企業兼大株主古河電気工業東証プライム:5801】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

当社グループは、古河電工グループ ビジョン2030を達成するために、情報/エネルギー/モビリティ融合領域での社会課題解決に向け、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当事業年度における当社グループの研究体制は、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、エレクトロニクス研究所、フォトニクス研究所、マテリアル研究所、デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心に構成されております。

当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比3.7%増の25,449百万円であり、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。

 (1)インフラ

① Beyond5G社会に貢献する取組みとして、次世代データセンタを支える光電融合技術であるCo-Packaged Optics(CPO)の実現に向けて、光ネットワーク技術に関する業界団体のOptical InternetWorking Forumより発行されたELSFP(External Laser Small Form Factor Pluggable)IA(Implementation Agreement)に基づくCPO用16チャンネルのブラインドメイト型外部光源を世界で初めて開発し、光通信に関する国際会議のEuropean Conference on Optical Communicationにおいて本製品を発表いたしました。本製品はすでにサンプル出荷を開始しており、2025年度以降に量産を開始する予定です。

 また、光電融合デバイスの実現に向けて、研究開発を加速しております。CPOなどの光電融合デバイスにおける光接続についての課題に対応するため、当社が参画している国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」における研究開発等により、CPOに適した小型多心光コネクタを開発しました。さらに、総務省から委託を受けている「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発」プロジェクトにおいて、低遅延・大容量情報伝送などが期待される空孔コアファイバの実用化に向け、次世代のPassive Optical Network(PON)の研究開発を進めており、ハイパワー入力による256分岐PONの実証実験に成功いたしました。この実用化に向けて、慶應義塾大学に敷設した空孔コアファイバケーブルを用いた実証フィールドでの特性評価も継続して行っております。

② 大規模な空間多重光ネットワークの実現に向けて、空間クロスコネクト装置とマルチコアファイバ光増幅器を用いた1,000 km級の光ネットワークにおける実証実験に世界で初めて成功いたしました。

 また、海底用2コアファイバの融着技術における成果を、光工学に関する世界最大規模の国際会議Photonics West 2025で発表いたしました。さらに、同コアファイバの性能評価において世界最高レベルの低損失と低クロストーク特性を達成し、その結果を記載した論文を海洋光通信に関する国際学術会議SUBOPTIC2025に投稿予定です。

  以上、当該事業に係る研究開発費は12,604百万円であります

  (2)電装エレクトロニクス

① カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対する取組みとして、引き続き高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力し、高圧製品のラインナップ拡充を進めております。

 このほか、引き続き電動車用コネクタについては次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めるとともに、自動車用ワイヤハーネスについては車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用しアルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。

 また、当社が開発したBSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)が、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、今後予想される車載電子機器の増加や頻繁なソフトウエアアップデートに向けて、精度とロバスト性の向上を図ることで拡販及び受注活動を進めております。

 加えて当社は、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。高齢者や身体障がい者が自由に移動できる社会の実現に向けて、電動ロボット・電動車椅子向けに充電作業負荷を軽減することを目的に、本方式による安全・安心・快適なワイヤレス充電システムの開発を進めております。

 さらに素材開発としては、高強度・高導電・高機能な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電流を検出・制御する抵抗器(チップ抵抗器、シャント抵抗器等)の高性能化、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めております。

 また、加工用高出力レーザの対象材料については、これまで、光反射率が極めて高く難加工素材とされてきた純銅の加工において、高水準の品質・深度・加工速度を実現いたしました。

 自動運転に向けた取組みとしては、汚れや雪の付着、降雨の影響も受けにくく、安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を継続しており、引き続き建機・農機等向けにも展開しております。また、就農人口の減少による人手不足により、農機の自動走行及び農作業の自動化・効率化が課題となっていることから、その解決に向け、より高分解能な77GHz帯レーダの開発を進めており、北海道大学と連携して実証実験を行っております。

 シミュレーション技術及び分析技術に関する取組みとしては、大学や公的機関の先端分析装置を有効活用して研究開発の効率化を推進しており、ワイヤハーネスなどの自動車用部品においては変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体・電磁界シミュレーションを実施いたしました。また、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施いたしました。

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,878百万円であります。

  (3)機能製品

① 当社グループは、「古河電工グループ環境ビジョン2050」に基づき、脱炭素社会、水・資源循環型社会及び自然共生社会への貢献を目指しております。このため、CO2の排出量削減に向けたバリューチェーン全体における再生材の利用を促進すべく、再生ポリエチレンを100%使用した地中埋設用ケーブル保護管の「角型エフレックス®」・「エフレックス®S」や、植物由来の樹脂を使用した無架橋低発泡ポリプロピレンシート「エフセル®」を開発いたしました。

 また、カーボンニュートラルに向けた取組みとして、セルロース繊維強化樹脂「CELRe®」の開発を進めております。本製品は、セルロース繊維の高分散化技術により、強度と耐衝撃性を両立させつつ、低コストでの製造が可能となっており、さらに樹脂材料からバイオマス材のセルロース繊維に置き換えることで、石油資源の節約とCO2排出量削減に貢献してまいります。

 さらに、製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクのほか、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品の開発にも注力しております。

 情報分野においては、通信基地局用のルーター、スイッチや無線通信用のアンテナ、生成系AI用やデータセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しており、高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっていることから、当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔「F0X-WS」の量産化を進めており、より高周波のグレードが高い平滑銅箔「F0-WS」の開発を進めております。

  以上、当該事業に係る研究開発費は2,595百万円であります。

  (4)サービス・開発等

① 超電導分野では、低温超電導線材及び高温超電導線材の開発・製造リソースを持つ強みを生かし、顧客への新製品提案・開発を引き続き進めております。

 超電導製品部では、低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する自己融着機能を有する新製品を販売しております。

SuperPower Inc.(米国)においては、イットリウム高温超電導線材の研究開発及び製造をしております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなどに利用されております。さらに、先進核融合原型炉の分野では、高温超電導線材の供給を通じて海外有力顧客との関係強化を進めており、そのうちトカマクエナジー社(英国)とは約1,000万ポンドの出資契約を締結し、商用核融合エネルギーの推進に向けてパートナーシップを強化しております。

 また、フュージョンエネルギー産業の創出を目的として設立された「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会」において、同法人の常任理事を当社の代表取締役が務めるなど、当社は積極的に参画しており、活動を通じてフュージョンインダストリーの育成に貢献しております。さらに、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業ALCA-Nextの新規未来本格型研究開発において、京都大学との共同研究により、キロアンペア級の交流電流を低損失で流せる高温超電導集合導体ケーブルの開発を進めております。

 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータと提携し、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創に加え、米国内の大学と提携し当社の技術課題のみならず社会課題を解決する新技術の探索に取り組んでおります。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集、北米のエコシステム調査分析などのマーケティング、ユースケース探索や当社技術のインキュベーションの北米拠点として活動しております。

 技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部では、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・航空宇宙等の各領域において、当社の技術を活かし、外部のステークホルダーとの共創を重視して新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理の領域では、「みちてん®」「てつてん®」に代表される当社インフラDX市場向け製品・サービスの展開を加速させ、着実に社会実装を進めております。ライフサイエンス領域では、2022年12月に設立したMFオプテックス株式会社(当事業年度において株式を追加取得し当社の連結子会社化)との連携強化により新事業開発を加速し、引き続き光技術を活用した医療機器向け部品等の開発及び市場展開を行っております。航空宇宙領域では、新興企業との協業による高精度なリアルタイム風況観測機器開発の社会実装を進めたほか、国立大学法人との社会連携講座を活用し、事業創出を加速させております。

 当社の高出力ファイバレーザの技術をさらに発展させるために、営業統括本部内にレーザ応用事業部を新設いたしました。インフラ構造物のメンテナンスに使用するインフラレーザに関する分野では、鉄道車両の塗膜除去などのメンテナンスに最適な小型レーザ施工システムを製品化いたしました。また、船舶塗装の下地処理における錆・塗膜除去を行うためのレーザ施工システムの開発を行っており、実船での実証実験を進めております。産業用レーザに関する分野では、光ファイバからの輝度で世界最高レベルとなる出力5kWの青色レーザ発振器を日亜化学工業株式会社と共同で開発し、多様な加工ニーズに対応するための開発拠点となる「古河電工・日亜化学 先進レーザ加工ソリューションラボ」(愛知県刈谷市)を開設いたしました。また、欧州ではハンガリー(当社グループ会社のFurukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)社内)にレーザアプリケーションラボを設け、グローバルな開発体制を構築いたしました。

⑤ 2050年のカーボンニュートラル実現と持続可能なエネルギーの安定供給のために、化石燃料によらないグリーンLPガスの社会実装に向けて取り組んでおります。世界で年間数百万トン規模のグリーンLPガスを製造することを目標に、2023年11月には、商業化のノウハウと国際的なLPガスの供給網を保有するアストモスエネルギー株式会社及びSHVエナジー(オランダ)との間でグリーンLPガス共同検討に関する基本合意書を締結いたしました。

 国内では、グリーンLPガス製造技術の実証実験に向けて、北海道鹿追町に建設予定の実証実験用プラントの起工式を2024年8月に執り行うなど、実証実験用プラントの建設を進めております。また、北海道大学との共創を通じて、様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。

⑥ 近年の激甚化する自然災害への対策として、風水害発生時の自主避難を支援する自治体向けサービス「みんなんサポート®」を開発し、これまでに鹿児島県薩摩川内市・島根県美郷町など全9地区で実証実験を実施しております。これらの実績が高く評価された結果、次世代に向けたレジリエンス社会構築のため先進的な取組みを行っている企業等を評価・表彰する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2023」では優良賞を受賞いたしました。また、2024年7月からは島根県美郷町の複数地区にて災害対策で相互連携を目指す実証実験を行っております。

  以上、当該事業に係る研究開発費は5,371百万円であります

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