企業兼大株主ラックランド東証プライム:9612】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「社会を構成するメンバーとして、尊敬され、関係する様々な方々の期待に応える企業」を志向し、日々、株主の皆様、お客様、協力会社、地域社会、そして社員等、当社グループと関係するすべての方々(ステークホルダー)と関係を持ち、期待を担いながら相互の協力の下、活動をしております。その期待に誠実に応えていくことこそが当社グループの企業使命であるという認識の下、「商空間創りを通じ、皆の笑顔を創りだす」というスローガンを掲げ、商空間の企画・制作・保守メンテナンス等の事業を展開しております。この笑顔とは、「お客様の笑顔」、「お店でご活躍されている方の笑顔」、「お店に集う方の笑顔」、「全ての人々の暮らしのステージとなる地球の笑顔」であり、単なる「モノ作り」でなく、社会において様々な「笑顔になれるコト」を創出することを経営の基本方針としております。それゆえに当社グループは自らの仕事を建設業という範囲を超え、「サービス業である」と考えております。

 そして、時代のニーズは新たな技術とともに変化していきますが、当社グループは安定した収益基盤を確立しながら、従来の枠組みに捉われず、時代の変化に柔軟に対応し、成長し続けられる企業でありたいと考えております。

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、2024年8月開催の定時株主総会終結時までの旧経営体制においては、2016年からの第2次10年計画は「世界でも期待される企業」への進化を遂げ、遅くとも2025年までには売上高 500億円(国内 450億円、海外 50億円)、営業利益率6%を実現できるよう目指してまいりました。2024年8月開催の定時株主総会の終結時をもって発足した新経営体制においては、営業利益率等の利益率や株主還元に係る指標が重視すべき指標であると認識しておりますが、新経営陣により丁寧な議論を行ったうえで、中期経営計画及び中長期的な会社の経営戦略とともに目標とする経営指標についても今後に策定し、決定次第、公表する予定です。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、日本国内及び東南アジア7ヶ国にて事業を展開しております。

 日本国内においては、当社グループが事業とする建設業界で急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用された「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限 原則月45時間、年360時間)により、人手不足が益々深刻となる状況が継続しているほか、原材料高、円安、金利上昇、国際情勢不安など様々なリスクや懸念がありますが、各業界の新型コロナウイルス感染症の収束後の経済の再活性化による投資意欲の強まりを受け、建設業界は概ね活況が続くと見込んでおります。このような状況の中でも、食に係る設備分野を祖業とした当社と各専門分野を持つグループ各社で構成される当社グループにおいて、各社が得意先や購買先等を相互に紹介し、各社の技術面の強みを活かして協業することにより、当社グループの対応できる事業範囲の拡大、施工コストの削減等が可能になり、当社グループとして競争力を発揮できると考えております。

 また、当社グループの成長には、日本より経済成長率が高く、日系企業の進出が盛んな東南アジア圏における海外事業の拡大が必須と考えております。2013年1月のシンガポールを皮切りに、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、台湾と、現在までに7ヶ国で現地法人を設立し、各国での施工実績も着実に増えてまいりました。各国において現地に根付いた営業網を拡充し、信頼と実績に基づいた当社グループのブランドの確立を進めてきた結果、2022年12月期には海外グループ会社全体で初めて単年度黒字を達成し、2024年12月期には目標である売上高 50億円を達成しました。本格的な成長軌道に乗り、更なる飛躍を目指しております。

 当社グループを取り巻く経済環境の状況を考慮し、2025年12月期の連結業績として、売上高46,000百万円、営業利益1,000百万円、経常利益1,020百万円を計画しております

(4) 優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題

 当社グループにおいて、2023年12月期及び2024年12月期と2期続けて不適切会計事案の発見に端を発し、当社の内部統制における重大な不備が発覚したことで、関係者の皆様には多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。特別調査委員会の指摘・提言を受け、当社の内部統制を見直し、再発防止策を講じることで、内部統制の整備を進め、適正な運用ができるよう改善してまいります。

(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)

 当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日に当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に同特別調査委員会から受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。当該特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。またこの実行に、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」といいます。)。

 加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」といいます。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

 なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」といいます。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の財務諸表に含めて処理したもの。)や、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識しております。

 同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点に繋がったものと認識しております。

 その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした。

 次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しておりますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さをその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったことを認識しております。

 当初工事原価付替え事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書受領後、再発防止策を検討のうえ、順次改善対応を進めております。なお、現時点での対応状況は以下のとおりです。

[当初工事原価付替え事案に対する再発防止策の実施状況]

① 工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点

 コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定のうえ、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

② 工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点

 工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。

 また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。

 なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む)から、関連部門へ指導のうえ、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めております。

③ 工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点

 主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討を含む。)についてチェックを実施いたしました。

④ 子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ

 当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」といいます。)に対しては、リスク・コンプライアンス管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

⑤ 子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと

 当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。

 また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。

 次に、今般不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書及びガバナンス委員会からの答申書の内容等を踏まえ、以下に掲げる再発防止策を策定し、準備が完了した事項から順次実施しております。

「今般不適切交際費等事案に対する再発防止策」

(1) 当社ガバナンス体制の抜本的な改善

  ① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)

  ② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化

  ③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及

(2) 取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化

  ① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善

  ② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化

  ③ 取締役会における重要リスクのモニタリング

  ④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化

(3) 本件を踏まえた個別的な対応

  ① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し

  ② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)

(4) 当社企業風土の刷新

  ① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)

  ② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施

  ③ 内部通報窓口の機能充実

「その他関連当事者取引の未開示に対する改善策」

(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善

  ① 関連当事者との取引明細シートの改善

  ② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施

 なお、当社は、2024年2月14日付の適時開示「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」に記載のとおり、特別調査委員会による調査を行い、当該調査に係る一連の費用(当該調査に関する自主点検、訂正監査の実施、過年度の有価証券報告書等の修正に係る費用を含みます。)として、2024年12月期中間連結会計期間において1,163百万円を特別損失として計上しており、当社代表取締役社長(当時)を含む当社元取締役(監査等委員含む)に対する責任追及を行っておりますが、経緯と現状の詳細については、2025年2月13日付にて適時開示で公表した「東京証券取引所への「改善状況報告書」の提出に関するお知らせ」(一部の事項を修正した差替え版を2025年2月14日付にて公表しております。)をご参照ください。

 今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社は、ガバナンス体制や内部統制が不十分であったことを反省し、このような事態を二度と繰り返さないよう、経営陣の刷新を行ったうえで、全社一丸となって再発防止について議論し、改善措置に取り組んでまいりました。その結果、取締役会、監査等委員会でのガバナンス体制の再構築、内部統制の強化、コンプライアンス教育による意識の向上等、着実にその成果が現れてきていると考えております。継続してガバナンス、コンプライアンス、内部統制等の更なる改善向上に取り組むことは当社の責務であると考えており、今般の教訓を活かし、営業戦略の再構成を含め利益を創出できる体制の再構築及び資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等、経営上の諸々の課題に対する立案や対応を進め、会社の持続的な成長、そして中長期的な企業価値の向上に励みながら、株主、投資家の皆様をはじめ関係者の皆様からの信頼回復を目指して、適切な事業運営に努めてまいります。

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