富士石油 【東証プライム:5017】「石油・石炭製品」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
富士石油グループとして、以下の企業理念及びグループ経営方針を定めています。
① 企業理念
● エネルギーの安定供給
● 安全の確保と地球環境の保全
● ステークホルダーとの共存共栄
● 活力に満ちた働きがいのある職場
② グループ経営方針
● ステークホルダー価値の最大化
グループ企業が一体となって、ステークホルダーにとっての企業価値最大化を図る
● 経営の透明性の向上
コーポレート・ガバナンスを強化するとともに、リスクマネジメント及びコンプライアンスの徹底、正確かつ適切な情報開示に努める
● 安定的な経営・収益基盤の維持
袖ケ浦製油所の持つ立地優位性・高度な設備能力と、強固な顧客基盤を背景とする安定的な収益構造を盤石なものとし維持する
● 株主への利益還元
中・長期的な事業発展のための内部留保の充実に留意しつつ、業績及び資金バランス等を勘案の上、安定的な配当の維持に努める
● 持続的な成長への挑戦
事業環境の変化を先取りした中期的経営戦略を立案し、これを着実に遂行することで、グループの持続可能な成長を実現する
(2) 経営戦略及び対処すべき課題
当社は2021年5月に、「世界の石油需要については、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済危機からの力強いリバウンドが予想される一方、中国、インド、中東を中心に、今後数年間の石油需要の増加量を上回る規模で最新鋭の大型製油所の新増設が同時期に計画されていることから、その進捗次第では一段と厳しい競争環境が想定される。また、2050年カーボンニュートラルに向けた動きの中で、電気自動車(EV)の普及やバイオ燃料、合成燃料、水素等への燃料転換が進むことで、中長期的には石油需要の一定程度の喪失が予想される」との事業環境認識のもと、2021~2024年度の4年間を対象とする第三次中期事業計画を策定しました。
その後、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた社会的要請が更なる高まりを見せているだけでなく、ウクライナ情勢を背景とした地政学的リスクの高まりや、資源価格・為替相場の大きな変動を踏まえたエネルギー安全保障の観点からも、これまでの化石燃料を中心としたエネルギー需給構造の転換が進展していくことが見込まれます。こうした中においても、収益の安定的拡大と環境負荷低減の両立を図るべく、①石油精製事業の更なる基盤強化、②脱炭素社会に向けた取組み強化を基本方針とし、引き続き以下の課題に注力してまいります。
(取り組むべき課題)
①石油精製事業の更なる基盤強化
a.稼働信頼性の維持・強化
ドローンによる点検やIoT、AⅠ等のデジタル技術を最大限活用することにより、装置に係る運転管理・保全の一層の高度化を推進してまいります。
b.コスト競争力の強化、競争優位の確立
更なる精製コストの削減、エネルギー効率の改善、原料調達を含む生産最適化、高付加価値製品の増産に向けた設備改良、本社コストを含めた総経費の合理化等を進めコスト競争力を更に強化してまいります。
また、長足に進展するデジタル技術の最大限の導入・活用を更に図るとともに、業務フローの抜本的見直しと必要な組織の再編、2019年度に刷新した新人事制度の最適運用、人財育成の取組み強化等により競争優位の土台となる人財・組織面での一層の変革を図ります。
②脱炭素社会に向けた取組み強化
a.製油所の徹底した環境負荷低減
省エネルギーは収益性の改善と同時に製油所のCO2排出量の低減に最も確実に寄与することから、従来の取組みを一層深化・加速させ、製油所の低炭素化を推進してまいります。
また、バイオETBEを配合したガソリンの供給といった従来の取組みに加え、アンモニアのボイラー燃料としての使用検討等、環境負荷に配慮した製品の供給や燃料の使用にも取り組んでまいります。
当期においては、袖ケ浦製油所のメインボイラー(ASP-BTG)において、石油精製の過程で副生されるアンモニアのアスファルトピッチとの混焼実験を実施し、将来的な混焼率の引き上げも見据えて各種データの収集・解析を行いました。また、2023年4月には、第三者認証機関からの認証を受けた「低炭素アンモニア」をサウジアラビアより受け入れ、同ボイラーにて発電用燃料として使用しました。
b.脱炭素ビジネスの追求
我が国政府の目標である2050年カーボンニュートラルを踏まえ、次世代バイオ燃料については2020年代半ばの供給開始を目指すほか、CO2フリー水素、合成燃料など当社の既存インフラ・知見が活用できる脱炭素技術については、先ずは様々なステークホルダーとの連携を通じて積極的に追求していくことで脱炭素社会への貢献を果たしてまいります。
当期においては、国土交通省航空局が進める『輸入ニートSAFモデル実証事業』に伊藤忠商事株式会社と協力して参画しました。同事業では、伊藤忠商事株式会社がNeste OYJ社より国内で初めてニートSAF(※1)を輸入し、当社は袖ケ浦製油所の設備で輸入ニートSAFをジェット燃料と混合しSAF(※2)を製造し、中部国際空港へのSAFの出荷を行いました。当社より出荷されたSAFは中部国際空港に搬入され、既に国土交通省航空局が所有する飛行検査機への供給が開始されています。
※1 ニートSAF:バイオマス原料等を基に製造され、国際規格であるASTM D7566 Annex1~7のいずれかに適合する合成ジェット燃料油を指す。航空機に搭載するためには、原料及び製造方法により決められた割合以下で化石由来のジェット燃料と混合する必要がある。Neste OYJ社製のニートSAFは50%まで混合することが可能。
※2 Sustainable Aviation Fuel(=持続可能な航空燃料):ニートSAFと化石由来のジェット燃料を混合して製造され、国際規格であるASTM D7566 Table1及びASTM D1655に適合するジェット燃料油を指す。
なお、第三次中期事業計画においては、当社は2050年カーボンニュートラルの実現に貢献すべく、本中期事業計画において達成すべき目標として以下の環境目標を定めました。
●製油所における省エネルギー量15,000kL-coe(※)/年(目標年度:2025年度)
※Crude Oil Equivalent(原油換算)
2021年度から2025年度までの省エネ投資/活動により、省エネ対策を行わない場合と比較して、原油換算で年間
15,000kL分のエネルギー使用量の削減達成を目指します。
●中期においては、2030年度に自社事業で発生する年間CO2排出量を2014年度と比較して20%以上削減するこ
とを目指します。
●長期においては、各要素技術のイノベーションの進展による技術確立と経済性の両立を前提としたうえで、
2050年度には自社事業で排出するCO2をネットゼロとすることを目指すとともに、供給するエネルギーの低
炭素化等を図ることにより、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。
また、当社では袖ケ浦製油所におけるSAFを目的生産物とするバイオ燃料製造事業を検討しており、その一環として、製造プラントの基本設計を開始しています。本基本設計においては、年間約18万KL のニートSAFを製造後、化石由来のジェット燃料と混合させSAFを製造し、2027年度に供給を開始することおよび2027年度の供給開始を想定して製造プラントの基本設計を開始しています。
なお、当社事業から排出される温室効果ガス(GHG)に加え、当社が供給する石油製品等の消費段階で排出されるGHGの排出量算定に向けた取組みにも着手したほか、2023年より本格稼働する、経済産業省の「GXリーグ」に参画しました。
(3) 目標とする経営指標等
第三次中期事業計画(2021年5月策定)において目標として掲げた経営指標は以下のとおりです。
①利益計画(連結:2024年度)
営業利益 (除在庫影響) | 100億円 (100億円) |
経常利益 (除在庫影響) | 85億円 (85億円) |
当期純利益 | 75億円 |
②財務目標(連結:2024年度)
ROE:10%以上
ネットD/Eレシオ:1.5倍以下(※原油価格の変動に伴う短期運転資金の増減影響修正後)
③資金計画(連結:2021年度から2024年度累計)
項 目 | 2021~2024年度累計 | |
キャッシュ・イン | 480億円 | |
| 税引後純利益 | 172億円 |
| 減価償却費 | 308億円 |
キャッシュ・アウト(設備投資) | 230億円 | |
フリー・キャッシュ・フロー | 250億円 |
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