企業兼大株主住友化学東証プライム:4005】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1) 住友化学の目指す姿

 当社は、別子銅山の煙害という環境問題の克服と農産物の増産をともに図ることから誕生した起源を持ちます。創業以来100年以上にわたり、絶えざる技術革新と事業の変革を遂げながら、事業を通じて人々の豊かな生活を支えてまいりました。

 住友には「自利利他公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)という言葉がありますが、当社はその事業精神を体現し、経済価値と社会価値を一体的に創出し続けることを目指しております。

(2) 現状認識

 当社は2000年代以降、石化事業の抜本的競争力強化、ライフサイエンス事業のクリティカルマスの確保、ICTを中心とした新規事業の育成という3つのコア戦略を進め、中長期的な収益力強化に取り組んできました。その結果、グローバルでの事業展開の進展や、健康・農業、情報電子等の非石化事業の拡大によるスペシャリティ化の進展という点において、一定の成果を示しました。

 一方で、技術のコモディティ化の加速や中国等での大型プラントの新増設等の外的要因に加え、5事業部門がそれぞれの成長を目指すことで経営資源が分散されたこと、また、医薬品での目利き・開発力が不足したこと等の内的要因も重なり、特にラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニー(以下「ペトロ・ラービグ社」という。)をはじめとした石化事業や住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ」という。)の業績が低迷しました。その結果、2023年度は創業以来最大となる3,118億円の最終赤字を計上するなど、既存の5事業部門をエンジンとした成長モデルは限界を迎えていると認識しております。


(3) 短期集中業績改善策

 こうした足元の状況を踏まえ、2024年度業績でのV字回復の確実性を高めるとともに、並行して進めている抜本的構造改革に向けた財務体質強化のため、昨年11月から短期集中業績改善策に取り組んでおります。

 この改善策では、事業再構築、在庫削減、投資厳選、資産売却及び余資活用の項目で、2024年度末までに約5,000億円のキャッシュ創出を目標としておりましたが、当初の想定を上回る進捗であることから、さらに1,000億円積み増し、目標を約6,000億円に上方修正しております。事業再構築では、中国のディスプレイ用ケミカル事業や米国のポストハーベスト事業の譲渡等、ベストオーナー視点でノンコア事業の売却を次々と進めております。在庫の削減については、2023年度末において目標の半分にあたる750億円を削減し、投資の厳選については、2022年度からの3年間累計で1,500億円の削減を見込みます。政策保有株式の売却についても、当初計画を既に上回るなど順調に進捗しています。全体としては、現時点で約4,000億円のキャッシュ創出が確実な状況であります。


(4) 2024年度の業績の見通しについて

2024年度業績については、コア営業利益は1,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は200億円の黒字と、V字回復を見込んでいます。コア営業利益は、前年度比2,490億円の大幅な改善となりますが、その半分以上を占める住友ファーマでは、経費削減や治験費用の絞り込み、人員削減等により約1,100億円のコスト削減効果に加え、基幹3製品の最大限の拡販等により、総額で1,340億円の改善を見込みます。住友ファーマ以外では、農薬や半導体材料等の先行投資の効果や、これまでの事業再構築、減損効果を含め、既に実施済みの案件により660億円の改善を見込みます。その他、石化市況の回復等の外部環境改善により190億円、今後の短期集中業績改善策の寄与で300億円改善する見込みです。


(5) 抜本的構造改革

2024年度のV字回復後の持続的成長の実現のためには、当社が抱える構造的な経営課題に対して抜本解決策を講じる必要があります。当社は、「抜本的構造改革」と題し、既存事業の立て直しを図る「再興戦略」、そして新たな長期成長モデルの確立や新規成長ドライバーの育成を図る「成長戦略」に取り組んでおります。

抜本的構造改革(再興戦略)

 住友ファーマについては、徹底した販管費及び研究開発費の合理化により、身の丈に合ったコスト構造に絞り込み、止血することが最優先の取り組みです。加えて、当社として、企業再生の外部専門家等の起用や、複数の経営人材の派遣等によるガバナンス強化、同社に対する債務保証等、従来より踏み込んだ対応を実施します。また、基幹3製品の拡販やがん領域2品目の開発加速、再生・細胞医薬の新会社設立及びグループでの一体運営等により、業績を回復軌道に戻すとともに、持続可能な成長モデルの構築に向け、あらゆる選択肢を追求していきます。

 ペトロ・ラービグ社については、当社とサウジアラビアン オイル カンパニー(以下「サウジ・アラムコ社」という。)で「共同タスクフォース」を結成し、収益力強化を含む、緊急度の高い課題解決に向け、短期集中で取り組むことを両社で合意しました。

 国内のエッセンシャルケミカルズ事業については、エチレンプラントの合理化やポリオレフィンにおける企業連携等、生き残りをかけた事業再編に取り組みます。


抜本的構造改革(成長戦略)

 抜本的構造改革(成長戦略)の方針として、長期的に目指す企業像を「Innovative Solution Provider」と定め、社会が直面する課題に対し、当社の革新的な製品や技術によるソリューションを提供していく決意を示しました。

 その実現に向けて、本年10月に、現在の5つの事業部門を4つに再編し、それぞれの事業領域において、食糧、ICT、ヘルスケア、環境という4つの社会課題に取り組むこととしました。当社は、これまで培ってきた様々なトップランナーの技術・製品群により、社会にソリューションを提供していますが、今後も、GX・DX・BXを切り口とした重要アセットを活用し、次々とイノベーティブなソリューションを生み出すことで、グローバルに存在感のある企業であり続けることを目指します。


成長戦略における各事業領域の戦略

 新たな4つの各事業領域において、経営戦略上の位置付けを明確にし、メリハリのあるポートフォリオ戦略を展開します。

 農業・ICT関連の「アグロ&ライフソリューション」「ICTソリューション」は、当社の中核となる成長ドライバーと定め、経営資源を重点的に投下することで、2030年にはそれぞれコア営業利益1,000億円を目標とします。

 一方、新たな成長領域である先端医療事業やCDMO事業を手掛ける「アドバンストメディカルソリューション」、従来の石油化学から環境負荷低減技術を軸とした価値創造に舵を切る「エッセンシャル&グリーンマテリアルズ」は、2035年に両者合わせて1,000億円のコア営業利益を目指します。  

今後に向けて

 まずは最大の経営課題である2024年度業績のV字回復を達成し、同時に、住友ファーマの徹底的なスリム化及びペトロ・ラービグ社の位置付け見直し等の抜本的構造改革を進めることで、成長軌道へと回帰します。

 その後は、財務体質を強化するとともに、農業関連・ICT関連へ経営資源を集中し、2030年を目途に新たな成長モデルを構築します。以降は、環境負荷低減技術の社会実装、再生・細胞医薬事業の本格展開等の施策により、さらなる成長の実現を目指します。


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