中部電力
【東証プライム:9502】「電気・ガス業」
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企業概要
文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものである。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は,変化する事業環境に対応し,ステークホルダーのみなさまとともに持続的な成長を実現するため,2025年4月に企業理念を「人と社会のつながりを,幸せのエネルギーに」へ改定いたしました。新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって事業に取り組んでまいります。
当社を取巻く事業環境として,燃料価格につきましては,足元では低位に推移しておりますが,地政学リスクをはじめとする国際的な政治情勢の変化などにより,ボラティリティ(変動性)・不確実性が高い状態が継続しております。また,物価・労務単価・金利の上昇などにより投資環境の不透明性が増しております。さらに,再生可能エネルギーの大量導入による電気の流れの複雑化などにより,適切な電力品質の維持が難しくなっております。中長期的には,GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などにより電力需要は増加傾向に変化しており,エネルギー安定供給確保,経済成長,脱炭素を同時実現するべく「GX2040ビジョン」や「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されました。また,電力システム改革の検証結果が取りまとめられ,安定供給確保や脱炭素化に必要な投資を確保していく仕組みを整備するとの方向性が示されております。
当社は,新たな企業理念のもと,経営ビジョン2.0の達成に向けグループ一体となって,電力の安定供給確保,分散・循環型システムが併用された安全で安心な脱炭素社会の実現,事業構造の変革を通じた新たな収益源の獲得・拡大,電化等による需要創出に取り組んでおります。
また,お客さまや地域・社会などのステークホルダーが求める価値を起点に新たなサービスを創出し,エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に,当社グループの人財一人ひとりが取り組み,2050年に向けて持続的に成長してまいります。
加えて,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。
今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。
(2) 目標とする経営指標
2025年度は中期経営目標の最終年度であり,引き続き,国内エネルギー事業において安定的な利益の確保に取り組むとともに,新成長領域やグローバル事業において収益の拡大などに努め,「連結経常利益2,000億円以上,ROIC3.2%以上」の達成を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題
当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド㈱,販売部門を中部電力ミライズ㈱にそれぞれ分社し,これらに㈱JERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。中部電力パワーグリッド㈱においては,一層の中立性・公平性を図るとともに,中部電力ミライズ㈱・㈱JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。
このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスの実現・提供により,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。
(S(安全性の確保)+3E(エネルギー安定供給・経済効率性・環境適合性)の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,特定の電源に依存せず,多様かつバランスの取れた電源構成が重要であるとの考えにもとづき,エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い再生可能エネルギーや原子力発電の最大限の活用などに取り組むとともに,供給力・調整力として重要な役割を担う火力発電の活用継続とその着実な脱炭素化を推進してまいります。
再生可能エネルギーの拡大については,2017年度比で「2030年頃に保有・施工・保守を通じた320万kW(80億kWh)以上」を目指し,投資環境を見極めながら開発に取り組むとともに,グループ会社による太陽光発電設備の保守・施工などを進めてまいります。
浜岡原子力発電所については,今後も,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に早期の再稼働に向けて取り組んでまいります。
また,電力需要の趨勢に応じて安定供給に必要な火力発電の維持等や燃料の確保に加え,JERAゼロエミッション2050のもと,非効率石炭火力の停廃止や水素・アンモニアのサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組んでまいります。
さらに,系統の次世代化や経済合理的な設備形成を進めるとともに,電力需給の大きな転換を踏まえ,ウェルカムゾーンの公表を通じた大型需要の適地誘導等のより良い連系サービスの提供に取り組んでまいります。加えて,太陽光発電をはじめとした自然変動電源の予測精度向上,他の一般送配電事業者と連携した広域的な需給運用の拡大などにより,中部エリアを中心に全国の安定供給の維持に寄与してまいります。
(浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)
浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。
3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査の審査会合において,基準地震動に引き続き基準津波も「おおむね妥当」と評価され,これらにもとづくプラント関係の審査に進んでおります。
今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の早期の再稼働に向けて取り組んでまいります。
(地域課題解決に向けた取り組み)
中部電力グループは,エネルギー事業とさまざまなサービスを掛け合わせた新たなサービスをお届けすることで,新たな価値の創出を目指しております。
不動産事業については,2025年4月に不動産事業本部を設置し,日本エスコン及び中電不動産とともに,グループの強みを活かしたまちづくりを推進してまいります。
また,資源循環・上下水道・森林などの地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して,地域のみなさまの安全・安心・利便性向上につながる取り組みを推進してまいります。
今後も,これらの取り組みを通じて,地域課題の解決に貢献してまいります。
(資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組み)
中部電力グループは,企業価値向上を重要な経営課題と考えており,東京証券取引所の「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請も踏まえ,取り組みを進めております。
資本効率の向上については,政策保有株の売却などに取り組んできておりますが,今後は,事業ポートフォリオの組み替えや資産の入れ替え,事業別目標管理の高度化などを進めるほか,中期的な事業リスクの変化に応じた自己資本の水準を念頭に置きながら,自己株取得の検討も含め,最適な資本構成の追求,ROE(自己資本利益率)向上に努めてまいります。
また,浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組みや新成長領域における取り組みなどについても,定量的な情報を開示するとともに,対話を通じて資本市場のご理解をいただくよう努めてまいります。
なお,これらの取り組みについては,次期中期経営計画において具体的に取りまとめ,公表させていただきます。
中部電力グループは,脱炭素社会の実現,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続やサイバーセキュリティの高度化など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長に努めてまいります。
今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じ,コンプライアンス経営を徹底するとともに,企業の社会的責任(CSR)を果たすことで,ステークホルダーのみなさまとともに,社会の持続的な発展(サステナビリティ)に貢献してまいります。
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