企業兼大株主三洋化成工業東証プライム:4471】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、2022年3月に経営方針「WakuWaku Explosion 2030」(以下、『経営方針』といいます)を策定し、2022年7月にはマテリアリティの特定を行いました。また、経営方針とマテリアリティに沿って、2023年度を起点とする3ヵ年計画として「新中期経営計画2025」(以下、『新中計2025』といいます)を策定し、成長の道筋と具体策を明らかにしました。新中計2025では、経営方針で掲げた「実現したい社会」と「ありたい姿」への到達という目標を堅持し、そのために実行すべきミッションである「カーボンニュートラルへの貢献」と「QOLの向上」につながる製品群の開発・製造・販売に経営資源を重点的に投入することを表明しました。そして『基盤事業の見直し』、『基盤事業からの展開』、『新たな成長軌道』の3つの取り組みで「ありたい姿に向けた変革」を加速させ、収益力を向上させることとしました。

 新中計2025の2年目にあたる2024年度は、中国経済の低迷の長期化や中国における基礎化学品の増産による競争激化など、想定以上の外部環境の変化が重なり、当社業績にも影響を及ぼしました。特に、当社の基盤事業の一つであるウレタン事業は、中国から極めて安価なポリウレタンフォーム原料の流入による価格競争の激化と商権喪失があり、世界自動車生産台数も伸び悩んだことから、大変な苦戦を強いられました。このような状況を鑑みて、2025年度の業績予測を精査した結果、営業利益の見通しは100億円とし、新中計2025の最終年度に掲げていた営業利益150億円の達成時期についても見直しを行うことといたしました。

 昨今の中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であると考えており、当社としては急速に変化する事業環境に対して、新中計2025で掲げた諸施策を通じて、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されている汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品への事業ポートフォリオの転換を図っている途上にあります。

 その中において、新中計2025で掲げていた『基盤事業の見直し』における「構造改革」と「サプライチェーン全体での効率化」については、大きな進展がありました。また、『基盤事業からの展開』における「高付加価値製品群の拡販」と「グローバル展開」については、想定よりも若干の遅れがあるものの事業構造の転換に向けた着実な取り組みを継続しており、『新たな成長軌道』としての「新規事業の開発」についても将来の収益の柱にすべく研究リソースを集中投入して注力しております。現地点での進捗状況は以下のとおりとなります。

(1) 基盤事業の見直し

①構造改革

 新興国での相次ぐ新規参入で供給過剰に陥り、さらには新規参入メーカーと品質による差別化が困難な汎用製品となっていた高吸水性樹脂事業からの撤退を断行しました。本事業撤退により売上高は約20%減少しますが、一方で営業利益は約10億円の改善、運転資本の圧縮効果は約100億円となります。

 また、新中計2025にはウレタン事業の構造改革を掲げており、三井化学㈱と共に設立したジャパンポリオール有限責任事業組合(LLP)による原料調達等におけるコスト低減と製品の差別化を進めております。想定外の中国からの安価なウレタン原料流入による競争激化で利益が大幅に悪化しており、構造改革効果の発現には時間がかかる見込みですが、当社の基盤事業として着実に利益を上げられる体質に転換してまいります。

②サプライチェーン全体での効率化

 「ものづくり大改革」として取り組んでいる「サプライチェーン全体にわたるコスト削減及び運転資本の圧縮」については、目標(中期経営計画3ヵ年における増分営業利益30億円、運転資本圧縮50億円)を上回るペースで進捗しており、基盤事業のコスト競争力の強化に継続して取り組んでまいります。

(2) 基盤事業からの展開

 カーボンニュートラル及びQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群を「高付加価値製品群」として位置付け、本製品群への研究開発及び設備拡充に向けた投資を進めています。製品群によって進捗に差があり、若干想定を下回っているものの、新たな注力製品を特定するなどの取り組みを加速させて、高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を進めてまいります。

(3) 新たな成長軌道

 新規創傷治癒材「シルクエラスチン®創傷用シート」の独占的販売権を科研製薬㈱に供与したほか、カーボンニュートラルやQOL(生活の質)の向上を軸とした食と医療などの分野で、複数の新規ビジネスの事業化に向けた取り組みに注力しており、収益化に向けて概ね想定どおりに進捗しております。

 これらの結果、2024年度の売上高営業利益率は前年度3.1%から5.9%に、ROICは前年度2.4%から4.8%にそれぞれ改善いたしました。

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 新中計2025の最終年度にあたり、こうした取り組みを収益力強化につなげるとともに、外部環境の変化に対応できるよう、「事業ポートフォリオの高度化」を加速させることが重要な課題です。次の収益の柱となる成長領域へのリソース投入を含め、以下の重点事項に取り組んでまいります。

(1) 「ありたい姿に向けた変革」加速のシナリオ

①基盤事業の見直し

● 市場ニーズに対応した差別化製品の開発による利益の拡大

● サプライチェーン全体の効率化を目的とする「ものづくり大改革」(ソフト面)の継続的推進と生産設備の統廃合・集約化に取り組む「生産設備改革」(ハード面)の新たな推進の両輪で、グループ全体での最適な生産体制を構築

● 基盤事業の収益性・競争力強化に向けた他社とのアライアンスの検討と推進

②基盤事業からの展開

● 高付加価値製品群の拡充に向けた注力テーマへのリソースの集中投入

● 半導体分野の製品開発と拡販に向けたマーケティングの推進

● 小規模高付加価値テーマ推進に向けた小型反応槽の導入

③新たな成長軌道

● 人工タンパク質「シルクエラスチン」の米国事業化とマーケティングの推進

● カーボンニュートラルやQOL(生活の質)の向上を軸とした食と医療などの分野での新規ビジネスの事業化加速(匂いセンサー、農業資材用ペプチド、陸上養殖、電池部材など)

④その他の取り組み

● 研究開発力の強化に向けた新研究棟建設プランの具体化

● アメリカ・インド市場を中心としたグローバルマーケティングの推進

● 物流会社とのパートナー連携による効率的かつ持続可能な物流体制の構築

(2) 変革を支える活動

 マテリアリティを中心に、持続可能な事業基盤を支えるための以下の取り組みを強化します。

● 2050年度のカーボンニュートラルに向けたCO2排出削減のロードマップ策定とこれに向けた削減策として、コージェネレーションシステムや再生可能エネルギーの導入、生産工程の見直しの遂行

● DEIの推進によるイノベーション創出、人財育成の強化、働きがいの向上

● イノベーションの創出を支えるDXの積極推進とデジタルプラットフォームの活用による業務効率化

● 重要リスクの管理の徹底と透明性のある経営の実践

(重要リスクの管理の徹底)

・全社リスクを包括的に管理するリスクマネジメント委員会の設置によるリスクマップの整備及び重要リスクの特定と対応

・安全最優先の経営の推進、人権方針に沿った取り組みの推進、品質ガバナンスの強化、ハラスメント防止の徹底

(透明性のある経営)

・財務/非財務情報の積極的な開示

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