 ロジザード
【東証グロース:4391】「情報・通信業」
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   企業概要
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 基本方針
当社は、社会における存在意義を「ITサービスにより安全な物流環境を実現させること」と定め、以下の「経営理念」、「社是」、「社訓」の実践を通じて物流の課題解決に取り組んでおります。現在、「経済の血液」とも称される物流の現場では深刻な労働力不足、「2025年の崖問題」と言われる古い技術基盤システムのブラックボックス化といった課題に直面しております。当社では創業以来の安定したSaaS型WMSシステムの提供に加え、他社システム、物流ロボット並びにマテハン機器との自動連携による省人化・自働化により、これらの課題に対処する事で事業成長を図るとともに、持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
<経営理念>
創造と革新の物流ITサービス
<社是>
知恵と知識を共有する世界に開かれた情報システムを作ろう。
先進の物流システムと安心サービスで安全な物流環境を作ろう。
次世代のソフトウエア開発に創造と革新の精神で取り組もう。
<社訓>
① 出荷絶対
お客様の出荷は絶対である。お客様、ましてや荷物を待つ人に迷惑をかけることがあってはならない。
② 不断至上
お客様に待つという作業をさせてはならない。お客様の作業が進むようあらゆる手を尽くせ。
③ 連鎖連結
自己完結主義は棄てよ。お客様、お取引先、製品の全てを大量に連鎖連結するよう知恵をしぼれ。日日より大きく繋げようとする努力こそが己と社業を大きくする。
④ 服務光速
技術、営業、間接とも社業の全てが顧客サービス。己の仕事は1日でも早く完了せよ。後行程への余裕の確保が真のサービスを実現すると心得よ。
⑤ 表明大義
それがよさそうなら上下なく表明せよ。自ら機会を作り出し協力を求め、素早く実現への道を開け。
⑥ 本質求道
顧客の要求の本質を追求し製品とサービスに反映せよ。それは先に繋がるのか、差別化できるのか問いつづけよ。本質的仮説は手間と費用をかけても世に証明するのが我が社の責務と心得よ。
(2) 経営戦略
当社の今後の経営戦略は、以下のとおりであります。
① 製品戦略
当社は、製品をご利用いただく倉庫業および3PL事業者における深刻な人手不足という業界課題に対し、物流ロボットとの連携およびRFID技術への対応を進めるとともに、荷主向け業務アプリを提供する外部事業者とのデータ連携強化を推進しております。これにより、当社製品・サービスの機能的価値を向上させるとともに、顧客の省力化・自動化ニーズへの対応を図ってまいりました。
今後も、他社製品との連携拡充を通じた利便性の向上と、多様化する物流現場への対応力強化を目的とした新技術の研究開発に取り組んでまいります。
実店舗を有する小売業においては、オンライン販売の強化と消費者ニーズの多様化に対応すべく、実店舗とオンライン双方での販売体制の構築が進められており、当社製品への期待も増加しております。これを受け、当社ではOMO在庫管理支援サービスの提供と浸透を通じて、業界課題の解決に向けた支援を強化しております。
また、企業のDX推進に際し、既存システムの老朽化およびメンテナンス可能な技術人材の不足による、いわゆる「2025年の崖」問題への懸念が高まっております。当社では、創業以来培ってきたSaaS型サービスの提供実績を活かし、安定かつ柔軟なシステム移行支援を通じて、当該市場ニーズへの的確な対応を進めてまいります。
② 販売戦略
新規顧客獲得のための効果的な企業・サービスの営業活動は、WEB中心での認知施策を進めつつ、当社の得意とするオフラインでのセミナー開催や展示会への出展、またユーザー向けイベントなどを活発に行います。サービスを利用中のお客様と一層のリレーションシップ強化を図るだけでなく、利用を検討中のお客様にも、これまでに開発したオプションサービスや連携サービスなどの利便性をダイレクトに伝える機会を増加させることで、更なるアカウントの増加やアップセルを実現してまいります。
また、外部企業等との協力体制の強化施策として、製品連携パートナーとの共同プロモーションを促進するほか、ビジネスの相乗効果を求める販売店及び販売代理店の増加施策を進めております。
③ 人材戦略
当社は、持続的な企業成長の実現に向けて、引き続き新規採用の強化ならびに教育・研修を通じた人材の育成に取り組んでおります。人材の定着およびエンゲージメント向上を目的として、経営理念・社是・社訓への理解を深め、企業ミッションの遂行に資する体制構築の一環とした新人事制度の運用を開始いたしました。これにより、従業員が業務や各種研修等を通じて蓄積した知識・技能・経験を、タレントマネジメントシステムにて一元的に管理し、キャリア形成支援と適材適所の人材配置の最適化を推進しております。
また、当該制度の導入に伴い、合理的な評価プロセスに基づく報酬体系を整備し、ベースアップの実施および福利厚生の向上を図ることで、従業員の働きがいの最大化と企業競争力の強化につなげてまいります。
④ 海外戦略
当社は、東アジアおよび東南アジア地域を対象に、現地代理店を通じたサービス提供体制を構築しております。各国のビジネス環境に即した柔軟な対応を可能とするため、代理店に対しては営業支援および継続的な教育・育成支援を当社スタッフが直接実施する体制を整備しております。
昨今では、オンラインツールの活用による業務効率化を進めており、複数国にまたがるスタッフによる混成プロジェクトチームの組成を通じて、提案活動および納品業務の迅速化・品質向上に取り組んでおります。これらの取り組みにより、現地ニーズに応じた高付加価値なサービス提供と、持続的な海外展開の基盤強化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、クラウドサービスの継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営目標としております。当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高及び経常利益率としております。
2026年6月期の個別業績目標指数は、売上高は前期比12.1%増となる2,439,996千円となりますが、業務効率化のためのAIの導入、業務プロセス改革の実施及び人財教育等の人的資本への投資に取り組むため、経常利益は同13.0%減となる356,315千円、経常利益率14.6%であります。また、2025年6月の月間のクラウドサービス売上は、148,756千円でしたが、これを12.3%増となる167,054千円まで積み上げてまいります。
(4) 経営環境
小売業販売額は、経済産業省「商業動態統計速報」では引き続き増加基調が継続しております。しかしながら総務省発表の家計調査では、実質消費支出は低迷が継続している状況です。どちらも物価高がその主因であると推測しております。今後は商品の選択基準が厳格化することに加え、購入の利便性やオンラインの合理性が重視されると想定しております。またこうした機能の具備にあたり、「約8割の企業において、利用しているシステムが老朽化」※し、対応できない事態に直面しているため、小売業界は積極的にシステムリプレイスを伴ったスマート化投資を進めると推測しております。
その一方、物流業界は慢性的な人手不足が解消せず、特にトラックドライバーの不足は深刻です。働き方改革関連法の時間外労働の上限規制もあいまって、ついにはモノが運べなくなり経済活動全般に悪影響が及ぶと全ての産業から社会課題と認識され憂慮されており、適切なソリューションが求められております。
※出典 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会、2023年度「デジタル化の進展に対する意識調査」
(5) 優先的に対処すべき事業の課題
①「物流のサステナビリティ」への貢献
以下に掲げる課題は、いずれもIT技術によって相当部分の解決が可能と考えております。当社は、これらに応えるサービスの提供を行うと同時に、成長とリスクに対応できる組織体制を構築して取り組んでまいります。
イ.物流作業の省力化・自動化の実現
少子高齢化を背景とした労働人口の減少に伴い、従来人手に依存していたハンドリング(※1)業務の省力化・自動化ニーズが急速に高まっております。
こうした環境変化を踏まえ、当社ではRFIDや画像認識等の先進的な認識技術の製品への導入を積極的に推進しております。これにより、複数商品情報の迅速かつ正確な処理の一括化が可能となり、在庫管理業務の効率性向上に貢献しております。さらに、ロボットやマテハン(マテリアルハンドリング機器)等の物流機器とのシームレスな連携や、上位基幹システムおよび周辺システムとの標準データ連携の整備を通じ、企業のDX推進を支援する高度な在庫ハンドリングソリューションの提供体制を構築しております。
今後も、人手不足という社会課題に対応しつつ、高い生産性・操作性・柔軟性を兼ね備えたサービス展開を加速し、物流現場の効率化に貢献してまいります。
ロ.適用可能業種の拡大
当社では、これまで主要顧客である流通業・Eコマース事業者向けの機能強化に継続的に取り組んでまいりましたが、今後はこれらに加え、企業間取引(BtoB)における物流分野への機能提供の拡大を積極的に推進してまいります。
従来、企業間物流分野では業界慣習に基づいた硬直的な業務運用が多く見られましたが、近年ではクラウドベースへのリプレイスおよびデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の機運の高まりを背景に、当社への新たな引き合いが急増しております。当社では、こうした市場の変化を好機と捉え、柔軟かつ高度なクラウドサービスの開発と提供体制を強化することで、企業間物流の課題解決および業務効率化・可視化を支援する先進的なソリューション展開を図ってまいります。
ハ.出荷データの活用による輸配送の効率化
物流業界においては、「2024年問題」(※2)ならびに「ラストワンマイル(※3)問題」への対応が喫緊の課題となっており、これらは慢性的な人手不足に起因する深刻な労働負荷の増加を引き起こしています。また、トラックの貨物積載率の向上およびドライバー単位あたりの輸送量増加の必要性に対しては、大手企業による「共同配送」などの取り組みが一部進展しているものの、本質的な課題解決には至っていない状況と認識しております。
当社では、これら課題の抜本的な解決に向けて、複数企業の仕向け先単位(※4)での貨物情報を活用した効率的な混載(※5)物流の実現が重要であると考えております。その起点として、当社が提供する在庫管理システムによる貨物情報の精緻な取得・管理が果たす役割は非常に大きく、今後も引き続き、IoT(※6)などの先端技術を活用しつつ、配送システムとの連携を可能とするデータ提供・活用を推進してまいります。
二.在庫データの活用によるOMOの実現
昨今、Eコマースとリアル店舗が融合したオムニチャネル型マーケティングの進展に伴い、消費者にとって「必要な商品が、いつ・どこで・どれだけ手に入るか」といった付加価値を伴った在庫情報の重要性が高まっております。
こうした市場ニーズに応えるべく、当社ではこれまでに培ってきた場所別在庫管理に関する知見と、クラウドサービスの特性を活かしたリアルタイムでの在庫情報更新機能を組み合わせ、倉庫のみならず店舗等における在庫引当・出荷機能の提供に加え、効率的な在庫配置に向けた提案機能を兼ね備えた付加価値型在庫情報サービスの展開を目指しております。
今後も、サプライチェーン全体の可視化と在庫最適化を通じて、顧客満足度および事業収益性の向上に寄与するサービス拡充に努めてまいります。
② 人的資本への投資による人材の確保・育成
イ.人的資本への投資
当社サービスの顧客価値は、物流領域に精通した専門性の高い人材の積極的な関与によって最大化されるものと認識しております。そのため、当該人材の質および量の確保は事業成長を支える基盤であると同時に、当社が掲げる「安心・安全な物流環境の提供」という企業理念の実現に向けた最重要課題の一つと位置付けております。
こうした認識のもと、当社では優秀な人材の採用と育成への投資を重要な先行投資と捉え、将来的に業界を牽引しうる高度な専門性を備えた人材の育成支援を継続的に実施してまいります。加えて、社員一人ひとりの成長機会の提供とキャリアパスの設計を通じて、スキルの高い競争力のある人材基盤の構築に努めてまいります。
ロ.働く環境の整備への投資
当社では、社員が安心して能力を発揮できる職場環境の整備が、持続的な企業成長の根幹であると認識しております。
これまでにリモートワーク制度の導入をはじめ、柔軟な働き方の推進に取り組んでまいりましたが、これにとどまらず、今後も長期的な視点に立った働きやすい環境づくりの継続的な推進を図ってまいります。
具体的には、社員一人ひとりの価値観やライフステージに配慮した多様な働き方の整備を進めるとともに、結婚・出産・育児・介護等のライフイベントを積極的に支援する制度構築に取り組み、働きがいのある企業文化の醸成に努めてまいります。
③ 事業リスクの軽減
イ.サイバーセキュリティへの対応
昨今、国内外で頻発するサイバー攻撃や情報漏えい事案を背景に、企業活動におけるサイバーセキュリティの確保が一層重要な経営課題となっております。
当社は、インターネットを基盤としたクラウドサービスを提供する企業として、サイバーセキュリティの維持・向上は企業の存続およびサービスの安定提供に不可欠な要素と位置付けております。
今後も継続して、巧妙化・過激化するサイバー攻撃等に対応するための技術的な投資の強化に加え、社内における情報管理体制の見直しや運用面での改善を図ることで、堅牢かつ安全なサイバーセキュリティ管理体制の構築・維持に取り組んでまいります。
ロ.機器・デバイスの流通の滞りによる機会損失リスクの回避
近年の地政学的リスクの高まりを受け、各産業分野においてサプライチェーン(※7)の再構築・見直しが進展しております。当社が提供する機器・デバイスにおいても、製造者からの部材・製品供給に影響が及ぶ可能性があり、事業活動ならびに売上への波及リスクが顕在化する状況となっております。
こうした環境下において、当社では製造者との綿密な連携体制を維持・強化しながら、供給状況の変化に対する早期把握および適切な対策を講じることで、安定的な製品提供と収益構造の確保に努めてまいります。
※1:ハンドリングとは、物をつかんで移動させる行為のことです。
※2:2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、これまでより労働時間が短くなることで輸送能力が不足するなどの社会問題のことです。
※3:ラストワンマイルとは、商品が最寄りの配送センターから顧客への配達地点まで移動する道のりのこと、つまり荷物受け渡しまでの最後の区間を指します。
※4:仕向け先単位とは、貨物を配達する方面や場所などの単位のことです。例えば、東京から大阪へ貨物を配達する場合は、大阪を仕向け先と表現し、輸送は貨物を仕向ける行為とその物量によって車両が手配されます。
※5:混載とは、特定の同じ地域や、同じ方面へ複数の荷主のもつ多くの貨物をひとつの輸送車両等に積み合わせて輸送することです。
※6:IoTとは、「Internet of Things」の略称で、センサーによって取得したモノの情報を、インターネットを通じてクラウドサーバーに蓄積し、蓄積された情報の分析結果を、人やモノへフィードバックすることで相互に制御を実現する仕組みのことです。
※7:サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことです。
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