富士ピー・エス
【東証スタンダード:1848】「建設業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「企業は社会の公器、企業の社会的責任遂行」という言葉を明確に自覚し、株主を始め、顧客、当社グループ社員、協力会社並びに地域社会からの信頼を得て、社会資本整備を通して「信頼と利益」の調和の取れた企業経営を目指しております。企業である限り競争は必然であり、そのためにより高度で特化した技術が必要であることを認識し、人材教育と技術開発を推進しております。
(経営理念)
・福祉国家建設の一翼を担って社会に奉仕する
・技術を究め創意をこらし自己の責任を完遂する
・和信協同し企業の繁栄と共に幸福を創り出す
(経営方針)
技術の研鑽と創意に努め、安全と安心の企業ブランドのもと、社会資本整備を通して国家建設に貢献するとともに、利益追求と社会的責任の調和を実現する。
(2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが事業対象とする市場環境について、土木分野では引き続き災害復旧事業や「防災・減災、国土強靭化」関連の整備事業が堅調に推移すると見込んでおります。しかしながら、市場の約4割を占める高速道路の大規模更新事業については、発注者側の働き方改革や事業財源の制約などにより、整備スピードがこれまでと比較して鈍化することを予想しております。また、この分野には多くの企業が参入意欲を示しており、受注環境の競争激化が懸念されます。一方、建築事業分野では首都圏を中心とした旺盛な再開発需要が継続しており、当社の主力製品であるハーフプレキャスト工法用のプレキャストPC板「FR板」は、現場作業員や技能労働者の減少といった課題を背景に、さらなる需要拡大が期待されています。
このような市場環境を確実に事業として取り込み、収益性を確保しながら安定的な成長を実現するためには、以下の課題に適切に対応する必要があります。
①生産体制の拡充に向けた設備投資
当社グループは2021年に発表した「VISION2030」において、中間ゴールとして事業規模を売上高350億円まで引き上げることを目標としています。その達成に向けて、「人材、生産設備、財務」の充実を主軸とした施策を進めています。しかし、人口減少社会における担い手不足の影響で人材確保が困難を極めており、計画通りの達成が難しい状況です。このため、生産性の維持・向上を図る手段として、生産の機械化や自動化など省人化技術の導入が重要となります。特に、対応が比較的容易な工場を中心に設備投資を進め、生産性の確保を図る必要があります。一方で、これらの設備投資に伴う資金需要への対応が課題です。借入金の増大を抑制しつつ、設備投資資金を確保するため、引き続き保有資産の有効活用や売却を進め、本業への資本シフトを推進していきます。
②人的リソース拡充のための就業環境の改善
当社は経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」において、2025年3月10日付で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の「ホワイト500」に認定されました。社員の健康維持をサポートし、最大限のパフォーマンスを発揮していただくことを目的に、健康環境の整備をさらに進めていきます。また、4年前から進めている「富士ピー・エス版 リ・ブランディング活動」では、現場で働く社員の働きやすさをハード・ソフト両面から整備し、モチベーション向上を図ることで、生産性や品質、安全性の向上を目指しています。これらの取り組みをさらに深化させることで、新規入職者の確保にもつなげていきたいと考えています。
③収益性の向上
当社グループが最優先で取り組むべき課題は、収益性の向上です。「VISION2030」で掲げた目標として、2026年3月期に営業利益率5%を達成することを目指しています。株主の皆様や社員をはじめとするステークホルダーへの利益還元、さらには必要な設備投資や技術開発の原資を確保することは、企業としての使命であり責任です。しかし、世界的なパンデミックやインフレなどの外的要因により、目標達成は1年遅れの2027年3月期に先送りする見通しです。それでも、売上高350億円・営業利益率5%という目標は必ず達成し、通過点としたいと考えています。第72~73期に実施した「工事工場利益改善プロジェクト」で得た成果を展開し、目標達成に向けた具体的な対応を進めてまいります。
④財務体質の健全化
営業キャッシュ・フローが3期連続でマイナスとなったことは、当社グループにとって大きな課題です。建設業の特性上、完工時点での最終清算による変更工事費用の一括回収が多く、工事途中ではキャッシュ・フローがマイナスとなるケースがみられます。今後は設計変更やスライドによる単価変更を適時実施し、収益性の平準化を図ることでキャッシュ・フローの改善を目指し、財務状況の健全性を確保していきます。
以上、これらの課題を着実に解決し、まずは東京証券取引所が求めるPBR1.0以上を達成することで株主の皆様のご期待にお応えするとともに、投資家の皆様から評価される企業へと成長してまいります。
(3)中期経営計画「VISION2030」について
当社グループは、2021年に向こう10年を見据えて、「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした「VISION2030」を策定いたしました。
「VISION2030」では、通過点である2025年までの5年間で高収益体制の実現、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築を目指すべきゴールとして、「稼ぐ力」を蓄えるためのハード・ソフト両面での環境整備を集中的に行い、その後、2030年に向かってこれをテコに「急成長を成し遂げる期間」としております。
2030年にあるべき姿として「価値を創造するエンジニアリング企業」「顧客の要望にワンストップで応える企業」「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業」を目標としております。
この「VISION2030」を達成するための方針として、次の4つを掲げております。
事業方針:
(ⅰ)2030年度のゴールに向けて、2025年度までに高収益体質が実現し、経常的に経営資源を充実させていく体制・文化の構築している状態を目指す
(ⅱ)2030年度のゴールを、売上高450億円超・営業利益率5%超とし、2025年度に売上高350億円超・営業利益率5%超を目指し、選別受注及び利益優先主義を継続する
(ⅲ)人員増加施策だけでなく、生産性の向上を図るため、大規模な設備増強や現場負荷軽減のための仕組みづくりに注力する
投資方針:
(ⅰ)工場を中心に5年間で集中的な投資を行い、生産性の向上、製品売上比率の向上を図る
(ⅱ)将来の工場製品売上の増加見通しに伴い、必要な時期において工場の生産能力の増強を検討する
(ⅲ)継続的な研究開発を行うために売上高の0.3%を開発費に充てる
財務方針:
(ⅰ)財務の健全性を重視し、投資は利益の範囲内とする
(ⅱ)将来、大規模な投資が必要となった場合は、保有資産の活用も視野に入れる
(ⅲ)ROEは7%超の維持を目標とする
株主還元方針:配当性向20%超の維持
また、「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。
当社グループは、2015年に国連サミットで採択されたSDGsに対し、当社事業の重要な様相としてSDGsを位置付け、「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を目標に掲げ、SDGsが描く未来の現実に取り組むことで、さらなる社会貢献を図ること、及び事業活動を通じて、課題抽出と技術革新に取り組み環境負荷軽減を達成することは重要な課題と捉えております。
また、外部環境の変化を受け中期経営計画「VISION2030」の一部をアップデートし、中長期的な企業価値の向上に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を行うことを2024年5月15日に公表いたしました。
世界的なインフレによる原材料、労務費、輸送費等の建設コストの高騰など外部環境の変化の影響を受け、「VISION2030」に掲げたROE7%超の維持が2期連続未達、PBR(株価純資産倍率)が1.0を割り込んでいる状況であることから、主要セグメントである土木事業・建築事業の収益性確保により「VISION2030」の業績目標を達成し、株主還元の充実、IR活動の強化などによる株価の向上に向けた取り組みの実施により、ROEとPBRの改善・向上に繋げてまいります。
具体的な目標・取り組みは以下のとおりです。
(ⅰ)利益確保によるROEの改善
「VISION2030」に計画する工場設備投資等による既存事業の充実に加え、新規事業への挑戦・拡大を図るとともに、「工事工場利益改善プロジェクト」にて策定した諸施策の遂行により、売上高350億円超、営業利益率5%超の実現することにより、ROE8%超の実現を目指す
(ⅱ)株価向上施策によるPBRの向上
①配当政策の見直し
株主還元強化による株価向上施策の一環として、配当性向40%を目指す
②自己株式の取得
資本効率向上と株主還元強化の一環として、自己株式の取得を検討
③IR活動の強化
積極的な情報開示とIR活動の強化
(ⅲ)他社との協業による企業価値の向上
当社は、2025年6月12日開催の取締役会において、主力分野の異なる大豊建設株式会社と将来的な企業価値の向上を目指す施策の一環として、業務提携を行うことを決議いたしました(契約締結予定日:2025年6月20日)。
主力分野の異なる企業との協業は、シナジー効果によって企業価値を安定的に高め、対象市場を拡大し、コスト競争力を強化できるものと考えております。
業務提携の主な目的と内容等は次のとおりです。
①プレキャスト化の推進
②メンテナンス工事におけるトータル対応の実現
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