三菱瓦斯化学 【東証プライム:4182】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当期末における重点施策の進捗状況
2021年度からスタートしました中期経営計画「Grow UP 2023」では、新理念体系「MGC Way」のもと、「環境変化に強い収益構造への転換」と「社会的価値と経済的価値の両立」を目標に掲げ、これらを実現するために、それぞれ3項目からなる施策を進めております。
中期経営計画 「Grow UP 2023」
●目標1
環境変化に強い収益構造への転換 ~事業ポートフォリオ改革~
■施策
-競争優位(“差異化”)事業の更なる強化
-新規事業の創出と育成の加速
-不採算事業の見直し・再構築
本計画では事業ポートフォリオ改革推進のため、事業区分の見直しを行い、競争優位性と成長性を有する事業を「差異化事業」と分類しました。当社グループは、差異化事業として、メタキシレンジアミン(MXDA)、MXナイロン、芳香族アルデヒド、ポリアセタール(POM)といった化学品・素材製品、さらにはエレクトロニクスケミカルズ、BT系材料、光学樹脂ポリマー、超高屈折レンズモノマーといった機能製品まで幅広く事業を展開しており、今後も重点的に経営資源を投じ、収益力を更に強化します。
当期においては、欧州におけるMXDA生産工場の新設計画や、日本・北米・中国・台湾におけるエレクトロニクスケミカルズの新増設計画を推進いたしました。さらに、MGC ELECTROTECHNO(THAILAND)CO., LTD.においてBT系材料の生産能力増強工事を完了したほか、グローバルポリアセタール株式会社にPOM事業の統括機能を付与し、生産・販売・開発を一体的に運営する体制といたしました。
「新規事業の創出と育成の加速」についても、積極的な研究開発投資を進めております。具体的には、研究人員の増員を行うとともに、DXの推進によって研究活動を更に加速させる取り組みを進めるためDXチーム、及びAI、MI推進チームを各々立ち上げ、新ステージゲートシステムの運用を開始し、IPランドスケープの戦略的活用を推進しました。また、グループ会社とも一体となってイノベーションを推進できる環境を整えるため、平塚研究所の新研究棟建設を決定いたしました。
不採算事業の見直し・再構築に関する取り組みでは、当期に四日市工場のホルマリンの生産を停止し、2023年度第1四半期中を目途として新潟工場におけるホルマリン、パラホルム、ヘキサミンの生産を停止します。水島工場のトリメチロールプロパンの生産停止に続き、ホルマリン・ポリオール系製品群の見直し・再構築を進めております。また、2022年4月より子会社のJ-ケミカルとユタカケミカルが合併し、ホルマリン原料から木質系接着剤までの一貫生産体制の構築による競争優位を獲得し、ホルマリン事業の安定的な収益基盤への転換が進展しております。
これらの施策の実施により、環境変化に強い収益構造への転換を図ります。具体的には、2023年度の差異化事業の売上高を全体の40%以上、不採算・要再構築事業の売上高を全体の3%未満にすることを目指しております。
●目標2
社会的価値と経済的価値の両立 ~持続的成長に向けて~
■施策
-事業を通じた社会課題の解決
-価値創造と環境保全の調和
-事業活動を支える規律・基盤の強化
社会的価値と経済的価値の両立に向けて、3つの施策を遂行しています。
当社は2020年4月に経営として取り組むべき最重要課題(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画策定に合わせ、マテリアリティマネジメントの確実な進捗を図るべく、2030年度目標を設定し、これらの目標に向けたマイルストーンとして2023年度KPIを設定いたしました。具体的には、大気保全に向けたGHG排出量削減、エネルギー・気候変動問題解決に向けた投融資額・研究開発費や働きがいのある企業風土の醸成等に関してKPIを設定しています。当期においては、MXナイロン・メタノールでのISCC PLUS認証の取得、網走バイオマス発電への出資、CO2を原料としたメタノールやポリカーボネートの製造検討、人材育成とイノベーション創出の拠点「MGCコモンズ」の建設着工などを行いました。引き続きマテリアリティマネジメントを通じて持続的成長へつなげていきます。
「社会と分かち合える価値の創造」の追求:マテリアリティKPI/SDGsターゲット
マテリアリティ |
| KPI項目 | SDGs(ターゲット)との関連 | ||||||
区分 | 要素 |
| KPI項目 | 2023年度目標 | 2030年度目標 | ||||
価値の創造 (CSV) | 事業を通じた貢献 ・ICT・モビリティ社会発展 ・エネルギー・気候変動問題解決 ・医療・食糧問題解決 |
| ICT・モビリティ用途売上高 | 3,200億円 (連結) | デジタル革新を加速する新規事業の創出 | 3.6 | 9.4 | ||
| エネルギー・環境問題解決への貢献 | 投融資:120億円 (連結:2021~2023年累計) 投資:取得、融資:決裁ベース | カーボンネガティブ技術の事業化 | 9.4 |
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| 医療・食糧用途売上高 | 500億円 (連結) | ・予防・予測医療の高度化、健康寿命の向上 ・食品保存技術のさらなる高度化 | 3.8 | 12.3 | ||||
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価値創造の 基盤 (S) | 働きがいのある企業風土の醸成 |
| 年次有給休暇取得10日未満の割合※1 ※2 | 0% | 0% | 8.5 8.8 |
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労働安全衛生・保安防災 |
| 重大労働災害※1 ※3 | 0件 | 0件 | 3.9 |
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| 重大事故※1 ※4 | 0件 | 0件 |
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省資源・省エネルギー・高効率による生産 |
| GHG排出原単位 基準年:2013年度※1 | 19.9%削減 | 28.0%削減 | 7.3 |
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新しい価値を生み出す研究開発の推進 |
| 気候変動問題解決のために投じる研究開発費※1 ※5 | 5%以上 | 7%以上 | 9.5 |
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価値創造と 環境保全の 調和 (E) | 環境問題の積極的・能動的対応 ・大気保全 ・水保全 ・生物多様性保全 ・廃棄物削減 |
| GHG排出量 基準年:2013年度※1 | 28.0%削減 | 36.0%削減 | 13.2 |
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| 購入電力の再生可能エネルギー 導入率※1 | 10% | 50% | 7.2 |
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| 廃棄物ゼロエミッション率※1 ※6 | 0.3%以下 | 0.15%以下 | 12.5 |
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※1 当社単体ベース
※2 年休付与日数が20日の社員について
※3 休業災害であって、死亡災害、永久労働不能災害を伴うなど障害補償の対象になった、又はその可能性のある障害、休業日数が4日以上であるもの
※4 地域に係る環境汚染や地域住民が被災するなど第三者に脅威を与える事故、重大労災を伴う事故
※5 基礎研究、パイロットプラント、実証実験などの研究開発投融資
※6 最終処分量/廃棄物総排出量
② 今後の取り組み
世界的なインフレの進展・金融引き締めや、ウクライナ情勢を巡る地政学リスク等、先の読めない事業環境が続いておりますが、今後も本計画において掲げた経営目標の達成に向け、当社グループ一体となって邁進していきます。
具体的には、目標1「環境変化に強い収益構造への転換」を達成すべく、MXDA、エレクトロニクスケミカルズ、BT系材料をはじめとした差異化製品を中心に積極投資を継続し、経営資源の優先配分を進めるとともに、PC系製品やメタノールを始めとした他の基盤製品についても、更なる高付加価値化・効率化に向けた施策を推進してまいります。また、採算性に課題のある事業については、引き続き構造改革・見直しを進め、不採算・要再構築事業からの脱却を目指します。加えて、新規・次世代事業の創出と育成に向け、R&D資源の積極投入を進めてまいります。
また、目標2「社会的価値と経済的価値の両立」の実現に向け、当社グループが掲げるミッション「社会と分かち合える価値の創造」のもと、マテリアリティマネジメントを通じて、持続的成長へつなげていきます。特にカーボンニュートラルに向けた取組みは、当社経営戦略上の最重要項目の一つであり、当社ならではの特色ある技術を活用し、グリーン水素・CO2 を活用した環境循環型メタノール事業の検討、廃プラスチックのガス化及びメタノール化実証事業、ダイレクトエアキャプチャーシステムの開発など、カーボンニュートラルに貢献する製品・技術の開発を推進し、GHG排出量削減にも取り組んでまいります。
この経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載されている計画、目標等の将来に関する記述は、作成時点において当社が入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいて判断したものであり、不確実性を内包するものです。実際の業績等は、様々な要因により、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
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