京都きもの友禅ホールディングス
【東証スタンダード:7615】「小売業」
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企業概要
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、「日本の女性の美と夢と心のやすらぎを創造することを永遠のテーマとする」、「それを実現するために互いに協調し、自己の向上をはかることを最大の喜びとする」を基本理念としております。
日本古来の伝統文化である「きもの」の普及に貢献し、「きもの」という商品の販売を通じて、お客様の喜びと社員の幸せを一体として実現させることに当社の存在意義があると考えております。
この理念を受けて、当社企業グループにおいては、安定的な成長をいかに続けることができるかを目標に、「お客様の喜び・満足」、「当社の利益の確保」、「株主への還元」の3つを同時充足させることが必要と考えております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指し、まずはコスト構造の見直し、販売戦略等を中心に据え、業績回復に向けた施策を優先的かつ速やかに取り組んでまいります。なお、2025年3月期は抜本的な収益性確保のための再生フェーズと位置付け、継続した営業損失の計上となりますが、同下期後半から来期にかけて改善施策の効果が発現することにより、2026年3月期以降の黒字化の達成を見込んでおります。主な対処すべき課題は以下のとおりとなります。
① コスト構造の見直し
<店舗収益性の改善>
当社グループでは、主要事業である和装各店の収益性の低下が大きな課題となっております。よって、店舗の収益性と商圏環境を総合的に評価したうえで、主に固定費の削減及び広告費、販促費の効率化を図り、1店舗当たりの収益性を重視した経営へのシフトを進めております。また、不採算店舗の閉店や店舗規模の縮小による店舗固定費の圧縮に取り組み、2024年3月期から2025年3月期にかけて、計7店舗を閉店しております。
<全社コスト>
円安などの外部要因によるコスト上昇や、人件費の増加等により社内経費が上昇していることに加え、従来の広告戦略からの転換のため、適正かつ効率的な経費コントロールが急務となっております。よって、全社のコスト構造見直しとして、各店舗の賃料、催事開催コスト、従業員の移動経費、商品配送料等の事業コストに加え、間接部門経費など全てのコスト項目等を網羅的に精査し、削減及び最適化を図っております。
<その他事業の終了・縮小>
2021年より新たな事業として開始した写真スタジオ事業、EC事業、ネイルサロン事業、オンライン着付教室事業については、いずれも収益面で一定の課題があり、事業の選択と集中という観点から、終了または縮小へ方向転換し、ネイルサロン事業、オンライン着付教室事業については事業を終了いたしました。また、写真スタジオ事業については、「写真スタジオクラネ」の全店舗を閉店し、既存の和装店舗内にスタジオを併設する形へと運営モデルを転換し、固定費圧縮と併せて、より収益性の高い運営体制への転換を図ってまいります。
<原価率改善>
売上規模の縮小と物価高等による仕入れコスト上昇の影響を受け、近年原価率が上昇傾向にあります。これを改善するため、仕入プロセスを抜本的に見直し、綿密な仕入計画の策定や販売体制の整備を推進しております。
② 振袖広告戦略の見直し
当社グループでは従来ダイレクトメール中心のマーケティング施策を実行してまいりましたが、個人情報保護法の改正や印刷、郵送コスト上昇といった外部環境の変化を受け、WEB・SNSを活用したデジタルマーケティング施策へと段階的に移行してまいりました。こうした施策は以前より一部実行していたものの、抜本的な構造転換への意思決定や、実行までのスピードに課題が見られたことから、組織体制自体の見直しを行い、迅速な意思決定が可能な体制へと組織を再構築いたしました。また、分析機能の強化による広告手法の見直し、代理店の再選定や投下コストの最適化の実行に加えて、各店舗周辺エリアへのオフライン営業施策を拡大し、新規顧客の集客強化に取り組んでおります。
③ 営業販売体制
<総合催事の収益性改善>
「① コスト構造の見直し」と連動し、社内における一般呉服・宝飾販売催事のコスト構造を見直し、大型の店外催事中心の運用方針を、店舗内催事の運用へとシフトしております。これにより各催事にかかる経費を大きく削減し、あわせて、取扱商品の価格設定を見直し、店舗あたりの収益改善を図ってまいります。
<販売コンプライアンス体制の強化>
当社グループでは、内部統制の充実と事業リスクへの対応が必要不可欠かつ重要課題であります。特に、営業活動時における各消費者保護法令の遵守は最重要項目であり、お客様との継続した関係性や信頼関係を構築すべく、お一人おひとりへの接客対応や納品後のアフターケアに関するルールを明確化いたしました。また、昨今の消費者保護法令強化に対する社会的な動向を踏まえ、販売ガイドラインの整備や法令に基づいた販売員教育の定期実施を通じて、社内のコンプライアンス体制を強化し、今後もお客様・社員をはじめとするすべてのステークスホルダーが安心できる店舗づくりを推進してまいります。
④ 人材の定着
当社グループでの販売業務において売上確保の最も重要な要素は、お客様との継続した関係性の維持であり、人材の定着が必要不可欠です。よって、人事制度・教育制度・働く環境等を整備し、販売員が安心して販売業務に注力できる店舗づくりを推進しております。また、グループ全体としても同様に、多様な働き方を選択できる環境を整備し、社員の定着率向上を図ってまいります。
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