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【東証スタンダード:5845】「その他金融業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
企業理念である「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」を実現すべく、先進性を追求し、変革する未来を乗り越え続けるリーディングカンパニーであり続けます。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社を取り巻く環境は日々変化を続けております。家賃債務保証業界が立脚する賃貸不動産市場の現況を見てみますと、国内総人口は顕著な減少傾向にあるものの、単身世帯数(特に高齢者)や外国人労働者世帯数等の増加、さらに平均賃料の上昇等により、その市場規模は緩やかに拡大していくものと考えられております。
一方で、家賃債務保証業界においては競争が激化する状況が続いており、このような状況を踏まえますと、賃借人・賃貸人・不動産会社による家賃債務保証事業者の選別が今後更に進むことが想定されます。当社においては、こうした経営環境で生き残るべく、住宅確保要配慮者への円滑な保証やデジタル社会への対応といった課題を克服することで、契約件数・単価の増加、審査・債権管理の高度化、業務の効率化等を通じた収益性の向上を図ってまいります。
また、2025年4月4日に成立しました三菱UFJニコス株式会社による公開買付けにより、当社は株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの一員となりました。それによりブランド力を向上させるとともに、リーディングカンパニーとしてのプレゼンスを確固たるものとすることができると考えております。
(3) 長期経営計画(目指すべき経営指標と戦略)
当社は三菱UFJニコス株式会社による当社株式の公開買付け成立に伴い、2025年4月に同社の親会社であり日本最大級の金融機関である株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社となりました。また、三菱UFJニコス株式会社および株式会社三菱UFJ銀行と資本業務提携契約を締結し、上場企業としての独立性を維持しつつ企業価値向上を図っていくこととなりました。
こうした背景から、当社は2025年5月に新たな長期経営計画(2026年3月期-2030年3月期)を策定・公表いたしました。
その中で、以下を課題として捉え、対応策を定めております。
(長期経営計画概要)
| 2025年3月期 実績 | 2030年3月期 計画 |
売上高 | 256億円 | 345億円 |
営業利益 | 25億円 | 53億円 |
時価総額 | 253億円 | 600億円(注1) |
ROE | 22% | 25% |
PBR | 3倍 | 4倍 |
(注)1 PERは東証スタンダード市場その他金融業の2025年3月平均値(16.1倍)を使用
① 市場動向
家賃債務保証業界が立脚する賃貸住宅市場は着実な成長が見込まれるものの、人口減少等の背景もあり、成長率は必ずしも高いとは言えません。また、国内経済の状況は必ずしも悪くありませんが、個人再生・破産や企業倒産件数が増加傾向にあり、国際的な経済摩擦による混乱と相俟って、当社の主力顧客である個人の入居者にとっては逆風の環境であると認識しております。このため、家賃滞納の増加に留意する必要があると考えております。
こうした環境下、当社としては無理な売上増加を求めず、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であるという圧倒的な信用力を背景に、ダンピング競争とは一線を画して低採算先の取引解消を進めるとともに、AI審査を活用した審査高度化および回収高度化により、信用コスト低減に努め、持続的な企業価値向上を目指すことを基本方針としております。
②収益力の向上
当社では上記背景から以下の戦略を定めており、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループと連携して新商品を開発・投入することで、効率的・効果的に収益力を向上させる方針です。
・地銀戦略:地方銀行が有する強固な営業基盤を活用し、当社の拠点がない地域での効率的なシェア拡大を目指します。このため、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループのグループ企業より親密地方銀行の紹介を受けて、提携先の拡充を図ってまいります。
・高齢者戦略:国内人口が減少する中、数少ない有望な成長市場としての高齢者との取引を拡大すべく、2024年8月から電力使用量データを活用した見守りサービス「Z-Support Premium」の提供を開始しております。
・事業用戦略:潜在的な巨大市場である事業用家賃債務保証について、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループのグループ企業より取引先の紹介を受けて、顧客基盤の拡充を行ってまいります。
・学費保証戦略:社会的な意義も大きい有望市場を先駆者として開拓してまいります。
③ 新たな価値創造のためのDX戦略の推進
当社では、お客さまへの新たな価値提供とともに業務の効率化および生産性向上のためDXを推進しております。
社内向けDXとしては、データやデジタルをフル活用し、審査・回収・オペレーション等社内業務の効率化や生産性の向上を目指してまいります。またデータに基づき経営戦略等を判断し行動に移すデータドリブンに取組んでまいります。
お客さま向けDXとしては、データやテクノロジーを駆使し、不動産業界のニーズに対応するデジタルサービスを提供し、顧客接点を拡大させ競争力を強化してまいります。最終的には生活において付加価値を提供できる「生活のプラットフォーマー」を目指します。
④ 信用コストの低減
当社は、前述の経済環境に鑑み、信用コスト低減のための審査・回収の高度化に取組んでおります。
審査については、AI審査モデルの活用を進めるとともに、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループと連携して審査モデルの高度化を進めてまいります。
回収については、ツール活用による効率化に加え、弁護士活用によって効果的な回収を行いつつ過度な取り立て行為を行わない体制を構築してまいります。
⑤ コーポレートカルチャーの確立
当社が社会に信頼され、お客さまに選ばれる存在であり続けるためには、社員一人ひとりへの企業理念・行動規範の徹底が重要であると考えております。そのため、マネジメントメッセージの発信、教育研修、社内広報媒体等を通じて企業理念・行動規範の浸透を図っております。
⑥ 人材の確保および育成
今後、当社が持続的成長を実現するためには、それに貢献できる人材の確保および育成を図ることが必要不可欠であると考えております。そのため、当社は継続的に採用活動を行うとともに、公正な人事評価、人材育成体系の充実および社内環境整備を進めていく方針であります。
具体的には、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、人材の多様性を確保しつつ、性別、国籍、採用の時期等に関わらず、その能力や目標達成度に応じ、公平公正な人事評価を行っております。すでに当社では、中途採用者の管理職登用率は高い水準にありますが、今後は、女性管理職の割合を2025年3月末の11.5%から15%に増加させる目標を設定し、女性社員の活躍を一層推進してまいります。また当社では、外国人技術者を採用する試みをすでに始めており、この試みを通じて人材登用の多様化をさらに進めてまいります。
⑦ コーポレート・ガバナンスの充実
事業継続上、当社を取り巻くステークホルダーの皆さまから信頼を獲得することは特に重要であります。そのため、当社はコーポレート・ガバナンスの充実を企業活動の中核と位置づけております。
当社は、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方として、「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」を企業理念とし、豊かな生活の基盤である快適な住まいと安定した暮らしを支える家賃債務保証事業を通じて、社会へ貢献してまいりました。今後も、社会に必要とされ利用者に選ばれる存在であり続けるために、自由で柔軟な発想をもって、新たな価値の提供と未来の創造を実現し、ステークホルダーの皆さまとともに歩んでいくことに挑戦し続けます。
この企業理念を実現するために、以下の行動規範を定めています。
●誠実・信頼
私たちは、社会規範に則り、真心・責任をもって安心・安全を皆さまにお届けできるよう、誠実に行動します。
●品質・価値
私たちは、自由な発想で持続可能な未来標準となる品質、価値の創造を目指し、選ばれ続けるように行動します。
●変化・進化
私たちは、常に一歩先の未来を意識し、変化を恐れず、進化を遂げる好機ととらえ、スピーディーに行動します。
●挑戦・成長
私たちは、これまでの価値観や習慣にとらわれず、未来に向けて挑戦し続けることで成長を遂げ、業界をリードすべく行動します。
●チームワーク
私たちは、社員ひとり一人がお互いを尊重し、より風通しの良い職場を作り、一つのチームとして、さらに高い目標に向かって行動します。
このように、当社社員が行動規範に則った自由闊達な活動を通じて、新たな価値を未来に向けて提供するという当社の企業理念を達成していくためには、様々なステークホルダーの皆さまの立場を尊重し、透明・公正・迅速・果断な意思決定を行うコーポレート・ガバナンスの基本精神を踏まえつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のための活動を進めていくことが極めて重要となります。
したがって、当社は、コーポレート・ガバナンスを企業活動の中核と位置づけ、より実効性の高い充実したガバナンス体制を構築し、これを運用していくことを目指してまいります。
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