企業兼大株主名村造船所東証スタンダード:7014】「輸送用機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等

 当社グループは、長期的視野に立ったグループ経営によりグループの持続的発展に向けて取り組むとともに、さらなる成長を実現するためにグループ経営資源の「選択と集中」をさらに深化させ、収益の拡大を目指してまいります。

 日本造船工業会の調査によりますと、中長期的には世界の経済成長や人口増加に加え、船舶のゼロエミッション化の進展により新造船建造需要が拡大し、その後も高原状態が継続すると予測されております。

 中核である新造船事業におきましては、今後の需要拡大に向け、生産量の拡大のための建造能力強化を推し進めてまいります。新たな成長局面を迎える新造船事業の需要を捉え、グループの躍進につなげるため、積極的な設備投資やデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進してまいります。

 また、グループにとって安定収益の確保・拡大のためには修繕船事業や鉄構・機械事業の基盤強化が不可欠であり、人材の確保と育成や設備の拡充など必要な経営資源を投入してまいります。

 財務面においては、新造船事業の建造能力拡大を中核とする成長投資のために必要となる長期資金を、金融機関からの借入や資本市場からの調達で賄うべく、有効な手段を検討してまいります。

 今後は、収益力の強化と企業価値の向上だけではなく、地球環境の改善に向けた積極的な取り組みや地域社会への貢献により、株主はもとより顧客・取引先・金融機関・従業員・地域など様々なステークホルダーとの信頼関係の強化・拡大を図り、持続的な成長を期待される「存在感」ある企業グループの形成を目指してまいります。

(2) 経営環境および対処すべき課題

① 新造船事業

 新造船市場において需要は堅調に推移し、各国造船所が最長4~5年先までの手持工事量を確保する中で、中国は多くの船種で受注を加速させ生産量拡大の動きを見せており、今後の中国造船所建造船の大量竣工の影響が注視されます。一方で、世界的な温室効果ガス(GHG)排出量ゼロを目指す動きとして、重油燃料船から次世代燃料船への代替需要を中心とした中長期的な需要増加が期待されております。

 当社では既に大型LPG・アンモニア運搬船(VLGC)やLNG二元燃料大型撒積運搬船などを完工しておりますが、新燃料船の建造工程は従来の船種と比べ長期化・複雑化する傾向があります。需要増加に応じた建造量拡大のためには設備の増強やスマートファクトリー化による生産現場の最適化・省人化が不可欠であり、主力工場である当社伊万里事業所においては、長期設備投資計画の策定に着手し、また、生産現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)化に取り組んでおり、函館どつく株式会社においても設備の近代化を推進してまいります。

 将来のGHG排出量ゼロの実現のためには、水素燃料やアンモニア燃料等を使用するゼロエミッション船の普及が必要不可欠となります。当社グループはゼロエミッション船の技術開発に注力しており、当社は本年3月にアンモニアを燃料とした「大型アンモニア輸送船」を株式会社商船三井および三菱造船株式会社と開発し、設計基本承認を共同取得いたしました。当社グループは、地球環境に優しい船づくりによる持続可能な社会の実現のために、環境負荷低減を当社経営の最重要課題の一つと位置付けており、2050年カーボンニュートラルを掲げる政府方針に沿い温室効果ガスの排出削減を目指します。また、お客様のご期待に応えるべく、次世代燃料船の開発にも積極的に取り組み、低炭素社会の実現に貢献してまいります。

 さらに、これまでお客様から高い評価をいただいている主力商品においてもさらに性能と品質を高め、受注力を強化してまいります。コスト面においても、設計から調達、製造の現場まで一貫したコスト削減活動を徹底してまいります。

② 修繕船事業

 地政学的リスクの高まりや近年の日本周辺の安全保障環境の変化を受け、世界的に防衛費が増加しており、修繕船事業を取り巻く環境は大きく変化しております。我が国においても、防衛費予算の増額や国防事業を維持・強化するための法整備が進められており、また、米海軍は日本国内の修繕ヤードで大型艦艇の修繕工事を実施する検討を始めております。

 当社グループにおきましては、修繕船事業の拠点として佐世保重工業株式会社、函館どつく株式会社の函館造船所および室蘭製作所の3拠点が連携し、国内艦艇や巡視船などの修繕工事において実績を重ね、我が国の安全保障体制の維持に貢献してまいりました。今後も、予想される修繕需要の増加の機会を捉えて確実に受注を獲得するとともに、米海軍の大型艦船修理の対応整備、岸壁・入渠工事においても受注を目指します。

 また、LNG運搬船、大型客船、フェリー、サプライボート、漁船などの一般商船の修繕工事においても、安定的な収益を確保してまいります。

 両社ともに、人材確保や設備老朽化などの課題の解決と、さらなる規模の拡大と収益力の強化を目指して取り組んでおります。佐世保重工業株式会社はドック改修工事を経て国内最大級の修繕ヤードとなり、また海上自衛隊基地や米海軍基地に隣接するという立地条件を活かし、事業拡大を進めております。函館どつく株式会社におきましても、関東以北で唯一の大型船の修繕拠点としてさらなる成長を目指します。

③ 鉄構・機械事業

 当社および函館どつく株式会社が担う鉄構橋梁部門におきまして、2023年7月に橋桁落下事故を発生させました工事につきましては、再発防止策を講じて慎重に施工を実施し、本年3月に竣工・引渡を完了いたしました。引き続き他の工事についても安全管理を徹底し、無災害を継続することで一日も早い信頼回復に努めてまいります。

 国内鋼道路橋の新設工事発注量は著しく低い水準で推移しており、インフレの影響もあって改善は見込み難い状況にあります。人材の適材適所配置やグループ内での連携を図り、鉄構・橋梁事業の受注力、施工能力、技術力を向上させ、工事量を確保し、安定収益体制を構築してまいります。

 佐世保重工業株式会社が担う舶用機器部門においては、原材料高騰に伴って廉価・安定調達が継続的な課題でありますが、新造船の需要増に伴う舶用エンジンメーカー向けの需要は増加しており、シェア拡大のための受注力強化に努め、収益基盤のさらなる強化に取り組んでまいります。

④ その他事業

 当社グループにおきましては、市場環境の変化に応じた事業ポートフォリオの最適化を目指しており、中核事業以外の分野を担当するグループ各社におきましても、収益拡大に取り組み、グループ収益基盤の強化・発展に貢献してまいります。

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