丸藤シートパイル
【東証スタンダード:8046】「卸売業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 経営理念
当社グループは建設業界のニーズに応えた資機材及び技術・工事・加工の提供を通じて社会資本の整備に貢献します。
a.安心・安全を守り、公正で誠実な企業活動により、全てのステークホルダーの期待に応えます。
b.優れた技術力を追求し、価値ある商品・サービスを提供して社会に貢献します。
c.人を大切にして人を育て、信用と信頼を基礎に、魅力ある企業を目指します。
② 中長期ビジョン(2030Vision)
当社グループは、中長期ビジョン(2030Vision)として、「コア事業の基盤強化と次の100年の創造」を掲げ、以下の実現を目指してまいります。
1) 重仮設のパイオニアとして揺るぎない存在感
2) 新たな事業領域などへのチャレンジ
3) 当社の成長を通じて、社会の発展に貢献、ステークホルダーとの共生
4) 多様な強い人材『個』が活躍できる企業
以上の中長期ビジョンの実現のためのマイルストーンとして2024年5月に発表しました中期経営計画(2024-2026年度)では、以下の基本方針を定めました。
③ 中期経営計画期間中(2024-2026年度)の基本方針・経営戦略
<基本方針>
持続的な企業価値向上のため、外部環境の変化に的確に対応し、人材育成ほかの経営力を強化しつつ、事業基盤の強化、事業構造の変革・進化をさらに推進する。
<経営戦略>
コア事業を強化し、次の100年を創るための進化と変革の3年間
1) 2030年に向けた中長期ビジョン達成のため、コア事業のゆるぎないポジション確立と将来の飛躍的な企業価値向上を展望する経営基盤の構築
2) 本業の重仮設という幹を強く太くするために自ら変革し、成長の種をまき、将来に向けてステップアップするための3年間
④ 主要な取り組み状況
2024年5月に公表しました中期経営計画(2024-2026)の初年度の2024年度では、最終年度の定量的目標の総売上高400億円に対しましては約89%進捗の355億円で終えましたが、経常利益20億円の目標に対しましては20億77百万円と約104%の進捗で終えております。
稼ぐ力の強化に向けた取り組みとして、工事部門では各現場での最適かつ現場のニーズを見定めた様々な工法・工種の提案を実施し、収益の拡大を図っております。更なる強化のために機械設備の入替および新規導入を進めております。加工部門では現場の建築分野・土木分野のなかの特殊な受注加工物件の拡大・強化に取り組んでおります。また、橋梁分野では建設後50年以上経過するインフラ構造物の橋梁の架け替え工事や災害復旧工事などのあらゆる需要に対応できる製品のラインアップを揃え、機動的な人的リソース体制の強化を図っております。
当社が保有する建設資材を管理する工場部門では、就労者の高齢化・将来の人手不足に考慮し、整備ラインのオートメーション化に取り組んでおります。2025年度末までには茨城工場で自動整備ラインの稼働に向けた設備投資を実施しております。現場で使用した建設資材の再利用のための洗浄や塗装、乾燥を自動化することで人員数の軽減が実現化できます。鋼矢板の自動洗浄機も名古屋工場で導入し成果が実証されていることから、今後、他工場にも導入を展開してまいります。
中期経営計画期間中におきましては、経営目標を達成していくために経営基盤の強化と成長に向けた投資を計画し実施してまいります。株主還元の取り組みでは、投資とのバランスを考慮し、資本効率や財務状況を総合的に勘案しながら、配当性向30%程度を視野に入れた利益配分を実施してまいります。
(2)経営環境
当連結会計年度のわが国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境が改善するなかで、緩やかな回復基調が続きました。一方で、物価上昇の継続や金融資本市場の変動に加え、不安定な国際情勢と米国の通商政策による影響が国内経済の下押しリスクとなっており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属する建設業界におきましては、公共投資や設備投資に底堅さが見られるものの、鋼材価格の高止まりや労務費の高騰による建設コストの上昇に加え、建設従事者の高齢化や人手不足による労務需給の逼迫、時間外労働の上限規制の適用による工事の着工遅延や進捗遅れ等の影響が懸念されました。また、激甚化する自然災害やインフラ設備の老朽化による災害事故の急増など、環境変化への迅速な対応が実施されました。
今後の国内経済につきましては、企業の賃上げ促進等による雇用所得水準の改善や設備投資の堅調な推移により、引き続き緩やかな回復が続くことが見込まれます。一方で、物価上昇の継続や金融資本市場の変動、不安定な国際情勢および米国の通商政策による影響が国内景気の下押しリスクとなっており、依然として不透明な状況が続いております。
建設業界におきましては、従来からの技能労働者不足、建設従事者の高齢化、鋼材価格の高止まり、労務費の高騰、時間外労働の上限規制の適用による建設コストの上昇の影響で懸念される工事の着工遅延、進捗遅れには引き続き注視する必要があり、採算面での厳しさは一層増すものと予想されます。一方で、都市部の再開発事業や民間設備投資プロジェクトに加え、国土強靭化対策やインフラの維持管理・老朽化対策など政府が進める公共投資の下支えが期待され、底堅い建設需要の推移が見込まれます。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき事業上の課題と具体的取り組みは以下のとおりであります。
① 企業リスクの管理とコンプライアンスの徹底
当社グループは、企業理念に掲げる「安全・安心を守る」ことを最重要課題と位置付けております。安全・品質・人材の確保は企業存続の根幹であります。基本に立ち返り、「安全管理活動の強化と意識改革への取組み」「不安全行動の撲滅」および「心と身体の健康確保」の安全目標を掲げ、社員・協力会社のすべての関係者が一体となり、安全管理、リスク低減を実施し、労働災害撲滅、無事故・無災害を目指してまいります。また、大規模自然災害等で役職員の身体・生命の安全確保と、事業資産の損害を最小限にとどめ、事業の継続あるいは早期復旧を可能にしていくためのBCP(事業継続計画)を策定し、実施・運用してまいります。
また、様々な企業リスクに対応するための徹底した危機管理体制を整備・構築し、コンプライアンス意識の深化に取り組んでまいります。コンプライアンス体制の内部通報制度の意義・重要性を高く捉え、組織の自浄作用を健全に発揮させるために通報対応の仕組みの整備・運用の見直しを行いました。売上や利益計画達成、工期厳守のために法律や規則、安全を無視・軽視するような行為は企業の信頼と存続を極めて危うくするということを深く認識し、グループ会社並びに協力会社の全役職員でコンプライアンス意識の向上に取り組んでまいります。また、内部統制システムの実効性の強化を更に高めてまいります。
② 中期経営計画(2024-2026) 「事業構造の変革」・「成長」・「経営力」
当社グループは、2024年にスタートした中期経営計画(2024-2026年度)において、重仮設資材の販売・賃貸及び技術・工事・加工を提供するコア事業の基盤強化と収益構造の変革と強靭化に取り組んでまいります。建設業界のニーズに応える重仮設資材の提供に重心を置きつつ、現場の潜在需要を見定めた新工種の提案、加工案件の受注拡大を図ってまいります。
また、整備能力・生産性の向上を図るため工場設備への積極的な投資を進め、建設資材の保有量を適切に維持・管理し資産の効率性を高めてまいります。加えて、技術力強化・業務プロセス改革のためのIT関連投資を進め、成長へ繋げてまいります。
経営力を強化するためには当社グループの成長・変革を担う人材の確保・育成が必要となります。人的資本への投資を増やし、社内研修制度をさらに充実させ、社員一人ひとりが能力を向上させ、成長に向かうことができる「魅力ある企業」を目指し、更には、「経営幹部との対話ミーティング」を社内のあらゆる役職者や非管理職の小グループと実施する事を通じて、会社の方針を直接説明すると同時に社員の声を直接拾い上げ、「人を大切にして人を育て」の企業理念の実現に向けて多様な強い人材『個』が活躍できる企業を目指してまいります。
なお、当中期経営計画期間中の定量目標は以下のとおりであります。
定量的目標 | ||
収益目標(2027年3月期 連結ベース) | 売上高400億円 | 経常利益20億円 |
株主還元 | 配当性向30%程度を視野に入れた利益配分 |
③ SDGsへの取り組み
当社グループは「建設業界のニーズに応えた資機材および技術・工事・加工の提供を通じて社会資本の整備に貢献する」ことを企業理念として掲げております。鋼材の反復利用を行う重仮設リースは環境に優しい事業モデルであり、常に「リサイクル」・「リユース」を意識した事業展開に努めております。
運送部門では、効率的な物流管理システムを構築しております。配車状況、運転手情報を一元管理し、現場までのルートの最適化などで運送距離を短縮化し、運転手の労働負荷を減らすこととCO₂排出量削減を実現してまいります。当社やグループ会社を含めた運送会社が連携して物流の効率化に取り組み、より安全で快適な運送業務を目指すことで環境への影響を軽減してまいります。
また、高強度材を用いた山留・構台・桟橋関連商品や仮桟橋商品は再利用が可能で、現場の多様なニーズに対応可能なリース商品として提供しております。基礎工事の工法では工期短縮、削孔時のセメント材不要、建設残土の削減など、環境への負荷の大幅な軽減を実現し現場の工期進捗に貢献しております。
当社は工事部門および工場部門で着用するユニフォームを20年ぶりにリニューアルいたしました。素材をCO₂排出削減に貢献する植物由来のストレッチ素材を採用しました。機能面でも現場ニーズを多数採用し、環境性、機能性、安全性を徹底追求した仕様・デザインとなっております。
今後も持続可能な社会の実現に向けた環境意識の向上を図り、技術力・開発力を強化し、新商品および新工法を提供していくことで更なる社会資本の整備と充実に貢献してまいります。
④ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み
当社グループでは、対処すべき課題も含めた中期経営計画の達成に向けて取り組みながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。業績面での売上や利益水準の向上とともに、財務の健全性を維持し資本コストや資本収益性を意識した最適な資本構成の実現に向けた取り組みを実施してまいります。当社の資機材を管理する工場部門では、働き手の高齢化と将来の人手不足に対応し、同時に生産性を追求した設備投資を積極的に推進してまいります。工事部門と加工部門では環境負荷軽減と工期短縮、現場の潜在需要を見定めた新工種および加工案件の更なる研究と機械への投資を継続し、必要に応じてM&A(企業合併・買収等)やアライアンス(業務提携等)を検討しながら収益力拡大を目指してまいります。
業績に裏付けられた安定且つ適正な配当を継続しつつ、中期経営計画の達成に着実に取り組むことで、定量的指標の改善を目指し、全てのステークホルダーの期待に応えてまいります。
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