企業ライスカレー東証グロース:195A】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは「誰もが、ありのままに一歩ふみ出せる場所づくりを。」をミッションに掲げ、コミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。コミュニティとは、特定の共通した価値観や興味関心を持つ人々の集まりであり、コミュニティデータとはSNSをはじめとした消費者のデジタル上の情報発信から得られる市場ニーズや消費者インサイトなど、付加価値の高い独自データを指します。情報化社会の成熟を通じてグローバル規模でさまざまな価値観が交わり変化し続ける中で、「多様化する価値観や課題」に応える手段として、コミュニティデータの活用ニーズが高まっております。

 また、当社グループは、これまでの画一的な価値観や経済成長が求められてきた社会とは異なり、今後は多様な価値観に応じた多様な定義の豊かさが求められていく社会になると考えております。その多様な価値観の基盤となるコミュニティにおける経済活動をコミュニティデータの活用によって支援することは、当社グループの使命であると考えております。

 したがって、当社グループは、当社グループの関わる全てのコミュニティにおいて、そのコミュニティデータの管理を当社のツールを活用して横断的に行うことで、コミュニティの創出・運営に関するデータ群及びノウハウを蓄積しております。これにより、コミュニティブランドの展開やソーシャルメディアを用いた事業拡大が期待できる新規領域を見極め、収益化を実現していくことで、当社グループの業績及び企業価値の向上を目指してまいります。

 そして、当社グループはコミュニティデータプラットフォーム事業の展開を通じて「コミュニティデータプラットフォーマーとしての地位を確立し、さまざまなコミュニティから収集されたデータの活用を通じて多様化する社会のニーズに沿った事業を創出し、多様な価値観による経済活動に主導された持続可能な社会を実現すること」を経営目標としております。

[市場変化に伴うコミュニティデータの活用需要の高まり]

 従来、企業が商品・サービスの開発やマーケティング活動を行う際は、対象となる一般消費者の性別や年齢、地域や年収といった属性を選定し、アンケート等でデータ分析を行い戦略設計する方法が主流でした。しかし、SNSを中心とした急速な情報化社会の発達の中で、一般消費者のニーズは細分化・多様化しております。また、急速な一般消費者のトレンド変化への対応も求められております。

 当社グループは、SNSを中心に収集したコミュニティデータを通じ、多様化するコミュニティごとの趣味嗜好やニーズを分析し、商品・サービスの開発やマーケティング活動に活用しております。


(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、コミュニティデータを活用したコミュニティデータプラットフォーム事業の展開を行っているため、これに応じた経営指標を定めております。

そのため重視する経営指標としては、コミュニティデータプラットフォーム事業の売上高(領域別)、当期純利益、SNSフォロワー数、SNSリアクション数、連携アカウント数を定めております。SNSフォロワー数は、当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティの成長性を表す指標として重視しております。

SNSリアクション数は、消費者がインターネットコミュニティの中で行うさまざまな消費行動の規模を表す指標として重視しております。また、連携アカウント数は当社グループが事業展開の起点として利用可能なインターネットコミュニティの規模を表す指標として重視しております。なお、2021年3月期から2024年3月期までの各指標の推移は以下の通りであります。

 コミュニティデータプラットフォーム事業の売上高(領域別)に関しては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の通りであり、当期純利益に関しては、「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」の通りです。

[各指標の累計実績]                                                                         (単位:件)

指標

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

SNSフォロワー数

169,348,183

209,850,316

382,286,207

1,027,560,082

SNSリアクション数

391,811,442

1,025,345,486

2,250,596,734

4,943,108,617

連携アカウント数

1,001

1,242

3,470

12,762

(3) 経営環境

 当社グループがエンタープライズ領域を展開する国内インターネット広告市場に関しては、社会のデジタル化加速が追い風となり、株式会社電通の「2023年 日本の広告費」によれば2022年のインターネット広告費は前年比14.3%増の3兆912億円、2023年においては前年比7.8%増の3兆3,330億円と推計され、継続的に高い成長率を維持しております。また、株式会社サイバー・バズ及び株式会社デジタルインファクト調べ「2022年国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」によれば2024年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場は、前年比16.6%増の1兆2,713億円と予測されております。新型コロナウイルス感染症の影響による社会全体のオンライン化による企業のマーケティング活動のデジタルシフトは引き続き進んでおり、当社グループが提供するマーケティングソリューションに対する需要は今後も高まっていくと考えております。

 当社グループは、ソーシャルメディアに関連するマーケティングソリューションを軸としながら、それに限定されない幅広いソリューションを保有しております。そのため、顧客の課題や目的により、ソーシャルメディアを活用したマーケティング施策が最適でない場合であっても、顧客に適したソリューションを提案することが可能です。また、顧客が求めるソリューションを提供することだけではなく、顧客がマーケティングの計画を策定する際に、当社が総合的に計画策定支援を行う機会も多く存在します。そのような顧客との深い関係による信頼の構築により、継続的な取引を実現しております。

 また、当社グループがコンシューマ領域を展開するBtoC EC市場に関しては、経済産業省商務情報政策局の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によりますと、物販系分野の BtoC EC市場規模は2022年に13.9兆円となり、前年比5.37%増となりました。2021年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要の影響でEC市場規模の一時的な底上げがあったと考えられますが、2022年において伸び率は鈍化しつつも増加しております。2013年以降、右肩上がりで2倍超に拡大しており、2022年において物販系分野のEC化率は9.13%のため今後も成長が期待されます。利用端末としては「スマートフォン」が伸び続けており、2022年において物販系ECの売上高のスマートフォン比率は55.9%、7.8兆円に達しております。

 さらに、当社が『MiiS』を展開するオーラルケア市場は株式会社富士経済の「オーラルケア関連市場マーケティング総覧 2021」によれば、2023年には4,186億円となることが予測されており、『RiLi』を展開するアパレルEC市場は経済産業省商務情報政策局の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」の、「BtoC-EC市場規模の経年推移「⑥衣類・服装雑貨等の市場規模」によれば、2022年は前年比5.0%増の2兆5,499億円の市場規模であると報告されています。

 当社グループのブランド開発においては、消費者の課題や目的などのインサイトに関わるコミュニティデータを活用しております。具体的には、消費者からのリアクションデータをもとにブランドのマーケティング施策の見直しやパッケージデザインの調整を行っております。こうしたコミュニティデータの活用により、常に消費者を向いたブランドの改善を実現し、結果として広告宣伝費の依存度が低く、効率的に顧客獲得ができております。

(4) 当社グループの強みと経営戦略

 当社グループの強みは、自社のデータクラウドを活用し、 エンタープライズ領域とコンシューマ領域で相互にシナジーのある事業成長を実現できている点です。

 エンタープライズ領域においては、コンシューマ領域の自社ブランド・サービスにおいて行われる深いデータ分析やマーケティングノウハウが、質の高いマーケティングソリューションの提供につながっており、競合優位性につながっております。

 また、コンシューマ領域においては、エンタープライズ領域の幅広い自社のマーケティングソリューションを活用することで、マーケティングを内製化し、効果的な顧客の獲得を実現しております。

[コミュニティデータの循環による事業成長]


以下では、当社の主要な経営戦略について項目ごとに記載いたします。

① エンタープライズ領域の経営戦略

 エンタープライズ領域のマーケティング・DXにおいては、主な顧客基盤である大企業を中心とした営業活動に注力するとともに、新たなソリューションを随時開発し提供することを通じて、顧客単価の向上を目指しております。2024年3月期は2023年3月期と比較し、月次累計顧客数は17.1%増加し、顧客単価は同程度となりました。今後は、データクラウドである『CCXcloud』から得られるマーケティング・DXに関する知見を基に、顧客に提供するマーケティング・DXに関するソリューションの幅を拡大し、営業の強化に投資していくことで、大手顧客を中心に月次累計顧客数及び顧客単価の伸長を実現する戦略です。

 また、データクラウドにおいては、コミュニティデータの蓄積に向けたツールの開発と同時に、ツール自体での収益を増加させるべく、有料ツールの開発並びにツールの一部機能の有料化を進めております。また、これらのエンタープライズ領域の経営戦略により、収益を拡大することはもちろん、取得可能なデータの種類を拡大することを目指しております。

[マーケティング・DXの事業関連指標]

② コンシューマ領域の経営戦略

 コンシューマ領域のブランド・サービスにおいては、各ブランドにおけるマーケティング強化によるECサイトへのアクセス数や来店数の拡大を通じた会員基盤の成長に加え、オンライン・オフラインを問わず多様な販路を通じたマネタイズポイントの拡張による成長を目指しております。なお、2024年3月期は『MiiS』と『RiLi』の主要2ブランドの売上高は平均して340,627千円でした。

 また、今後さらにコミュニティデータの活用を促進し、新規ブランド・サービスへの成長投資も継続していくことで、取得可能なデータの領域が拡大し、エンタープライズ領域で取得するデータの拡大とあわせ、コミュニティデータプラットフォーマーとしての成長も目指しております。

[ブランド・サービスの事業関連指標]

③ M&Aを通じた非連続的な成長に関する経営戦略

 当社はこれまで2社の買収・吸収合併を行っており、いずれもコミュニティデータプラットフォーム事業の成長に寄与しております。既存領域及びその周辺領域において、M&Aを通じた非連続的な事業成長を実現する戦略です。

④ コミュニティデータを活用した新領域への展開に関する経営戦略

 コミュニティデータを活用した事業展開は、既存の事業領域の枠をこえた新領域への展開も実現可能であると認識しております。例えば、消費者向けの商品企画や開発を請け負うOEM・ODMといった歴史の長い業界に対して、自社のブランド・サービスで培ったコミュニティデータを活用した商品の企画・開発力を軸に新規で参入するといった形が考えられます。また、生成AIをはじめとする先進的な技術とコミュニティデータを組み合わせたソリューションの提供といった新しい技術とコミュニティデータを掛け合わせた新領域への展開も考えられます。

[コミュニティデータを活用した新領域への展開]

[中期成長戦略]

SNSを中心とした市場の成長を牽引し、コミュニティ消費時代のキープレイヤーとしての圧倒的なポジションの確立を目指しております。


(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① エンタープライズ領域におけるマーケティング・DXに関する新規ソリューションの拡充及び人材採用

 当社グループは、エンタープライズ領域においてソーシャルメディアマーケティングを中心にSNSアカウント運用代行やインフルエンサーキャスティング、口コミの生成、広告運用、イベント企画といった各種ソリューションの開発・提供に注力し、当社グループが自らコミュニティを運営する中で獲得したノウハウを活かした、当社グループでしか提供できない価値を顧客へ提供し、当社グループの競争力を高めることに注力してまいりました。

 こうした自社サービスの販売は利益率の高い商品であるため、事業上及び財務上の改善につながっております。ただし、ソーシャルメディアマーケティング市場の特色としては、その技術進歩が非常に早く、新たなマーケティング手法やサービス形態が日々開発されていることが挙げられます。そのため当社グループでは、顧客のマーケティングパートナーとして、顧客とより密接に交流し、マーケティング施策の上流過程から関わるとともに、いちはやく顧客の需要を拾い、それを満たす新たなソリューションの発掘・拡充を図ってまいります。さらに、幅広いソリューションを顧客に提案していくことで、さまざまな顧客の需要にこたえる営業人材及び広告やSNSアカウントの運用を行う人材を確保していくことが肝要であり、人材採用の強化を行ってまいります。

② コンシューマ領域における自社ブランド・サービスに関する商品・サービスラインナップの強化

 当社グループは、コンシューマ領域において『MiiS』や『RiLi』をはじめとしたコミュニティ発のブランド並びに商品・サービスの開発に注力してまいりました。商品販売などの経済活動の開始前に熱量の高いコミュニティを構築することにより、広告宣伝への依存度が低く、LTVの高いマーケットをコミュニティ内に創り出しておりますが、コミュニティ内の経済活動をより活性化するには、EC領域にとどまらないコミュニティにフィットした商品・サービスラインナップの一層の拡充が重要と考えております。また、『MiiS』に関して、当社は、『MiiS』のブランディング力を活用した、デンタルクリニックのプロデュースをはじめとしたオフラインを含めた収益化を行い、コミュニティデータを起点としたブランド・サービスの可能性を拡大します。

※ LTV:Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略で、ある顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標。

③ データクラウドを構成する各種ツールの開発強化

 当社グループでは、当社の提供するデータクラウドである『CCXcloud』を通じて、コミュニティデータの蓄積及び分析ツールの提供や、コミュニティへの集客を実現する広告DXツールの提供を行ってきました。これにより、ソーシャルメディアから得られるデータや知見を用いた事業拡大を実現しております。こうしたコミュニティデータを起点とした事業展開を支える、さらなるツールの開発を継続的に行ってまいります。

④ M&Aによる既存・周辺事業領域の非連続的な成長

 当社グループは、既存事業領域及びシナジー確度の高い周辺事業領域を中心にM&Aを進めることで、コミュニティデータプラットフォーマーとしての収益基盤を強固にしてまいります。特に売上総利益及び営業利益を重視したM&Aを実施してまいります。

⑤ 組織体制の整備

 当社グループは、さらなる成長を図るために、成長フェーズによる組織体制の確立と優秀な人材の確保、また確保した人材の早期育成の仕組みが不可欠だと考えております。採用活動の強化を図るとともに、社内研修制度、ノウハウの共有の仕組みの確立を行ってまいります。

⑥ 法規制等の変動に対応する社内体制

 当社グループの事業は、広告関連法令やインターネット広告業界の自主規制、各種SNSプラットフォーム規約等の制約を受けますが、それら規制の改正、変更等の事業環境の変化に迅速に対応するため、事業部門とコーポレート部門が連携して情報の収集、分析、管理を行っております。また、規制等の変更に伴い対応が必要な場合は、当該規制等の社内への周知、教育等によりその徹底を図っており、これらの対応を継続的に行ってまいります。

⑦ ステークホルダーの期待に応えるコーポレート・ガバナンスの実現

 事業の継続的な発展を実現させるためには各方面のステークホルダーの期待に応えられるよう、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であると認識しております。そのために、常にミッション及びビジョンを念頭に置きながら経営状況を捉え、ステークホルダーとの対話の機会を通じて、当社グループのガバナンス上の課題の有無を十分に把握した上で、適切に対応してまいります。

⑧ 当社グループのサービス・ブランドの認知度向上

 当社グループが今後も成長を続けていくためには、当社グループのサービス・ブランドの認知度向上が必要不可欠と考えています。今後も広告宣伝費の費用対効果に注意を払いながらプロモーション活動を強化してまいります。

⑨ 財務上の課題

 当社は、主として運転資金の充実化を目的とした金融機関からの借入及び上場に伴う資金調達により十分な手許現預金を確保できる見込みであり、また、自己資金及び営業キャッシュ・フローによって安定的な財務基盤の確保もできていることから、本書提出日時点において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えております。ただし、今後の成長戦略の展開に伴い、内部留保の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により財務体質を強化するとともに、株式市場からの必要な資金の確保や、金融機関からの融資等により多様な資金調達を図ってまいります。

より抜粋
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