企業大同メタル工業東証プライム:7245】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経営方針として、「企業理念」、「行動憲章」、「行動基準」、「行動指針」及び「環境基本方針」を掲げ、事業活動を通して社会に貢献してまいります。また、技術立社として、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)の領域をコアにテクノロジーリーダーとして、来るべき時代を見据え、技術を磨き、企業としての社会的責任を果たしていく所存であります。

 当社グループは、上記の経営方針を踏まえ、「あらゆる動きを支えて 豊かな暮らしに貢献する」ことをパーパスとして、この度、2025年度から2030年度までの新中期経営計画「Bridge to Daido 2030」をスタートさせました。当社グループは、この新中期経営計画に基づく活動を通して、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 世界経済のデカップリング化の加速、業界の構造変化等、予測が難しい状況下ではあるものの、当社グループは、グループシナジーの追求によるすべり軸受業界におけるプレゼンスの更なる引き上げを図り、世界唯一の総合すべり軸受メーカーとして世界No.1の企業であり続けます。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 (目指す未来) 

 新中期経営計画の策定にあたっては、2050年を展望し、当社グループが提供してきた製品の社会的価値や大切にしてきた価値観を未来へのパーパス(Purpose)とし、また、当社グループが目指す姿をビジョン(Vision)としました。新中期経営計画のスタートに合わせて、事業セグメント名称を変更し、新中期経営計画で掲げた目標を達成するために、従来以上に事業セグメント毎の戦略を明確化し、経営資源の配分見直しなども進めます。

 これらの取り組みを通じて、当社グループが目指すべき事業ポートフォリオを実現してまいります。

(目指す事業ポートフォリオ) 

 当社グループは、自動車や船舶に使用されるエンジン周りの軸受の製造・販売をコア事業としてきました。世界唯一の総合すべり軸受メーカーとして世界No.1の企業であり続けるため、これまでエンジン周りの軸受事業で培った技術・製造ノウハウ・信頼と安心の品質・事業基盤の強みをさらに活かしてまいります。

 具体的には、エンジン用軸受の品揃え・環境負荷対応力など、お客様のニーズに応え続けるための全方位戦略(マルチパスウェイ戦略)を軸として進めます。

 また、その上で、エンジン周り以外の領域で使用される製品の拡販も図り、具体的戦略を段階的に実行に移し、「エンジン周り以外」、「自動車・船舶以外」の各事業のウェイトを引き上げます。すべり軸受の価値を、従来の自動車や船舶だけでなく一般産業向けにも幅広く提供することで事業基盤を強化し、すべり軸受以外の事業領域へ拡充を図ってまいります。

(定量目標) 

 新中期経営計画では、前半3年目の2027年度における「売上高:1,500億円」、「営業利益:120億円」、「営業利益率:8%以上」、「ROE:8%以上」を中間地点の目標数値とし、最終年度である2030年度には「営業利益率:10%以上」、「ROE:9%以上」が達成できるよう目指してまいります。

 米国が導入した相互関税は、当社グループの売上高や利益に大きな影響を与えることが予想されますが、当社グループとしては、外部環境の変化とは関係なく、前中期経営計画後半より取り組んでいる利益創出力向上のための構造改革を引き続き進めます。目標利益達成の具体的戦略として、新たな用途開発や新しいお客様の開拓などによる売上高の拡大、利益の増加のみならず、材料費・労務費などの販売価格への転嫁、製品別損益管理の徹底、原価管理の高度化などにも継続的・計画的に取り組みます。併せて、設備投資の効率的な運用やサプライチェーンマネジメント強化によるリードタイムの短縮などにより総資産回転率や財務レバレッジの適正化を図るなど、財務健全化も並行して進め、ROEの向上に取り組んでまいります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年度に前中期経営計画「Raise Up “Daido Spirit”~Ambitious,Innovative, Challenging~」が最終年度を迎え、2024年度は2025年度を開始年度とする新中期経営計画の準備期間と位置付けて日々の業務に取り組んでまいりました。

2024年度においても原材料価格や資源価格の高騰が継続したほか、労務費の上昇などが見られ、当社グループの利益を押し下げる要因となりました。

 しかしながら、そのような状況下におきましても、当社グループは、自動車主要顧客の生産増や船舶業界・建設機械業界における旺盛な需要に対応し、2024年度の売上高は136,303百万円(前期比7,565百万円増)となり、前年度実績を上回りました。

 利益面につきましても、材料費・労務費などの価格転嫁の取組強化により利益の押し下げ要因の解消に努め、営業利益は7,091百万円(前期比1,006百万円増)、営業利益率は5.2%(前期比0.5ポイント増)となりました。

 当社グループを取り巻く環境の目まぐるしい変化や将来予測の見通しが難しい状況は変わりませんが、この難局に的確に対処するべく、当社グループは、2025年度を開始年度とする新中期経営計画を着実に遂行し、企業価値の向上に努めていく所存です。

(新中期経営計画 「Bridge to Daido 2030」) 

 新中期経営計画「Bridge to Daido 2030」の詳細は当社ウェブサイト(https://www.ir.daidometal.com/manage

ment/policy.html)に掲載しているとおりですが、当社グループは、新中期経営計画を通じて、資本コストを上回

 る持続的成長が展望・創出できる企業を目指します。2025年度から2030年度までの期間を、2030年以降を見据えた

 事業体制の再構築を行う6年間と位置付けた上で、前中期経営計画の成果と課題や2024年度における取組、昨今の

 新たな事業環境の変化も踏まえ、今回の新中期経営計画を策定いたしました。

(事業戦略)

2030年度以降の成長戦略も見据え、4つの柱を重要な軸と位置付けて事業戦略を展開していきます。

 第1の柱:利益体質強化のための構造改革

 第2の柱:コア事業の磨き上げ

 第3の柱:ネクストコア事業・セミコア事業の強化

 第4の柱:非財務資本重視の経営の推進

 第1の柱:利益体質強化のための構造改革

 当社グループの利益水準は、コロナ禍からの需要の戻りの過程で回復途上にありますが、利益創出力の更なる強化のためには構造改革が必要と認識しています。当社グループは、2023年度から「改革プラン」を立ち上げて改革すべき領域を定め、鋭意取り組んでおり、新中期経営計画においては、その取り組みの効果を実現させてまいります。

 とりわけ、アルミダイカスト事業については、その赤字の要因を解消するため、生産面の課題に取り組み、その効果が表れつつあります。今後も継続して、材料調達・金型製作、製品製造、検査・出荷の生産過程毎に課題を潰し込み、安定した生産体制を目指します。また、厳しい事業環境にある欧州地区の各拠点については、既に一部拠点において、グループ内での生産設備の移管を進めるなど、改革に向けた施策を始動させています。他にも、生産設備の減価償却費の適正化を目的とした設備投資管理改革、原材料の調達・生産体制の見直しなどによる製造原価の引き下げに向けた活動も進展させてまいります。

 このように、当社グループは、2030年以降を見据えつつ、中長期的な課題に計画的・積極的に取り組むとともに、低採算事業の縮退や組織再編などについても進めてまいります。

 第2の柱:コア事業の磨き上げ

 パワートレイン事業(これまでの自動車用エンジン軸受事業)におけるマーケットシェアにつきましては、2023年に引き続き、世界トップシェア(2024年暦年、当社推定)を達成いたしました。世界的にEV(電動)化が進展している状況は変わりませんが、EV化進行度合いの鈍化により、内燃機関の需要の減少までには一定の猶予があると見込まれます。当社としましては、設備投資については慎重に検討・対処しつつも、市場の顕在ニーズ及び潜在ニーズに確実に応え、トラックエンジン用軸受の拡販やガソリンエンジン用軸受の新規開拓等により更なるシェア拡大を目指してまいります。また、エンジン周り以外で軸受の需要があるショックアブソーバーを中心とした自動車部品向けの更なる拡販や、EV車の新規需要の開拓、空調機器等の一般産業向け軸受の開拓にも取り組み、ライフ事業(これまでの自動車用エンジン以外軸受)の拡大にも努めてまいります。

 マリン・エネルギー事業(これまでの非自動車用軸受事業)における舶用低速エンジン用軸受のマーケットシェアにつきましては、海外市場の開拓強化が実って75.0%(2024年暦年、当社推定)を維持すると共に、船舶市場の需要も引き続き堅調に推移しました。同じく、マリン・エネルギー事業の舶用・産業用中高速エンジン用軸受においても、造船や建設機械市場における受注増に伴い、シェアを拡大することができました。引き続き、舶用低速エンジン用軸受のマーケットシェアの維持に努めるとともに、日本拠点の新工場建設や英国拠点での設備増強を通じて生産能力を拡大させ、発電機向け中高速エンジン用軸受の需要増加に応えてまいります。

 第3の柱:ネクストコア事業・セミコア事業の強化

 フロンティア事業(これまでの自動車用軸受以外部品事業)に含まれるアルミダイカスト事業においては、新規に納入するEV(電動)自動車用部品の受注増加及び精密金属加工部品事業における曲げパイプ・ノックピンなどの精密金属加工部品も需要増により、売上高は前年度より増加しました。過年度において多額の減損損失を計上したアルミダイカスト事業については、生産管理体制や工程改善に進展が見られ、2025年度以降の利益水準の回復が見通せる状況となりました。引き続き、生産管理体制や工程改善の更なる強化、品質管理面の体制の抜本的見直し等により、利益確保に向けた取り組みを強力に進めてまいります。

 目指す事業ポートフォリオを実現するためにも、前中期経営計画期間中に取り組んでまいりましたコア技術を応用した顧客ニーズ(性能・コスト・軽量化)への対応強化など、エンジン周り以外で使用される軸受の需要開拓を進め、すべり軸受の社会的価値の新たな発掘に継続的・計画的に取り組みます。ガスタービンや水力発電向けビジネスの新規開拓、風車ビジネスの技術基盤の確立など、未来への足掛かりも築いてまいります。

 第4の柱 非財務資本重視の経営の推進

 当社グループは、グローバル企業として持続可能な社会の実現に貢献すべく、「ステークホルダーにとっての影響度」と「当社グループにとっての重要度」の2軸からESGの各分野で優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、推進を図っております。また、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みも継続しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明した上で、TCFD提言に基づく開示をしております。長期的な企業価値の向上及び資本コストを意識した経営の実践を目指して、ESGの強化を柱としたサステナビリティ経営を戦略的に推進してまいります。

 新中期経営計画では、人的資本強化とDX推進・風土改革に取り組みます。人的資本強化では「人事体制整備」や「働き方改革」、「人材育成・採用活動強化」を軸に、また、DX推進・風土改革では「組織活性化」や「風土改革」、「地域貢献」を軸に積極的に推進してまいります。そして、このような取り組みを通じた活力ある組織づくりにより、従業員の生産性の改善を図り、企業価値の向上に繋げてまいります。引き続き、Daido Spirit(高い志、改革する意欲、挑戦する心)を根底に、自らの能力やスキルを高めながら、社内で自由闊達な議論を行い、創造性の発揮、イノベーションを生み出す人材の育成など、当社グループの将来を支える人材の育成に努めてまいります。

 当社グループは、上記の4つの柱を重要な軸と位置付けて、企業価値の向上を実現するためのあらゆる施策を実行してまいります。企業価値の向上のため、ROEの引上げのみならず、資本コストの最適化のため、非財務資本の取組強化も図るほか、サステナビリティ経営の推進、関係会社を含めたグループ全体でのコーポレートガバナンスの強化など、リスクの少ない経営を進め、PBRの改善に取り組んでまいります。

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