企業兼大株主古河電気工業東証プライム:5801】「非鉄金属 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、インキュベーター統括部、デジタルイノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。なお、2023年4月1日付で、「マテリアル研究所」を新設し、「自動車・エレクトロニクス研究所」を「エレクトロニクス研究所」に、「情報通信・エネルギー研究所」を「フォトニクス研究所」に、「デジタルイノベーションセンター」を「デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター」に名称を変更し、また、「インキュベーター統括部」を廃止しその機能を事業部門・各研究所へ移管しております。

当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比12.3%増23,324百万円とし、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。

(1)インフラ

次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano-ITLA)の製品化を進めております。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。この技術は、Beyond5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む400Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。

②情報通信サービスの普及にともないデータセンタにおける情報処理量が飛躍的に増大しており、次世代ネットワークスイッチ装置の実現が求められております。この次世代ネットワークスイッチ装置ではCPO(Co-Packaged Optics)と呼ばれる光電融合デバイスを用いた新しい実装形態が必要になると見込まれていることから、CPO用外部光源の製品開発を行っており、サンプルを出荷しております。今後も次世代データセンタ向けの光部品提供により大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。

光ファイバ及び光ファイバケーブルについては、長距離用途におけるさらなる高性能化・低コスト化を進めております。総務省から委託を受けている「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の成果として、マルチコアファイバによる光海底ケーブルの大容量化を実現する基盤技術を開発・実証しました。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)) からは、「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、「Beyond5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」及び「Beyond5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発」を受託し、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系・加入者アクセス系への適用に向けて、光ファイバ及び光ファイバケーブルの製造技術やこれらの性能検証、光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の向上にむけた検証を継続、推進しております。一方、データセンタ用途や大都市ネットワーク用途で光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められていることから、省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバケーブル」のさらなる高密度化も引き続き推し進めております。

加工用高出力レーザの製品群として、高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載し、青色レーザ出力1kWを有するBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE®X」を販売しております。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。これまで、光反射率が極めて高い純銅は難加工素材とされておりましたが、本製品は銅加工において高水準の品質・深度・加工速度を実現しました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も引き続き進めております。加えて、最先端のレーザ加工装置を設置した加工ラボCALL(Chubu Advanced Laser processing Laboratory)を愛知県豊田市に開設いたしました。レーザ加工技術の向上を図るとともに、顧客へのレーザ溶接ソリューションの提案やパートナーとの共創を進められる環境を構築しました。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接等、高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、古河電池株式会社とバイポーラ型蓄電池の共同開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の高容量化が実現でき、稼働時の空調コストを抑制できる高い経済性を持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。2023年2月から当社平塚事業所においてバイポーラ型鉛蓄電池のシステム運用時における性能評価を中心とした実証実験を開始しました。また、再生可能エネルギー及びEVの大量導入に伴う課題へ対応するため、当社横浜事業所のコンテナ型蓄電システムをリニューアルし、太陽光発電及びEV急速充放電器を直流で接続した実証環境を構築しました。本実証環境において当社優位技術の開発を行うとともに、パートナーとの共創フィールドとして活用してまいります。

  以上、当該事業に係る研究開発費は11,944百万円であります

(2)電装エレクトロニクス

自動車用部品においては、カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対応して、高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力しております。電動車用コネクタ・電線については、次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めております。自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用し、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、情報/エネルギー/モビリティの融合領域の新事業創出により、多様化するクルマの進化に貢献できる技術・製品の開発にも取り組んでおります。

BSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)は、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、拡販及び受注活動を進めております。また、今後予想される車載電子機器の増加やソフトウェアアップデート、自動車の電動化・自動運転化に向けて、鉛バッテリ電源を確実に提供し、安全・安心・快適な社会の実現に貢献できる製品開発を行っております。

雨、雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張し、体積と重量をそれぞれ約30%削減した次世代品の量産を開始しました。また汚れやホコリに強い特長を活かして建機・農機等向け周辺監視レーダの量産を開始しております。今後も、小型・高性能・高機能化を進めてまいります。

新しいワイヤレス電力伝送方法として期待され、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。本方式を採用した電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを株式会社大林組とともに開発し、実証実験を行っております。引き続き、小型・軽量化と大電力・高効率化を実現させ、モビリティの電動化に貢献してまいります。

シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品は変形・応力シミュレーション、電子機器開発は振動・熱流体・電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築についてのモデルベース開発等を行いました。先端分析装置や手法を活用した解析を行っており、日本顕微鏡学会や日本銅学会において講演を行いました。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズムの解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。

高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めてまいります。また、銅材及びめっき材のスクラップに対するリサイクルプロセスについては、カーボンニュートラルの実現へ向けて技術開発を推進してまいります。

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,732百万円であります。

(3)機能製品

植物由来の素材であるセルロース繊維の高剛性及び軽量性の特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の量産技術開発とその実用化に向けた検証を行っております。また、海洋汚染の対策やCO2排出量削減を目的に、プラスチックごみをプラスチックに再生する過程でセルロース繊維を用い、より強度を向上させて再生する技術を開発し、環境省の「プラスチック・スマート」に参加しております。加えて、当社は経済産業省が公表した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」に賛同しており、本研究開発を通して、カーボンニュートラル実現への取組みを推進してまいります。

情報/エネルギー/モビリティ分野に関わる製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクを開発しております。当社は引き続き、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発に注力してまいります。

5Gサービスの本格化に伴い、通信基地局用のルーター、スイッチ、アンテナや、データセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しております。これにより高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっています。当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔であるF0X-WSを開発し、量産化を進めております。今後も、高周波プリント基板用銅箔の製品群を拡充し、5G及びBeyond5Gに対応する高周波プリント基板用銅箔の需要に対応してまいります。

  以上、当該事業に係る研究開発費は2,166百万円であります。

(4)サービス・開発等

超電導製品部では、高機能低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する新商品の量産化を開始し、販売しております。また、SuperPower Inc.(米国)と連携し、低温超電導線材及び高温超電導線材の新製品の開発を進めております。

SuperPower Inc.(米国)において、イットリウム高温超電導線材の研究開発を継続しております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉や、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。先進核融合原型炉に用いる高温超電導線材の供給をとおして海外有力顧客との関係強化が進んでおります。また、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの委託により開発を行う未来社会創造事業において、京都大学と連携した共同研究グループでは、交流損失の低減を達成しました。標準的な薄膜高温超電導線と比較し、交流損失が約20分の1になることを実証しております。

Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現につながる社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータとパートナー契約を結び、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創機能を強化しております。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集や北米の市場調査分析などのマーケティング機能を加え、当社技術のインキュベーション北米拠点として、その活動を開始いたしました。

技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部において、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・宇宙等の各領域において、当社の技術を活かした新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理やライフサイエンスの領域では、当社が携わる製品・サービスの市場展開が加速する等、着実に社会実装が進んでおります。加えて、宇宙領域では、2023年度から新たに東京大学大学院工学系研究科と社会連携講座を開始し、事業創出を加速しております。

2022年4月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト/化石燃料によらないグリーンなLPガス合成技術の開発」に採択されました。この実証候補地として北海道鹿追町と包括連携協定を締結し共創を開始しております。また、北海道大学とはこれまで、温室効果ガスの削減に向けて共同研究を進めてまいりましたが、より一層連携を進めるべく寄附分野「地域元素資源利活用工学分野」を開設しました。二酸化炭素とメタンに加え様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。

⑥「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」オフィシャルサプライヤーとして、炬火台用燃料の一部にバイオガスを原料としたグリーンLPガスを提供しました。提供したグリーンLPガスは、栃木県畜産酪農研究センターのプラントで牛のふん尿を活用して生産したバイオガスから合成したもので、燃料の1%程度が本グリーンLPガスに置き換えられております。今後、この技術を応用させ、実用化に向けた開発を進めてまいります。

  以上、当該事業に係る研究開発費は4,479百万円であります

PR
検索