企業兼大株主三菱ケミカルグループ東証プライム:4188】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、各社において独自の研究開発活動を行っているほか、グループ会社間での技術や市場に関する緊密な情報交換や共同研究、研究開発業務の受委託等を通じて、相互に協力し、連携の強化を図るとともに、グループ外の会社等との間でも共同での研究開発を積極的に行うなど、新技術の開発や既存技術の改良に鋭意取り組んでおります。

 当社グループの研究開発人員は3,797名、当連結会計年度における研究開発費の総額は1,239億円となっており、各事業部門別の研究内容、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1) スペシャリティマテリアルズセグメント

 アドバンストフィルムズ&ポリマーズ、アドバンストソリューションズ、アドバンストコンポジット&シェイプスに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

・株式会社ダイモンが開発した月面探査車「YAOKI」において、素材知見と構造設計・最適化シミュレーション技術を融合したコンプライアントメカニズムを適用して設計した樹脂部材が採用されました。「YAOKI」は2025年3月、民間プロジェクトとして日本で初めて月面での撮影、地球への画像データ送信に成功しました。

・養殖業における感染症による突然死の抑制につながる有胞子性乳酸菌プロバイオティクス「Heyndrickxia coagulans SANK70258」の効果について、近畿大学大学院農学研究科と共同研究の成果を発表し、成果論文は2024年11月「Frontiers in Aquaculture」に掲載されました。

 本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は257億円であります。

(2) MMA&デリバティブズセグメント

MMA、コーティング&アディティブスに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

・リサイクル原料となる廃プラスチックの種類などの情報を改ざん不可能な形で適切に管理・共有できる透明性・信頼性の高いサプライチェーン構築に向けて、株式会社chaintopeと共同でトレーサビリティシステムの実証試験を実施しました。

 本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は68億円であります。

(3) ベーシックマテリアルズ&ポリマーズセグメント

 マテリアルズ&ポリマーズ、炭素に関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

・2025年度中に資源循環型カーボンブラックの販売を開始することをめざし、香川事業所のコークス炉において、使用済みタイヤをケミカルリサイクルする検討を2024年7月に開始しました。コークス炉を活用し、使用済みタイヤから再生産した資源循環型カーボンブラックを販売することは世界初の試みとなります。

・植物性由来のポリカーボネートジオールである「BENEBiOL™」について、柔軟性と耐薬品性の両立、耐汚染性、特徴的な触感などの優れた機能は変わらず、さらにバイオマス比率を高めたグレードを2024年10月に提供開始しました。

・タイヤの製造工程で発生するゴム片及び使用済みタイヤの粉砕処理品を用いて、ケミカルリサイクルによってタイヤの主原料のひとつであるカーボンブラックを生産し、再びタイヤの原料として活用する資源循環の取り組みを住友ゴム工業株式会社と協業で2025年1月に開始しました。

・茨城県内におけるプラスチック容器の循環をめざす包括連携協定を鹿嶋市、リファインバース、東洋製罐グループ、キユーピー、カスミと2025年2月に締結しました。回収された使用済みプラスチックをケミカルリサイクルプラントにて再資源化する実証実験を2025年夏頃に開始予定です。

 本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は86億円であります。

(4)ファーマセグメント

 医薬品に関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

・パーキンソン病治療薬候補品であるND0612について、米国食品医薬品局(FDA)より審査完了報告通知(Complete Response Letter、以下「CRL」)を受領しておりましたが、CRLで指摘されたND0612の成分の一つであるカルビドパの安全性に関する追加情報の提供や、製品の品質、デバイス及び製造所の査察に関する追加情報についてFDAと協議し、再申請に向けた対応が確認できたことを受け、米国における開発計画を変更しました。2025年中頃の再申請をめざします。また、欧州医薬品庁(EMA)より販売承認申請を受理した旨の通知を2025年2月に受領しました。

・選択的DPP-4阻害剤/SGLT2阻害剤 配合剤「カナリア®配合OD錠」について、口腔内崩壊錠(OD錠)の剤形追加承認を日本において2025年2月に取得しました。

 本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は665億円であります。

(5)産業ガスセグメント

 産業ガスに関する研究開発を行っており、当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。

・石灰製造炉などの高濃度CO2排出源をターゲットとして、10t/日規模のCO2回収装置(回収CO2濃度98%)を開発・商品化しました。中小規模排出源(排ガス量1,000Nm3/hクラス)向けの装置であり、ユニット化して導入・設置が容易に行えます。また、2024年4月、適用可能な原料CO2濃度範囲を20~60%まで拡大し、幅広いCO2排出源からのCO2回収を可能にいたしました。原料CO2濃度が20%未満である排出源からの回収についても、現在、本回収装置の適用を可能にすべく技術開発に取り組んでいます。

・2024年4月、アンモニアから燃料電池自動車(FCV)の水素燃料に求められる品質仕様(ISO 14687:2019 Grade D)を満たす水素の製造実証に成功しました。また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模外部加熱式アンモニア分解水素製造技術の研究開発」に参画し、大型の水素精製装置の開発を進めています。

・化合物半導体製造装置事業では、MOCVD装置及びHVPE装置の製造・販売するとともに、用途拡大、改良改善のための開発に取り組んでいます。深紫外線ライトを使った除菌装置の開発・販売を手掛けているLit Thinking社より、大陽日酸製MOCVD(SR2000HT-RR)を2024年6月に受注しました。本装置はUVオプトエレクトロニクスのデバイス及びパワーエレクトロニクスの開発促進に必須となる高品質なアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)の安定的な製造に用いられます。また、サウスカロライナ大学は、大陽日酸製MOCVD装置(型式:SR4000HT)を2025年3月に採用を決定しました。本装置はパワーエレクトロニクスやその他のワイドバンドギャップ半導体製造に用いられ、窒化物半導体の開発に貢献することが期待されます。大陽日酸は同大学と協力し、先進的な窒化物半導体デバイスの研究開発を支援することで、大陽日酸製MOCVD装置のグローバル市場に対する優位性が促進されると期待しています。さらに、ワイドバンドギャップ半導体において世界的に著名なオハイオ州立大学に対し、高性能な化合物半導体デバイスの製造に不可欠な窒化物用MOCVD装置(SR4000HT-RR-LV)と酸化物用HVPE装置を納入することを2024年10月に決定しました。

 本セグメントにおける当連結会計年度の研究開発費は50億円であります。

(6) その他

 エンジニアリング等に関する研究開発を行っており、その他部門における当連結会計年度の研究開発費は3億円であります。

 上記のほか、研究開発費には、特定の事業部門に区分できない基礎研究に要した研究開発費が110億円あります。

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