佐賀銀行
【東証プライム:8395】「銀行業」
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企業概要
以下の内容は、当行グループの主体であります提出会社(当行)についてのものであります。
また、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、提出会社(当行)が判断したものであります。
(1) 経営方針
経営の基本方針
当行は「地域密着と健全経営」を経営理念に掲げております。
佐賀・福岡を中心とした地域の銀行として地場産業の振興・発展をお手伝いし、地域社会の皆さまの豊かな生活づくりに奉仕すること、さらには、お客さまにご満足いただける質の高いサービスを提供することで、株主の皆さま、お客さま、そして地域の皆さまのご期待に応えていくことが当行の使命と考えております。
近年においては、佐賀・福岡経済圏に県境という垣根が無くなりつつある中、当行は経営理念を踏まえ、地域の皆さまとの末永い信頼関係を築いていけるよう、着実に歩みを進めてまいります。
中長期的な経営戦略
①第17次中期経営計画
本年度は2022年度を初年度とする第17次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)の最終年度となりました。「このまちで、あなたと・・・金融の枠を超えて地域の価値向上を実現する銀行グループ」を目指す姿として掲げ、“地域の発展なくして当行グループの発展なし”という地域銀行グループとしての使命を再認識し、地域の将来に亘る発展・成長を支え続けていくため、マーケットインの発想でお客さま起点の成長戦略に取組み、サステナブルなビジネスモデルの確立を目指しております。これら方針に全役職員一丸となって取組んだ結果、2024年度においては当期純利益ベースで5期連続の増益となりました。
2025年4月1日よりスタートしました第18次中期経営計画では、地域になくてはならない存在であり続けるために、金融を『核』にグループ会社の垣根を超えた地域貢献により、“総合サービス企業グループ”へ向けて着実に歩みを進めてまいります。地域の持続的な発展とともに、当行グループも成長できるビジネスモデルの実現のために、「このまちで、あなたと・・・地域を繋ぎ、人を繋ぎ、地域の豊かな未来をつくる銀行グループ」となることを目指し、当行グループ全役職員が一丸となって取組んでまいります。
②2024年度に行った主な施策
○ 店舗・チャネル
店舗チャネルにつきましては、お客さまの利便性はできる限り維持しつつ、老朽化が進んでいる店舗やお客さまのニーズ及び動向を踏まえた上で、地域環境に見合った店舗の見直しを実施いたしました。
有人店舗につきましては、2025年3月に大和町支店および大和町支店金立出張所を新築の同一建物内へブランチインブランチ方式にて移転統合いたしました。この結果、当事業年度末の有人店舗数は本支店72カ店、出張所31カ所、無人店舗(店舗外現金自動設備)は61カ所となりました。
○ 地方創生及び事業性評価に向けた取り組み
地方創生に向けた取組みにつきましては、「お客さまの付加価値向上」と「地域の価値向上」の2つの面から当行グループが能動的にお手伝いすることで、活力ある地域未来の創造=地域社会の発展に資することを目指しております。
佐賀県内における税公金キャッシュレス納付の推進・協力に向けた官民連携プロジェクトの実施をはじめ、2024年10月には地域のキャッシュレス普及を目的として、さぎんキャッシュレス加盟店サービスの提供を開始いたしました。加盟店となる事業者の皆さまに対し国内外の主要な決済に1台で対応できる「モバイル決済端末」をご提供し、併せて決済代金の毎日入金サービス「毎日締め」をご利用いただくことで、入金サイクルの短縮化を図り、資金繰り負担の軽減にも繋げております。
今後も、多様なお客さまのニーズにお応えするため、インターフェイス(お客さまとの接点)の充実やデジタルプラットフォームの構築等、DXに積極的に取組むとともに、お客さまの悩みや課題の解決または価値向上に当行グループ一体となって寄り添うことで、地域経済のデジタル化・生産性向上に繋げてまいります。
また、上場支援に関しましては、2024年4月に地域支援部内に上場支援グループを新設し、東京証券取引所のプロ向け市場である「東京プロマーケット(TPM)」上場を支援する「J-アドバイザー」業務を開始いたしました。さらに、同年8月には、福岡証券取引所が開設するプロ向け市場「福岡プロマーケット(FPM)」における「F-アドバイザー」資格も取得いたしました。当行は、銀行業で唯一の「J-アドバイザー」及び「F-アドバイザー」として、営業エリアである佐賀県、福岡県及び長崎県で事業を行うお客さまを対象に、上場準備のアドバイスや上場適格性の確認を実施しており、上場後は適時開示や、上場維持要件の適合に向けた支援を行ってまいります。当行は、TPMやFPM上場を目指すお客さまへの支援を通じて、「地域の素晴らしい企業」の成長を支え、人口減少や少子高齢化で厳しさを増す地元経済の底上げを図ることで、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。
さらに、当行では、9つの「ブロック制」による営業態勢をベースとし、事業性評価の視点でグループ一体となって、事業承継・M&Aをはじめ、上場支援、IT・DX、事業再生、販路拡大など金融・非金融分野のサービス提供態勢を強化し、コンサルティング領域の拡大に努めたことにより、2024年度においては新たに224件のコンサルティングサービス契約を締結いたしました。
また、地域との連携に関しましては、2024年2月に佐賀県および環境省九州地方環境事務所と共同で、地域の中小企業の脱炭素経営支援を目的に設立した「SAGAネットゼロ・コンソーシアム」が、本事業年度に本格的に稼働を開始いたしました。2025年3月末時点で自治体や金融機関、支援機関など34団体が参加しております。
引き続き会員団体と連携を図り、脱炭素経営を通じた地域企業の成長および経済の活性化と、2050年に向けたカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ)の達成に寄与することを目指してまいります。
○ 取扱商品・サービスなどの拡充
一方、当行グループがもつ多様なリソースや知見により、コンサルティングを起点とした付加価値の高い商品・サービスを創出し、お客さまへ提供してまいります。
事業者さま向けにつきましては、海外展開支援として当行グループで初めて、2024年8月に香港で開催された、アジア最大級の総合食品見本市「Food Expo Pro 」に出展し、佐賀県内4事業者さまに対して香港を中心とした海外への販路開拓支援を実施いたしました。また、外為決済の多様化に伴い、貿易取引を行うお客さまに為替リスクヘッジの面から支援するため、新たに通貨オプション「目標設定型為替デリバティブ取引(TARF)」の取扱いを2025年4月より開始しております。引き続き、販路支援と金融支援の両面から、お客さまの海外販路拡大支援を実施してまいります。
なお、2024年9月にはさぎんBizポータルの提供を開始いたしました。本商品はデジタル化や収益機会創出を促進する機能を搭載したプラットフォームであり、当行から事業に役立つ情報などを提供することにより、お客さまのビジネスをサポートしてまいります。
また、個人のお客さまにつきまして、当行グループは「人生100年時代のライフコンサルタント」を目指し、ゴールベースアプローチの手法を活用してグループ一体となった質の高いサービスの提供に取組んでおります。
兵庫支店(さぎんパーソナルプラザ佐賀)などにおいて住宅資金や資産形成、相続など専門性を要する相談ニーズをサポートしており、また、佐銀キャピタル&コンサルティングによりお客さまへの資産運用サービスの一層の充実を目的とした金融商品仲介業務を行っております。
そのような中、2025年1月には、専門家に一任して資産の運用から管理まで行う、さぎんファンドラップ(MY GOALS)の取扱いを開始いたしました。お客さまに最適な将来の目標を起点とした専用の資産運用プランを案内し、継続的なフォローを実施しながら、お客さまの中長期的な資産形成をサポートしてまいります。
加えて、デジタル化に伴うお客さまの多様なニーズにお応えしつつ、銀行取引をより簡単かつ安全・安心にご利用いただけるよう、「さぎんアプリ」の機能向上にも取組んでおり、2023年12月のリニューアル時点における、普通預金の新規口座開設、残高照会、入出金明細、らくらくe投信といった機能に加え、2025年3月には新たに振込機能を追加いたしました。将来は全ての銀行取引を「さぎんアプリ」で完結できることを目指し、お客さまの利便性を飛躍的に向上させてまいります。
○ サステナビリティへの取組み
地域企業のサステナビリティ経営を支援するために2022年1月より取扱いを開始しております「さぎんSDGs取組支援・宣言サポートサービス」につきましては、2024年度新たに118の事業者さまから受託いたしました。本サービスはお客さまの現状の取組み評価に基づいて対話を行い、今後のSDGsの取組みを表明する「SDGs宣言」の策定及び実行を支援するもので、2025年3月末までに累計657の事業者さまのSDGsへの取組みを支援しております。加えて、2024年10月には企業経営における重要課題となっている「脱炭素経営」を支援するため、「さぎん脱炭素経営支援サービス」の提供を新たに開始しており、2025年3月までに6事業者さまの取組みをお手伝いしております。
また、SDGs私募債「地域の芽 未来の芽・育む債」につきましては、当事業年度新たに96件/66億円をお引き受けし、SDGsの普及拡大や社会的課題解決への取組みを行う団体への寄付、寄贈を行っております。
さらに、「SDGs」に対する社会的な認知の高まりから、お客さまの企業価値向上とSDGs活動への貢献を金融面でサポートすることを目的として「伴走支援型サステナブルファイナンス(さぎんSDGsローン)」の取扱いを2023年6月より開始しております。この商品は、ご融資を受けられる事業者さまにSDGsに関する目標を設定していただき、当行が継続的に伴走支援をしながらその達成を目指すものです。
また、定められた期間に一定の目標を達成すると金利が優遇される商品内容となっており、2025年3月末時点におきまして累計で109件/25億円のご利用実績となっております。
なお、脱炭素に向けた当行自身の取組みとしましては、第17次中期経営計画期間において、所有する社宅・寮の建築の際に木材を活用することにより、従来の工法と比較し大幅な二酸化炭素排出量の削減に繋げております。引続き、環境に資するエネルギーの利用促進等により、カーボンニュートラル達成を目指してまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
2025年4月よりスタートしました第18次中期経営計画では、「金利のある世界」の中で、地域銀行グループとして金融を核としたグループ一体での地域貢献により、地域の豊かな未来をつくる銀行グループを目指してまいります。
日本国内では大企業を中心に中小企業においても賃上げの動きが広がる一方で、物価高騰の影響等もあり、景気の好循環の実現には時間がかかる見通しです。また、金融面では、日銀によるマイナス金利解除以降、政策金利の引き上げにより、長らく続いた低金利時代から「金利のある世界」へ転換しています。
変化する時代の中においても、銀行の根幹となる預金・貸出業務は、引き続き当行グループが地域において信頼を得るための証しであり、その重要性については改めて認識しております。
一方、デジタル化の進展による金融アプリ等の充実により、どこにいても金融取引ができる時代となっており、地域=地域銀行という絶対的な基盤が揺らぎつつあると考えています。デジタルチャネルの充実をはじめ、コンサルティング機能の強化や地域のキャッシュレス推進への貢献等を通じて、「金利のある世界」の中で預金の集まる仕組みづくりを行うとともに、お客さまとこれまで以上に強固なリレーションを構築し、このような環境下においても、当行グループが地域になくてはならない存在となるよう目指してまいります。
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