企業坪田ラボ東証グロース:4890】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文章中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

 当社は「ビジョナリーイノベーションで未来をごきげんにする」をミッションに掲げ、近視、ドライアイ、老視、脳疾患などアンメット・メディカル・ニーズ(UMN)の高い疾患領域において、革新的なソリューションの創出を目指しております。慶應義塾大学医学部発の研究開発型ベンチャーとして、世界的に拡大する近視人口、ドライアイによるQOL(生活の質)の低下、老視の予防・治療ニーズの高まり、ならびに中枢神経系疾患に対する医療的対応の必要性といった社会課題に真正面から取り組み、企業価値の向上を図っております。

(2) 経営戦略

 当社は、短期的な利益の最大化にとらわれるのではなく、社会課題の解決という本質的な目標に対し、長期的な視点から真摯に取り組むことを基本方針としています。特許に繋がる独自の発明(Invention)と、パートナー企業との協働による社会実装(Implementation)を掛け合わせることで、確実なイノベーションの創出を目指しています。この目標を達成するために、当社は社会課題の解決と企業の持続的成長の同時実現を目指すCSV経営(*1)の考え方に基づき、パートナー企業と連携し、社会課題の解決を企業活動の原動力とすることで新たな社会価値を創造し、持続可能なかたちで企業価値の最大化を図ってまいります。

*1 CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)とは、企業が強みを生かしながら本業を通じて社会課題の解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値の双方を同時に創出し、持続可能な成長を実現する経営アプローチを指します。従来のCSR(企業の社会的責任)とは異なり、社会貢献と事業成長を一体化させる点に特徴があります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、各パイプラインの事業化(上市)を目指して共同研究または実施許諾を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、当社は、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいります。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 基礎研究、知財発掘および管理の強化

 当社は、近視、ドライアイ、老視および脳疾患といったUMNの高い分野において、先進的な研究開発に取り組んでいます。

 当社は創立初期より、契約一時金を含むライセンス収入を安定的に確保しながら、財務的な健全性を保ちつつ研究開発を推進してきました。こうした取り組みを通じて、価値ある研究成果を継続的に創出し、パートナー企業との共同研究開発へとつなげるエコシステムを構築しております。また、研究成果に基づく知的財産の戦略的な管理・活用を通じて、導出力(ライセンシング・パワー)の強化にも注力しております。将来的には、これらの研究成果をもとに、パートナー企業との共同開発を通じて製品化を実現し、上市された製品からロイヤリティ収入を得るビジネスモデルの構築を目指しております。得られた収益は、さらなる研究開発への再投資に活用し、新たな革新的ソリューションを次々と創出することで、UMNの高い領域における選択肢を拡げ、社会に貢献してまいります。

② 国内・海外事業開発の強化

 当社のビジネスモデルは、独自の技術・知財を基盤に、国内外のパートナー企業と共同研究開発やライセンス契約を締結し、契約一時金、マイルストーン、上市後のロイヤリティによって収益を得るものです。得られた収益は新たな研究開発に再投資し、継続的にパイプラインと企業価値を拡充する循環型モデルを構築しています。当社のような小規模のバイオベンチャーにおいては、研究開発の質と臨床研究および臨床試験の効率的かつ迅速な実施を図る上でも、強固かつ効率的な共同研究開発体制の構築が極めて重要な課題です。今後も国内外の有力な研究機関および企業との連携をさらに拡大・深化させるべく、適切なコミュニケーションを重ねながら、研究開発および事業開発機能の強化を進めてまいります。

③ レギュラトリーサイエンス(*2)の強化

 研究開発の成果を、医薬品医療機器総合機構(PMDA)をはじめ、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、中国国家薬品監督管理局(NMPA)など、各国の規制当局からの承認取得へとつなげ、事業化を実現していくためには、レギュラトリーサイエンスへの対応力の強化が不可欠です。当社では、研究開発本部を中心に社内の専門性を継続的に高めることにより、グローバルな開発・承認戦略にも対応できる体制の構築を進めております。

*2 レギュラトリーサイエンスとは、医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質、有効性及び安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学です。

④ 企業体質の強化

 当社は、社会課題の解決と企業の持続的成長の同時実現を目指すCSV経営の考え方に基づき、社会課題の解決を企業成長の原動力とすることを基本方針としています。その実行基盤として、米国の先進的スタートアップにおいても成果を上げているOKR(*3)を導入し、ビジョン・ミッションに直結した目標設定と進捗管理体制を構築しております。OKRの導入により、個人と組織の目標をビジョン・ミッションと明確に結びつけ、戦略と現場の一体化、意思決定の迅速化、成果の可視化を図ることが可能となります。当社はこの仕組みを通じて、企業体質を強化してまいります。

*3 OKR(Objective and Key Results)とは、企業が達成すべき目標を具体的な成果指標とともに設定し、組織全体での一貫した目標達成を目指すマネジメント手法です。

⑤ 経営体制の強化
a 人材の確保と育成

 大学発ベンチャーにおいては、卓越したサイエンスの成果を有しながらも、ビジネスの視点での評価や市場での信頼獲得が課題となるケースが多く見受けられます。当社においても、技術力や研究開発力に加え、経営および事業推進の視点を備えた多様な人材の確保が、今後の成長を加速させる上で重要な経営課題であると認識しております。

 こうした認識のもと、当社は上場企業としての信用力と社会的認知度を活かし、国内外から多様なバックグラウンドを持つ優れたビジネス人材の確保・登用を進めてまいります。これにより、当社が有する知的財産権の価値最大化を牽引するとともに、事業環境の変化を踏まえて柔軟かつ機動的に対応し得る戦略的な経営体制の構築を通じて、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。

b コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、経営の健全性・透明性の確保と、あらゆるステークホルダーとの信頼関係の構築が不可欠であると認識しております。特に当社は、上場企業、医療機関、公的研究機関などとの共同研究開発・事業提携を通じて研究開発を推進しており、こうした取引関係を維持・拡大していくためにも、社会的信用の継続的な向上が重要な経営課題となっております。このような認識のもと、当社は小規模な組織ながらも、実効性あるコーポレート・ガバナンス体制の整備を進めております。具体的には、管理部門の人員体制および内部統制機能の強化に加え、内部監査人と監査役との連携を通じて、業務執行の適法性および妥当性の監視機能をたかめております。また、財務報告に関わるリスクの提言と、経営における意思決定の質の向上を図ることで、健全かつ透明性の高い経営体制の構築を推進しております。今後も、ガバナンス体制の継続的な見直しと改善に努め、法令遵守・情報開示・リスク管理の強化を通じて、社会的責任を果たす企業としての基盤を一層強固なものとしてまいります。

c 資金調達・財務基盤の強化

 当社は、上市までに長期の研究開発期間を要するバイオベンチャーであり、その過程において、臨床研究や臨床試験に多額の資金を必要とします。こうした資金需要に対応するため、当社は外部からの資金調達手段の多様化を図りつつ、財務基盤の強化に取り組んでおります。具体的には、必要に応じた株式市場からのエクイティファイナンスに加え、金融機関からの融資、各種助成金・補助金の活用を通じて、中長期的な成長を支える資金を安定的に確保してまいります。また、運転資金確保の観点から、金融機関との間で、当座貸越契約(極度額10億円)を締結し、資金繰りの柔軟性向上を図っております。

⑥ 慶應義塾大学および他大学との研究協力体制の構築

 当社は、慶應義塾大学をはじめとする国内外の大学・研究機関との共同研究を積極的に推進しております。すでに複数の研究機関との連携を開始しており、今後もさらなる拡充を図ってまいります。研究開発戦略の中核には、当社独自の助成制度であるT-SBIR(*4)を位置づけ、アカデミアとのネットワークを国内外に広く構築しています。これにより、高度な専門性を有する研究者による先端的な研究テーマを早期に発掘・創成・強化し、適切なリスクを取りながら、研究開発の推進と早期の事業化を目指す体制を整えております。持続的に価値ある研究開発を行ううえで、多様な知見と技術を有するアカデミアとの連携は極めて重要と考えており、このような認識のもと、共同研究契約等を通じて、大学・研究機関との信頼関係に基づく協力体制を今後も継続的に強化してまいります。

*4 T-SBIR(Tsubota Small Business Innovation Research)とは、米国の中小企業向け研究開発助成制度(SBIR)に着想を得て当社が設立した、大学や研究機関に対する独自の研究助成制度です。革新的なアカデミアの研究活動を支援し、その成果の事業化を推進することを目的としています。

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