企業兼大株主三井不動産東証プライム:8801】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

・サステナビリティ推進体制

 当社は、サステナビリティ課題への取り組みを推進するため、「ESG推進委員会」(委員長:社長執行役員)および下部組織である「ESG推進部会」(部会長:サステナビリティ推進本部長)を設置しています。ESG推進委員会では、サステナビリティ課題における理念整理および方針策定、各部門における活動の目的・目標・計画の調整、進捗状況の監督・評価の機能を担っています。取り組みの推進にあたっては、ESG推進部会において部門別の年度目標を設定し、進捗管理等を行っています。なお、気候変動をはじめとするリスクについては、国や地方公共団体、一般社団法人日本経済団体連合会、一般社団法人不動産協会などの多様なチャネルから国内外の動向・要請等の情報収集を行い、専門性の高いESG推進部会でリスクの特定を行い、ESG推進委員会でその影響を評価しています。また、重要なリスクについては、業務委員会およびリスクマネジメント委員会にて当社事業への影響や、本業を通じた課題解決について対応検討を行うこととしています。

 このような取り組みについては、定期的に取締役会に報告され、目標および進捗状況のモニタリングが実施されるほか、必要に応じて都度取締役会における検討を行っています。また、経営層の報酬を決定する項目として、サステナビリティ課題に関する取り組みの状況が加味されています。

 当社グループのサステナビリティ推進組織体制(2023年4月1日現在)

※三井ホーム株式会社、三井不動産ファシリティーズ株式会社、三井不動産商業マネジメント株式会社、株式会社三井不動産ホテルマネジメント、東京ミッドタウンマネジメント株式会社では、グループ環境方針のもと、独自の環境方針を定めて環境活動を推進しています。また、個社独自の社会・環境報告も行っています。

(2)戦略

 三井不動産グループでは、グループのロゴマークである「&マーク」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げ、社会・経済の発展と地球環境の保全に貢献しています。「&EARTH」は、三井不動産グループの街づくりが常に地球とともにあることを認識し、人と地球がともに豊かになる社会をめざしていることを表しています。長期経営方針「VISION 2025」では、「&マーク」の理念のもと、ESG課題に取り組み「持続可能な社会」と「継続的な利益成長」を実現することを目標としています。当社グループが目指していくあり姿の第一に「街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現」していくことを位置付け、以下の6つを重点的に取り組む目標「マテリアリティ」と定めています。これは、当社グループのサステナビリティ経営をさらに加速させていこうという意思の表れです。

1.環境負荷の低減とエネルギーの創出

2.オープンイノベーションによる新産業の創造

3.街づくりを通した超スマート社会の実現

4.健やか・安全・安心なくらしの実現

5.多様な人材が活躍できる社会の実現

6.コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上

・環境

 気候変動への対応は、社会基盤の構築・発展を担う当社グループの社会的責務であり、脱炭素に向けた取り組みを当社グループの最重要課題と位置付けています。当社は企業等に対して気候変動リスクと機会に関する情報開示を推奨する気候関連財務情報開示タスクフォースである「TCFD」の提言に賛同し、それに基づく情報開示をしております。また、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟し、取り組みを推進しています。2021年11月には、温室効果ガス削減目標を、2030年度までに40%削減(2019年度比)、2050年までにネットゼロとする新たな目標を設定し、国際的枠組みである「パリ協定」達成のために科学的根拠に基づいた削減目標を設定することを推奨する「SBT(Science Based Target)イニシアティブ」より、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑えるという「1.5℃」目標としての認定を取得しました。また単に目標を掲げるだけでなく、不動産業界のリーダーとして求められるアクションプランとして「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」を策定しました。

 行動計画では、保有・運用物件の環境性能の向上や共用部の電力グリーン化だけでなく再生可能エネルギーの安定確保に向けた施策や、入居企業の要望に応じて専有部にグリーン電力を供給するサービスなどを行っております。これは、お客様の脱炭素に向けた取り組みにお応えするとともに、当社事業の差別化を実現する取り組みであり、まさに“脱炭素の実現”という社会的価値と“企業の競争優位性の確保”という経済的価値を結び付けた事業展開と言えます。また2022年3月には、学識経験者、設計者と協働し、「建設時GHG排出量算出マニュアル」を策定しました。将来的には学会・業界団体・同業他社(不動産会社・設計事務所)・施工会社・建築資機材メーカーなど関係者へ幅広く共有して、業界全体に貢献する取り組みを推進していきます。

 また、気候変動の課題のみならず、生物多様性や水環境の保全、環境汚染の防止および省資源・廃棄物削減といった環境に関する諸課題に対しても、オフィス・商業・住宅などあらゆる事業領域で積極的に対応しています。

・人的資本

 &マークに込められた思いの一つである「多様な価値観の連繋」、すなわち、近年、企業経営における多様性確保のために重要視されている「ダイバーシティ&インクルージョン」についても気候変動への対応と同様に当社グループの最重要課題と位置付けています。不動産デベロッパーとして新しい価値を創造し続けるための原動力は人材という資産であると考えており、2021年11月、ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言および取組方針を策定し、特に女性活躍推進を重要テーマと位置付け、グループとして定量目標および定性的な活動計画を定めました。人種・国籍・宗教・性別・年齢・障がいの有無・性自認・性的指向などに関わらず多様な人材が公正に評価され、従業者一人ひとりがお互いを認め合い、個々の能力を最大限発揮できる職場環境にするために、働き方改革の推進や人事制度の充実等により、組織の生産性向上や従業者のワークライフバランスの支援に努めています。

 人材育成については、「個々人がプロフェッショナルな知識・能力を磨き、付加価値創造力を高める」、「多様な価値観・能力が融合し、チームとしての推進力に換えていく」という2点を実現させるために「社員一人ひとりと向き合い、その活躍の舞台を整える」ことを人材マネジメントの考え方としております。OJT、キャリアビジョンヒアリング、ジョブローテーション、研修プログラムの4つの人材育成の機会を組み合わせて、能力伸長を図ることを基本方針としたうえで、特に、ジョブローテーションや研修プログラムにより、多様で幅広い知識・能力を向上させていくことで、常に変化し続ける環境に適応できる人材の育成を図っています。

・社会-サプライチェーンの人権

 当社グループが街づくりを通して人々にビジネスライフやくらしを提供していくうえでは、一人ひとりの人権を尊重することが何より大切です。国連が提唱する「ビジネスと人権に関する指導原則」や「労働における基本的原則および権利に関するILO(国際労働機関)宣言」で定められた基本的権利を支持・尊重することはもとより、人権に配慮した事業の推進を徹底してまいります。2021年度は当社事業に関連するサプライチェーンの代表ともいえる建設会社6社にアンケートを実施したほか、2022年5月よりJP-MIRAIが開始した「外国人労働者相談・救済パイロット事業」に参画するなど、サプライチェーンマネジメントおよび人権デューデリジェンスに関する取り組みを強化しています。

(3)リスク管理

 ・リスクマネジメント体制

 「経営会議」が当社グループのリスクマネジメント全体を統括し、そのもとで「業務委員会」が事業リスクを、「リスクマネジメント委員会」が業務リスクを、それぞれマネジメントしています。法務・コンプライアンス管掌役員である取締役が、リスクマネジメント委員会に所属しており、また経営企画管掌役員である取締役が、業務委員会に所属しており、それぞれの取締役が定期的に取締役会および社長にリスク管理について報告しています。

・気候関連課題への対処

 当社では、規制・法制度、技術、市場動向等について、原則年1回、大きな改正時はその都度、計画策定時に特定したリスクに大きな変化がないか、対処すべき短期的なリスクがないか検証しています。例えば既存の規制に関し、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都環境確保条例)」の規制対象温室効果ガスの拡大や、規制水準の引き上げについて重要度の高いリスクとして識別しています。また、「建築物省エネ法」については、2021年4月より床面積300㎡以上の中規模を含む建築を対象に、省エネ基準への適合が義務化されました。また、事業活動全体の気候変動に対する影響度合いを鑑み、運営時におけるCO2排出量を優先課題として認識しています。その中でも電気に由来する排出量の割合が最も大きいことから、RE100に加盟する等取り組みを進めています。

・大規模自然災害への対処

 当社グループは、災害に強い街づくりを推進するとともに、当社グループが運営する施設の従業員やテナント、お客様の安全・安心を守るために、防災訓練や救急救護講習など、事業継続計画(BCP)に関する取り組みを推進しています。原則毎年3回、想定を変えた大規模地震に対するグループ総合防災訓練を実施し、様々な状況において円滑な対応が出来るように、訓練を行っております。

・業務委員会

 事業リスク(主として事業推進・利益獲得のために取るリスク)を管理することを目的として、「業務委員会」を設置し、経営計画および特定の経営課題の審議ならびに遂行管理等を行っています。

・リスクマネジメント委員会

 業務リスク(業務遂行上のオペレーショナルリスク)を管理することを目的として、「リスクマネジメント委員会」を設置し、リスクマネジメント方針・計画の策定およびリスク課題の把握・評価、対応策の策定ならびに指示などをしています。

「リスクマネジメント委員会」では、業務リスクを統括的にマネジメントするとともにPDCAサイクルを確立し、クライシス対応や予防的リスク管理をより的確に実施できる体制としています。コンプライアンス違反と判断された場合は、リスクマネジメント委員会が調査と対処を指示し、モニタリングを行います。

・内部相談窓口の設置

 当社は、内部相談窓口を設置しています。当社正社員および個別労働契約(契約社員)・出向協定・労働者派遣契約・アルバイト契約等に基づき当社業務に従事する者であれば利用できます。社内・社外の2か所設置しており、いずれの窓口に相談することも可能です。社外窓口は弁護士事務所に設置していますが、中立的な立場で相談を受理し、会社に対して相談内容を連絡し対応を促すものです。

 相談対象は法令・社内規程・一般的社会規範および企業倫理に反する不正等、セクハラ・パワハラ等のハラスメント、雇用問題、職場環境の課題等です。相談者のプライバシーは保護され、相談行為を理由とした報復行為および人事処遇上の不利益な取扱い等を受けることはありません。また、実名でも匿名でも相談可能です。

(4)指標及び目標

・環境(連結 注1)

グループ全体KPI

CO2排出量実績

評価指標

達成時期

数値目標

2021年度 注3

CO2排出削減比率

<2019年度比>

注2

2030年度

2050年度

:▲40%

:実質ゼロ

4,199

(注)1.2021年度からは三井不動産㈱および連結子会社のうち、建物保有会社もしくは従業員100人以上の会社

 ならびにCO2排出量が大きい会社(2021年度は三井不動産TGスマートエナジー㈱のみ)が対象。

2.単位は「千t-CO2

3.Scope1,2,3の合計です。詳細については、当社ESGレポート2023をご参照ください。

・人的資本

①三井不動産㈱(単体)

KPI

実績

評価指標

達成時期

数値目標

2022年度

従業者エンゲージメント注1

毎年

80%

92%

一人当たり研修時間

注2

毎年

前年度実績水準

28.2時間

一人当たり研修投資額 注3

毎年

前年度実績水準

13.1万円

女性管理職比率 注4

2025年

2030年

:10%

:20%

7.7%

女性採用比率

毎年

40%

44.1%

育児休業復帰率

毎年

100%

100%

男性育児休業等取得率

注5・6

毎年

100%

122.9%

有給休暇取得日数

毎年

年間14日

16.2日

障がい者雇用率 注7

毎年

2.3%以上

2.52%

健康診断/

人間ドック受診率

毎年

100%

100%

(注)1.「当社で働いていることを誇りに思う」に5段階で上位2つに回答した割合

2.2022年度研修時間を正社員数で除した数字

3.2022年度研修金額を正社員数で除した数字

4.2023年4月1日の数字

5.分母は該当年度に配偶者が出産した男性社員の数、分子は該当年度に出生時育児休業・育児休業・育児

 を目的とした休暇制度による休暇のいずれかを取得した男性社員の数。

6.配偶者が出産した年度と、育児休業等を取得した年度が異なる男性労働者がいる場合、100%を超えることがあります。

7.2022年6月1日の数字

②女性活躍におけるモデル会社

 サンライフ・クリエイション㈱

KPI

実績

評価指標

達成時期

数値目標

2022年度

女性管理職比率 注1

-

-

62.5%

女性採用比率

-

-

91.7%

育児休業復帰率

毎年

100%

100%

有給休暇取得率

毎年

取得率70%

79.1%

 三井不動産商業マネジメント㈱

KPI

実績

評価指標

達成時期

数値目標

2022年度

女性管理職比率 注1

2025年

2030年

:20%

:25%

17.6%

女性採用比率

-

-

46.5%

育児休業復帰率

毎年

100%

100%

有給休暇取得率

毎年

取得率80%

83.5%

㈱三井不動産ホテルマネジメント

KPI

実績

評価指標

達成時期

数値目標

2022年度

女性管理職比率 注1

2025年

2030年

:15%

:20%

17.7%

女性採用比率

-

-

81.6%

育児休業復帰率

毎年

100%

92.3%

有給休暇取得率

毎年

取得率70%

77.0%

(注)1.2023年4月1日の数字

2.当社は国内外多数のグループ会社が存在しているため、①三井不動産(単体)と②女性活躍における

 モデル会社について開示しています。

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