丸全昭和運輸
【東証プライム:9068】「陸運業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「物流の分野に於て、お客様第一主義をモットーに、高品質なサービスの提供をします」を経営理念の第一に掲げ、お客様にとって最良のロジスティクスパートナーとなるべく、“モノや情報の流れ”を一体としてシステムと捉えて、物流最適化の提案を行っております。サービス品質の向上と経営基盤の安定的な拡大により、常に株主を初めとするステークホルダーの期待に応え、広く社会に貢献できる企業を目指すことを基本方針としております。
また、社是「熱と努力」を掲げ、仕事への熱い思い入れと仕事をやり遂げる不断の努力がいかに大切であるかという創業者中村全宏の精神を引き継ぎ、当社グループ全社員、一丸となって業務に取り組んでおります。
(2)経営戦略等
当社は、2022年3月に2030年度に向けた長期ビジョンを策定し、2025年3月に2025年度から2027年度までの3年間を対象とする第9次中期経営計画を策定しております。
長期ビジョンでは、「テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー」を目指す姿として、以下のとおりお客様と社会に貢献してまいります。
(お客様への貢献)
・DXの取り組みを通じて、自社内の省力化を図ると共に、データを蓄積する仕組みを整備し、そのデータを利用した提案で、物流の効率化だけでなく、生産、販売の効率化、高付加価値化をグローバルに提供します。
・物流の共同化、標準化を進める中で、当社独自の現場対応でお客様に貢献します。
(社会への貢献)
・企業の稼ぐ力のサステナビリティと社会のサステナビリティの両立を目指します。
・株主、取引先、従業員、地域社会などステークホルダーの満足度を高めます。
長期ビジョンの基本戦略は以下のとおりとなります。
(1)成長領域への拡大(SDGsをビジネスに)
(2)DXによるビジネスモデルの変革
(3)グローバル物流の拡大
(4)経営基盤、事業基盤の変革
第9次中期経営計画の概要は以下のとおりです。
物流業界における当社グループを取り巻く環境は、大きく変化しています。ドライバー不足は言うまでもなく、トラックの多重下請け構造に対する規制や倉庫建設費の上昇などこれまでの物流業のビジネスモデルに影響を与える多くの事象が起こっています。また、政府は企業再編を促す政策を進めており、物流業界においても再編のうねりは本格化しています。そのような中で、当社グループが自らの存在価値を高め、飛躍するためには、目指す姿「テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー」を実現し、最速のスピードで企業価値を向上させることが求められています。当社は昭和6年の創業以来、日本経済の発展とともに着実に成長を続けてきました。しかし、今までの手法、過去の成功体験を踏襲するだけでは、この環境変化に対応できません。本中期経営計画期間中に次期基幹システムが本稼働し、当社グループのビジネスモデルを情報活用型へと転換する基礎ができます。システムを活かし、より効率的に事業戦略を実施する企業への進化を目指して、構造改革の取り組みに着手します。
<重点施策>
1.売上の拡大
(1)3PL事業の売上拡大
(2)成長ターゲットの売上拡大
(3)新規・既存荷主の売上拡大
(4)グローバル物流事業の売上拡大
2.事業競争力の強化
(1)3PL事業の強化
①3PL業務の標準化
②3PL事業の内製化推進
(2)ロジスティクス事業の基盤強化
①自社車両の増加に対する取り組み
②国内物流拠点の拡充
(3)グローバル物流事業の拡大
①海外物流拠点の拡充
(4)構内作業/その他の事業の強化
①作業遂行力の確保
②機械化・省人化の推進
3.企業基盤の変革
(1)組織の改革
①専門組織の設置(拠点開発、M&A)
②業務機構の再編(海貨業務、配車業務等)
(2)設備投資の促進
①起案部門および関係者に対するインセンティブの検討
(3)M&Aの実施およびアライアンスの強化
①M&Aの実行(対象:物流子会社、新規事業に繋がる企業、3PLに繋がる実運送事業者、設備のメンテナンスに強みを持つ企業)
②同業他社とのアライアンスによる競争力強化
(4)人的資本の活用と強化
①継続的な人材の確保
②グループ会社の人事制度整備
③キャリアパスの策定とダイバーシティの推進
④教育による能力向上とプロフェッショナルの育成
(5)DX戦略の推進
①次期基幹システムの構築と稼働
②物流プラットフォームの構築
③デジタイゼーションの推進
(6)営業推進体制と機能の強化
①全社営業推進体制の整備
②営業支援ツールの整備
(7)サステナビリティに関する取り組み
①気候変動への対応
②働き甲斐のある職場づくり
③リスクへの対応
④ガバナンスの強化
⑤適切な情報開示と市場評価向上への取り組み
<経営目標>
(単位:億円)
| 2025年度 | 2026年度 | 2027年度 | |
連結 | 売上 | 1,530 | 1,620 | 1,760 |
経常利益 | 165 | 175 | 185 | |
個別 | 売上 | 1,230 | 1,290 | 1,360 |
経常利益 | 140 | 145 | 150 |
RОE(2025年度~2027年度):9.0%~10.0%を目標とする。
<投資計画(2025年度~2027年度)>
設備投資:400億円(DX投資を含む)
M&A :100億円
<資本政策>
1.配当性向
株主還元を重要政策と位置付け、配当については、会社の業績と配当性向、自己資本利益率などを総合的に勘案して、長期的に安定した配当を継続することを基本方針とします。配当性向は、3年間の連結ベースで35%以上を目標とします。
2.政策保有株式
当社は、取引関係の維持・強化や事業活動上の必要性および合理性があると認める場合に限り、上場株式を政策的に保有しております。本中期経営計画期間中においては、検証の結果、保有の合理性が認められない株式については適宜売却する方針とし、積極的に政策保有株式の縮減を図ることとします 。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
2025年度を初年度とする3か年にわたる第9次中期経営計画を策定し、数値目標を達成すべく取り組んでおります。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、売上高、経常利益、ROE(自己資本利益率)が主になります。これらの経営指標は、企業の成長性、収益性、効率性を分析するための基本的な指標であり、当社グループでは、これらの指標を継続的に改善させることにより、中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。本中期経営計画では、2027年度に売上高1,760億円、経常利益185億円達成を目指しております。
(4)経営環境
今後の我が国経済は、企業の設備投資や個人消費の増加に加え、インバウンド需要の拡大や世界的な半導体需要の回復を背景に、景気は緩やかな持ち直し基調を維持すると予想されます。一方で、国際情勢の不安定化に起因する、原油価格や原材料価格の高騰、さらには食料品価格の急騰など、サービス分野での物価上昇ペースが加速した場合には、個人消費の低迷を招き、国内景気や企業収益への影響が懸念されます。
また、海外経済に目を向けると、アメリカの経済力を背景とした、自国優先の政策展開、特に関税問題が世界経済に悪影響を及ぼす懸念があり、加えて、中国における関税対抗策の動向や、欧州主要国の政治情勢の不安定化なども、国内景気の回復基調に大きく影響するものと考えられます。
(5)事実上および財務上の対処すべき課題
当社グループでは、2025年度を初年度とする3か年にわたる第9次中期経営計画を策定し、今年4月から実施しております。本計画においては、当社グループが目指す姿である「テクノロジーと現場力で、お客様の未来を創造するロジスティクスパートナー」を実現し、企業価値の向上が不可欠となる中、本計画期間中に本稼働する次期基幹システムを活かして、さらに効果的な事業戦略を実行できる企業へと進化を目指すための構造改革に取り組みます。そのためには、3PL事業やグローバル物流事業等における「売上の拡大」、倉庫や車両の自社保有を拡大し、国内外の物流拠点を強化する「事業競争力の強化」、さらに組織改革による意思決定の迅速化や、設備投資、M&A等の推進によるネットワークの強化を図るとともに、継続的な人材確保や社員教育、DX戦略の推進、サステナビリティの観点からの情報開示や市場評価向上に取り組む「企業基盤の変革」を重点施策に、これらをブランドスローガン「物流は、愛だ。」のもと、当社グループ全役員・社員が一丸となり、第9次中期経営計画を推進してまいります。
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