住友精化
【東証プライム:4008】「化学」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
このたび、当社のグループ会社が、お取引先様と合意した原材料の調達先を無断で変更して製造した製品を販売し、原材料の変更のないものとして製品代金を請求していた事案が判明いたしました。当社はこの事態を重く受け止め、事態の再発防止とお取引先様にお届けする製品の品質確保を最重要課題と認識し、これに向けての真摯な取り組みを進めてまいります。
具体的には、品質・取引のコンプライアンスの徹底、管理・監査部門の実効的な監督・監査、グループガバナンスの強化に取り組んでまいります。品質・取引のコンプライアンスの徹底に関しましては、グループ会社を含めて、コンプライアンス教育を徹底するとともに、品質・取引の再点検を行い、発見した課題に早急に対策を行います。管理・監査部門の実効的な監督・監査に関しましては、組織間の相互牽制やチェック機能を再構成し、業務の適正を図ることができる体制を構築いたします。そして、グループガバナンスの強化に関しては、グループ会社の業務執行の適正の確保はもちろんのこと、お客様目線、品質目線での会社運営がなされているのかに力点を置いた統制を行います。これらに全社一体となって取り組み、再発防止とステークホルダーの皆様の信頼回復に努めてまいります。
当社グループは、2023年度から2025年度までの中期経営計画の重点施策として、「事業構造の強靭化」、「研究開発の結実」、「徹底した合理化」、「サステナビリティへの取り組み深化」に取り組んでおります。
<事業構造の強靭化>
吸水性樹脂事業では、インドなどアジア市場を中心に需要の増加が続くと想定し、さらなる販売増加を実現するため、シンガポール子会社において新しい製造設備を建設しており、2025年度内の完成を予定しております。同時に、プラントの生産性を向上させる合理化工事の継続的な実施などにより、販売シェアの維持・拡大を図ってまいります。
機能マテリアル事業では、IRラテックスの販売終了が前倒しとなったことや、エレクトロニクスガスの販売が半導体市況低迷の影響を受けて低調に推移していることなどを受けて、中期経営計画の業績目標を大幅に下回る見通しです。不採算事業からの撤退を含めた事業ポートフォリオの見直しや売価是正による収益性の向上を図ってまいります。
<研究開発の結実>
吸水性樹脂事業では、これまで以上に環境・安全に配慮し、資材・廃棄物削減に資する新製品を順次開発し、上市しております。また、使用済み紙おむつから分離した吸水性樹脂の水平ケミカルリサイクル技術の開発などに取り組んでおります。工業化研究のさらなる効率化を図るため、姫路地区において吸水性樹脂のパイロット設備を建設いたしました。
機能マテリアル事業では、次世代半導体材料やリチウムイオン電池用電解液添加剤、絶縁被覆材料などの開発に取り組んでおります。
これらの新技術、新製品の開発を加速するため、別府地区で新研究棟の建設を進めており、2026年度の竣工を予定しております。
<徹底した合理化>
吸水性樹脂事業では、合理化プロジェクトで計画している原単位の改善や増産によるメリットを確実に発現させるとともに、CO2排出原単位削減にも貢献する製造プロセスの改善など、さらなる合理化に取り組みます。現在建設中のシンガポールにおける新設備はこれらの合理化を織り込んだ設計としております。
機能マテリアル事業では、生産性向上や徹底的なコスト削減に取り組んでおります。さらに、全社横断の生産性向上の取り組みとして、基幹業務システムの活用による業務プロセスの改善、工場や研究所におけるデジタル技術の活用による業務の自動化・高速化などを推進しております。
<サステナビリティへの取り組み深化>
当社グループは、「衛生・健康・QOL向上へのアクセス」、「エネルギーへのアクセス」、「インフラ改良と技術革新」、「持続可能な消費と生産」、「ジェンダー平等」、「カーボンニュートラル実現」の6項目のマテリアリティを設定しております。各項目の取り組み状況を定量的に把握するためのKPIを定め、その目標達成に向けて具体的な施策を実行してまいります。カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとしては、当社グループが排出するGHGの削減や、社会全体のGHG排出削減に貢献する低濃度CO2分離回収や使用済みSAPのリサイクルなどの技術開発を進めてまいります。
2025年度の業績見通しは下表のとおりです。
(単位:別途記載のないものについては億円)
事業部門別 | 2025年度 見通し | 2025年度 中期経営計画 |
吸水性樹脂 | 1,139 | 1,200 |
機能マテリアル | 308 | 400 |
その他 | 3 | - |
売上高 | 1,450 | 1,600 |
吸水性樹脂 | 76 | 75 |
機能マテリアル | 14 | 45 |
その他 | 0 | - |
営業利益 | 90 | 120 |
純利益 | 67 | 85 |
ROE | 6.9% | 8.5% |
円/人民元 | 19.5 | 19.5 |
円/米ドル | 145.0 | 135.0 |
国産ナフサ価格 | 65,000円/KL | 70,000円/KL |
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3年間累計 研究費 | 83 | 90 |
3年間累計 設備投資 | 471 | 500 |
3年間平均 売上高成長率 | 0.5% | 3.4% |
3年間累計 営業CF | 406 | 470 |
ROIC(2025年度) | 5.7% | 8.0% |
D/Eレシオ(2025年度) | 0.2 | 0.2以下 |
配当性向(2025年度) | 39.1% | 30%以上 |
当社といたしましては、以上申しあげました状況を鑑み、新製品の開発を加速するとともに、機能マテリアル事業の事業戦略を抜本的に見直したうえで、改めて当社グループの中期的な業績目標を策定したいと考えております。
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