企業兼大株主兼松東証プライム:8020】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) 経営方針

 常に時代を先取りし、果敢に新たな事業へと挑戦し続ける創業以来の開拓者精神と積極的な創意工夫を行う姿勢は、当社グループの行動指針となっております。お取引先との信頼関係を深め、事業を創造し、社会に価値ある企業となるため、当社グループの企業理念として掲げる、当社創業者である兼松房治郎による創業主意ならびに「われらの信条」(1967年制定)を経営の基本理念としております。

 創業主意 「わが国の福利を増進するの分子を播種栽培す」

「われらの信条」

・伝統的開拓者精神と積極的創意工夫をもって業務にあたり、適正利潤を確保し、企業の発展を図る。

・会社の健全なる繁栄を通じて、企業の社会的責任を果し、従業員の福祉を増進する。

・組織とルールに基づいて行動するとともに、会社を愛する精神と、社内相互の人間理解を基本として、業務を遂行する。

(2) 経営環境および対処すべき課題

 当社グループは、2025年3月期から中期経営計画「integration 1.0」(2024年4月~2027年3月)を新たにスタートし、より一層の企業の成長を実現するとともに、当社グループを取り巻く経営環境における課題の解決を積極的に推進しております。

 具体的には、少子高齢化や2024年問題に起因した「労働力不足」、ESG・SDGsなどの倫理・環境に対する社会的な要請による「持続可能性への対応」、目まぐるしく変化する時代において変化を機微に捉え迅速に対応するための「経営のスピード化」、以上の3つの課題を解決していくことを起点に、目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を掲げております。

(基本方針および当連結会計年度末における進捗状況)

 中期経営計画「integration 1.0」においては、以下の6つの基本方針を掲げ、着実に推進することにより、当社グループのすべてのステークホルダーに対する価値向上の実現とともに、中長期的な株主価値向上を実現いたします。

① グループ一体経営の推進

 当社グループは、人材・知識・取引先などの経営資源を当社グループ全体で共有し、シナジーを最大限に発揮することを目指しております。2023年10月に新設した社長直轄の組織「グループ成長戦略推進室」が中心となり、当社グループの取引先ネットワークに対して、当社グループ各社の強みのある事業を横断的に展開しております。当連結会計年度においては、同室を中心に、主要取引先に対してクロスセルを実施し、複数の企業との間で新たな取引を実現しました。今後も、グループ一体となり、新規案件を創出する活動を推進して参ります。

② 提供価値の拡充

「DX」「GX」「イノベーション」の提供価値を重点的に強化することを目指しております。3つの提供価値を通して、現在そして未来に経済・社会が求めるニーズに応えて参ります。当連結会計年度における主な実績は、次のとおりであります。

・DXの提供価値拡充としては、「日本サイバーセキュリティファンド1号(NCSF)」をパートナーと共同で設立いたしました。日本国内におけるサイバーセキュリティ分野の技術革新と産業基盤の強化を目指しており、業界全体の発展と社会課題の解決の両立を目指したプラットフォームとして機能しております。

・GXの提供価値拡充としては、再生可能エネルギーや食品・農業分野を中心に具体的な案件化が進みました。

・イノベーションの提供価値の拡充としては、宇宙やモビリティ、素材などに関する先進技術を軸とした新規事業を推進しております。

③ 新たな価値創出に向けた組織能力の強化

 当社グループにおいては、経営資源である人材の連携を強化しており、知見とネットワークの共有が深まっております。

 当連結会計年度においては、各事業セグメントと兼松エレクトロニクス㈱との人材交流に加え、主要グループ会社の人材がグループ成長戦略推進室に参画してグループの知見を有効活用する体制を強化いたしました。

④ 人的資本の強化

 中期経営計画「integration 1.0」で目指す姿の実現に向け、経営戦略と人材戦略の連動に取り組んでおります。当連結会計年度においては、人的資本委員会を新設し、新たな価値創出を支える人材ポートフォリオの構築に着手いたしました。

 また、従業員の健康を保持・増進する活動を促進し、健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において、「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」の認定を受けました。

⑤ 経営機能の強化

ICTソリューション事業を各部門へ浸透し、一体化することを目的に組織を再編し、ICTソリューション部門を新設いたしました。

 この組織再編に伴い、当連結会計年度より、「電子・デバイス」セグメントに含まれていたICTソリューション事業を「ICTソリューション」セグメントとして新たに区分いたしました。

 また、「鉄鋼・素材・プラント」セグメントに含んでおりました工作機械・産業機械事業を「車両・航空」セグメントに区分し、「電子・デバイス」セグメントおよび「その他」に含んでおりました兼松サステック㈱の事業を「鉄鋼・素材・プラント」セグメントの環境関連事業として区分いたしました。

⑥ 中長期的な株主価値の向上

 株主価値の向上の実現に向け、「資本収益性・効率性の向上」「資本コストの低減」「期待利益成長率の向上」に取り組んでおります。当連結会計年度においては、投下資本利益率(ROIC)管理の強化や政策保有株式(注)の縮減に取り組みました。政策保有株式の縮減については、2027年3月末までの中期経営計画期間において連結資本合計に対する政策保有株式の保有比率を2024年3月末の13.9%から10%以下とする目標に対し、当連結会計年度末における保有比率は8.9%となり、2年前倒しで目標を達成いたしました。

(注)有価証券報告書における「保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式」の「貸借対照表計上額の合計額」からイノベーション投資目的の株式およびPT.CISARUA MOUNTAIN DAIRY TBKのような海外戦略事業パートナーへの投資を除いたものを「政策保有株式」と呼称しております。

(定量目標)

 中期経営計画「integration 1.0」における定量目標は次のとおりであり、中長期的な株主価値向上の実現へ取り組んでおります。

 

「integration 1.0」

最終年度

(2027年3月期)目標

2025年3月期実績

連結当期利益(注)

350億円

274億円

ROE

16%~18%程度

16.5%

ROIC

8%以上

7.6%

ネットDER

1.0倍程度

0.69倍

(注)連結当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益を億円未満を切り捨てて表示しております。

(資本配分方針)

 安定的な基盤事業と成長事業からの営業キャッシュ・フローを基に、更なる株主還元と成長投資を実行して参ります。

 キャッシュ・インは、中期経営計画「integration 1.0」の3年累計で、(調整後)営業キャッシュ・フロー(会計上の営業キャッシュ・フロー ± 運転資本増減 - リース負債の返済)1,100億円と資産入れ替えによる調達100億円に対して、キャッシュ・アウトとしては、累進配当による株主還元へ約270億円、ICTソリューションを中心とするDX関連へ約400億円、強みを有する事業分野などへ(GX含む)約200億円、基盤事業の持続的運営と発展へ約330億円を配分する方針としております。

(今後の見通し)

 翌連結会計年度においては、米国の関税政策、それを受けた世界各国・地域の対応の不確実性などにより、先行き不透明な情勢が続くと見込まれます。日本経済は、インバウンド需要など内需は引き続き堅調を維持すると見込まれる一方で、先行き不透明な海外経済の減速が下押し圧力となる懸念もあり、景気の回復は緩やかなものに留まる見込みです。

2026年3月期の業績見通しについては、収益1兆1,000億円、営業活動に係る利益500億円、税引前利益460億円、親会社の所有者に帰属する当期利益300億円を見込んでおります。

 

2025年3月期実績

2026年3月期見通し

連結当期利益(注)

274億円

300億円

配当性向(総還元性向)

31.9%

32.0%

(注)連結当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益を億円未満を切り捨てて表示しております。

 セグメントの業績見通しおよび成長戦略は、次のとおりであります。

ICTソリューション

 事業拡大や競争力強化を目的としたDXや重要性の高まるサイバーセキュリティ強化など、半導体関連を中心とした企業のデジタル投資需要は旺盛で、引き続き好調に推移する一方で、人的資本の強化を目的とした人件費などのコスト負担を見込むことから、収益は1,050億円、営業活動に係る利益は150億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は105億円を見込んでおります。

 技術革新とビジネスニーズの変化が速いビジネス環境の中で、兼松エレクトロニクス㈱を中心に、成長市場の動向を把握するとともに適切なソリューションを導入することで事業を拡大させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・強固な顧客基盤と技術力に裏打ちされたマルチベンダーとしての強みを活かした、ITインフラ基盤の設計、構築から保守、運用まで一貫したサービスをワンストップで提供。

・「セキュリティ」を中心とした当社グループ独自の「as a Service」を提供するサービスビジネスの更なる拡販。

・当社グループの幅広い業種・業態の顧客基盤に対するクロスセルと顧客課題に応じたソリューションの提供。

電子・デバイス

 モバイル事業は販路拡大や販売台数の回復により堅調なことに加え、電子機器・電子材料事業におけるのれんの減損損失の一過性要因の剥落により、収益は2,750億円、営業活動に係る利益は137億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は89億円を見込んでおります。

 業界再編や法改正による販売体制の変化などの影響を受けるモバイル事業や、高い性能を備えた製品とグローバルな市場展開が求められる半導体部品・製造装置事業などは、複数の要因を受けやすいビジネス環境の中で、高度な技術革新の追求に加え、製品販売のみならずソリューション提供へ発展させることにより事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・全国販売ネットワークを活用し、モバイル関連商品の販売から管理、運用、回収までのトータルサービスを提供するとともに、SaaSなどのリカリングサービス、次世代半導体・次世代電池用の材料提案など、幅広いサービスの展開とソリューション提供。

・半導体装置や半導体製品、電子部品・素材、プリンター、バッテリーなどを含むエレクトロニクス産業全般において、革新的なソリューションと高度な技術力を組み合わせたグローバルな事業展開。

食料

 食糧事業は大豆などの取引が堅調なことに加え、飲料原料を中心に販売が堅調に推移した食品事業も引き続き堅調に推移する一方で、海外市況高や円安によるコスト増加、国内市況の低迷の影響を受けた畜産事業の反動により、収益は3,850億円、営業活動に係る利益は81億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は35億円を見込んでおります。

 食品事業は、消費者の人口動態やライフスタイル、健康志向などの価値観の変化、オンライン販売の拡大など、市場ニーズが多様化し、また、海外市場の成長を見込むビジネス環境にあり、マーケットインによるグローバルなアプローチで成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・「食の安全・安心」をテーマに、メーカーの視点で原料の調達から製品加工までの一貫供給体制を構築。

・農産物、水産物、コーヒー、飲料・酒類、調理食品など幅広い商品ラインナップで市場の多様なニーズに対応。

・顧客のニーズを先取りした市場性の高い原料や製品の開発推進や、市場が拡大するインドネシアなどアジア諸国におけるバリューチェーンの横展開を通じたビジネス拡大。

 畜産事業は、安定供給を目的とした海外サプライヤーの確保および特にアジアを中心とした海外市場の成長を背景に、国内外のビジネスパートナーとの信頼関係の維持・深化により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・原料から畜産加工品まで幅広い商品群を取り扱い、加工・物流機能を組み合わせ、顧客ニーズに合った付加価値の高い商品とソリューションの提案。

・商品の安定確保を目的とした、国内外のパートナー企業との提携・出資によるバリューチェーン(生産・加工・物流・販売)の横展開と強化。

 食糧事業は、年々、世界的な穀物需要は増大する一方、天候リスクや地政学的リスクなどにより安定供給へのリスクが高まっております。これらの課題を機会と捉え、供給においては、産地の多様化、持続的な生産体制の構築、生産性向上のためのデジタル化などを進めて参ります。需要においては、日本市場に加えて中国・アセアン市場への参入を進めて参ります。

 また、持続的生産体制の構築において、魚粉・魚油などの水産養殖原料については、近年、特に資源管理や環境負荷に配慮した原料の供給が求められており、各種認証プログラムへの参画を含め供給体制の強化に力を入れております。

鉄鋼・素材・プラント

 市況の影響を受ける鋼管事業やエネルギー事業により、収益は2,000億円、営業活動に係る利益は75億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は38億円を見込んでおります。

GXに代表される世界的な環境問題への意識の高まりの影響を受けるビジネス環境にあり、顧客の「脱炭素」への様々な支援により事業を成長させて参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・社会インフラを支える部門として、幅広い分野において高い専門知識を備えた人材による、GXを中心としたバリューチェーンへのソリューションの提供。

・サーキュラーエコノミーの実現に向けた持続可能な原料・素材や環境配慮商品の取扱い。

車両・航空

 航空宇宙事業は、航空業界や宇宙・防衛産業の需要の増加を見込んでおります。車両・車載部品事業は、部品需要が堅調に推移する見通しで、工作機械・産業機械事業では、自動車向け工作機械や産業機械の需要に一定の回復が見られます。これらにより、収益は1,300億円、営業活動に係る利益は58億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は34億円を見込んでおります。

 次世代モビリティや空飛ぶクルマ、ドローンの普及、モビリティ関連製品全般の軽量化や電動化などの技術革新による脱炭素化の動きも加速するビジネス環境にあり、新たなモビリティ事業の創造で事業を成長させて参ります。また、民間宇宙産業の勃興に伴い、地球低軌道を利用した商用宇宙ステーションの事業開発などにも取り組んで参ります。具体的な戦略は、次のとおりであります。

・「環境」「安全」「快適」をテーマにし、次世代モビリティや素材、宇宙、データビジネスなどの領域で事業創造を推進。

・幅広い製品ラインナップと様々な機械関連サービス、さらに環境ビジネスから海外進出支援までをカバーし、顧客の多様なニーズにお応えするエンジニアリング・ソリューションの提供。

(業績見通し算定にあたっての前提条件)

・為替レート : 1米ドル=150円

・金利水準  : 円金利:上昇を見込む    外貨金利:下落を見込む

(注意事項)

 上記の見通しなどの将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

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