企業兼大株主共英製鋼東証プライム:5440】「鉄鋼 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は以下のとおりです。

 なお、文中における将来の事項については、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において判断したものです。

 当社グループは、鉄鋼事業を中核とした資源循環型事業を通じて社会と共生し、日本経済と地域社会の発展に貢献することを経営理念に定めています。この理念の実現を目指し、安全とコンプライアンスを徹底する経営風土を作り出すこと、進取と変革に挑戦する企業風土を醸成すること、メーカーの原点である現場重視の経営体制を構築することを行動指針とし、グループ一丸となって取り組んでいます。

 中期経営計画「NeXuS 2023」について

 当社グループは、2021年4月、2023年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「NeXuS 2023」を策定・公表しました。

(1) 環境認識

 新型コロナウイルスの世界的な蔓延が社会経済に多大な影響を与え、従来の社会構造や価値観を大きく変容させつつあります。国内外で「持続可能な開発目標(SDGs)」への取り組みが急務であるとの意識が高まり、カーボンニュートラル社会、資源循環型社会の実現に向けた企業行動が強く求められるようになりました。また、海外に依存するサプライチェーンの脆弱性の顕在化により「地産地消ビジネス」への注目が高まっています。同時に、従来の株主重視の経営から従業員や地域社会など多様なステークホルダーとの関係を重視し、企業活動を通じこれらへの貢献を目指すというステークホルダー資本主義の考え方も普及してきています。さらには、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速化しています。

 事業環境については、世界の鉄鋼需要は、新興国のインフラ投資による建設需要拡大などにより、今後とも高水準での推移が予想されています。一方、わが国の鉄鋼需要は、人口減少による住宅投資や自動車生産の減少によって、中長期的に縮小に向かうと予想されています。

(2) 本中期経営計画策定にあたっての基本的考え方

 当社は創業以来「鉄づくりを通じて社会に貢献する」ことを基本理念として、業容を拡大してきました。当社グループの中核である電炉事業は、鉄スクラップを再び製品として社会に送り出す資源循環型事業であり、持続可能な社会の実現に貢献しうる存在です。当社は「100年企業」に向け、創業の精神である“Spirit of Challenge”という経営理念の下、「世界のインフラづくりや地球の環境保全に貢献する企業」「すべてのステークホルダーに貢献する企業」「安全で働きやすい職場づくりを進める企業」「コンプライアンスや品質を重視する信頼性の高い企業」をありたい姿とし、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」を目指します。

 この目標に向かって、2021年4月、中期経営計画「NeXuS 2023」(以下「本中期経営計画」といいます。)を策定しました。本中期経営計画のスローガンとして「地球と共存 世界へ未来へつながる共英製鋼グループ」を掲げます。

 本中期経営計画のタイトルに用いている英単語“nexus”は、「つながり・連携」という意であり、次の3つの意味を持たせています。

・「グループ内をつなぐ力」▶ グループ総合力の強化

・「外部とつなぐ力」   ▶ 外部との連携強化

・「次代につなぐ力」   ▶ 見えざる価値の向上

1つ目は、国内外の拠点間、各拠点と本社などがより一層連携し、グループ総合力を強化する「グループ内をつなぐ力」、2つ目は、他社との連携や共同研究、産学連携により技術の飛躍を目指す「外部とつなぐ力」、3つ目は、「100年企業」実現のため、企業イメージやブランド、社員の意識、組織風土など企業の「見えざる価値」を向上させる「次代につなぐ力」です。この3つの力の強化を目指します。

(3) 本中期経営計画における定量目標

・本中期経営計画の最終年度である2023年度の定量目標・KPI(重要業績評価指標)は次のとおりです。

 

 

 

 

 連結売上高

 2,900億円

 

 連結経常利益

 180億円

 

 出荷量

 400万トン(国内170万トン・海外230万トン)

 

 ROE

 7%以上

 

 ROS

 6%以上

 

 自己資本比率

 50%以上

 

 ネットDEレシオ

 0.25倍以下

 

 配当性向

 30%程度(1株当たり下限配当額30円)

・設備投資・事業投資額については、維持更新投資のほか、増産・増販や新規事業開拓に向けての戦略投資、CO2排出量削減に向けた環境投資などを中心に、2021年度から2023年度の3年間で600億円を計画しています。

・CO2排出量について、国内生産拠点(当社および関東スチール株式会社)において、2030年度に2013年度対比50%削減することを目標とします。

(4) 重点方針

 前中期経営計画の成果や外部環境等を踏まえ、本中期経営計画の重点方針を次のとおりとしています。

<事業の成長に向けた取り組み>

①海外鉄鋼事業の収益力強化と成長拡大の準備

 海外鉄鋼事業の収益力強化は喫緊の課題です。国内との連携強化による技術水準の向上、設備改善等により、コスト削減、生産性の向上を進め、ベトナム・北米両エリアで安定的収益を確保するとともに、設備能力増強等により、出荷量230万トン体制の構築を目指します。その上で、グローカル・ニッチ戦略の下、将来の規模拡大に向けた準備を行います。

②国内鉄鋼事業の競争力強化と将来を見据えた設備更新

 引き続き、コスト削減や営業力向上など競争力強化に努めるとともに、当社グループの中核である国内鉄鋼事業の将来にわたる業容維持に向けて、国内各拠点の老朽化対応や生産性向上のための大規模設備投資の検討を進めます。また、各拠点で省力化(省エネ化)や省人化のための設備を充実し、さらなる安全・安定操業を図り、出荷量170万トン体制を維持します。

③環境リサイクル事業および鉄鋼周辺事業の収益機会拡大

 環境リサイクル事業については、電気炉による溶融処理は鉄鋼生産量の制約を受けるため、廃棄物処理能力の拡大は従来からの課題です。環境面に配慮した処理施設の建設やM&A等により、処理能力の拡大を図ります。一方で、信頼性の高い電気炉溶融処理の強みを活かし、今後の処理ニーズの高まりが予想される車載リチウムイオン電池や炭素繊維、社会問題となっているアスベストなど難処理廃棄物の処理を強化し、引き続き質の高いサービスを提供します。また、資源リサイクル技術の開発にも注力し、「真のリサイクル企業の実現」を目指します。

 鉄鋼周辺事業については、事業領域の拡大を目指し、顧客ニーズを捉えた加工品事業や鋳物事業の積極展開、新製品の開発など事業の多角化を進めます。

<ESGの取り組み・成長を支える基盤強化>

④カーボンニュートラル社会・資源循環型社会の実現に向けた取り組み強化

「2050年のCO2排出量実質ゼロ」に向け、2030年度に国内生産拠点(当社および関東スチール株式会社)のCO2排出量を2013年度対比50%削減します。具体的方策としては、製造過程におけるエネルギー原単位の削減や燃料転換に取り組みます。

 併せて、太陽光パネル設置の拡充、緑化事業の具体化、再生可能エネルギー利用の検討など、CO2削減への取り組みを強化します。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿った情報開示を行います。

 加えて、鉄鋼副産物のさらなる有効利用や完全リサイクルにも取り組みます。

⑤すべてのステークホルダーに貢献する取り組み強化

 従業員・顧客・取引先・地域社会・株主といったすべての関係者に対し貢献する取り組みを行います。特に、企業活動、成長の源泉となる従業員に向けては、より安全で働きやすい職場環境づくりや健康増進・福利厚生向上を目指した「健康経営」に取り組みます。さらに、従業員の能力強化・人材開発を目的として、引き続き多様な人材の採用や教育・研修制度の充実を図るとともに、女性も活躍しやすい職場環境の構築や障がい者雇用の拡充にも取り組みます。

 顧客や取引先に向けては、品質管理体制の強化、コンプライアンスの徹底を図り、信頼関係をより強固にしていきます。

 地域社会に向けては、引き続き周辺環境への配慮とともに、寄付などによる地域社会活動への支援により、各拠点が立地する地域で信頼される企業を目指します。

 株主・投資家に向けては、非財務情報を含めた情報開示の充実、積極的な対話に努めます。

⑥経営基盤の強化

 事業の成長に向けた取り組みを支える経営基盤の強化をさらに進めます。

 社債発行等による資金調達の多様化、財務規律の堅持により財務基盤を強化します。また、グループ会社の経営管理体制を強化し、グループ全体でコンプライアンス教育の充実を図ります。情報セキュリティ体制およびIT監査の強化にも取り組みます。

 加えて、前中期経営計画期間にスタートした営業業務改革システムの完成、ペーパーレス化や定例業務のRPA化、生産現場へのAI・IoT導入によるスマートファクトリー化など、デジタル化を推進します。

(5) 優先的に対処すべき課題

 上記のとおり、当社グループは、本中期計画の下で企業価値の向上に努めていますが、昨今の世界的なカーボンニュートラルへの流れによって鉄スクラップ価格が高止まりする中、電力費をはじめとした製造コストの上昇は避けられません。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米中対立の深刻化など、世界経済の先行きが不透明な中、また、世界的に金融引き締め政策が続く中で、特にベトナムの不動産市況や建設需要の回復には、しばらく時間を要する見通しです。このような状況下、南北全拠点において量より質の営業方針で低在庫操業に努めるとともに、生産工程の徹底的な見直しによるコスト削減を図りながら、ベトナム鉄鋼事業の立て直しに注力してまいります。

 地政学的リスクが複雑化する中、当社グループは、日本・ベトナム・北米で展開する「世界3極体制」をさらに進化させ、一国にビジネスを集中するのではなく、複数の国や地域で事業を展開する「グローカル・ニッチ戦略」の下、各拠点を互いに補完させながら、世界の政治経済情勢の変化に機動的に対応し、成長してまいります。

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