企業ロゴスホールディングス東証:205A】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループの経営方針は、「日本の家づくりをつくる。」です。当社グループは、北海道という広大かつ厳しい自然環境下で創業したため、厳しい自然にも負けない「北海道品質、北海道価格(注1)」を旗印に高品質な家を、手の届く適正な価格で提供することを追求してまいりました。

日本全国には約3万社(注2)もの地方工務店があります。彼らはこれまで何十年に渡って各地方の気候や風土を考えた家づくりを行い、家守りとして地域の住文化を担ってきました。今、その地方工務店がコロナやSNS の普及等の急激な環境の変化や後継者不在の問題に直面し多くの課題にさらされています。このままでは地方工務店は廃業を余儀なくされ、地域の住文化の衰退につながりかねません。私たちロゴスホールディングスは自社が持つ強みである、デジタルを駆使した家づくりを全国の工務店に提供し、彼らの強みである地域密着の家づくりを残したまま生産性を向上させ、日本の家づくりにイノベーションを起こそうとしています。

(注)1.北海道の激しい寒暖差・地震・強風等の様々な環境に耐えうる住宅が必要であるため、激しい寒暖差・地震・強風にも強い住宅及び北海道で働く誰もが手の届く価格設定という意味合いで定義しております。

2.経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」による「木造建築工事業」と「大工工事業」の事業所数(支所・支社・支店を除く)を合計したものです。

(2) 中長期的な経営戦略及び経営環境

2021年4月頃からの世界的なウッドショックの発生以降、建築コストは当初急激に上昇した後、その後は供給不安こそ後退したものの価格は高止まりしており、主要部材である木材のほかにも、金属類、諸資材、資材運搬費及び人件費等も高止まりしております。また、2020年より本格化した新型コロナウイルス感染症の影響は、依然としてわが国の経済環境に大きな影響を及ぼしたのと同時に、人々のライフスタイルにも大きな変化が起こりました。それに伴い、このコロナ禍において「家」が持つ役割がより多様化・重要化しております。仕事場という役割が付加され、家で家族と過ごす時間が増大したことにより、住まいの重要性が従来より一層高まりました。経営環境は不透明な状況が継続していますが、住宅の価値観が高まったことは好機と捉えて事業活動に邁進したいと考えております。

 市場規模(注1)としても、2023年度における日本全国では8兆4,439億円(当社グループのシェア(注2):0.26%)、当社グループが重点的に展開する北海道では2,626億円(当社グループのシェア:7.3%)、北海道+本州進出エリア(青森県、岩手県、宮城県、福島県及び栃木県)では8,985億円(当社グループのシェア:2.5%)となっております。自然環境など地域による違いが大きく現場作業が多い戸建住宅業界では、規模による優位性が効かず寡占化しづらい市場のため、シェア拡大の余地が大きいと認識しております。

 こうした経営環境下において、あらゆる業界・分野においてテクノロジーの普及に伴い、不動産業界も大きな変革の時を迎えております。変革に適応できる人員拡充、商圏の拡大及びIT化により業務効率化を図って、より便利・安全で満足度の高い不動産取引の実現及び価値の提供を行ってまいります。

(注)1.国土交通省が発表する2023年度「建築着工統計調査」による戸建住宅(注文戸建住宅及び分譲戸建住宅)の戸数に工事費予定額(全国平均:持家2,732万円、分譲1,686万円)をかけた数値を市場規模として算出しております。

2.2023年5月期連結ベースの売上高のうち該当エリアの注文住宅と建売住宅の合計額(宅地販売とその他を除外)を算出しております。

中長期的な経営戦略として、次の4つの施策により成長を実現します。

①出店拡大

株式会社ロゴスホームは、北海道内での出店拡大を経て、世帯数の少ないエリアでも採算が取れる出店形態を構築できているため、全国に出店可能エリアが多数存在します。株式会社ロゴスホームは今後も出店によって本州のエリア拡大を図り、成長し続けていきます。

また、北海道のシェアを高める施策として、株式会社ロゴスホーム及び豊栄建設株式会社では、体験型ハウジングミュージアム「北海道クラシアム」を活用してまいります。北海道の世帯数は2008年2,618千世帯、2023年2,804千世帯(注)と年平均成長率約0.5%で安定的に増加して推移しており、シェア拡大の余地があると見込んでおります。

(注)総務省自治行政局「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」(2008年から2013年までは同年3末時点の世帯数、2014年以降は同年1月1日時点の世帯数)より算出しております。

「北海道クラシアム」には、センターハウスと6棟のモデルハウスがあります。

センターハウスは、UA 値(外皮平均熱貫流率)の違いを実際に体験できる「温度体験室」や、制震ダンパーの有無で体感震度がどのくらい変わるのかを体験できる「地震体験室」を備えるほか、太陽光パネルで発電できる電気量などがわかる「発電体験」、換気システム、基礎、工法の違いなどが分かりやすく展示されており、家作りの基本を体感できる施設となっています。

様々なライフステージに対応したモデルハウスは、全て無料で宿泊体験ができます。より暮らしをイメージできるように、モデルハウスのキッチンでは実際に料理することも可能です。長い時間滞在することで気になる点を隅々までチェックでき、家事がしやすいか、快適に暮らせるかなど、カタログ検討だけでは分からない使い心地を確かめられます。また、通常のモデルハウスでは見られない深夜や早朝の家の様子も観察できますので、断熱、防音、日当たり、風通しを体感できます。

②新規事業の拡大

a 土地活用:ノマリス(障がい者グループホーム建築)

障がい者向けの共同生活援助(グループホーム)とは、障害のある人が一軒家やアパートなどに定員10人以下で共同生活をする形態です。「世話人」や「支援員」と呼ばれる職員が利用者の食事の用意やお風呂、トイレなど介助といった日常生活上の援助を提供します。株式会社GALLERY HOUSEにて障がい者グループホームを建築しています。オーナーに運営事業者を紹介することで、賃借人が確定した投資案件となる点が特長です。

(単位:千人)

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

障がい者グループホーム利用者数

74

74

83

87

93

113

123

130

144

157

出所:厚生労働省「社会福祉施設等調査」(各年9月末日利用者数)

b 中古リノベーション:VINJOY(コンセプトデザイン中古住宅)

中古戸建やマンションの1室を、コンセプトとデザインに特色を持たせたリノベーションを実施。デザインだけでなく、全棟品質保証をつけることにより、差別化しています。オーナー住宅のリノベーションのほか、空室の多い古いアパートを買い取り、入居者ターゲットに合わせたデザインリノベーションをして入居付けも行い、家賃を上げて再度販売するアパート買取再販事業も展開しています。

総務省「住宅・土地統計調査(令和5年・速報値)」によると、全国の空き家数は899.5万戸となり、過去最多を更新。一方、国土交通省の調査によると全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは近年14%前後で推移している。既存住宅の流通シェアが伸びない要因の1つとして、消費者が既存住宅を購入する際に、隠れた不具合や品質について不安を抱えており、売主と買主の間には情報の非対称性が生じているとの指摘があります。

VINJOYでは、第三者機関による品質保証を全棟に提供することにより、中古リノベーションの買取再販事業は今後も売上拡大が見込めると考えております。

(単位:%)

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

既存住宅流通シェア

14.7

14.9

14.5

14.0

13.3

14.5

出所:国土交通省「既存住宅市場の活性化について」(2020年5月7日)

③MCB工法(特許出願中)

一般的に木造建築は、工事現場に材料を運んで建築します。当社のMCB工法(注1)は、自社工場にて住宅の壁や床を箱型のモジュール(注2)に生産して、トラックに積載して運び、工事現場にて基礎の上にクレーンで積み上げて設置していきます。

(注)1.工場でつくって(Manufacturing)、トラックで運んで(Carry)、現場で建てる(Build)、製造~輸送~建造という建築の流れの頭文字を略したもの。

2.規格化された建築材料の組み立てユニットのこと


MCB工法のメリットは次の3つです。

a 職人不足の解消

MCB 工法は、自社工場でモジュールを生産し、現場で積み上げる方式のため、熟練工を必要とせず、高齢化による今後の職人不足に対して有効な解決策となります。

b 原価削減

MCB 工法は、基礎工事の間に工場でモジュールを生産し、現場で積み上げるため、一般的な現場で一から組み立てる工法と比べ大工現場の工期が約5割短縮(注)され、大幅な工期短縮による原価削減を実現できます。

(注)大工工期の当社比削減率、データ取得期間:2023年6月~2024年5月の平均値

c 品質の向上

MCB 工法は、モジュールを自社工場で生産してから出荷するため、気温の変化、雨や雪などの天候による影響を受けないことから、高品質な住宅を提供できます。

④M&A

当社は今後も積極的なM&Aを進めます。M&Aを進めるための軸となるのが、工務店支援プラットフォームです。「工務店支援プラットフォーム」とは、当社のグループ会社である株式会社ROOT LINKが全国の工務店に対して提供するサービスの総称で、営業・顧客管理システムの導入支援、設計業務受託サービスを行います。CADオペレーションやDX支援など、各事業会社の現場で実践し、高い生産性を実現したノウハウを、 M&Aで取得した全国の住宅会社へ展開していくだけではなく、取得した会社の強みを吸い上げて、さらにプラットフォームを強化して参ります。

(3) 目標とする経営指標等

 当社グループでは、安定的に成長投資資金を調達できる強固な財務基盤の確保を目指すために、「引渡棟数」、「営業利益」及び「当期純利益」をKPI(Key Performance Indicator)と設定して、経営状況の管理を行っております。

 また、サステナビリティ経営を推進する上での重要課題(マテリアリティ)に対しても、経営目標を設定し、計画的な取り組みを推進すべく検討しております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 建築コストの上昇への対策

2021年4月頃からの世界的なウッドショックの発生以降、建築コストは当初急激に上昇した後、その後は供給不安こそ後退したものの価格は高止まりしており、主要部材である木材のほかにも、金属類、諸資材、資材運搬費及び人件費等も高止まりしております。2023年5月期にウッドショック、円安、原油価格の高騰等により資材及び外注費が高騰した影響で赤字になったことを踏まえ、現在は申込を獲得した物件の状況を月次でアップデートし、利益率の状況・変動・推移を可視化し、且つその精度向上に日々努めております。月次の物件状況及び取引業者からの情報収集を以って、早めに原材料の値上げの可能性を察知することに努め、値上げの可能性が判明した場合は、値上げ又は販売費及び一般管理費の削減を含む対応策を検討・実行できる体制を整えております。設計・施工・技術基準の見直しやスケールメリットを活かしたコスト低減及び完成在庫期間の短縮化を図ることにより、品質を維持しながら収益の確保向上に努めてまいります。

② 人材の確保及び育成

 当社グループは、事業を拡大し持続的な成長を達成するために、人材の確保と育成を重要な経営課題と位置付けて、他社との差別化を図ってまいります。新卒採用については早期の戦力化を図るための教育研修を実施するほか、職種別、階層別に教育計画を作成し、知識とスキルを高めるとともに、経営理念及び行動指針を実践する社員の育成を行ってまいります。また、有能で即戦力となる中途採用についても、新卒採用と同様に社内教育を実施し積極的に対応してまいります。

 なお、大工職人や協力施工業者の数は年々減少しており、今後不足することが予想されます。そのため、当社グループは既存大工職人や協力施工業者と良好な関係を保持しつつ、新規大工職人や協力施工業者の開拓を進めております。

③ 財務管理の強化

 当社グループは、土地の取得資金等を主として金融機関からの借入れにより行ってきたため、有利子負債の純資産に対する割合が156%と高く、金利動向に大きな影響を受ける財務体質となっております。今後の事業拡大においては、より精緻な棚卸資産の管理と財務バランスの管理を行っていく必要があると認識しております。在庫回転期間を重視し、事業の成長と財務バランスの安定性を考慮した財務管理を行ってまいります。

④ 内部管理体制の充実

 当社グループは、内部管理体制の充実を図り、将来にわたって経営の健全性及び透明性を確保してまいります。内部統制システム等に関する基本方針について適時見直しを行いながら、その確実な運用の徹底に努めておりますが、今後とも、コンプライアンス体制、リスク管理体制並びに情報管理体制が有効に機能するように、コーポレート・ガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

⑤ 持続的な成長の実現に向けたSDGsへの取組

 日本政府は、2022年5月に国際的社会課題である2050年カーボンニュートラルに貢献すべく、2030年度までの中間目標として、パリ協定直前の2014年度実績比でCO2排出量を50%削減する目標を掲げました。当社グループは、地域の特性に合わせた商品やZEH対応型の省エネ住宅等の住宅の提供を推進し、CO2排出量削減目標達成に向けて取り組んでまいります。

 当社グループは、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指してまいります。

⑥ DXへの取組

 当社グループは、一人当たり生産性の向上による全社的なコスト低減に努めております。今後住宅販売事業を成長させるために、単に商圏エリアの拡大を図るだけでなく、ロゴスホームでは住宅関連の市場環境の変化と多様化するお客様のニーズに対応するために最少人数(営業2人+設計1人+事務0.5人)で効率的な出店を行っており、MA(マーケティングオートメーション)ツール、SFA(注)及びオフショアの活用による商談~設計~受注スピードを速くする等のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しております。デジタルマーケティングで集客した見込客をSFAで管理し、インサイドセールスやMAによって育客を行い、安定的に顧客を獲得することによって、グループ全体として安定した収益基盤の構築に努めてまいります。

(注)「Sales Force Automation」略であり、営業支援システムのことをいいます。

より抜粋
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