企業兼大株主出光興産東証プライム:5019】「石油・石炭製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1)中期経営計画(2023~2025年度)

①2050年ビジョンと方向性

 当社は、2023~2025年度を対象とした新たな中期経営計画(以下、本中計)策定にあたっては、2050年のカーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けて、更にその先のエネルギーの未来と当社のありたい姿について「長い時間軸」で捉える必要があると判断し、今回、新たに2050年ビジョンを策定致しました。2030年に向けて「責任ある変革者」として進める打ち手を、2040年、2050年と着実に具現化し、「社会実装」していくことを「変革をカタチに」と表現しました。

2050年は、世界的なカーボンニュートラルの潮流が加速していく中、エネルギーシステムや社会構造が大きく変化している可能性が高いと考えます。その過程においては、非連続的な技術革新など多くの課題が生じることが想定されるとともに、新たな技術を社会に受け入れられる形にして届ける担い手が求められます。

 当社は、このような社会課題や環境変化に対し、エネルギーの安定供給で培ってきた知見や、地域社会との信頼関係をベースにしながら、社会実装を推進していくことで「人びとの暮らしを支える責任」と「未来の地球環境を守る責任」を果たしていきます。

 ア.2050年の3つの事業領域及び主力事業

 当社は本中計において新たに3つの事業領域を定義し、それぞれの領域の社会実装を進めることで事業ポートフォリオ転換を推進します。

①一歩先のエネルギー

②多様な省資源・資源循環ソリューション

③スマートよろずや

 イ.2050年カーボンニュートラルへの道筋

 当社は、2050年までに、自社操業に伴う排出量(Scope1+2)のカーボンニュートラルを実現します。そのための中間目標として、2030年時点のGHG排出削減量の目標を2013年比約730万トン、46%の削減を実現することで、2050年の当社のカーボンニュートラル実現への道筋を具体化していきます。

 加えて、サプライチェーン全体での排出量(Scope3)においても、産業活動・一般消費者向けのソリューションを提供することで、カーボンニュートラルを目指します。

②2030年に向けた経営目標と基本方針

2030年は、既存のエネルギーと素材の安定供給責務を果たしながら、2050年カーボンニュートラルに向けたトランジションの一部が具現化する時期(転換期)と位置付け、更なる利益成長や資本効率性を追求しながら、化石燃料収益比率については50%以下を目標とします。

 ア.2030年度経営目標

 イ.2030年基本方針

2030年ビジョンである「責任ある変革者」の実現に向けて、事業構造改革投資と人的資本投資の両輪により事業ポートフォリオの転換を進めます。

①ROIC経営の実践による事業ポートフォリオ転換

②従業員の成長・やりがいの最大化

③ビジネスプラットフォームの進化

※上記2022年度見通しは、2022年11月16日に開示した本中計発表時に、以下2023年度計画の主要前提※のもと算出した数値となります。

 豪州一般炭スポット価格($170/t)、ドバイ原油価格($90/BBL)、為替(¥130.0/$)等

③中期経営計画(2023~2025年度)

 本中計については、2030年ビジョン「責任ある変革者」に向けた実行計画と位置付けており、下記の目標の達成に向けて既存事業の収益最大化、新規収益の創出に取り組みます。

 ア.2025年度経営計画

 イ.セグメント別営業利益+持分利益(在庫評価影響除き)

 資源セグメントにおいて、2023年度以降の石炭価格の正常化から減益を見込む一方、燃料油セグメントをはじめ既存事業の収益の最大化に取り組むことにより、2025年度のセグメント利益は、2022年度見通し(前提補正後)対比300億円増益の1,900億円を目指します。

※上記2022年度見通しは、2022年11月16日に開示した本中計発表時に、以下2023年度計画の主要前提のもと算出した数値となります。

 豪州一般炭スポット価格($170/t)、ドバイ原油価格($90/BBL)、為替(¥130.0/$)等

 ウ.投資計画(3カ年)

 本中計期間は、当社の事業ポートフォリオ転換を着実に推進するため、既存事業投資とは別に事業構造改革投資に2,900億円を配分します。SAF製造装置やアンモニア基地化投資を含む一歩先のエネルギー領域やリチウム固体電解質の事業化に向けた投資などの多様な省資源領域、またスマートよろずや領域では超小型EV製造に向けた投資など合計2,900億円を見込んでいます。また、既存事業の事業基盤強化や操業維持投資と合わせて3年間の投資総額は、6,900億円となる見込みです。

 エ.株主還元方針

 前中期経営計画期間から引き続き、2023~2025年度の3カ年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。配当は、1株当たり120円の安定配当を基本とする方針です。

 オ.キャッシュフローの配分(3カ年)

2023~2025年度では当期利益の他、資産売却等により9,100億円のキャッシュを確保します。既存事業投資は償却等の範囲内を目途に実行し、残る5,100億円のフリーキャッシュフロー(FCF)は、事業構造改革投資、株主還元に充当します。

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

①セグメント毎の課題

 当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。

 ア.燃料油セグメント

(ア)石油精製の最適化とCNXセンター化の取り組み

 石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていくと共に、国内需要減を見据えた精製能力再編に取り組み、将来に向けた最適な製油所体制を目指します。また、カーボンニュートラルの実現に向けて、製油所・事業所機能を転換していくCNXセンター化を進めています。コンビナートの広大な敷地や大型船が入れる桟橋、タンク群などの既存設備は、バイオマス燃料をはじめ、水素・アンモニアや合成燃料などの製造や貯蔵、廃プラスチックのリサイクルなどに活用できるポテンシャルを有しており、各製油所・事業所の特性に合わせた取り組みを検討しています。

(イ)燃料油事業の海外展開

 アジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、海外での燃料油事業を推進していきます。ニソン製油所については、安定操業を継続し、コスト適正化により引き続き収益改善に取り組みます。また、これまで培った知見を活用し、脱炭素関連商材の調達にも取り組みます。

(ウ)特約販売店ネットワークの基盤強化

 特約販売店のネットワークは、燃料油、ガス等の、地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約販売店の収益力強化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。当社の最大の「資産」である特約販売店とのネットワークは、2021年4月より展開を開始したSS新ブランドapollostationを通じて、スマートよろずやを展開し、それぞれのまちの人と豊かなくらしをサポートしていきます。具体的には、人と「多様なエネルギー」をつなぐエネルギーよろずや、人と「これからの移動」をつなぐモビリティよろずやを柱に、地域の暮らしを支える生活支援基地へと進化していきます。

 また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。

 イ.基礎化学品セグメント

 国内事業の収益基盤の安定・拡大を促進するため、徹底した効率化によるコスト低減を図るとともに、燃料油事業や千葉・徳山コンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化による競争力強化を図ります。具体策として、2022年度に稼働を開始した愛知事業所パラキシレン製造装置により、余剰ガソリン基材の活用によるケミカルシフトを更に推進していきます。また、オフサイトファシリティの合理化により、輸送効率の向上を図ります。このほか、DXの導入などによる保安の高度化や保全工事仕様の最適化を進め、設備の信頼性向上とコスト競争力強化の両立に取り組みます。

2050年CN実現に向けては、「バイオ原料化によるバイオ化学品の供給」と「資源循環システムの確立」を推進します。バイオ化学品については、バイオエタノールを活用したバイオ化学品の生産について、SAF事業と検討を進めて行く予定です。資源循環システムの確立については、使用済みプラスチックのリサイクル事業を進めていきます。また、CN化を推進する上で、製油所・事業所の既存設備を活用するだけではなく、グループ企業の㈱プライムポリマー、PSジャパン㈱を含めた化学品のバリューチェーン全体で変革を推進します。

 ウ.高機能材セグメント

(ア)潤滑油事業

 お客様が抱えている課題やニーズに沿った商品開発・提案を推進します。特にカーボンニュートラルの取り組み進展により、需要が拡大しているEVに適合する製品や、省エネ・省資源に資する製品の上市、拡販に取り組みます。

 海外においては出光ブランドモーターオイル「IBMO(Idemitsu Brand Motor Oil※)シリーズ」の展開により、出光ブランドの強化を図り、更なる収益拡大を目指します。

※Idemitsu Brand Motor Oil:海外において展開されている出光ブランドのエンジンオイル。

(イ)機能化学品事業

 技術・商品の優位性が重要視される分野に経営資源を集約し、成長拡大を図ります。エンプラ・コンパウンド事業に注力、次世代モビリティ、高速通信分野のニーズに対応する開発を加速、また、電動・電化、ICTを成長領域とし、分子設計、配合技術を駆使、機能材料事業の用途開発を推進します。CNXセンター構想と連携、カーボンニュートラルにも取組み、次期中期で掲げた事業構造改革を着実に実行していきます。

(ウ)電子材料事業

 有機ELディスプレイはスマートフォンやテレビといった既存用途に加え、今後ノートパソコンやタブレット端末への適用増加が期待されており、有機EL材料市場は成長が見込まれます。有機EL材料の需要増加に対応するため、日本・韓国・中国の三つの製造拠点による材料の安定製造・供給体制を維持しつつ、競争力強化に向けた体制最適化に取り組みます。また、新たに設置する韓国拠点を活用し、韓国グローバル企業との連携強化と顧客ニーズを的確に捉えた高性能材料の研究開発を推進します。

(エ)高機能アスファルト事業

2023年度は、国土交通省が打ち出した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の3年目であり、継続して国内の道路舗装需要は堅調に推移するものと予測されます。顧客、社会のニーズに基づき道路ネットワークの安心安全とカーボンニュートラルの実現に向けた製品・技術開発を推進するとともに、インフラ公共資材としての安定供給に努めていきます。また、海外事業においては、特にアジア新興国における高速道路の延長計画等のインフラ整備は依然旺盛であり、道路舗装資材の需要は今後も拡大することが予測されます。国内で培った高機能アスファルトの展開を通して各国の社会インフラ構築に貢献していきます。

(オ)農薬・機能性飼料事業

 出光興産アグリバイオ事業部の㈱エス・ディー・エス バイオテックへの統合を完了し、出光グループのユニークな新企業体として、農薬及び機能性飼料事業に対して更なるシナジーの発揮を実現していきます。

(カ)全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)向け固体電解質

 全固体電池は、主にEVの航続距離拡大、充電時間の短縮、安全性向上といった性能ニーズに応える技術として実用化と普及拡大が期待されています。そのキーマテリアルである固体電解質について、当社は自動車・電池メーカー等のお客様と連携することで開発を加速し、更なる材料性能及びコスト競争力の向上に努めます。また、量産化に向けては小型実証設備の第1プラント(2021年11月稼働)及び第2プラント(2023年度稼働開始予定)に加え、NEDO「グリーンイノベーション基金事業 次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトに採択された大型パイロット装置建設の準備推進を通して量産技術の確立につとめ、世界に先駆けた固体電解質の早期事業化を推進します。

 エ.電力・再生可能エネルギーセグメント

 国内においては、競争力ある火力電源を始め、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源など、多様なポートフォリオで構成された発電所を活用し、安定的で低炭素に貢献する電力供給を行っています。また、これまで培った太陽電池事業におけるノウハウを活かし、将来的に大量廃棄が見込まれるパネルのリサイクル・リパワリングなど循環型社会への対応も進めています。更に、今後進展する分散型社会に向けて、再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせた需給調整ビジネスにも取り組みます。海外においても脱炭素の潮流は国内と同様であり、北米や東南アジアにおける太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業を展開しています。加えて、北米におけるガス火力発電事業にも取り組んでいます。

 オ.資源セグメント

 ロシア・ウクライナ問題によりエネルギーセキュリティの強化が求められる中で、継続して安定供給を行うために、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については、環境負荷低減を図るため、石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造開始や高効率燃焼技術の提案とともに、オーストラリアでの現地事業基盤を活用した新規事業に取り組みます。また、地熱開発については、大分県での地熱事業の維持・継続と秋田県での新規発電所建設を着実に行うとともに、新規事業の調査・実証を進めます。

②財務上の課題

2030年の基本方針の実現に向け中期的に事業構造の改革を着実に推進するため、キャッシュ・フローの配分を適切に実施するとともに財務基盤の維持・改善に努めます。

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