中部鋼鈑
【東証プライム:5461】「鉄鋼」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「資源リサイクル」による鉄づくりを原点として、新たなる社会的価値の創出に挑戦することを存在理念とし、また、トータル・テクノロジーを基盤とし、市場を見つめた経営を実践することを経営理念としております。
当社の電気炉による厚板の製造は、ユーザーニーズに対応したタイムリーな基礎資材の供給とともに、資源の有効活用、省エネルギー等を通して、近時、社会的要請となっている環境の保全、循環型社会の構築にも寄与できるものと考えております。
経営にあたっては、株主・取引先・従業員・地域社会など当社にかかわる全ての人々に受入れられ、期待される会社となるよう、経営基盤の強化と持続的な成長を目指して企業活動を行っております。
(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
次期のわが国経済につきましては、緩やかな回復が期待されるものの、相互関税の導入をはじめとする米国の通商政策が世界の貿易・経済に及ぼす影響や中国経済の長期的な低迷懸念など、先行きは不透明な状況が続くと見込まれます。
国内厚板市場は、慢性的な人手不足による建築需要の低迷や海外経済減速の影響により厳しい環境が継続すると見込まれるものの、当社におきましては、昨年度、事故により長期間操業を停止していた新電気炉が本格稼働することにより、生産及び販売量は当期を上回る見通しです。
このような環境のもと、新電気炉の性能を発揮した効率的な操業とコストダウンの実現、CO2排出量の削減をはじめとした環境負荷低減への取り組み、品質のさらなる向上を進めるとともに、お客様の多様なニーズに応える高品質な製品を市場に安定的に供給することで、企業価値の持続的な向上に努めてまいります。
<24中期経営計画(2024~2026年度)の概要と進捗状況について>
当社を取り巻く外部環境や社会からのニーズの変化を踏まえ、24中期経営計画の目標を「時価総額1,000億円を目指す」と定め、「鉄鋼製品80万トンの販売」、「脱炭素対応」、「持続可能な基盤整備」の3つの基本方針に従って、諸施策を㈱中山製鋼所との業務提携を有効に活用しつつ推進しております。
・基本方針1 鉄鋼製品80万トンの販売
高炉メーカーの構造改革で生産設備の集約が進むことによる厚板供給量減少の代替に加え、今後さらに高まると予想されるユーザーの脱炭素需要に応えるため、鉄鋼製品の販売量を80万トンまで高めるべく製造、販売両面での体制強化に努めます。
新電気炉への更新による生産性向上を最大限発揮するため、CC(連続鋳造設備)の生産性向上やスクラップヤード・製品ヤードの拡張などに3ヶ年で約120億円規模の戦略投資を計画しています。さらなる省エネ化や増産によるコスト競争力強化、新電気炉稼働に伴うCO2排出量削減効果に基づくグリーンスチールの開発などを進め、積極的な営業活動により新規ユーザーの獲得を目指します。
上記の方針に基づき、中計初年度の2024年度につきましては、新電気炉への更新を行い、主原料の鉄スクラップ購入時の検収精度を高め、品質確保に繋げるためAI検収システムを導入しました。今後は、目標販売量80万トンに向けて、新電気炉の安定稼働による顧客の信頼回復と設備投資に取り組むとともに、「付加価値・収益性拡大」に向けた2つの戦略により、メタルスプレッドの維持・拡大にも努めてまいります。
・基本方針2 脱炭素対応
当社は「2050年カーボンニュートラル」に向け、2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すため、新電気炉による省エネルギー効果に加え、省エネ設備投資や再生可能エネルギー確保等を実施することで、CO2排出量削減を進めます。また、GXリーグや気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示の充実にも努めてまいります。
上記の方針に基づき、中計初年度の2024年度につきましては、当社製品「厚鋼板」でエコリーフ(※1)を取得し、オフサイトPPAの導入を実施しました。また、CDP(※2)が実施する調査に回答し、気候変動及び水セキュリティ部門で「B」評価を取得しました。今後は、「付加価値・収益性拡大」に向けてオフサイトPPA電力を適用したグリーンスチールの市場投入と、新電気炉の省エネ性能を発揮し、顧客へ付加価値を訴求してまいります。
※1 エコリーフは、製品やサービスの全ライフサイクルを通じた環境への影響を表示するものです。当社厚板の製造から使用・廃棄を通して排出されるCO2排出量などが、第三者機関により証明され公開されました。
※2 CDPは、企業や自治体の環境関連の取り組みを評価し開示する国際的な環境非営利団体です。年1回調査を実施し「A」から「D-」までの8段階のスコアで評価します。
・基本方針3 持続可能な基盤整備
成長を支える基盤として最も重要な従業員の活力向上を実現するため、人的資本戦略をさらに充実させるほか、業務効率化に向けたDX戦略、ガバナンス・リスク管理・コンプライアンスの強化、効率的なバランスシート運営、環境・防災・BCP、子会社戦略等の各種施策を進め、長期的な成長の実現に向けた企業基盤の構築を加速します。
上記の方針に基づき、中計初年度の2024年度につきましては、人事制度を改定するとともに、エンゲージメント調査を実施しました。今後はエンゲージメント向上に向けて、人事考課や教育研修を通じた自律型人材の育成、企業理念やビジョンへの共感性向上、健康経営の推進などに取り組んでまいります。
<人的資本戦略イメージ>
・株主還元について
配当につきましては、安定的に実施することに意を払いつつ、当社グループの業績に見合った弾力的な配当を行うこととしております。配当金額については、企業価値の向上のための設備投資の実施、自己資本の充実などを総合的に勘案し決定しております。
上記方針に基づき、24中期経営計画(2024年度~2026年度)の期間中は、DOE(自己資本配当率)3.5%を目途に配当を行います。
・主要KPIの進捗状況
2025年1月に発生した製鋼工場事故による生産休止並びに製品供給が遅延したことにより、2024年度は中計初年度ではありますが、株主還元以外の項目について進捗に遅れが生じている結果となりました。
今後は、新電気炉の安定稼働を背景に取り戻しを図り、目標達成に向けて各施策に取り組んでまいります。
指標 | 数値目標 | 2024年度実績 |
鉄鋼製品販売量 | 80万トン (厚板+スラブ) | 39.8万トン |
設備投資額(戦略投資) | 120億円 (予算取得ベース) | 15億円 |
ROE | 10% | 2.3% |
連結経常利益 | 150億円 | 25億円 |
株主還元 | DOE 3.5% | DOE 3.6% |
付加価値労働生産性(※) | 40百万円 (2023年度 約33百万円) | 17百万円 |
(※) 「(経常利益+減価償却費+人件費)÷従業員数」で算定
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