守谷輸送機工業
【東証スタンダード:6226】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
(1) 会社経営の基本方針
当社は、「信頼と誠実」を社是とし、「安全」、「堅牢」、「融通性」という基本コンセプトを守りながら、お客様の安全・安心を第一に、質実堅牢な製品づくりで「お客様の声」に応え続けていくことを経営方針としております。具体的には、次の全社活動方針を掲げて、製品品質の維持・向上を重点課題として取り組んでおります。
① 原価低減と生産性向上に向けた活動の推進
② 特色ある製品や仕組み、サービスの創造
③ 安定した製品品質と故障の削減
④ 労働災害ゼロ活動の推進
⑤ 情報システム、データの利活用推進
(2) 経営上の目標を達成するための客観的な指標等
当社では、持続的な成長と収益性の向上を図ることで企業価値を高めていくことが経営上の重要課題であると認識しており、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な指標と位置付けております。
(3) 経営環境
一般社団法人日本エレベーター協会刊行「ElevatorJournalNo.50 2024.8」によると、2023年度の国内におけるエレベーター(ホームエレベーターを除く。)の新規設置台数は、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限の緩和から前年度比3.6%増の20,484台、建物用途別では、当社の主な顧客である工場・倉庫向けエレベーターは同比0.7%減の2,405台、当社の主要製品である荷物用エレベーターは同比1.7%減の1,346台となりました。保守台数については、累積設置台数の増加に伴って、同比0.3%増の685,731台となりました。工場・倉庫向けの荷物用エレベーターについては、eコマース市場の拡大等を背景とした物流施設に対する投資意欲は、引き続き堅調に推移すると見込んでおり、保守に対する需要の継続的な増加と合わせて、当社のビジネス機会にプラスとなるものと判断しております。
船舶用エレベーターについては、造船市況の影響を受けますが、海運市況の改善などから新造船への需要は回復してきております。また、環境負荷が低いアンモニアや水素を燃料とする次世代船などへのニーズもあり、船舶用エレベーターに対する潜在的な需要は大きいものと判断しております。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
エレベーター業界の大手各社がグローバルな生産・販売体制を敷いて東アジア等を中心に積極的な海外展開を図っている状況のなか、当社といたしましては、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業並びに国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高める方針としておりますが、今後は経営環境等を踏まえ、次の「事業戦略」を展開して持続的な成長と企業価値の向上の実現を目指してまいります。
① 生産能力増により新規設置台数の拡大とそれに伴う保守・点検契約台数の積上げを図ります。
大型化が進む物流施設の需要の他に、物流中継地点の倉庫施設、半導体やその周辺産業、データセンター等の需要が顕在化しつつあることから、2025年3月期末のエレベーター(船舶用を除く。)の受注残高は、製造・販売の年間売上高を超える額となっております。生産能力の増強を目的として宇都宮工場を増改築し2024年10月から稼働しております。さらに生産工程の最適化や物流効率の改善を目的として、宇都宮工場の近隣に、2026年5月の稼働開始を予定する(仮称)芳賀工場の建設予定地を取得しています。
② 自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するための「計画修理」を積極的に提案し、保全強化に努めます。
近年、社会インフラの老朽化・脆弱性に対する危機意識の高まりを受けて、当社のお取引先からもエレベーターの稼働停止に伴う業務停滞リスクを回避するためのメンテナンスニーズが増加しております。当社の保守契約エレベーターの点検・稼働状況などの最新情報をデータベース化したうえで、計画的な修理対応を積極的にご提案することにより、故障・不具合による稼働停止を未然に防止し、エレベーターの保全強化を進めてまいります。
③ 老朽化エレベーターの入替需要を取り込んでまいります。
荷物用エレベーターでは、老朽化した既設のエレベーターを全撤去し新たなエレベーターを設置する入替需要が拡大していく見込みであり、設計や製造・施工の効率化などの施策を講じて、他社製品を含めた入替需要の取り込みを図ってまいります。
④ 船舶用エレベーターの販売拡大を図ります。
環境対策や世界的な物流量の回復に伴って新造船への投資需要が高まることが見込まれることから、荷物用エレベーターの実績・ノウハウを活かした新製品の開発や設計部門の増強などの施策を講じて、船舶用エレベーターの拡販を図っていきます。また、2024年3月期は、韓国市場に新規参入いたしました。
⑤ 保守・部品製造の内製化を進めてまいります。
新規設置台数、保守・点検契約台数の伸長に対応して、安定した製品供給力やサービス品質の維持・向上を図るために、協力会社に委託していた一部製造プロセスや保守・メンテナンス業務を内製化するとともに、部品・パーツの自社設計を進めます。更にこれにより、乗用エレベーターの分野で進む、製造販売と保守メンテナンスの分業化に対抗し、製造販売から保守メンテナンスまでを一貫して提供していく当社の事業構造を維持してまいります。
⑥ 新市場への参入の準備を進めてまいります。
既存事業の成長力・収益力を基盤としながら、長期的な成長を確保していくために、関連市場へのビジネスの拡大を目指します。既存事業と親和性の高い周辺分野や横展開をターゲットとして、まずは新市場参入の基盤作りを進めるための、成長投資を行ってまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では「事業戦略」の推進に注力するとともに、次の経営課題に対処してまいります。
① 販売価格見直しによるコストアップの吸収
輸入資材を含む資材価格の上昇、外注費や運搬費、従業員人件費の上昇等を、自助努力により吸収することができない場合には、販売価格の見直しを検討してまいります。
② 生産能力・据付能力の拡充
堅調な需要に対応していくため、生産設備の更新・合理化投資等を順次行ってまいります。具体的には、栃木県芳賀郡芳賀町に、焼付塗装工場である(仮称)芳賀工場を新設し、2026年5月の稼働を目指します。併せて、エレベーターを建物に設置する据付工事の人員を増員して、受注案件の処理能力を高めてまいります。
③ リニューアル需要(入替・修理)への対応強化
リニューアル需要(入替・修理)へ対応していくため、2025年4月に組織変更をおこない、営業・設計・工事、それぞれの部門について、新たなリニューアル専門の部署を設置しました。自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するために、「計画修理」を積極的に提案し、保全強化に努めてまいります。
④ 人材確保の強化
事業の拡大に対応するため、競争力の根幹である優秀な人材の採用を進めてまいります。具体的には3年連続でのベースアップ等により、従業員の待遇改善を図るとともに、2024年4月に技術研修部を設置し、社員の基礎教育研修に力を入れてまいります。また、2024年度に教育・採用担当者の増員をおこない、新卒・中途の積極的な採用を、更に進めてまいります。
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