Network」、「Data&Security」、「Converging Technologies」の5つの先進テクノロジーを重点領域として、これらのキーテクノロジーを「AI」を中心に融合させることで新たな価値創出に取り組んでおります。
当社グループの当連結会計年度における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,012億円となりました。このうち、サービスソリューションに係る研究開発費は177億円、ハードウェアソリューションに係る研究開発費は411億円、全社・消去に係る研究開発費は424億円です。
(注)当社は、当連結会計年度より「デバイスソリューション」を非継続事業に分類しております。これにより、研究開発費は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しております。
(1) Computing
・「富岳」を活用し、台風に伴い発生する竜巻を予測する気象シミュレーションに成功しました。富士通の大規模並列処理技術と横浜国立大学の気象シミュレーターCReSSを組み合わせ、これまで困難だったスケールの異なる台風と竜巻の同時予測を正確かつ高速に行い、気象災害のリスクを軽減します。
・2024年5月に、産業技術総合研究所より超伝導ゲート型量子コンピュータを国内ベンダーとして初めて受注しました。また、大阪大学と共同開発した「STARアーキテクチャ」により量子優位性を示すための量子ビット数を大幅に削減しました。さらにオランダのデルフト工科大学との共同研究では、ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータの量子ゲート操作において、誤り訂正を可能にするエラー確率0.1%未満の操作精度を世界で初めて達成しました。
(2) AI
・大規模データを正確に参照可能とするナレッジグラフ拡張RAG、企業ニーズを満たす特化型生成AIモデルを自動生成する生成AI混合技術、及び法規制や企業規則に準拠した生成AIを実現する生成AI監査技術から構成される、エンタープライズ生成AIフレームワークを開発し、AIサービス「Fujitsu Kozuchi」のラインナップとして提供を開始しました。カナダのCohere Inc.との戦略的パートナーシップを締結し、世界最高の日本語性能を誇る企業向けLLM「Takane」の提供も開始しています。
・AIが人と協調して自律的に高度な業務を推進する「Fujitsu Kozuchi AI Agent」を開発し、提供を開始しました。本技術は、人々の抽象的な会話から本質的な課題を抽出して解くべきタスクを生成・実行し、適切なタイミングで提案します。人がAIから新たな知見を得て共に創造的に活動する世界を目指します。
(3) Network
・RANの自律化・自動化といったインテリジェント化を担うO-RAN仕様に基づく運用管理システム(SMO)上で、体感品質(QoE)向上、省電力化、通信品質維持を実現する3つのアプリケーションを開発しました。これにより、モバイルネットワークの接続性向上、利用者の利便性・満足度向上に加え、運用コスト削減と省電力化を支援し、社会課題解決にも貢献します。
・総務省及び国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のBeyond5G基金研究開発事業に、All-Photonics Network(APN)の情報通信基盤としての社会実装に向けた、当社を含む5社共同提案が採択されました。本研究開発により、複数の通信事業者間のAPNが協調して耐障害性の向上やサービス品質を確保できるようになる他、企業、研究機関などのユーザが、用途・需要に応じて複数クラウド・データセンターを同時に利用することや、接続先を柔軟に切り替えることが可能になります。
・GaN-HEMT(窒化ガリウム 高電子移動度トランジスタ)を用いたパワーアンプを開発し、産業分野で広く利用される周波数2.45GHzにおいて世界最高の電力変換効率85.2%を達成しました。ワイヤレス通信やレーダーの消費電力を低減しCO2排出量を削減することで、持続可能な社会の実現に貢献します。
(4) Data & Security
・世界初の偽情報対策プラットフォームの構築に向けて、内閣府が主導する「経済安全保障重要技術育成プログラム」にプライム事業者として採択されました。事業規模は60億円、2024年から4年間業界権威の産学組織の9者と共創し、生成AIの急速な普及により社会問題となっているフェイクニュース撲滅に挑みます。
・攻撃や防御に関するスキルやナレッジを持つセキュリティ特化型AIエージェントを連携させることで、脆弱性や新たな脅威への事前対策を支援するマルチAIエージェントセキュリティ技術を開発しました。専門知識がなくてもプロアクティブなセキュリティ対策を実現できるようになり、安心・安全なITシステム運用を可能とします。
(5) Converging Technologies
・東洋大学と共同で、犯罪心理学と生成AIの融合によるカスタマーハラスメント体験AIツールを開発しました。個人の特性に合わせたフィードバックを行い、深刻化するカスタマーハラスメントへの実践的な対応力強化を目指します。
・自治体の施策をデジタルツイン上に再現し、事前検証によって効果を最大化する「Policy Twin」技術を開発しました。実績ある施策から新たな施策を再構成するため、立案根拠を提示することが可能です。自治体の予防医療事業へ適用し、医療費節減効果と健康改善効果がともに2倍になる施策候補を導出できることを実証しています。
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