令和アカウンティング・ホールディングス
【東証グロース:296A】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「High Quality」と「Workers First」という経営理念を掲げ、お客様に対して最高品質のサービス提供を行うとともに、それを通じて社会に貢献できるよう努めなければならないと考えており、また、個人が幸福になるために会社は存在するという考えのもと、従業員のみならずクライアントはじめ関係者を含めたすべての人々(Workers)が精神的・経済的にも安心して活躍できる場を提供すべきだと考えております。
今後も成長・発展を継続し、様々なステイクホルダーに対し経理業務を通じて重要な情報を発信し続けることで社会貢献に努めます。
当社の経営方針は、①ソフトインフラとしての経理業務・経理業界の改革、②人間力の育成、③持続可能な企業(社会)の実現、となります。
経理業務は事業を行ううえでなくてはならないものです。AIやソフトウェアが進化しても経理という業務がなくなることはないと考えております。経理業務は企業情報に係る重要な社会インフラ(ソフトインフラ)であることを社会に訴えていきたいと思います。また、経理という仕事が暗く辛気臭いというイメージを払拭し、明るく楽しい仕事だということ、何より社会を支える重要な仕事であることを改めて広め、広く有能な人材に興味をもっていただくことを目標のひとつとしております。
(2)経営環境
経理業務を取り巻く、ソフトウェアをはじめとしたツールは年々進化しています。しかしながら、それらのツールはそれを使う人があって初めて生かされるもので、それらを使いこなす人材こそが企業が必要とする人材であると考えております。当社ではコンサルティング事業及び教育事業を通じて、AIや数々のソフトウェアなどのツールを使いこなし、高いコミュニケーション能力や常識に対する懐疑心をもった人材の育成に注力してまいります。一方で、当社の経験を基礎として創造するシステム・ソフトウェアは広く社会に役立つだろうと考え、2025年4月に株式会社ミラクル経理を設立しシステム開発事業を立ち上げております。ツールの進化と人材の育成の両面から、経理業界をより良くしていきたいと考えております。
経済活動の先行きが不透明な現況において当社グループのクライアントの多くは今まで創造してきた基礎的な経営力を生かし、果敢に新しいことにチャレンジしています。当社グループも経理業務とシステム開発を通じて、そうしたクライアントに対して有用な情報とツールを提供し、日本を代表する企業のビジネスパートナーを目指し続けることで、安定的かつ継続的な売上収益の増大を目指してまいります。
経営環境としては、人口の減少を主な背景として、人材不足の声を聞くことが特にここ数年多くなり、国内労働人口構成を踏まえてもこの全国的な課題は今後も拡大していくものと思われます。当社のサービスに対するニーズはそれに伴って拡大していくことが見込まれ、より多くのクライアントを支えていきたいと考えております。
(3)経営戦略等
① コンサルティング事業
従来の会計事務所は中小企業に関わる記帳代行業務を主にしていましたが、当社グループは上場企業をはじめとする大企業やREITやSPC(不動産証券化事業)、医療機関など、組織的な対応、高い専門的知識などが必要とされる組織体に対してサービス提供を実施しております。このマーケットは多数の専門家が集うことにより初めて必要なサービスを安定継続的に提供できるものと考えており、一定規模以上の専門家集団を安定的に運営するという意味で、新規参入が難しいマーケットであると考えられます。引き続き、企業の人材不足と法令改正をはじめとする会計業務の複雑化による会計コンサルティング、企業価値向上を目指すために必要な組織再編等に対する専門性の高い会計コンサルティングのニーズが高まると考えられます。また、外部の専門家(当社グループ)に委ねることによって、様々な牽制機能が発揮されます。特に不正の防止・抑制には大きな効果が期待されるため、透明性を確保する観点から当社グループでサービス提供を開始することも多くあります。
一定規模以上の会計事務所等では、専門知識や機能別に縦割りの組織構造とすることがありますが、当社グループはひとつのクライアントからの多様なニーズに同じ窓口で柔軟に対応するため、担当クライアントごとの組織構造を基本として専門知識を横断的に配置する組織構造をとっております。そのため、クライアントが当社へのコンサルティング業務(Long)に係る依頼範囲を拡大する場合だけでなく、新たにコンサルティング業務(Short)を依頼する際にも当社グループの同じ窓口に相談することができ、常にクライアントビジネスを理解したメンバーに相談できることとなります。当社グループのクライアントは大企業グループ(※1)が殆どであることからも、一部の業務からスタートし、徐々に信頼を得ることにより既存クライアントでの業務範囲や契約件数が拡大していくケースが多いです。また、当社は現存するREITのうち半数近くに関与実績を有しており、経理情報を外部委託により作成し、かつ会計監査も実施される、透明性の高い組織であるREITで会計支援の実績を有していることも大企業グループの信頼を得やすい要因になっていると考えております。これらの背景により、クライアントグループ数(※2)が増加するとともに、クライアントグループの平均報酬も増加していきます。クライアントグループ数は2025年3月末現在で173ですが、例えば上場企業3,964社(2025年4月末時点)や国内グループ企業23,159社(平成26年経済センサス基礎調査「親会社と子会社の名寄せによる集計」)に対してもサービス提供の余地があると考えております。また、当社のクライアントグループごとの平均年間報酬額は、2025年3月期実績で約25,800千円となっておりますが、クライアントグループ上位100社の平均年間報酬は約43,100千円、上位10社の平均年間報酬は約214,200千円であり、同クライアントグループでの業務範囲にも拡大の余地があると考えております。さらに、当社は継続的なよりよいサービス提供を目的として、既存契約の値上げについてもクライアントに対して継続的定期的に交渉し、見直しすることで収益増加に貢献しております。
なお、人員の増加戦略としては、新卒採用を増やし社内育成を強化していくこと、当社従業員とOBOGとのネットワーク活用をはじめとしてリファラル・アルムナイ採用を強化していくことなどを行っております。
また、当社グループの子会社であるHSK VIETNAM AUDIT COMPANY LIMITEDは主に現地に進出している日系企業に対してサービス提供しておりますが、従業員が約70名在籍(うち2割程度が会計士資格保有者)しており、当社と連携して国内クライアントにサービス提供することもございます。
※1 中小企業基本法における業種ごとの資本金又は従業員数基準で中小企業に該当しない企業グループ及び上場企業グループを大企業グループと定義しております。
※2 当社へ業務を発注した法人と資本関係のあるグループをクライアントグループと定義しております。
② 教育・派遣・紹介事業
当社グループはコンサルティング事業を営むなかで、公認会計士等の資格者を増やすのみならず、社内での育成を重視してまいりました。資格者でなくとも、座学と業務におけるトレーニングを積むことで、経理のプロフェッショナルとして多数のメンバーを育成することで業務を拡大してきております。
コンサルティング事業として、当社グループのプロフェッショナルがサービス提供するビジネスモデルに加えて、その育成ノウハウを様々な形でクライアントないし社会に提供すべく、教育事業を開始しております。経理実務スクールの運営、企業研修においては当社が蓄積してきた実務プロフェッショナルを育成するノウハウをプログラムに落とし込んでおります。派遣・紹介事業においては、当社がプロフェッショナル育成のなかで培った評価ノウハウを生かし、クライアントの実務的ニーズにマッチした派遣・紹介を行うことを強みとしております。
広告宣伝活動及びコンサルティング事業の展開により当社の知名度を上げ、スクール・研修の受講生を増やすこと、派遣・紹介に係るクライアントの実務的ニーズに応えることにより、経理業界に広く貢献していきたいと考えております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、売上高年率成長率、営業利益率を中長期的な持続的成長目標として設定しております。また目標を達成するための指標として当社契約継続率、当社従業員数を毎月取締役会や社内の各種会議体においてモニタリングしております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 優秀な人材の採用と育成
今後の事業を支えるために、優秀な人材の採用と育成が重要であると認識しております。当社グループがクライアントに提供しているサービスは、知的集約サービスであり、専門性に係るスキルと、人間力ともいえるソフトスキルの双方を向上させることが当社グループの成長にとって必要と考えております。そのため、会計を中心とした高度な専門性をもった人材の採用を積極的に行い、従業員が高いモチベーションを保ちながら安心して長期的に働ける環境を整えるために、就業環境と採用優位性のある待遇の整備にも注力してまいります。また、専門性に係るスキルとソフトスキルの双方を向上させるための育成体制を継続的に強化してまいります。
あわせて、人材確保をより確実にするために、スクール及び研修事業により学生や経理担当者をはじめとして広く経理に興味を抱いていただき、その中から資質の高い人材を採用する循環を構築することも進めてまいります。スクール及び研修事業で教育した人材には、当社での就業を希望する場合には当社コンサルティング事業を担っていただき、当社以外での就業を希望する場合には人材紹介派遣事業によって他社に就業していただき、当社の収益向上につながる循環を構築したいと考えております。
② システム・ソフトウェアの開発
当社は従来より数多くの企業が開発し販売している多種類の会計ソフトウェアを経理実務において使用してまいりました。その成果として多くの会計ソフトウェアのメリット・デメリットを把握するに至り、それらの中から可能な限りメリットを集約した会計に関わるソフトウェアを開発し販売することで、当社のクライアントはもとより、多くのユーザーに資するとともに、当社の成長に繋がるものと考えております。2025年4月にシステムの開発及び販売を事業目的とした株式会社ミラクル経理を設立しました。当社既存ツールのソフトウェア化から進め、多くの経験を基礎としてより有用なシステムを開発し広く社会に展開してまいります。これまでも生産性向上のために様々な施策を実行しておりますが、これらシステム・ソフトウェアを開発しまずは自社において活用することで、さらに高い水準で当社業務の効率化を実現し、またクライアントにも利用いただくことで生産性向上の好循環を生んでいく必要があると考えております。開発したシステムの稼働開始後は減価償却費が発生しますが、業務効率化に伴う生産性向上等により回収することができると考えております。
なお、当社グループは十分な手元流動性を有しており、現時点で財務上の課題は認識しておりません。
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