住友林業
【東証プライム:1911】「建設業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、『公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献』することを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としております。
この実現のため、当社グループは、お客様の感動を生む高品質の商品・サービスを提供する、新たな視点で次代の幸福に繋がる仕事を創造する、多様性を尊重し自由闊達な企業風土をつくる、日々研鑽を積み自ら高い目標に挑戦する、正々堂々と行動し社会に信頼される仕事をする、の5つを行動指針として、経営の効率化及び収益性の向上を重視した事業展開を行っております。
また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」、財務の安定性を測る指標として「自己資本比率」を重視しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界経済は、景気の持ち直しの動きが続くことが期待されるものの、地政学リスクの顕在化等、依然として不透明感は強く、米国では政権交代に伴う移民、財政、通商政策の転換によるインフレの再燃も懸念されます。わが国経済は、引き続き、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかに景気回復が続くと考えられますが、政策金利の引き上げに伴う金融市場の変動等の影響に注意する必要があります。
(長期ビジョン「Mission TREEING 2030」)
当社グループは、2022年2月、2050年の脱炭素社会実現を見据え、当社グループが目指すべき姿を具体的な事業構想として落とし込んだ、長期ビジョン「Mission TREEING 2030~地球を、快適な住まいとして受け継いでいくために~」を策定しました。
当社グループは、長期ビジョンにおける目標を「地球環境への価値」「人と社会への価値」「市場経済への価値」という3つの価値の実現に定め、それぞれの価値を高めることにより、また、これらのいずれも損なうことなく3つの価値を同時に満たす事業活動を推進してまいります。
また、事業方針として1.森と木の価値を最大限に活かした脱炭素化とサーキュラーバイオエコノミーの確立、2.グローバル展開の進化、3.変革と新たな価値創造への挑戦、4.成長に向けた事業基盤の改革を掲げ、これらの取り組みを通じ、社会の脱炭素化推進に貢献することで、2030年にはグループ全体で経常利益を3,500億円に伸長させることを目指しております。
当社グループの特長は、再生可能な自然資本である「木」を軸とした川上から川下までのバリューチェーンであるWOOD CYCLE(ウッドサイクル)を回す事業活動にあります。「森林」分野での「循環型森林ビジネスの加速」、「木材」分野における「ウッドチェンジの推進」、そして「建築」分野での「脱炭素設計のスタンダード化」の3つを柱として、森林経営から木材・建材の調達・製造、木造建築、木質バイオマス発電まで、脱炭素社会の実現につながるこれらの事業を展開していきます。3つの柱それぞれの定量目標は下表のとおりです。目標達成に向けた積極的な取り組みを進めることで、自らの事業成長とともに持続可能で豊かな社会の実現に貢献していきます。
なお、当社グループは、長期ビジョン「Mission TREEING 2030」達成への第1段階として、2022年2月に「将来の成長と脱炭素化への貢献に向けた基盤づくりの3年間」をテーマとする中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase 1」(2022年~2024年)を策定し、また、2025年2月には「飛躍的成長に向けた改革と具現化の3年」をテーマとする中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase2」(2025年~2027年)を策定しております。
(中期経営計画 「Mission TREEING 2030 Phase1」の総括)
当社グループは、中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」において、「木材資源の活用による脱炭素化への挑戦」、「収益基盤の強靭化の推進」、「グローバル展開の加速」、「持続的成長に向けた経営基盤の強化」、「事業とESGの更なる一体化」という5つの基本方針に基づいて、将来の成長と脱炭素化への貢献に向けた基盤づくりを推進しました。
数値目標及びその結果につきましては、下表のとおりとなりました。
| 「Mission TREEING 2030 Phase1」の計画期間 |
| 2024年12月期 (第85期)目標 (注1) | |||
2022年12月期 (第83期)実績 | 2023年12月期 (第84期)実績 | 2024年12月期 (第85期)実績 |
|
| ||
目標差 |
| |||||
売上高 | 1兆6,697億円 | 1兆7,332億円 | 2兆537億円 | +2,837億円 |
| 1兆7,700億円 |
経常利益(注2) | 1,950億円 | 1,589億円 | 1,980億円 | +250億円 |
| 1,730億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,087億円 | 1,022億円 | 1,165億円 | +5億円 |
| 1,160億円 |
自己資本利益率 (ROE) | 19.4% | 14.8% | 13.9% | △1.1% |
| 15%以上 |
(注)1.中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase1」の数値目標は計画策定時点における2024年12月期の
計画値です。また、経常利益の目標値は退職給付会計に係る数理計算上の差異を除きます。
2.退職給付会計に係る数理計算上の差異を含む経常利益を記載しています。なお、2024年12月期におけ
る退職給付会計に係る数理計算上の差異はプラス98億円です。
(中期経営計画 「Mission TREEING 2030 Phase2」の推進)
当社は、このほど、第86期(2025年12月期)から第88期(2027年12月期)までの3年間を対象とした中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase2」を策定し、3年後の第88期末(2027年12月期末)に売上高3兆2,200億円、経常利益2,800億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,760億円、ROE15%以上を目指すこととしました。また、本中期経営計画の全体テーマを「飛躍的成長に向けた改革と具現化の3年」とし、5つの基本方針として「脱炭素化への挑戦」、「稼ぐ力の向上」、「グローバル展開の深化」、「経営基盤の強化」、「事業とESGの更なる一体化」を掲げ、目標達成に向けて取り組んでまいります。
<基本方針>
① 脱炭素化への挑戦
・ 適切に管理された森林の新たな価値を創造し、持続可能な森林を拡大します。
・ 製造事業の拡大による木材活用の深耕と、用途・消費拡大の基盤づくりを目指します。
・ 国内外における木造住宅の供給拡大と中大規模建築の木造化を推進します。
② 稼ぐ力の向上
・ 国内事業におけるイノベーション、構造改革を加速させます。
・ 国内外における不動産開発事業の基盤を確立します。
・ 資本コストを意識し、資産・投資の効率性・収益性の更なる向上を目指します。
③ グローバル展開の深化
・ 海外住宅・不動産事業の更なる収益性向上と、安定成長に向けた事業基盤を拡充します。
・ 日本、米国、オセアニア、東南アジア及び欧州の各エリア単位で事業領域と規模の拡大を進め、ウッドサイクルの基盤づくりと深耕を図るとともに、コーポレート部門による支援を強化します。
④ 経営基盤の強化
・ 事業の変革と創造を担う人財の確保・育成、自由闊達な組織風土及び健康経営を推進します。
・ IT化・デジタル化による事業基盤の刷新、DX推進による抜本的な業務変革と効率化を図ります。
・ 技術を軸とした価値創造を加速させるとともに、業務品質の向上を推進します。
⑤ 事業とESGの更なる一体化
・ SBT(Science Based Targets)目標の達成に向けた施策を着実に実行します。
・ 持続可能で脱炭素に貢献する製品・サービスの価値を訴求し、市場への浸透を推進します。
・ SAFETY FIRST(安全第一)、ZERO DEFECTS(不具合・不良・不備ゼロ)を徹底します。
・ 地域のステークホルダーに配慮した事業運営を徹底します。
<株主還元方針>
当社は、株主の皆様への利益還元を最重要課題の一つと認識しています。中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase2」における株主還元の方針は、配当性向を親会社株主に帰属する当期純利益の30%以上とし、利益水準に応じた還元を行うとともに、安定的な配当を実施する観点から、1株当たり年間配当金の下限を150円といたします。
(SDGs(持続可能な開発目標)達成及び持続可能な社会の実現への貢献)
当社グループは、長期ビジョン「Mission TREEING 2030」において、事業活動を通じて基盤となる「地球環境への価値」、そこから成り立つ「人と社会への価値」、「市場経済への価値」を社会に提供するため、9つの重要課題を特定しました。
中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase2」では、引き続き基本方針の一つに「事業とESGの更なる一体化」を掲げ、重要課題それぞれにSDGsと紐づいた個別指標を設定しています。気候変動問題に関しましては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言等の国際的な枠組みに基づいた情報開示やSBT及びRE100の達成等に向けた取り組みを着実に進めてまいります。現在認定を取得しているSBTにおいては、2050年までにネット排出量をゼロにするScope1*、2**及び3***の長期目標を新たに策定するとともに、2030年までの目標の再設定も行いました。また、気候変動問題だけでなく、自然関連課題への取り組みについても、2023年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った開示を行う意向を表明し、生物多様性、自然保全・回復に向けた取り組みを推進してまいります。
*Scope1とは、自社での燃料使用等による温室効果ガスの直接排出量を意味します。(例:社有車のガソリン使用に伴うCO2排出量)
**Scope2とは、購入した電力・熱による温室効果ガスの間接排出量を意味します。(例:オフィスの電力使用に伴うCO2排出量)
***Scope3とは、サプライチェーンの温室効果ガス排出量を意味します。(例:販売した製品の使用時のCO2排出量)
当社グループは、以上の取り組みとともに、社会の変化を見据え、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの声に耳を傾けながら、コーポレート・ガバナンスを充実させ、環境共生、お客様満足の向上、人権・多様性尊重、リスク管理・法令遵守に関する取り組みを引き続き強化し、企業価値の更なる向上に取り組んでまいります。
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