京浜急行電鉄 【東証プライム:9006】「陸運業」 へ投稿
企業概要
本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
①経営の基本方針 |
京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことなどをグループ理念として掲げております。また、グループ理念の持続的な実現が、社会と京急グループの持続可能性を高めることにつながるという考えのもと、グループ理念と不可分一体の方針として、サステナビリティ基本方針を策定しております。今後も、ESG経営の考え方を事業の中心に据え、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
<経営理念> ■京急グループは、都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する ■京急グループは、伝統のもとに、創意あふれる清新な気風をもって、総合力を発揮し、社業の躍進をめざす ■京急グループは、グループの繁栄と全員の幸福との一致を追求する
京急グループは、グループ理念のもとで、「社会の持続的発展への貢献」と「京急グループの持続的発展」のよりよい循環を目指します。
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②総合経営計画 |
Ⅰ.概要
現在、2021年度から2023年度までを中期経営計画期間とした総合経営計画を推進しております。2035年度に目指すべき将来像である長期ビジョンの実現に向け、品川・羽田・横浜の「成長トライアングルゾーン」のポテンシャルを推進力とした沿線活性化を図るとともに、人口減少や生活様式の多様化をはじめとした事業環境の変化に対応するための事業ポートフォリオ変革等を推進しております。特に、中期経営計画期間においては、ローコストオペレーションをはじめとする事業構造変革や、不動産事業の強化に注力するとともに、品川駅周辺開発事業等を着実に推進し、グループの持続的な発展を目指しております。
(京急グループ総合経営計画体系図)
(注)京急グループ総合経営計画の詳細は、当社ウェブサイトに掲載しております。
https://www.keikyu.co.jp/ir/policy/vision/
Ⅱ.事業戦略の核となる考え方
「移動プラットフォーム」と「まち創造プラットフォーム」の相互価値提供・価値向上
京急グループの持続的な発展を実現するため、鉄道・バス・タクシー・その他の移動手段の連携、MaaSを活用した快適でスムーズな移動など、高付加価値化した移動サービスを提供する「移動プラットフォーム」と、地域の特性に合わせたエリアマネジメントを通じて、拠点となる駅や周辺地域の魅力を高めることで人の流れを創造する「まち創造プラットフォーム」が相互に価値を提供し合い、双方の価値向上につながる正のスパイラルを拡大させることで、持続的な沿線価値の創造に取り組んでおります。
「移動プラットフォーム」においては、需要に即したダイヤ編成による輸送の効率化、鉄道とバスとの接続の改善、シェアサイクル等との連携などが進んでおります。また、「まち創造プラットフォーム」においては、エリアマネジメント構想「COCOONプロジェクト」を推進しており、観光型MaaSを展開する「三浦COCOON」に加え、「おおたCOCOON」、「横浜COCOON」を開設するなど、まちづくりに向けた地域連携の拠点として沿線地域に順次拡大しております。さらに、京急グループが運営していた三浦半島エリアにおけるレジャー施設について、ブランドやノウハウを持つ外部事業者への賃貸や共同事業への転換を進めております。
このほか、2つのプラットフォームが相互に価値を提供し合い、双方の価値向上につなげるため、各本部およびグループ会社がさらに緊密に連携する体制を構築する必要があると判断し、2023年4月に「新しい価値共創室」を新設しました。「新しい価値共創室」が、京急グループ全体の事業および事業エリアを俯瞰し、グループ横断的な事業戦略の立案・推進をすることで、新しい価値創造の全体最適を図ってまいります。
(相互価値提供・価値向上の概念図)
Ⅲ.中期経営計画の進捗状況
ⅰ.事業環境
新型コロナウイルス感染症の拡大当初と比較し、日本入国時の水際対策の緩和や国内旅行需要の回復等が進んでいるものの、ライフスタイル・ワークスタイルの変化の定着に加え、動力費の高騰等による厳しい事業環境が継続しております。中期経営計画における2022年度の進捗状況ならびに2023年度の取り組み方針および業績予想は、以下のとおりであります。
ⅱ.2022年度の進捗状況(金額は、対2019年度)
事業構造変革による経営基盤の強靭化について、鉄道、バス、ホテル事業におけるローコストオペレーションは概ね計画どおり進捗しております。鉄道事業では、需要に合わせたダイヤ変更やスマートサポートシステム導入等による人件費、委託業務の内製化やデジタル化(業務効率化)による経費および宣伝計画の見直し等による一般管理費をはじめとしたコスト削減を実施した結果、約31億円の費用削減を実現しました。また、バス事業では、路線・営業所の再編等を実施した結果、約36億円の費用削減を実現しました。さらに、ホテル事業では、従業員のマルチタスク化や自動チェックイン機の導入等を実施した結果、損益分岐点売上を約6.5億円引き下げました。
不動産ファンド投資の強化推進については、保有物件を売却して得た資金で私募ファンドへの出資および実物不動産を取得し、利益の拡大を図りました。
また、品川駅周辺開発事業の西口地区・高輪3丁目開発については、2022年11月に建物計画を定める地区計画の都市計画変更を決定しており、2026年度の竣工を目指し、着実に計画を推進しております。
ⅲ.2023年度(中期経営計画の最終年度)の取り組み方針および業績予想
2023年度は中期経営計画の最終年度でありますが、総合経営計画に掲げる指標のうち、営業利益は目標達成とする一方、純有利子負債/EBITDA倍率は目標未達の予想としております。厳しい事業環境においても中長期的な成長を着実に進めるため、中期経営計画における各種取り組みをいっそう推進してまいります。
事業構造変革による経営基盤の強靭化について、鉄道事業では、引き続き委託業務の内製化や保守・点検業務の見直し等を継続して行うことで、コストの削減を目指しております。また、ライフスタイル・ワークスタイルの変化は定着しつつあり、コロナ禍前の輸送水準への回復は困難と認識しております。そのため、コスト削減と営業努力を前提として、2023年10月に運賃改定を実施することで、既存設備の適切な維持更新や安全対策等を進め、鉄道事業運営の健全性を確保してまいります。バス事業では、引き続きダイヤの効率化等によるコストの削減に加え、2023年3月に実施済みの川崎市内線の運賃改定のほか、東京都内や三浦半島での運賃改定の検討・実施によって、営業利益の改善を想定しております。ホテル事業では、引き続き運営効率の向上に努めるとともに、回復傾向にある国内レジャー需要やインバウンド需要の取り込みおよび2024年度以降に開業予定の新館計画を着実に実行してまいります。
不動産事業の強化推進については、引き続き成長トライアングルゾーンを中心とする駅周辺開発、保有物件の流動化によって得た資金の再投資による資産回転型モデルを通じた利益拡大、分譲マンションの安定供給等を推進してまいります。
品川駅周辺開発事業については、西口地区・高輪3丁目開発を中心に、「これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点・品川」を目指し、中長期的な成長に向け、各種取り組みを進めてまいります。
なお、2023年度内に高輪3丁目開発の共同事業者であるトヨタ自動車㈱ に対して土地譲渡を予定しているものの、協議中かつ土地区画整理事業のスケジュール変動の可能性があることから、業績予想には織り込んでおりません。引き続き、事業構造の変革および保有資産の有効活用等を推進し、京急グループの持続的な成長に向け、財務健全性の維持に注力してまいります。
(2023年度の業績予想と経営計画における目標水準)
| 業績予想 | 経営計画における 目標水準 |
営業利益 | 230億円 | 約230億円 |
純有利子負債/EBITDA倍率 | 8.8倍 | 8.0倍以下 |
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