冨士ダイス
【東証プライム:6167】「機械」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念とし、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人、そういう幸せな人を育て、真に人間が働く喜びを味わえる企業経営を行うことを、経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、安定的な成長を目指すため収益性を意識した経営が重要との観点から「売上高経常利益率」を重視しており、また資本効率を高め企業価値の向上を図る観点から「ROE(自己資本当期純利益率)」を重視しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き緩やかに回復しているものの、ウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、中東での紛争の発生や中国経済の停滞、米国新政権の関税政策の変更や、株価、為替の乱高下等の影響を受け、依然として先行き不透明な状況が続いております。
中長期的には、当社グループの主要顧客が関連する自動車産業において電動化への流れは一時的に減速しているもののCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)への流れが着実に進んでおり、当社グループとしてもその変化への対応として次世代自動車への対応・拡販を成長戦略とし、対応を進めております。
また生成AIをはじめとしたAIの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等により当社グループが関連する半導体等の市場は世界的に拡大が続くものと考えられます。
社会的な環境としましては持続可能で強靱な社会の構築のため「脱炭素社会」、「循環型社会」の形成が強く求められており、企業においても持続的な成長のためその実現に向けた責任ある取り組みが求められております。
日本を取り巻く環境としては少子高齢化・人口減少による市場縮小や人財確保の競争激化、コロナ禍を契機とした事業構造・生活様式の変化、デジタル化の一層の推進など様々な変化が予測されております。
このような変化の激しい環境のもと顧客と社会の期待に応え成長し続けるため「変化に対応できる企業体質への転換」を中期方針とした2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しました。この中期方針のもと国内事業は成長の基盤(安定的に成長)とし、成長を牽引するのは海外事業、将来の成長基盤の育成として新事業の実現という方向性を定め、1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立を成長戦略として持続的に取り組んでおります。
1.経営基盤の強化
当社グループは様々な環境・社会課題の解決と事業の持続的な成長の両立を実現するため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の活動を通じてサステナビリティ方針に基づくマテリアリティへの取り組みを進めており、エネルギー関連向け新製品の開発や超硬工具・金型のリサイクルについての活動を強化しております。
ガバナンスの強化として、2025年1月1日付で品質保証本部を新設しました。ガバナンス及び品質管理の強化を目的としたグループ横断部署を新設することで、安全で安定した生産体制を堅持し、高品質な製品づくりで企業価値の向上を目指します。
人的資本の強化の取り組みとしては、社員エンゲージメントの向上のため新たな福利厚生制度を導入しました。またEラーニングのプログラムを拡充し、社員が自己研鑽できる環境を整備しました。
情報基盤の整備として基幹システムを刷新し、紙での管理からデータ管理に変えてデジタル化を進めるとともに検索性の向上等によるデータの利活用を進めております。
ブランドイメージの社外浸透やインナーブランディングの強化のためのコーポレートブランディングにも着手し、経営基盤の強化に努めております。
2.生産性向上・業務効率化
生産性向上・業務効率化としては国内生産部門にて前中期経営計画より生産効率改革活動として取り組みを続けており、前中期経営計画ではフェーズ1としては生産管理の強化と現場改善等を組み合わせて生産性向上に取り組んでまいりました。本中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)においては多品種少量の生産工程におけるロボットの導入等による自動化、省人化を進めてまいります。
2025年3月期はモデル工場である郡山製造所の研削加工作業に自動化ロボットを導入・本格稼働させました。
ロボット導入による無人加工により産出量が10%向上しております。更に、2024年10月末には郡山製造所の冶金工程の自動化ロボットの対応製品範囲を広げる改修を実施しました。
熊本製造所の冶金工程にCAD・CAMを駆使したNC加工機による自動加工ラインを導入し平面加工における手作業から自動加工に約60%移管しております。また材料費のコストダウンを進めるため、部品取りを最適化するCAD・CAMの自動ネスティングを2026年3月期からの導入に向けてテストをしております。
3.海外事業の飛躍
海外事業につきましては本中期経営計画期間(2025年3月期-2027年3月期)に海外売上高比率25%以上(2027年3月期)を目指し、売上高拡大による成長を積極的に目指してまいります。
中国では当社は2024年3月に東莞に新規開設した営業拠点を足掛かりに、展示会に出展するなど、知名度向上の取り組みを行うとともに、商材を拡充したことで新規顧客の獲得に成功し、販売を拡大しています。今後はEV関連メーカーへの新規拡販を強化してまいります。
アセアンではタイ・インドネシアの生産拠点にて日本からの技術指導等により工場の生産性が向上しております。タイは日本と同等な高精度品を製造することができるようになっており、インドネシアでは対応製品の幅が広がり、現地企業との取引が拡大しております。
インドにおいては、輸出ベースでの出荷額が増加傾向にあります。知名度向上と潜在需要獲得を目的に、2025年1月に展示会に初めて出展しました。2027年3月期までの営業再開を目指して、2025年の夏頃を目途に再開プロジェクトを立ち上げる予定です。
北米においては、シカゴで開催された展示会に初めて出展するなど市場調査を進めております。
4.脱炭素・循環型社会への貢献
当社グループは環境・社会の課題解決を事業機会と捉え、脱炭素・循環型社会の形成に貢献する製品を積極的に開発、市場投入してまいります。
従来から取り組んでいる次世代自動車関連製品にも引き続き注力しており、車載用モーターコアの金型に適した材種のラインナップ拡充や、車載用電池缶向けの金型の拡販に向けた取り組みを進めております。
また次世代エネルギー分野に向けて、当社の強みである粉末冶金技術を活かした触媒や電極の開発も進めております。その一つとして2024年11月にJIMTOFという工作機械の大きな展示会で、エネルギー関連での新製品「グリーン水素の製造装置向け電極」を発表しました。
循環型社会への貢献としては、省タングステン・コバルト合金の開発、拡販による希少な金属の使用量低減を図るとともに、超硬工具・金型のリサイクルについても活動を強化してまいります。
5.新事業の確立
当社グループは「既存事業」と「新規事業」が独立しながら両輪で走ることが企業価値の向上に繋がるとの観点から、新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築するため組織を2024年7月に発足させました。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組んでまいります。 また新規事業の早期実現に向けて、M&Aや業務提携の検討についても積極的に進めてまいります。
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