三浦工業
【東証プライム:6005】「機械」
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企業概要
当社グループは、ボイラを中心として新事業開発・熱利用機器・水処理機器・メディカル機器・食品機械・舶用機器・環境分析機器などの事業を行っておりますが、研究開発部門においては、これらの事業に貢献できる環境に配慮した“ミウラならでは”の技術を取り入れた新商品開発を目指しております。近年では、サステナビリティ推進活動とともに、低炭素・脱炭素を実現する商品・サービスの開発への方向性を高めております。
これらの研究開発活動は、R&D部門での要素・応用研究や長期課題に対する研究開発と並行し、新技術・新商品の実用化に向けた技術開発を事業部の技術・設計部門が行う形となっております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、4,560百万円であります。
当連結会計年度の主な研究開発の概要、成果及び研究開発費は、以下のとおりであります。
(1) ボイラ事業
水素ボイラやアンモニア燃焼技術、バイオマス関連プラント向けの熱媒循環式の廃熱回収ボイラなどカーボン
ニュートラル(以下、CNという。)へ向けた研究開発を進めております。一方で、水素やe-methane等のCNエネルギーのインフラ整備にはまだ時間が必要であり、クリーンな天然ガスの活用はトランジション期においての重要度が再認識されつつあります。その中で、ガス焚きの主力機種であるSQ-ASシリーズをモデルチェンジし、SQ-CSシリーズとしてボイラ効率を98%から99%へ向上させて2025年3月より発売を開始いたしました。SQ-CSシリーズでは、新制御機能であるO2フィードバック制御(特許取得)を搭載しており、e-methane等への燃料変更があった場合にも調整なしでの利用が可能であります。また、自社製品だけでなく、様々な機器がつながる新IoTプラットフォーム、Webアプリケーション「+i Portal(プラスアイポータル)」を開発いたしました。お客様の設備管理をIoTを活用し合理化・高度化することで省力化・省人化のご要請にお応えするサービスを展開してまいります。
(2) 新事業開発・熱利用事業
デジタルツインを活用し、お客様の生産に必要な熱を最適にコントロールするシステムの実証に取り組み、生産負荷の変動に合わせた熱利用状態評価システムの構築、並びに蒸気システムの改善や廃熱・未利用熱を活用したボイラ給水加温システムの運用改善の提案ができるようになりました。
また、世界最高レベルとなる発電効率63%の高効率燃料電池システムを商品化いたしました。高効率な発電で約30%のCO2排出量が削減でき、自立運転機能搭載により災害時のレジリエンス強化が可能となっております。
(3) アクア事業
前事業年度に引き続き、ろ過・純水の分野を中心にシステム・エンジニアリングを強化するとともに、排水処理の分野でデジタル技術を活用した省力化・省エネの提案を開始しております。
前事業年度に販売を開始した水銀フリーのLED紫外線光源(UV-LED)を用いた水殺菌装置はラインナップの拡充を進めており、脱水銀社会の実現に大きく寄与するものと考えております。
RO装置の技術を活かしたNF装置、並びに環境負荷低減と安全性向上を実現した冷却水処理薬品の販売を開始いたしました。ボイラ用水、冷却水、リサイクル水等の分野で省エネルギー、脱炭素、節水に貢献する水処理システムとして提案を強化いたします。また、お客様設備の水管理を省力化する遠隔水質監視・管理システムの開発を推進してまいります。
(4) メディカル事業
労働力減少の課題解決に向けて滅菌物を滅菌器から保管庫まで無人搬送できるよう、搬出機・AGV・ロボットの自動運転とそれらを連携するシステムを構築いたしました。また、洗浄物を自動で認識・洗浄・搬出・搬送する洗浄システムを開発いたしました。機器管理を人からシステムへ変更し、作業効率を上げることができる機器管理システムは現在現地検証中で、開発の最終段階へと進んでおります。
従来の“メディカル横浜ラボ”は2025年度から“次世代除染技術・開発評価センター”へ名称を変更し、新技術による汚染物の除去・評価に関する研究を加速してまいります。
(5) 食品機械事業
大規模レトルト工場等への自動化システムの導入を推進しております。各種センサを用いた機器の監視・分析を基に、工場全体の運用効率を高めることができるシステムを提案し、実績も増えてまいりました。工場稼働の見える化によりメンテナンス業務の迅速化・効率化にもつながり、工場のダウンタイム低減による生産性向上も見込んでおります。
また、新たに冷水装置のメンテナンス契約制度を追加し、メンテナンスプログラムの拡充を進めております。加えて他社機器も含めたシステム監視を行い、工場全体の省エネルギーと生産性向上に貢献してまいります。
(6) 舶用事業
前事業年度に引き続き、GHG(温室効果ガス)排出削減や省エネルギー商品開発に注力しております。低炭素のLNG燃料対応ボイラの商品ラインナップの拡充、及び脱炭素燃料として期待されているアンモニア対応ボイラの開発を進めており、翌事業年度より実機検証を開始いたします。また、主機エンジン複合排熱を利用して船内電力の20~30%相当の省エネを実現するバイナリー発電システムの陸上試験機の性能評価を完了し、実商品化を進めております。一昨年より販売を開始した舶用機器通信システムについても、ボイラ水管理の自動省力化に向けた機能アップデートや機械学習による解析も進めており、翌事業年度より現地検証を開始いたします。
(7) 環境事業
環境事業では、ダイオキシン類の次世代型自動前処理・分析システムの開発を継続して進めております。また、国内外で規制強化が見込まれるPFAS(フッ素原子を含む化学物質)分析関連技術・商品の研究開発及び、既に上市済みの残留農薬分析キット(SPEEDIA)の動物用医薬品分析適用に向けた応用研究開発を進めております。
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