企業リアルゲイト東証グロース:5532】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社は「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」という企業理念を掲げております。当社の提供するフレキシブルワークプレイス事業は、ビルオーナーの遊休不動産の有効活用をしたいというニーズと、個性的なオフィスを適正価格で借りたいというテナントニーズの双方に応えるソリューションを提供します。

「3 事業の内容 <社会的課題と解決>」でも記述のとおり、日本の不動産業界における社会的課題である、都心部における止まらない大規模開発と二次空室問題や、コロナ禍で進行した働き方改革や、大規模災害のたびに改正される建築基準法や消防法などに起因して生じる競争力を失った築古ビルは増加しており、特に都心部においては、今後もそのような築古ビルは増加傾向にあると認識しています。

 当社は、フレキシブルワークプレイス事業によって、主に都心部の築古ビルに対してリノベーションを行うことで付加価値を付与し、不動産価値の最大化を追求しながらも、テナントに対しては質の良いクリエイティブなオフィスを提供することで、自由な働き方に寄り添い、豊かな街づくりに貢献します。

(2) 経営戦略等

 当社は、企画・設計・デザイン、建設、リーシング、運営までワンストップで手がけるフレキシブルワークプレイス事業を行っております。中小規模の築古ビルの再生をメインとしながらも、新築物件にフレキシブルワークプレイスを組み込む開発案件も手掛けております。コロナ禍における働き方改革など常に変化する入居テナントのニーズにワンストップ体制でより的確に応えながら、コストバランスを保った満足度の高い魅力的な物件を提供しつづけることで、コロナ禍においても高稼働率を維持しております。

 また、事業展開のエリアを広げずに渋谷区・港区・目黒区を中心とした狭域エリア内で当社物件数を増やしていくというドミナント戦略を継続してまいります。北参道エリアや中目黒エリアなどで、当社の個性的な物件が複数点在することで、そこに人の流れができ、街の雰囲気・活気をつくり、更なる価値を生み出していきます。

 運営形態としては、今後もマスターリース契約におけるテナント賃料や、プロパティマネジメント契約における運営受託手数料を中心とした物件運営によって得られる安定的なストック型収入をメインとしながらも、マスターリース契約やプロパティマネジメント契約に付随して獲得する設計・施工請負から得られるフロー型収入を組み合わせることで事業規模拡大を狙っていきます。また既存マスターリース物件の購入による保有切り替え及び新規物件取得を強化しております。マスターリース物件を保有に切り替えることで賃料負担がなくなり利益率の改善が見込めます。また、新規で取得する物件に関しても、これまでの運営ノウハウを生かした改修によって資産価値の最大化を目指します。

 今後も優良物件の仕入れが重要となるため、強みである都心部中心というエリア展開というドミナント性は保ちつつ、ビルオーナーへの認知度・ブランド力の向上を通じて収益性の高い運営物件を増やしていくことが第一であると考えます。さらに、保有を含めた今後の事業規模拡大のためには、これまでの銀行借入による資金調達に加えて、株式市場を通じた資金調達等の調達手段を組み合わせることで、財務バランスを保ちながら、事業拡大につなげていく方針です。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、翌期以降3年間における売上高及び営業利益を重要な経営指標とし、中長期的に企業価値の最大化を図ってまいります。また、翌期以降3年間における売上高及び営業利益を向上させるために、運営面積、賃貸可能床面積、累計プロジェクト数、獲得済プロジェクト数、運営中物件数、平均坪単価、物件稼働率を経営上の重要な指標としております。賃貸可能床面積のみならず運営面積を有用な経営指標として採用する理由としては、当社は専有部以外の共用部等を充実させ、施設全体の満足度を向上させることで、専有面積の坪単価及び物件稼働率の向上に繫げていることから、必ずしも賃貸可能床面積の最大化を目指すことが収益最大化に繫がるわけでないと考えており、運営面積と賃貸可能床面積の均衡を図りながら企画・設計を行っております。

 

2019年

10月期

2020年

10月期

2021年

9月期

2022年

9月期

2023年

9月期

運営面積(㎡)

53,443

55,455

65,497

84,565

85,436

賃貸可能床面積(㎡)

42,470

42,379

48,398

62,187

61,246

累計プロジェクト数

56

66

76

84

95

獲得済プロジェクト数

47

53

61

65

69

運営中物件数

39

43

51

58

58

※各期末時点での数値を記載

※運営面積は、運営中物件のうちML・保有・PM物件が対象であり、共有面積を含めた床面積の総和を指す

※賃貸可能床面積は、運営中物件のうちML・保有・PM物件が対象であり、入居テナントの専有面積の総和を指す

※累計プロジェクトは、終了物件も含んだ累計プロジェクトを指す

※獲得済プロジェクトは、竣工前物件も含めたプロジェクトを指す

※運営中物件は、竣工後のML・保有・PM物件等を指す

2022年9月期

 

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

平均坪単価(円/坪)

25,324

25,585

25,794

25,978

25,615

25,172

25,194

25,504

25,091

24,323

23,960

24,332

物件稼働率

98.6%

99.0%

99.2%

98.9%

98.9%

95.8%

96.2%

97.3%

98.0%

95.8%

95.6%

95.8%

2023年9月期

 

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

平均坪単価(円/坪)

24,198

24,626

24,595

24,220

24,994

25,090

24,337

23,713

24,180

25,185

24,958

25,200

物件稼働率

95.2%

98.2%

97.5%

95.8%

96.3%

96.8%

95.1%

95.1%

96.3%

96.5%

96.1%

98.3%

※月末時点での数値を記載

※平均坪単価及び物件稼働率は、竣工後1年以上経過したML・保有物件について算出

※平均坪単価及び物件稼働率の算出にあたり、終了予定物件については除外

(4) 中長期的な経営環境

 当社はフレキシブルワークプレイス事業に係る事業環境を以下のように認識しています。

<業界規模>

潜在的なオフィス市場の存在

 ニッセイ基礎研究所による調査比較によれば(※1)、2023年のわが国の不動産投資市場規模において収益不動産は289.5兆円であり、オフィスはそのうちの36%を占めるといわれています。コロナ禍において、当社に対して、稼働率の低下したホテルをオフィスに用途変更したい、商業施設や住居内にオフィスを組み合わせたいなどの依頼が増えており、ホテルや商業施設等のオフィス以外からの用途変更等を鑑みれば、さらに大きな潜在市場が存在すると考えております。

都心部オフィス市場と事業拡大可能性

 東京都都市整備局によれば(※2)、2021年1月時点での東京23区のオフィス床面積は約9,545万㎡です。その中でも当社のエリアターゲットである渋谷区は約621万㎡、港区は約1,836万㎡であります。2023年9月末時点で、当社の運営面積は約8.5万㎡であり、オフィス市況そのものが巨大なマーケットであるため、当社の発展的な事業拡大の余地は十分にあると考えております。

 なお、三鬼商事によれば(※3)、2023年9月度における東京ビジネス地区である都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)の平均賃料は、19,750円/坪と、約2万円です。対して、その他主要都市のビジネスエリアの平均賃料は、横浜・名古屋・大阪・福岡であっても、1.1万円台から1.2万円台であり、東京都心部のオフィス賃料の単価優位性は高いといえます。

 特に、渋谷区の優位性は顕著です。三鬼商事によれば(※3)、都心5区は他エリアに比べ平均賃料も稼働率も高水準を維持していますが、渋谷区はさらに高い水準で推移しています。平均賃料について、2023年9月度における都心5区の平均賃料が19,750円/坪であることに対し、渋谷区は21,863円/坪となっています。稼働率について、2023年9月度における都心5区の稼働率は93.9%であることに対し、渋谷区は95.9%です。渋谷区の平均賃料はコロナ禍前から都心5区よりも高い水準で推移していましたが、稼働率についてはコロナ禍を経て逆転し、5区よりも渋谷区が高い稼働率をキープするようになりました。コロナ禍を経て働き方改革が急速に進行したことで、渋谷区はますます需要が高いエリアになったと考えられます。

 競合他社との差別化という観点においても、渋谷区を中心とした狭域にて事業展開を行うことで、エリアニーズや需要の変化をいち早く掴み、改善策や新規企画に反映できることからも狭域での事業展開をしていくことが差別化に繫がると考えております。

<市場動向>

競争力を失ったビルの増加と差別化の必要性

ザイマックス不動産総合研究所によると(※4)、2023年12月末時点で想定される東京都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)のオフィスストックは賃貸面積ベースで981万坪と、東京23区全体のストック1,311万坪の75%を占めるとしています。うち、中小規模ビルは447万坪、平均築年数は34.2年であり、大規模ビルの平均築年数25.7年に比べ築年経過が進んでいるとされています。中小規模ビル447万坪のうち、当社の得意とするコンパクトな築20年以上の築古ビルはバブル時代に過剰供給されたことを背景に361万坪と81%の延床面積を占めており、当社の再生ソリューションの対象となる物件が豊富に存在しています。

 対して、築20年未満の中小規模の築古ビルは86万坪存在します。現時点で築浅であるこれらのオフィスビルも、いずれ古くなり競争力を失っていきます。また、大規模ビルも同様に、経年による競争力の低下は避けられないため、いずれ古くなり競争力を失っていきます。特に、現時点で築20年未満の築浅大規模ビルは241万坪の延床面積を占めており、供給ストックの過剰さから競争が激化していくと考えております。

 すなわち、中小規模ビル・大規模ビルを問わず経年により競争力が失われていくことは明白なため、当社のフレキシブルワークプレイス事業の対象となる物件はさらに増えていくと考えております。


 東京都心5区オフィスピラミッド2023(賃貸面積ベース)

<出典:ザイマックス不動産総合研究所「オフィスピラミッド2023」(※4)>

アフターコロナにおけるオフィス選別淘汰の潮流

 コロナ禍によって、オフィスワークを取り巻く環境は大きく変化しました。ザイマックス不動産総合研究所の調査は(※5)、テレワークの浸透により働く場所と働き方を見直すこととなったため、コロナ前後で築年・規模別のオフィスビル需要に変化が生じた企業がメインオフィスについてリアルな場所としての役割・価値を求めるようになったと示唆しています。例えばコロナ禍前2020年第1四半期においては、築年・規模に関わらず高い稼働率でしたが、コロナ禍後2022年第3四半期においては、築浅で大規模なビルは高稼働率を維持していた一方で、中小規模ビルは低稼働率であったという結果が示されています。大規模ビルにおいては築21~30年のビルが他の築年のビルと比べて低稼働が目立つ結果が示されております。また、コロナ禍後も渋谷エリアなどは好調な一方、湾岸エリアなどは不調であるという、エリア差も明確化したという結果が示されています。

 働き方改革の進行だけでなく労働人口の減少を鑑みれば、今後オフィス需要の継続的な拡大は期待できないことは明らかです。同調査はオフィスマーケットにおいて一定量の空室がある状態が常態化することで企業によるビルに選別が進行しており、現状においても築古オフィスビルは長期的に空室を多く抱えているものが一定量あることから、特にバブル期に供給された中小規模ビルの競争力の低下が社会問題となりつつあると指摘されております。

 また、日本不動産研究所の調査において(※6)、東京ビジネス地区の賃料及び空室率について中長期予測(2024~2025年)が示されております。同調査によれば、2024年は新規供給が限られる見通しであるが需要の伸びも限定的で空室率は緩やかな改善に留まり、賃料指数はいったん下げ止まりの兆しを見せると予測されております。2025年は大規模な再開発の竣工が続き新規供給量が過去最大レベルとなるため、空室率は上昇し、賃料指数は空室率の上昇の影響もあり下落すると予測されております。つまり、稼働率はコロナ禍前のようには戻らず賃料指数も同様だというトレンドに加え、労働人口の減少に歯止めがかからない以上、2025年以降もオフィスの選別淘汰がますます進んでいくであろうことが予測できると考えております。

 以上のことから、オフィスバブルの終焉ともいえるコロナ禍後のオフィス選別淘汰の潮流においては、オフィスの差別化がますます求められることとなるため、入居者ニーズにフレキシブルに応えた商品をスピーディーに提供できる当社にとっては、このような逆境もプラスに働くと考えております。

フレキシブルオフィス市場の拡大

 フレキシブルオフィス市場は、企業がワーカーに働く場所の選択肢を与えることの重要性が増したことを背景に、拡大傾向が続いております。ザイマックス不動産総合研究所の調査(2022年10月~12月)によると(※7)、東京23区内のフレキシブルオフィスは1,260拠点あり、その総面積は約23.9万坪(東京23区内のオフィスストック1,311万坪の約1.8%)となっており、年々増加しております。また、総拠点数の66.3%、総面積の84.1%が東京都心5区(中央区、千代田区、港区、渋谷区、新宿区)に集中しています。オフィスはただの事務スペースからコミュニケーションを重視した空間へ変化していることからも、フレキシブルオフィス市場、特に東京都心5区においては今後も拡大傾向であると考えております。すなわち、当社のフレキシブルワークプレイス事業の需要は高まると考えております。

建築単価の上昇

建築単価の上昇によるリノベーションを視野に入れる企業が増加していることも挙げられます。国土交通省によると(※8)、2002年に180.4千円/㎡であった建築単価(事務所)は、2022年に362.9千円/㎡と大幅に上昇しています。建築単価の上昇を背景に、新築ではなくコストを抑制できるリノベーションを選択する企業が増加しております。今後も建築単価が大きく下落することはないと予測しておりますので、投下コスト抑制の観点から新築ではなく築古ビル再生を選択するビルオーナーは増えていくと考えております。

※1 ニッセイ基礎研究所「わが国の不動産投資市場規模(2023年)」https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=75460?site=nli

※2 東京都都市整備局「東京の土地2021」https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/tochi/index.html

※3 三鬼商事「オフィスマーケット」 https://www.miki-shoji.co.jp/rent/report

※4 ザイマックス不動産総合研究所「オフィスピラミッド2023」https://soken.xymax.co.jp/2023/01/18/2301-stock_pyramid_2023/

※5 ザイマックス不動産総合研究所「オフィスの未来」https://soken.xymax.co.jp/2023/05/08/2305-the_future_of_office_buildings/

※6 日本不動産研究所「東京のオフィス賃料予測(2022~2025年)」https://www.reinet.or.jp/?p=29067

※7 ザイマックス不動産総合研究所「フレキシブルオフィス市場調査2023」https://soken.xymax.co.jp/2023/02/07/2302-flexible_office_survey_2023/

※8 国土交通省「建築着工統計調査」https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001011993&cycle=8&year=20221

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 組織・ガバナンス体制の強化

 当社は、宅地建物取引業免許、一級建築士事務所登録、特定建設業許可といった許認可に基づいた事業を行っており、業法違反等による事業活動の停止や資格はく奪、建設業による事故や損害賠償の発生などが生じた場合は事業に多大な影響を及ぼします。それに対処するために、規定上必要とされる人数を超えた有資格者の設置、コンプライアンス研修等の社員教育の実施、社外役員から牽制体制等を通じたガバナンス体制を強化することで、リスクを限りなく低減することが重要であると認識しています。

② 財務体質の健全性向上

 当社の事業は、主に築古ビルを対象として、不動産取得及び設備投資を行うための設備投資資金を必要とするビジネスモデルであります。手元資金の他、銀行借入により物件購入資金及び設備投資資金を調達しております。今後も物件購入を継続していく経営方針であるため、市況の変化に左右されずに安定的な資金調達を行うために財務基盤の強化が必要となります。そのため、定期的に金融機関への業績説明を行うことや、物件内覧等を通じて相互理解を深めることで取引がより強固となり、資金調達が円滑に行われるように意識しております。株式上場の実現により、自己資本を増強することで財務体質の健全性の向上を図るとともに、信用力向上による調達金利の抑制も見込まれるため、金利上昇局面においても金利負担軽減を図ることができると考えております。

③ 認知度、ブランド力の向上

 当社は、既存ビルオーナーからの継続的な案件依頼が多いことも特徴となっておりますが、今後の事業の継続的な成長のためには新規のビルオーナーとの取引が必要と考えております。そのために現在行っているビルオーナー向けのセミナー等の広報活動の強化等を通じて、ブランド力向上に取組んでまいります。また、株式上場により社会認知度の向上を図ることができると考えております。

④ 社員研修・教育制度の充実化と人材確保

 事業の発展のためには、継続的に優秀な人材を確保し、これを育成することが重要であると認識しております。社内教育制度の拡充や、独実のビジネスモデルやノウハウの浸透を図ることにより、社員一人一人のレベルアップを図るとともに、管理職層の育成を強化して事業拡大に伴う組織体制の整備を進めていく方針です。

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