ラクサス・テクノロジーズ
【東証グロース:288A】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、今後、更なる事業基盤の強化及び収益の拡大に向け、以下の主要課題に取り組んでまいります。
(1)経営方針
当社は、2006年の創業以降、「本当に良いものを愛し、作り手の想いをつなげたい。」「あこがれをみんなでシェアしたい。」という想いから、「世界中に笑顔を」を経営理念に据え、事業を拡大してきました。
従来、ブランドバッグをはじめとした「高額品=価値あるモノ」は所有を中心とした世界でしたが、当社は、そうした世界に加えて、ユーザーの利活用機会拡大により、モノの潜在的な価値を引き出し(モノが持つ価値のポテンシャルをより開放し)、「モノの価値が循環し、その生涯価値が最大化される世界」の実現を目指しております。
その起点として、当社は、シェアリングエコノミーサービスが世の中に普及し始めた早い段階である2015年にブランドバッグに特化したサブスクリプションサービス「ラクサス」事業を開始し、シェアリングエコノミーの浸透を牽引してきました。2020年には、ブランドバッグの試用販売「買えちゃうラクサス」サービスをローンチしております。
当社が目指す「モノの価値循環モデル」は、当社が先行モデルであると認識しております。当社は、成長戦略の基本方針として、現在のモデルや資産をベースにレバレッジし、成長していくことを目指します。将来的には、価値あるモノが循環する社会を目指し、エリア・領域拡大を目指したいと考えています。
[当社が目指す姿]
(2)経営環境
当社は、価値あるモノの価値循環モデルの確立を目指しており、関連する重要市場として、当社資産に関わるラグジュアリー市場、価値の循環に関わるシェアリングエコノミー市場及び二次流通(リユース)市場、並びに憧れに手が届く機会を拡大するファイナンスサービス等に関連するBNPL市場の4市場を想定しており、いずれの市場も拡大が予想される市場であると考えております。
① ラグジュアリー市場
国内外ラグジュアリーバッグの市場規模は、新型コロナウイルス感染症の終息後、再び回復軌道に乗り、2024年より2029年にかけて国内CAGR(国内年平均成長率)4.6%と成長すると予想されております。(出典:Euromonitor International社 Luxury Goods 2025(2025年5月28日時点))
② シェアリングエコノミー市場
モノのシェアリング市場CAGRは、2022年より2032年にかけてベースシナリオで5.7%成長、課題解決シナリオで9.9%成長と市場規模の拡大が予想されております。(出典:情報通信総合研究所「シェアリングエコノミー関連調査 2022年度調査結果」)
③ 二次流通(リユース)市場
国内リユース市場のCAGRは、2022年から2030年にかけて4.1%成長と市場規模の拡大が予想されております。(出典:株式会社リフォーム産業新聞社 リサイクル通信「リユース市場データブック2024」)
④ BNPL市場(注)
国内のEC決済サービスCAGRは、2023年から2028年にかけて14.4%成長、また、後払い決済サービスのCAGRは13.0%成長と市場規模は拡大しております。(出典:株式会社矢野経済研究所「EC決済サービス市場に関する調査(2025年)」)
(注)「BNPL」とは、「Buy Now, Pay Later」の略であり、商品を購入する際に代金の支払が不要な後払い決済を指します。
(3)中期経営戦略
当社は、バッグのシェアリングを起点に、価値あるモノのユーザー利活用機会の裾野を拡げ、その生涯価値を最大化させることを目指してきました。
まず、当社は流通価値(シェアリング)や買いやすさの提供など、これまで培ってきたコアモデルや保有資産をレバレッジし、ブランドバッグの生涯収益を最大化していきたいと考えております。その上で、価値あるモノのサーキュラープラットフォーム構築を目指していきます。
また、当社は、主要ユーザーである20代から50代女性の人口は約2,996万人と当社の全契約数(ダブルプラン含む)19,547人(2025年3月末実績)に対して大きな市場であると考えております。また、バッグの販売先となるリユース市場規模も事業の成長の追い風になると考えております。
当社は、持続的な成長の実現には、一定の投資が必要であると考えておりますが、投資に対する回収については、LTV/CAC(注)1.(注)2.は、安定して4.0以上で推移、CACの回収期間も2.5か月であり、ブランドバッグの投資回収期間も約21か月となっております。
当社は、サブスクリプションサービスにおいて、会員の継続率が重要であると考えており、サービス利用料金をあらかじめ払い込むラクサスキャッシュ(前払い式支払い手段)を導入しました。これにより払い込んだ金額に応じた期間の会員離脱を回避することで継続率は改善傾向にあり、今後も継続していくものと見込んでおります。
加えて、資産の生涯収益を高めるべく開始したBtoB/Cのバッグ販売は、前期より取り組みを開始し、今期は「対象顧客×販路」の拡大を進め、2025年3月期販売額は、前年同期比2.7倍と大きく伸長しております。
当社は、バッグのシェアリングを起点に、価値あるモノに対するユーザーの利活用の機会を拡げるとともに、その生涯価値を最大化させることを目指してきました。継続したサービスの進化によるサブスクリプション・シェアリングサービスの成長に加え、現在保有する資産(バッグ)やオペレーション等の当社の強みを梃子に“資産の生涯収益を最大化”することで、更なる成長が可能と認識しています。
既に取り組みを開始しているバッグの販売ですが、当社は、国内最大規模のブランドバッグ資産を保有しており、この強みを活かし、より一般消費者に近い販売チャネルでの販売を行うことにより収益の最大化を検討したいと考えています。また、消費者からの買取による仕入れも検討していきます。
当社は、バッグの資産価値に関するタイムリーなデータを保有していることに加え、独自の入会審査の仕組みを構築しており、前述のToC販売拡大とともに、消費者にとって支払いやすい、購入しやすい仕組みの構築も検討して行く予定としております。
更に、当社は、フルフィルメント機能を内製化していることから、他社からのリペア・メンテナンス業務受託やバッグ保管施設の一部貸し出し等による成長も可能と考えています。
当社は、国内において“ブランドバッグ”がもたらす収益を最大限に取り込み、その上で、高額品のマーケットプレイス構築など、ブランドバッグの領域を超えたビジネスを実現したいと考えております。
(注)1.LTVとは、会員1人が商品を利用してから解約するまでにもたらしてくれる利益を指します。
2.CACとは、新規顧客1人を獲得するために必要としたコストを指します。
[中期経営戦略の方向性]
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が、現在認識している事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりとなります。
① 事業基盤の拡充
当社の成長は、一般消費者に対して魅力的なサービスを提供し、持続的に契約数を増加させることにより実現されます。そのため、契約数増加に対する取り組みは、経営上の最重要課題であり、継続した認知向上と販売チャネルの拡大を図っていく必要があると認識しております。
契約数増加の取り組みとしましては、まず、一定の広告宣伝費を確保した上で、様々な広告媒体を通じて契約に至るファネルの拡大を図るとともに、蓄積した会員の行動履歴等に基づく各種キャンペーン等の施策を通じて契約までの転換率の向上を図ります。
次に、インベスタマーの獲得を目的とした株主優待の導入により、これまで当社と接点がなかった層の獲得や株主の会員化を図ります。
最後に、優良顧客を持つ企業との提携に積極的に取り組むことで、広告に依存しない契約獲得の仕組みを構築してまいります。具体的には、当社は、当社が持つシェアリングサービス機能を他社にOEM提供する仕組みであるShaaS(Sharing as a Service)を拡大してまいります。この取り組みにより、提携先は当社サービスを活用しながら顧客コミュニティのつながりを拡大でき、当社は契約数を増加させることが可能となります。
当社は、これら3つの重点取り組みが、今後の更なる成長を担保するものと考えており、強力に推進してまいります。
更に、バッグ販売につきましては、販売単価の向上を目指し、ユーズドセレクトショップを通じた委託販売網の拡充や東京オフィスに店舗機能を持たせるなど、BtoB/toC販路の拡大に注力してまいります。
② システム及びオペレーション機能の強化
当社は、モノのサブスクリプションサービスの先駆けであることから、アプリケーションを含むシステム及びオペレーションは基本的に内製にて構築してまいりました。既存事業において、会員獲得の強化や長期的な利用促進の観点から、サービス品質の維持・向上が強く求められており、これらを担保するシステム及びオペレーションは、継続的な強化が重要であると認識しています。
また、今後の成長戦略として、会員基盤の更なる拡大と新たな価値提供を目指し、ShaaSによる他社との提携に積極的に取り組んでおります。当該提携を通じて、顧客接点を創出し、より多様な顧客サービスを提供するためには、きめ細やかなアプリケーション開発及びオペレーションの構築が必要不可欠であります。
更に、当社が目指すモノの価値循環モデルや所有資産の最適な組み替えの実現のためには、在庫連携システムの導入、最適在庫・販売のための機械学習強化等への取り組みも必要であると考えております。
最後に、ユーザーによる不正の排除も安定的な事業拡大には重要となります。これまで、当社は独自の審査の仕組みを構築してまいりましたが、更に強化するため継続的な改善が必要であると認識しております。
これらのシステム上、オペレーション上の課題に対応するため、当社は、必要なリソースを十分に確保し、継続的に適宜適切なシステム開発と事業オペレーションの最適化を図っていく方針としております。
③ 優秀な人材の確保と組織力の強化
今後の事業拡大及び収益基盤の拡充にあたり、優秀な人材の確保及びその定着を図ることは引き続き重要な課題であると認識しております。
特に、新たな成長領域に関する知見を有する人材の確保が重要であります。そのため、当社は継続的に採用活動を行うとともに、公正・適正な評価・処遇を行うことで、優秀な人材の確保に努めてまいります。
また、社員の職位、職務に応じた適切な教育、研修を実施し、活躍の場を提供することで、中期的に人材の底上げ及びコア人材の育成を図っていく方針としております。
④ 財務上の課題について
当社は、将来の成長に向けたレンタル用バッグ購入を中心とした先行投資をした結果、借入金残高が大きくなっています。一方で、収益力の強化に注力した結果、キャッシュ・フローは改善傾向にあるとともに、取引金融機関との連携により安定した資金繰りを実現しております。
今後も売上高の継続的な成長を通じて、より一層の収益力の強化と強固な金融機関との協調体制の確立により、財務の健全性向上及びキャッシュ・フローの安定化を進めてまいります。
⑤ コンプライアンス体制の維持・強化
当社は、ブランドバッグのシェアリングサービスを行っており、「景品表示法」、「古物営業法」等の様々な法的規制を受けております。これらの関連諸法令を遵守するための管理体制の整備が重要と認識しております。品質管理や表示・広告表現等につきましては、社内研修等により従業員教育を実施しております。今後も、一層の内部管理体制の強化を図り、コンプライアンス体制の充実に取り組んでまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社がユーザーから、そして社会全体から信頼を得て持続的に成長するためには、サービスの品質や安全性の確保のみならず、内部管理体制の充実は不可欠であると認識しております。そのために、サービスの品質や安全性の確保のみならず、内部管理体制の強化も必要であると認識しております。
当社業務遂行上必要な法律等の知識について、研修等を通じて社内で共有するとともに、その遵守状況を内部監査等でチェックし、体制強化に取り組んでまいります。
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