企業兼大株主大同特殊鋼東証プライム:5471】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 グループ経営理念を「素材の可能性を追求し、人と社会の未来を支え続けます」と定め、大同特殊鋼グループとして、素材または素材に関する技術をもって素材が秘めている可能性をひきだし、新たな価値を創造することで、人と社会の未知のニーズに応え、その発展につながるよう貢献し続けることを目指しております。

(2) 経営環境及び対処すべき課題

 今後の経営環境は、欧米を中心とした金融引き締めや金融不安の高まりなどによる景気の下振れリスクに加え、ウクライナ情勢の長期化、台湾をめぐる米中対立などの地政学リスクを内包した経営環境が継続すると見込まれます。当社の主要需要先である自動車関連の需要は、半導体を中心とした部品の供給不足が徐々に解消され、2023年度後半にかけて緩やかに回復するものと考えております。一方、半導体関連、電気電子関係では2022年度末から在庫調整の動きが見受けられ、需要動向に関して慎重に見ていく必要があります。

 このような状況の中、コスト面では地政学リスクによるサプライチェーンの混乱などにより原燃料や資材の価格がさらに高騰するリスクも想定され、引き続き徹底したコスト削減努力を継続するとともに、適正マージンの確保に努めてまいります。

 中長期的な視点では、世界規模での地球温暖化抑制への取り組みが本格化し、CO排出量削減を目的とした社会構造の転換が進展することが見込まれます。自動車産業においては電動化が加速し、内燃機関自動車は2020年代半ばにピークアウトすることが想定されます。化石燃料からグリーンエネルギーへのシフトにより、水素などが新たなエネルギー源として注目されております。またデジタル革命の加速により、情報通信などデジタル化を支える半導体産業は、今後も持続的な成長が見込まれます。

 このような経営環境の中、2023年度は「大同特殊鋼グループ2023中期経営計画」の最終年度となります。中期経営計画の行動方針をさらに進め、2030年のありたい姿[高機能特殊鋼を極め、「グリーン社会の実現」に貢献する]を具現化することで中長期的な成長を目指してまいります。

<2030年のありたい姿>

 現在、世界を取り巻く環境変化はかつてないほど大きく激しくなっております。またその動きはカーボンニュートラルの実現に象徴されるように、今後の地球環境に重大な影響を及ぼすものも少なくありません。そういった社会環境変化においても特殊鋼に求められる高い機能性には大きな期待と新たな要請が寄せられてくると考えております。
 当社グループは経営理念を実践していくなかで、2030年のありたい姿を[高機能特殊鋼を極め、「グリーン社会の実現」に貢献する]と定め取り組んでまいりました。グリーン社会の実現には数々の克服するべき課題があり、また当社だけで達成できるものではありません。顧客との共創のなかで目指していくとともに、またサプライチェーンの最上流に位置することを念頭に、強い使命感を持って取り組んでまいります。

<2023中期経営計画行動方針>

①成長分野のビジネス拡大(将来を見据えた種まき)

 今後の成長市場である、CASE(自動車)、半導体関連製品、グリーンエネルギー分野の需要を捕捉するための取り組みを強化いたします。高周速対応減速機用歯車など特殊鋼鋼材については、これまでの製造技術に関する知見を活かし、さらに信頼性の高いソリューションを提供してまいります。また、主機・補機・センサ用磁石については、中津川先進磁性材料開発センターの最大活用により特徴ある製品で新たな需要を捕捉してまいります。通信・情報分野で一層の急成長が期待される半導体関連につきましては、高温ガス腐食試験機を導入するなど、高耐食材料の開発強化により、グループの幅広い高機能製品群でビジネス拡大を推進してまいります。グリーンエネルギー分野においては、高温・高圧水素環境下で耐え得る対水素脆化用鋼の開発、工業炉用水素バーナの実用化などでそのニーズに確実に応えてまいります。

②事業体質の強靭化

 鉄屑、ニッケル・モリブデンなど原材料市況の高騰に加え、原油高などによりエネルギーコストが上昇する中、営業サイドではサーチャージ制の導入拡大を進めるなど、適正マージンの確保を進めております。今後も、引き続き適正マージンの確保を進めるとともに、外部環境の変化に対応しながら成長分野におけるビジネス拡大を通じてポートフォリオ改革を推進してまいります。生産サイドでは長期的な内燃機関向け特殊鋼の需要減少への対応として、工場間生産集約、生産性向上、歩留向上等の損益分岐点引き下げに寄与する諸施策を実行し、生産効率向上およびコスト削減を進めてまいります。また生産体制についても、人員の最適配置・適正化、DX推進による省工数・省人化を図り、労働生産性の向上を目指してまいります。また、低収益事業への対応として、型鍛造製品およびハウジング製品の撤退など事業の選択と集中を進めてきました。今後、型鍛造事業においては、高速精密鍛造製品に経営資源を集中しCASE関連の新たな需要を捕捉してまいります。

③海外展開拡大

2021年8月に取得した中国子会社「大同斯蒂尓材料科技(上海)有限公司」を拠点として、東アジア市場を中心に海外での高機能ステンレス鋼、高合金、工具鋼の売上拡大を目指します。また、2023年度上期には、ベトナムにおいて工具鋼製品の新工場建設を予定しており、東南アジアでの工具鋼販売を拡大してまいります。また、海外規格対応による欧米市場の開拓、インド市場ではサンフラッグ社とのアライアンス活用など、各地域での販売強化に向けた取り組みを加速してまいります。なお、米国において、2023年3月に熱間鍛造金型製造事業の工場設備を取得し「Lexington Technologies Company LLC.」を設立しております。北米における製造拠点「OHIO STAR FORGE CO.」とのシナジーを発揮し、北米市場での自動車、エネルギー産業向け部品の収益拡大と競争力の強化を目指してまいります。

④ESG経営の推進

 持続的な企業価値向上を目指し、ESG経営を推進するため、2023年1月にESG推進統括部を設置し、地球環境の保護、社会への責任と貢献、ガバナンスの強化に向け、各種の取り組みを強化しております。

 気候変動への取り組みについては、2021年4月に、「Daido Carbon Neutral Challenge」を公表し、「2030年度でのCO排出量を2013年度対比で50%削減、2050年でのカーボンニュートラル実現を目指す」という目標を掲げ、活動を推進しております。

 社会への責任と貢献に関し、グループ人権基本方針を2023年2月に公表しました。今後は、グループにおける人権尊重の風土醸成に向けて、人権デューデリジェンスを推進してまいります。また、人的資本経営については、次期中期経営計画における経営戦略との融合を図るべく、当社グループにおける現状解析と目標設定を進めております。

 ガバナンスの強化に関しては、業績連動型株式報酬制度の導入、政策保有株式の縮減などコーポレート・ガバナンス強化を進めてまいります。なお、政策保有株式については、2023中期経営計画中で、みなし保有株式含めた政策保有株式の純資産比率20%以下を目指し、縮減を進めております。2022年度は、6銘柄16億円を縮減し、2023年3月末の、政策保有株式(含むみなし保有株式)の純資産に対する比率は前期末対比1.3ポイント減少し、24.3%となっております。

<2023中期経営計画目標と2022年度実績>

2022年度の「営業利益」「自己資本利益率」は、自由鍛造品、半導体製造装置向けなどの高収益製品の拡大などポートフォリオ改革を進め、エネルギーコスト増大に対し適正マージン確保に努めてきたことなどにより中期経営計画の目標値を上回りました。2023年度においても、本計画で掲げた行動指針の遂行により、下記指標の実現を目指します。

 

2023中期経営計画指標

(2023年度目標)

2022年度

営業利益

400億円以上

470億円

自己資本利益率

(ROE)

8.0%

10.4%

D/Eレシオ

0.50

0.64

投資 3年累計

決裁ベース

850億円

900億円

(計画値)

鋼材売上数量

(単体)

1,200千t

1,085千t

配当性向

(一過性影響除く)*

30%目安

26.9%

(29.5%)*

*グループ通算制度、有価証券・固定資産売却益、固定資産減損損失の影響を除外

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