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企業概要

1. 「経営戦略2027 -総合力をエンジンに未来を創る-」

 当社は、2025年4月に、新しい経営戦略として「経営戦略2027-総合力をエンジンに未来を創る-」を策定・公表しました。

当社を取り巻く事業環境は、かつてないほど地政学リスク、経済情勢リスクが複雑に絡み合う中、地域特性に応じた脱炭素の現実解を探る動き、AIの急速な発展に伴う様々な変化もあり、政治・経済・環境・技術等あらゆる面で不確実性が一段と高まっています。このような不確実性の高い事業環境において、変化によるリスクと機会を踏まえて柔軟に事業戦略を直しつつ、既存事業の収益基盤の更なる強化と案件創出に取り組むべく、当社の中長期的な経営方針を、今回の「経営戦略2027」としてまとめました。

(1)経営戦略

目指す姿

多様性に裏打ちされた「総合力」を事業環境に応じて発揮することで、最適な事業ポートフォリオを構築し、持続的な成長と企業価値向上を実現する企業。

 総合力:多様な事業をグローバルに展開、多彩・多才な人材がオペレーションに深く関与することで、信用・信頼を築き上げ、幅広い産業知見・深いインサイトを蓄積し、時代の変化を先取りして柔軟に事業戦略を進化させる力。

■定量目標

 成長性を測る新たな中核指標として「営業収益CF:平均成長率10%以上」、資本効率を意識した経営の継続・強化指標として「ROE:2027年度に12%以上」を目標に掲げ、成長性と効率性の同時実現を目指します。


財務健全性

「Net Debt Equity Ratio:0.6倍」を上限目処に設定し、財務健全性を維持しながら、戦略的にレバレッジを活用する方針とします。

■株主還元

累進配当を維持すると共に、機動的に自己株式取得を行うとする基本方針を維持します。

(2)経営戦略2027実現のための価値創造メカニズム

 従来の循環型成長モデルを「Enhance(磨く)」「Reshape(変革する)」「Create(創る)」に再定義し、当社の競争優位性である総合力と、それぞれを強化する施策の掛け合わせにより、中長期的な成長を実現します。


(3)資金配分戦略

2027年度までの3年間で、約1兆円の更新投資及び約3兆円以上の拡張・新規投資を計画します。また、キャッシュフローの状況により追加配分枠が生じた場合は、投資パイプライン等を踏まえ、投資又は追加還元への配分を検討します。

2.  当連結会計年度のセグメント別の事業環境

① 地球環境エネルギーグループ

主要商材であるLNGの世界需要は微増し、2024年の需要は約4.1億トンとなりました。なお、アジアのLNGスポット価格は、ウクライナや中東等での地政学リスクの高まりや、各地域における冬場の気温要因(欧州は厳冬・アジアは暖冬等)により、百万Btu(英国熱量単位)当たり9米ドル台から17米ドル台の間でボラティリティ高く推移しました。原油価格(Brent)は、年度初めには1バレル80米ドル台後半で推移しましたが、世界経済の減速懸念等を背景に当連結会計年度末時点では1バレル70米ドル台中盤まで下落しました。

② マテリアルソリューショングループ

世界経済の不透明感や各種素材の主要市場である中国経済の減速、需給ギャップを埋める輸出増加の影響を受け、厳しい事業環境が続きました。特に鉄鋼業界では、国内需要が弱含みで推移する一方、中国からの鋼材輸出が高水準で推移したことにより、アジアを中心として鋼材市況は低調に推移しました。一方、北米地域では高金利政策の影響が懸念されましたが、建設・インフラ分野向け等を中心に需要は引き続き底堅く推移しました。

③ 金属資源グループ

 主力事業の一つである原料炭については、中国の不動産セクターを中心に鋼材需要が減少した中で、鋼材の生産規模が維持されたことで、安価な鋼材がインド・東南アジアに輸出され、鋼材市況の値崩れ及び原料炭市況の低迷に繋がりました。もう一つの主力事業である銅については、中国製錬会社による減産計画の発表や銅大手資源メジャー再編の兆候を受けた投機資金の流入等を主因に5月に史上最高値を付けましたが、実需の低迷や投機筋の利益確定等に伴って価格は反転し、2025年1月以降は米国関税政策に左右される形で乱高下しました。

④ 社会インフラグループ

 米国不動産事業では、米国利下げの実施があったものの、市場全体の取引量の十分な回復には至っておらず厳しい事業環境が続いています。一方、データセンターにおいてはクラウドの普及や生成AI需要に伴い、市場拡大が見込まれており、世界最大市場である米国市場への参入を実現しました。産業機械分野では、底堅い設備投資需要や円安の影響等を受けて、事業環境は堅調に推移しました。

⑤ モビリティグループ

 世界的な金利の高止まり、特にアセアンにおける実体経済の軟化や厳格なファイナンス(自動車ローン)審査の継続等により自動車市場は低迷し、競合各社が購買力のある顧客を巡り値引き競争が激化する等、厳しい事業環境にありました。その中で、アセアンを始めとする既存の自動車バリューチェーン事業ではデジタル活用による顧客体験の質向上・ブランドロイヤリティ強化等を推進し、インド・日本ではモビリティサービス事業の構築を推進しました。

⑥ 食品産業グループ

 穀物価格の高騰は落ち着いてきている一方、円安等の影響で国内の飼料価格の高値は継続しており、国内畜産関連事業の収益を圧迫しました。鮭鱒養殖事業ではチリでのコスト改善が進んだ一方、ノルウェーにて病害が発生するなど、厳しい状況にありました。食料・バイオ燃料事業においては、需要がグローバルベースで中長期的に増加する見通しであり、食料安定供給体制の強化やバイオ燃料の供給網構築等を目指し、世界最大級の農産物事業会社であるADM(Archer-Daniels-Midland Company)と戦略的業務提携に関わる覚書を締結しました。

⑦ S.L.C.グループ

国内小売・流通事業に関しては、原材料価格の高騰、インフレ、賃金上昇等のコスト圧力に対する影響等はあったものの、消費者ニーズを踏まえたマーケティング施策による売上拡大や、DXの推進によるコスト合理化、オペレーション最適化により事業は堅調に推移しました。また、金融事業に関しては、金利・為替のボラティリティの影響は限定的に止まり、事業は堅調に推移しました。

⑧ 電力ソリューショングループ

世界各国ともに脱炭素とエネルギー安定供給の両立に向けた政策に舵を切った中でも、エネルギー安全保障にも寄与する再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)への新規投資は着実に実行され、再エネの主力電源化の流れは不可逆的なものとなっています。一方、再エネの導入増加に伴い、その間欠性を補い安定した電力供給に貢献する蓄電池等のフレックス電源、それらを活用する機能の必要性が高まっています。

3.  翌連結会計年度以降のセグメント別の事業環境の見通し

① 地球環境エネルギーグループ

 脱炭素社会への移行には進展が見られるものの、地域や商材によってペースが異なります。次世代エネルギーは、商材によっては一部需要の後ろ倒しが見られる一方、SAF(Sustainable Aviation Fuel)やクリーンアンモニア等、社会実装に向けて進展している商材も見られます。また、天然ガス/LNGは相対的に環境負荷が低い点等を背景に、アジアを中心に中長期的な需要増加が見込まれます。

② マテリアルソリューショングループ

 低・脱炭素化の進展や技術革新の加速化により、素材産業を取り巻く事業環境は今後も変化を続けていくことが想定されます。また、人口増加を支える住宅・インフラ素材、軽量化・電化を支える素材、デジタル社会の発展を支える素材等のニーズは今後も着実に伸張することが見込まれます。

③ 金属資源グループ

 原料炭においては、米国関税政策に起因する物流への影響、インド等の新興国による需要の牽引、中国鋼材需要並びに同国鋼材輸出量の推移、天候等に起因する原料炭生産者の供給制約等、海上貿易市場へ影響を与え得る事象を注視しています。銅においては、引き続き堅調な需要と供給側の制約によりタイトな需給環境となる見込みです。中長期的には、新興国を中心とする世界経済の成長や、脱炭素・電化を背景とした再エネ・EVの普及、生成AI等の進展によるデータセンター増加等により、金属資源の需要は底堅く推移することが見込まれます。

④ 社会インフラグループ

 米国不動産事業については、インフレ・金利動向に影響を受ける状況に変化はなく、不動産取引量の回復状況を注視しています。データセンターについては、クラウドの普及や生成AI需要拡大に伴い日米共に市場拡大が見込まれています。また、社会インフラの維持・発展を支える産業機械分野は、底堅い需要増加が見込まれます。

⑤ モビリティグループ

 主力地域であるアセアンの自動車市場は、厳格なファイナンス審査や競合各社との激しい競争が暫く継続する見通しであり、また米国の関税政策が実体経済に影響を及ぼす可能性もあり、不透明な事業環境が続くと予想されます。一方、同地域での自動車市場は、潜在的な需要や自動車普及率に鑑みると、中長期的には回復・更なる拡大に転じると想定されます。また、グローバル全体での電動化・自動運転化は、普及速度に変化はあっても不可逆的に進展する見込みであり、周辺市場の成長と新たな事業機会が見込まれます。

⑥ 食品産業グループ

米国の関税政策の影響で貿易フローが変わる可能性など、不確実性の高い事業環境が続くものと予想されます。一方、世界の人口増加に加え、バイオ燃料の台頭等で基礎食料の需要拡大は続く見通しです。また、消費者のWellbeing志向の高まりや嗜好の多様化など、食の質的向上へのニーズもグローバルに拡大していくと予想されます。

⑦ S.L.C.グループ

 中長期的には国内の人口減少・高齢化に伴う消費市場縮小の流れ、短期的には原材料価格の高止まりや金利上昇の影響が想定されますが、当面は安定した消費動向やインバウンド需要の増加等により、対面市場は底堅く推移していく見通しです。また、海外でも、米国や東南アジア等を中心に、人口増加や経済成長に伴う対面市場の伸長や新たな事業機会が見込まれます。

⑧ 電力ソリューショングループ

先進国を中心として電化進展・AI普及に伴うデータセンター新設等に牽引され、電力需要急増加の機運が高まり、局地的な電力需給の逼迫が社会課題になりつつあります。カーボンニュートラルに向けたエネルギー移行期間の長期化が現実的になりつつある中でも、脱炭素推進に向けて再エネを始めとするクリーン電力の安定的な供給に対するニーズは更なる高まりが見込まれます。

4. 個別重要案件

 当連結会計年度における重要な個別案件については、「3 事業等のリスク 2.主要なリスクの概要 ⑤事業投資リスク」内の(重要な投資案件)をご参照ください。

有価証券報告書PDFより抜粋
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