丸運
【東証スタンダード:9067】「陸運業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念及び行動指針
当社グループは、経営理念と行動指針を以下のとおり定めています。
(2)長期ビジョン
当社グループでは、長期的な経営戦略として2022年5月に「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定・発表しております。この長期ビジョンでは、当社グループの2030年のありたい姿を提示し、営業収益600億円以上、経常利益20億円以上を達成することを目標として、営業強化分野と次期成長分野にM&Aを含む総額120億円の積極投資を行っていくこととしております。
<2030丸運グループのありたい姿> ~事業の将来像~
◆ 貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営を継続し、高いコスト競争力と提案営業力を有する物流エキスパート企業となることを目指します。
◆ そのために、国内一般貨物を基盤として、素材の国内外一貫物流を強化すること、今後市場成長が見込まれるリサイクル物流分野、機工分野、食品流通分野及び潤滑油化成品等の危険物保管分野への積極的な投資を実行することにより成長を追求します。
◆ また、減少していく石油輸送については、安全を確保しつつ効率化を推進します。
(3)中期経営計画
長期ビジョンの実現に向けて、2023年度を初年度とする3ヵ年を対象とした第4次中期経営計画を策定しております。
中期経営計画策定後、国内では、地政学的な要因と円安によるインフレの進行、物流2024年問題に伴い一気に顕在化しているドライバー不足など、物流業界を取り巻く事業環境が厳しさを増しております。このような環境下、当社は、適正運賃・料金の収受についてコスト分析に基づく丁寧な説明・交渉を実施してまいりました。その結果、多くのお客様にご理解をたまわり、運賃・料金改定は大きく進展しました。
一方、中国経済の成長鈍化、米中貿易摩擦等に伴う貿易量の低迷は、当社の掲げる国内外一貫物流拡大の大きな阻害要因となっております。また、昨今の米国の関税政策をめぐる不確実性の増大は、お客様の稼働・荷動きを通じて当社の業容にも大きく影響する可能性があります。特に海外物流事業については、戦略の見直しを行い、生産財シフトに伴う設備輸送の強化などを図ってまいります。
第4次中期経営計画に掲げた基本方針ごとの対応状況は、以下のとおりです。
<基本方針1>長期ビジョン実現に向けた基礎固めと種まき
基礎固め項目の一つである「提案営業力の強化」については、2024年4月に設置した営業開発部を中心に、新規顧客開拓と既存顧客の深耕を追求し、徐々に成果が出始めております。今後、更なる新規大型案件の獲得に努めてまいります。また、海外営業の強化について、ベトナムにおいて物流梱包事業を営むSAO NAM INTERNATIONAL SERVICE & TRADING JOINT STOCK COMPANY(以下、「SANCOPACK社」という。)と資本業務提携を実施しております。
「コスト競争力の強化」については、複数の拠点でハンディターミナルの導入による効率化を進めたことに加え、デジタコデータの活用、自動点呼への対応など、更なるDX実装に向けて予算化を行い、2025年度での実施を目指してまいります。
また、「次期成長分野拡大のための種まき」については、機工分野において永年の経験と優れた技能を保有する有限会社中村運輸機工の全株式を取得いたしました。今後も、M&Aや資本参加の更なる成案化に向け、積極的に活動を継続してまいります。
<基本方針2>2024年問題への適切な対応
政府は、持続可能な物流の実現のため、改正物流関連二法を2025年4月1日付で施行しました。この法改正では、物流の効率化を促進するとともに、多重下請けの解消や実運送会社による適正運賃・料金の収受など、取引慣行の健全化に向けた規制を強化しております。これを受けて当社は、委託先との丁寧な運賃交渉及び管理システム改修等の必要な投資を行い、発注適正化のための取組みを強化しております。
また、物流効率化の取組みにおいては、お客様と連携しながら、ドライバーの配送回数や配送業務の平準化を更に進めるとともに、リアルタイムの時間管理を強化するために、デジタコデータの活用システムを全車に導入してまいります。
(4)セグメント毎の課題及び対応
≪貨物輸送≫(持続可能な物流体制の維持強化及び更なる業容拡大)
当部門においては、持続可能な物流体制の維持強化を重要な課題として認識しております。
そのため、適正運賃・料金の収受によるドライバーの待遇改善に努めるとともに、採用活動を強化してまいります。
また、提案営業力の強化のため司令塔として設置した営業開発部や、稼働を開始している営業情報システムにより迅速な情報共有を進め、素材関連の国内外一貫物流業務の獲得に努めてまいります。さらに、機工事業、通運事業といった当社の強みのある分野においてタイムリーな物流提案を行うことにより、更なる業容拡大を目指してまいります。
≪エネルギー輸送≫(石油輸送事業の徹底効率化とドライバーの確保、潤滑油・化成品事業の輸送・保管の強化)
当部門においては、ドライバーの確保が喫緊の課題と認識しております。慢性的なドライバー不足に対しては、待遇改善を図るとともに、ホームページやSNS等を活用し採用活動を強化することで、お客様のサプライチェーンの維持に貢献してまいります。
石油輸送事業については、引き続き、適正運賃・料金の収受に向けてお客様の理解を得ながら進めるとともに、事業のコスト競争力を強化し、エネルギーの安定供給に貢献してまいります。
潤滑油・化成品事業については、培ってきた知見や設備の活用により新規案件の獲得に取り組むとともに、需要拡大が見込める関東地区において、危険物保管にかかる事業拡大に取り組んでまいります。
≪海外物流≫(国内外一貫物流の獲得及びベトナム事業の拡大)
当部門においては、低調な推移が続く中国経済の影響を受け、国内外の輸出入の取扱が伸び悩む状態が続いております。また、昨今の米国の関税政策等により海外物流事業は総じて不確実性が増しております。このような環境の中で、事業を維持し、拡大に繋げる戦略の見直しが重要課題と認識しております。
当社の掲げる海外から日本国内に向けた設備に関する一貫物流については、一層の提案営業を展開し、新規の業務獲得に繋げてまいります。
また、ベトナム事業においては、資本提携を実施した現地の物流梱包事業会社であるSANCOPACK社とのシナジー効果を高めることで、梱包から保管、通関、仕向地での輸送・開梱の一連の業務を一貫して行えるワンストップ物流サービスの提供が可能になります。このサービスを通じて、ベトナム事業のさらなる拡大を目指してまいります。
≪テクノサポート≫(受託業務の安全・品質の向上による事業の維持継続)
当部門においては、お客様の安全・安定操業を継続してサポートしていくことが、重要な課題と認識しております。
そのためには、安定操業の為の人員確保と財源となる料金改定に注力し、作業効率向上に繋がる設備や労働環境の整備に投資してまいります。
また、石油需要の縮小が見込まれる中で、お客様の環境・安全・品質活動に対する適切なサポートを継続し業務規模を維持してまいります。
(5)ESG経営
当社グループは、サステナブルな社会を支える総合物流企業として持続的な成長と企業価値向上を図るため、2021年度からESG経営を推進しております。具体的には「運輸安全の向上」「労働安全衛生の向上」「脱炭素社会の形成」「環境負荷の軽減」「ダイバーシティの推進」「コンプライアンスの徹底」を最優先課題(マテリアリティ)に設定し、グループ全社で取り組んでおります。特に、人手不足が社会全体の課題である中、「ダイバーシティの推進」においては、エンゲージメントサーベイやワークショップによる現状把握のもと、エンゲージメントの向上や多様な人財が能力を最大限発揮できる職場環境の構築に取り組み、引き続き人財の確保・定着に努めてまいります。これらの活動を通じて事業の持続的な成長を目指すとともに、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
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