企業兼大株主三菱地所東証プライム:8802】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 当社グループは、三菱グループの経営理念である「三菱三綱領」に基づき、基本使命において「住み・働き・憩う方々に満足いただける、地球環境にも配慮した魅力あふれるまちづくりを通じて、真に価値ある社会の実現に貢献します。」と謳っております。この基本使命に基づき、当社グループは130年以上にわたって、丸の内エリアの開発を手掛け、その活気と賑わいを大手町や有楽町へ、さらに国内外へと拡大してきました。

 昨今、2015年のパリ協定の発効、SDGsの採択などを契機に、気候変動・サステナビリティに関する企業に対する社会的な要請が高まっており、サステナビリティを前提とした事業・ビジネスモデルの変革が必要不可欠となっております。

 このような状況を受け、サステナビリティの観点を、より一層経営や事業活動に組み込むため、2018年度に全社横断でワーキングを実施し、SDGsの観点で当社グループが注力すべきテーマを、7つのマテリアリティ(サステナビリティ経営上の重要課題)として新たに特定いたしました。

 また、2020年1月に公表した「長期経営計画2030」(※1)においては、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪を経営の根幹に据えており、価値提供の視点として、「サステナビリティ」を掲げ、あらゆるステークホルダーへの価値提供を重視する姿勢を打ち出しております。

 さらに、これらの考えをより具体化すべく、2020年1月に公表した「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030(以下、2030年目標)」(※2)では、マテリアリティも踏まえたサステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマを特定し、あわせて2030年時点における達成目標と各テーマのアクションプラン案を整理いたしました(図1)。

※1 (参考/長期経営計画2030資料)https://www.mec.co.jp/assets/img/plan2030/plan200124.pdf

※2 (参考/2030年目標HP掲載内容)https://mec.disclosure.site/j/sustainability/goals/

 図1 2030年目標/Sustainability Vision 2050

(1) ガバナンス

■ 体制概要

 当社グループでは、「三菱地所グループ サステナビリティ規定」において、気候変動を含むサステナビリティ推進活動に関する事項を定めております。三菱地所㈱執行役社長を委員長、サステナビリティ統括責任者(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員)を副委員長とする「サステナビリティ委員会」(原則、年2回開催)では、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する重要事項の審議・報告を行い、それに先立ち「サステナビリティ協議会」において事前協議・報告、事業グループ等におけるサステナビリティ推進活動に関する情報の集約を行っております(図2)。なお、「サステナビリティ委員会」の審議事項は、内容の重要度等に鑑み、必要に応じて「経営会議」への付議がなされ、「サステナビリティ委員会」での審議・報告事項については、取締役会にて報告され、監督される体制となっております。

 また、「サステナビリティ委員会」で承認された方針・計画の実行に当たっては、「サステナビリティ統括責任者」のもと、三菱地所㈱各部・三菱地所グループ各社の「サステナビリティ推進責任者、担当者」、「サステナビリティ推進事務局(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部)」を中心に具体的な活動・検討を進めております。

■ サステナビリティ委員会開催実績・議題

 当社ホームページにて詳細開示しています。以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/management/promotion/

 図2 三菱地所グループ サステナビリティ推進体制

(2) 戦略

①サステナビリティに関する戦略

 サステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について外部環境の変化を予測し、リスク・機会を特定いたしました。

4つのテーマ

機会

リスク

対応する主な取り組み

Environment

・ 環境負荷が小さい不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 既存ストックの有効活用による、解体・建て替えスパンの長期化に伴う廃棄物削減

・ 環境負荷が小さい不動産取得・賃借ニーズが増加する中、対応が遅れる場合の空室率増加、成約率や販売価格の低下

・ 環境規制の強化による新規不動産開発、改修工事基準の厳格化に伴う対策費用の増加

・ SBTiの「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った、目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを実施

・ RE100に加盟をし、2025年度までにグループ全体でRE100達成を目指した取り組みを実施

4つのテーマ

機会

リスク

対応する主な取り組み

Diversity & Inclusion

・ 海外の方のニーズに対応した施設・サービスの需要増加

・ 外国人労働者受け入れによる労働力不足の解消

・ テレワークの加速やフリーランスの増加など多様な生活スタイルや就業・消費スタイルに対応した施設・サービス需要の増加

・ 人口動態の変化に伴う新たなニーズに対応した施設・サービスの需要増加

・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加

・ サプライチェーンマネジメントをはじめとしたカントリーリスク・コンプライアンスリスクの増加

・ ダイバーシティへの対応が不足している施設・サービスの需要低下

・ 人口動態の変化(労働人口の減少等)に伴う施設・サービスの需要低下

・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加する中、対応が遅れる場合の利用者の減少及び空室率増加

・ 多様な生活スタイルや就業スタイルに対応した施設の開発やサービスの提供

・ サプライヤー行動規範を策定し、サプライヤーの遵守状況を確認するため、ヒアリングシート調査を実施

Innovation

・ 技術革新、普及に伴う環境対策・投資費用の低減

・ ITやロボットを活用した、施設運営の効率化・利便性向上

・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加

・ IT化・デジタル革新への対応が遅れることによる、施設・サービスの需要低下

・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加が高まる中、対応が遅れることによる機会損失

・ eコマース等のオンライン売買の進展に伴う、実店舗・サービスに対するニーズの減少

・ インキュベーションオフィスを運営

・ 先端技術・テクノロジー・ロボットの活用

・ スタートアップ企業やベンチャーキャピタル等への出資による新規ビジネスの創出

Resilience

・ 気候変動に伴う災害(都市水害など)への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 地震等の災害への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 気候変動に伴う災害(都市水害等)の激甚化・増加による資産価値減少、維持・対策費用の増加

・ 地震等の災害発生による資産価値の減少、維持・対策費用の増加

・ 老朽化に伴う改修費用、災害対策コストの増加

・ 防災・減災に向けた体制構築

・ ハード・ソフト両面における防災まちづくりを重視

※ 当社は2020年2月にTCFD提言への賛同の表明し、TCFDが提言する情報開示フレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行っております。気候変動に関するシナリオ分析は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/pdf/TCFD_Recommendations.pdf

②人的資本に関する戦略

 当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かして協業による強みの掛け算を生み出していく役割及び高い専門性によって価値創出していく役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。

 当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。

■ 5つの要素を高めていくこと

 当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。

 当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。

 なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。

5つの要素

定義

求める力

「志」ある人

成し遂げたい姿や状態を描き、それを実現していく強い意志と行動力を備えた人

ビジョン構築・浸透力、覚悟・胆力

「現場力・仕事力」のある人

自身の担当領域や不動産全般の「プロ」として知識・スキルを研鑽し、業務を推進できる力を持つ人

目利き力、顧客志向、仕事推進力、生産性、リスク対応力、知識・スキル

「誠実・公正」である人

高い倫理観を持ち、誠実かつ公正に行動し、周囲と良好な関係を築く姿勢を持つ人

オープンマインド、倫理観

「組織」で戦える人

組織としての競争力を高めるために人財育成やマネジメントを行う力のある人

育成力、チームワーク、マネジメント力

「変革」を起こす人

前例や慣例にとらわれず、失敗を恐れずにチャレンジ精神を持って行動する姿勢を持つ人

チャレンジ志向・イノベーション

■ 長期経営計画2030の達成のために人財に求める2つの役割

(ア)超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かし、協業による強みの掛け算を生み出していくこと

 当社グループのビジネスモデルの特徴は、まちづくりという長期的な事業において、社内外の膨大なネットワークとの協業によって新しい価値を生み出していくことです。

 当社グループの強みである超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かしながら、社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出すために、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。

 当社ではその役割をサポートする施策を整備しております。

(イ)高い専門性によって価値創出していくこと

「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値創出に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。このことを踏まえ、各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しております。

(3) リスク管理

 当社グループでは、「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメント体制を整備、運用しております。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として、三菱地所㈱執行役社長を委員長、各事業グループ及びコーポレートスタッフの担当役員等をメンバーとする「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議により任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレートスタッフ部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しております。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しております。

 毎年実施するリスク分析において、気候変動関連リスクを含む事業活動全般に関するリスクについて評価・分析し、その分析結果を踏まえ、前述の「リスク・コンプライアンス委員会」において、事業活動全般への影響度を踏まえた三菱地所グループとしての重点リスクを審議し、その対策をモニタリングしております。

 また、以下2つの活動を柱に、リスクマネジメントを推進しております。

① 個別重点リスクマネジメント活動(=各事業、機能グループ・グループ各社における個別リスクマネジメント

 活動の推進)

 各事業、機能グループ・グループ各社において、リスク分析の上、重点的なリスク(個別重点リスク)を選定し、対応する活動を毎年実施しております。ラインスタッフ部署はそれぞれの事業グループが所管するグループ各社のリスクマネジメントの推進状況を把握し、連携・支援を実施しております。

② 重点対策リスクマネジメント活動(=当社グループとして特に注力すべき重点対策リスクの抽出と

 モニタリング)

 当社グループ全体のリスクを的確に把握し、重点的に対策を講じる必要があるリスクを抽出・マッピングすることで注力すべきリスクとそのプライオリティを可視化しております。また、年間を通じて特に重要なリスク(重点対策リスク)を中心にモニタリングするとともに、必要に応じて支援を実施しております。

 リスク管理の具体的な方策として、「2030年目標」で掲げる4つのテーマ(① Environment ② Diversity & Inclusion ③ Innovation ④ Resilience)に関する取り組み目標を、2020年度より組織・機能ごとの年次計画に盛り込む運用とし、その達成状況をモニタリングすることにより、気候変動をはじめとするサステナビリティに関するリスク管理体制の強化に寄与するものと考えております。

 なお、ESGに関する取り組みの達成状況は、役員報酬の定性評価項目の一つに位置付けられております。

 また、「2030年目標」に対する進捗状況については、「サステナビリティ委員会」にて原則年2回報告が行われ、定期的にモニタリングがなされます。また、年次計画の策定に係る事項は「取締役会」の審議事項であり、2030年時点における目標達成に向けたアクションプランの妥当性等を中心に監督される体制となっております。今後、「2030年目標」に向けた取り組みを加速させるため、組織別・機能別の目標やアクションプランの更なる具体化・深化を図っていきたいと考えております。

(4) 指標及び目標

①サステナビリティに関する指標及び目標

 当社グループは2030年目標の達成に向け、グループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について以下のKPIを策定し、取り組みを進めております。

Environment

気候変動

CO2等の温室効果ガス排出量(*1)

(2022年6月「SBTi」よりSBTネットゼロ認定取得)

2019年度総排出量に対して、

・2030年度までに、Scope1+2を70%以上、Scope3を50%以上削減

・2050年までに「ネットゼロ」達成(Scope1,2,3いずれも90%以上削減。残余排出量は中和化 *2)

再生可能エネルギー由来の電力比率

2025年度までにグループ全体で100%達成を目指す

廃棄物

m²当たりの廃棄物排出量

2030年までに2019年度比20%削減

(2019年度実績:7.1kg/m²)

廃棄物再利用率

2030年までに90%

Diversity & Inclusion

ダイバーシティ

女性管理職比率

・2030年度までに20%超

・2040年度までに30%

・2050年度までに40%

新卒における女性社員採用比率

毎年度40%以上

中途採用における女性社員採用比率

毎年度40%以上

男性の育児休業取得率

(対象年度中に配偶者が出産し、出産年度に関わらず同年度中に育休を開始した社員の割合)

・2030年度まで毎年100%以上を維持

女性の育児休業取得率

2030年度まで毎年100%

産休・育休後の復職率

2030年度まで毎年100%

人権

持続可能性に配慮した調達コードと同等の木材(認証材及び国産材)の利用比率

2030年度までに100%

健康経営

メタボハイリスク層の割合 (40歳以上)

(定期健康診断において、生活習慣病の判定に影響する項目の何れかが、医療機関受診推奨値を超えた人の割合)

・2025年度までに25.6%

・2030年度までに14.8%

(全国平均相当、2019年度割合比で約60%改善)

健康層の割合(40歳以上)

(定期健康診断において、生活習慣病の判定に影響する項目の全てが正常値の範囲内の人の割合)

・2025年度までに20.85%

・2030年度までに32.8%

(全国平均相当、2019年度割合比で約370%改善)

がん検診の実施率

2021~2030年度まで毎年90%

高ストレス者

2021~2030年度まで毎年10%以下を維持(全国平均相当:10%)

Innovation

ビジネスモデルを革新しパフォーマンスを最大化

まちづくりの視点から新たな発想やビジネスの創出をサポートし、都市・産業の成長に貢献する

Resilience

防災対応

救命講習資格保有率

2030年度まで毎年100%

防災訓練の実施

帰宅困難者受入施設割合

(注)*1. 支配力基準に基づき、対象組織を選定しております。三菱地所グループの所有権及び信託受益権が50%未満の物件は、原則データ算定対象外です。

*2. 2050年段階で三菱地所グループのバリューチェーン内で削減できない排出量を「残余排出量」といい、バリューチェーンの外で森林由来吸収や炭素除去技術等を活用して「中和(Neutralization)」することで、ネットゼロとするのがSBT基準に基づく考え方です。

 各KPIの実績については、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/
https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/

②人的資本に関する指標及び目標

 当社グループでは、人財・働き方の多様性に配慮することや人権を尊重することは、経営や事業を行う上で重要な課題であるとの認識から、「三菱地所グループ行動指針」において、「人権・ダイバーシティの尊重」「一人ひとりの活躍」を掲げ、その着実な実践に向け、取り組みを推進しております。

 当社グループでは、多様性確保のため、国籍、性別、年齢、新卒・キャリア採用等に偏りのない従業員構成を目指し、その多様な価値観・意見を心理的安全性のもとに自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しております。多様性の一つの指標として、性別(ジェンダー)に関する指標及び目標を設定しております。

 当社の当該指標に関する目標は「①サステナビリティに関する指標及び目標」表内の「Diversity & Inclusion」ダイバーシティ項目、実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社 I. 女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異」に記載のとおりであります。

PR
検索