企業ユーグレナ東証プライム:2931】「食品業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、バングラデシュの栄養失調問題を解決したいという想いのもと2005年8月に創業し、2005年12月に微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養を世界で初めて成功させたことを起点として、「人と地球を健康にする」というパーパスのもと、ヘルスケアやバイオ燃料などの様々な領域において事業を展開してきました。そして、創業15周年を迎えた2020年9月期に、当社グループのありたい姿として「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げ、サステナビリティを軸とした事業を展開し、持続的な成長を図っております。

 当社は、植物と動物の両方の性質を備えたユニークな生物であるユーグレナを「バイオマスの5F」の「用途」分野に沿って事業化することを基本戦略としつつ、その事業化に伴い「ビジネスモデル」や「素材・技術」の多様化を進めてまいりました。「バイオマスの5F」とは、重量単価(例:1kgあたりの値段)が高い順からFood(食料)、Fiber(繊維)、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)、Fuel(燃料)の各分野へ展開することを指しております。ユーグレナは、その豊富な栄養素や独自成分であるパラミロンの機能性等を活かして、健康食品、化粧品、飼料として活用することが可能です。また、ユーグレナを低コストで大量に培養する技術を確立することで、ユーグレナに含まれる脂質成分をバイオ燃料原料として利用することも可能となります。

 図 バイオマスの5F

 現在は「バイオマスの5F」のうち、最も価格が高いFood(食料)を主として食品及び化粧品の「用途」で事業化しており、「ビジネスモデル」は、ヘルスケアでは直販を軸としつつ流通卸、OEM供給、原料販売のマルチチャネルで展開しております。また、培養技術の更なる向上・開発により原料の低コスト化を図り、Feed(飼料)、Fertilizer(肥料)及びFuel(燃料)等の「用途」での商業化を目指しております。このように当社グループは、ユーグレナ等の微細藻類の大量培養技術を出発点として、食品、化粧品、飼料、肥料、バイオ燃料等の様々な分野における事業展開と研究開発を行っております。

 また当社グループは、ユーグレナの事業展開を通じて培った事業基盤と知見を活かして、「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という当社グループのありたい姿の実現に向けて、サステナビリティを軸に、ユーグレナ以外の素材や藻類培養以外のテクノロジーを用いた事業展開、並びに既存事業の周辺領域や新規領域への事業進出を進めております。今後も事業成長を通じた社会問題の縮小を目指して、成長投資、パートナーシップ、M&Aも広く活用しながら、多角的に事業を展開してまいります。

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

 当社グループは、2024年より代表取締役社長と2名の代表執行役員Co-CEOによる新経営体制に移行し、フィロソフィーの体現とパーパスの実現に向けて、売上・利益のサステナブルな成長を可能とする事業基盤を構築するべく、以下の3つの中期経営方針を推進しております。

①当社グループの原点である「研究開発力」と「ベンチャー精神」を軸とした競争力と独自性の再構築

 当社グループが注力する「サステナビリティ」「バイオ燃料プラント」「微細藻類」に取り組む企業が増加しており、中長期的な競争優位性が損なわれるリスクが高まっております。2024年度からの執行体制の刷新に伴い、当社の原点である「研究開発力」と「ベンチャー精神」をサステナブルな成長の源泉と位置付け、研究開発と事業の連携強化を図るとともに、新たな収益の柱を立ち上げる挑戦を続けることで、競争力と独自性の再構築を進めていきます。

②「バイオマスの5F」と「両利きの経営」による既存事業の安定的拡大と新たな売上シーズの開拓

 M&Aの活用により当社グループの事業規模は拡大したものの、事業ポートフォリオの分散が進み、競争の激化等も相まってオーガニック成長が鈍化しつつあります。上場時に掲げた基本戦略「バイオマスの5F」のもとで培ってきた微細藻類ユーグレナやその他独自素材の研究開発力を活かしながら、健康食品や化粧品を軸に収益事業化したヘルスケア事業を「深化」させて安定的な拡大を実現するとともに、バイオ燃料や飼料・肥料等の新規事業のシーズを「探索」し続けて新たな収益の柱を創出する「両利きの経営」により、サステナブルな成長を可能とする事業基盤を構築していきます。

③収益構造の改善とメリハリの利いた投資による黒字体質への転換

 新規事業への先行投資、事業ポートフォリオの拡大に伴うバックオフィスの強化、M&A関連費用の増加等により収益構造が悪化しており、調整後EBITDAは黒字を達成する一方で、営業損益等のボトムライン利益に関しては赤字傾向が継続しております。当社を中心にグループ全体で収益構造の改善・最適化を図るとともに、成長ポテンシャルのある領域を厳選して投資を集中することで、グループ全体の利益率改善と早期黒字化に向けた事業基盤の強化を進めていきます。

 上記の中期経営方針のもと、2024年12月期においては、売上高は過去最高となる52,500百万円を、調整後EBITDA(※)は3,600百万円を見込んでおります。また2030年に向けて、ヘルスケア事業は売上高600億円、調整後EBITDAマージン15%超を、バイオ燃料事業は商業プラント実現による収益貢献の飛躍的拡大を、その他事業は売上高100億円、EBITDAマージン10%を視野に、研究開発力とベンチャー精神で分散ポートフォリオを強化しながら、成長機会を機動的に捉えることで、サステナブルな成長を目指していきます。

(※)当社グループは、経営指標として2021年9月期より調整後EBITDAを開示しております。調整後EBITDAは、一般に公正妥当と認められた会計基準に基づく営業利益に、当社グループにとって経常的に発生する収益や非現金支出を反映させた、当社のキャッシュ・フロー創出力を示す指標です。

(3)対処すべき課題

 現在の市場環境及び事業進捗を踏まえて、各事業において認識している対処すべき課題については以下のように考えております。

(ヘルスケア事業)

 当社グループは、微細藻類ユーグレナ等を軸とした独自素材と、健康食品ブランド「からだにユーグレナ」や化粧品ブランド「one」「NEcCO」に加えて、キューサイ、エポラ、MEJ、LIGUNA等の各グループ会社が展開する商品ブランドから構成される多様な商品・ブランド群を、直販、流通、OEM等のマルチチャネルで展開しております。健康食品・化粧品市場は、コロナ禍の影響を乗り越えて継続的な成長が見込まれる一方、競争環境が激化するとともにトレンド変化も速いため、ポジショニングと差別化が持続的成長の鍵を握っております。当社グループは、ヘルスケア事業の中長期的な成長に向けて、ブランド群の育成、デジタル化、マルチチャネル化という3つの基本戦略のもと、2023年度は「成長ブランドの創出」「顧客ロイヤリティの向上」「チャネル販売力の強化」「コストシナジーの創出」に取り組んで一定の成果をあげたものの、売上高のオーガニック成長は伸び悩んでおります。ヘルスケア事業に関して当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題の解決を成長機会に転じることで、市場平均を上回る売上成長と安定した利益率を両立したサステナブルな成長の実現を目指していきます。

①収益構造の筋肉質化

 サステナブルな成長の実現に向けて、成長投資を可能とする利益を安定的に生み出せるよう、収益構造の筋肉質化に取り組んでいきます。

 商品ポートフォリオや販売チャネルに関しては、成長ポテンシャルと採算性に基づいて選択と集中を進めていきます。ヘルスケア事業の中心を占める直販においては、CPO(定期顧客獲得コスト)に対するLTV(定期顧客から一定期間に生み出されるリターン)の比率を投資効率の指標として位置づけ、ブランドや媒体毎の投資効率をグループ横断で比較分析し、高効率ブランドや媒体に広告宣伝費を機動的に配分することで、ポートフォリオ全体の収益性向上を目指していきます。

 コスト構造の観点からは、商品値上げ・製品原価削減・グループ内製造移管促進等による粗利率の改善、販促費の適正化・グループ共通購買やベンダー交渉等による販売費の低減、広告運用・コールセンターの内製化等による外注費の削減を強化することで、限界利益率の改善を徹底してまいります。また、グループ内のバックオフィス・人員の最適化による固定費抑制も進めていきます。

②成長ブランドとファン顧客の育成

 競争環境が激しくトレンド変化も速い健康食品・化粧品市場においてサステナブルな成長を実現するためには、直販チャネル等で継続的に購入いただけるようなブランドを育成し、さらに企業ブランドや商品ブランドに対するファン顧客の拡大に取り組むことが重要です。

 ブランドの育成に関しては、成長性・市場規模が見込まれるテーマで商品企画・開発を推進し、既存ブランドの商品ラインアップの拡充や新規ブランドの創出に取り組んでいきます。また、メディアでの露出拡大や各種アワード受賞等によりレピュテーションの蓄積を図るとともに、ロイヤリティ(信頼・愛着)向上に資する施策展開や、おまとめ定期/有期間定期の強化等を通じて、ブランドLTVの向上を目指していきます。

 ファン顧客の育成に関しては、直販で育成したブランドを流通チャネルでクロス展開することにより相乗効果や認知拡大を図るとともに、コーポレート・ブランドを軸としたECモール展開を進めていきます。

③メーカー機能の強化

 当社グループは、健康食品・化粧品の素材や商品のメーカーとして、微細藻類ユーグレナ等の独自素材、素材の機能性解明や新規素材開発を可能とする研究開発力、ならびに食品・化粧品の原料や商品の製造技術・設備を有しており、これらのメーカー機能の拡充を進めることで、収益源の拡大と競争力の強化を目指していきます。

 当社グループの商品製造機能は、これまで原料と健康食品に限られていましたが、2024年2月に化粧品ODM製造を手掛けるサティス製薬グループ3社が当社グループに参画したことで、当社グループの化粧品OEM製造機能が大幅に拡充されました。今後、研究開発・営業等における当社グループとの連携を進めながら、サティス製薬グループの成長と相互シナジーの創出を目指していきます。

 ユニークな健康食品・化粧品素材を有するメーカーとしての観点からは、マーケットイン視点での機能性研究の推進により既存素材の商品力を強化するとともに、微細藻類オーランチオキトリウム等の新規素材の開発・探索と商品化に取り組むことで、研究開発と事業の連携を図っていきます。また、他企業とのコラボレーション企画や素材プロモーションの強化等を進めることで、自社素材に関する消費者認知向上と理解促進を図るとともに、中長期的な素材ビジネスの拡大に向けてユーグレナやクロレラの海外展開にも取り組んでいきます。

(バイオ燃料事業及びその他事業)

 気候変動問題への対応策としてバイオ燃料に対する期待がグローバルに高まっており、国際的な規制強化や政策インセンティブも後押しして、今後飛躍的な市場拡大が見込まれております。当社グループは、バイオ燃料事業及びその他事業において、将来的な商業化を見据えたバイオジェット・ディーゼル燃料の製造・供給体制の構築と微細藻類ユーグレナのバイオ燃料用・飼料用原料としての利用可能性に関する研究開発を推進しております。バイオ燃料事業及びその他事業に関して当社グループが対処すべき課題は以下のとおりと認識しており、これらの課題を早急に解決することで、中長期的に新たな事業の柱として確立することを目指していきます。

①バイオジェット・ディーゼル燃料の供給先の拡大

 当社グループは、2020年3月に本格稼働を開始した神奈川県横浜市鶴見区の実証プラントにおいて、バイオジェット・ディーゼル燃料の安定性製造・供給体制を確立するとともに、「陸・海・空」の全ての領域においてバイオ燃料供給先を拡大し、2023年末までの累計導入事例は93件に達しました。実証プラントは、建設時点の目的を全て成功裏に達成できたことを踏まえ、2024年1月末をもって稼働を終了し、以降は海外パートナー企業等から調達したバイオ燃料の販売に移行することで、より大規模なサプライチェーン構築とバイオ燃料供給先の更なる開拓を進めていきます。

②バイオジェット・ディーゼル燃料製造商業プラントの製造・供給体制の構築

 当社グループは、2022年12月に、グローバル大手統合エネルギー企業であるPetroliam Nasional Berhad及びEni S.p.A.と共同で、マレーシアにおいて商業規模のバイオ燃料製造プラント(以下「本商業プラント」といいます。)の建設及び運転するプロジェクト(以下「本プロジェクト」といいます。)を検討しており、本商業プラント建設に係る技術的・経済的な実現可能性評価を進めていることを発表し、3社間で最終投資決定に向けた協議、検討を継続しております。本プロジェクトの実現に向けて、商業プラントの建設及び稼働開始に要する一連の建設関連資金の調達、バイオジェット・ディーゼル燃料の原料調達先や製品販売先の確保、プラントの設計・建設、プラント運転に要する人員・用役の確保等、様々な課題に取り組んでいきます。
 また、商業化後を見据えたサプライチェーン構築に向けた取り組みとして、国内外パートナー企業と連携したバイオ燃料のテスト取引を進めており、2023年度に複数の大口取引を実行しました。今後更なる取引先・取引規模の拡大に取り組んでいきます。

③バイオマス資源のバイオ燃料・飼料・肥料用原料としての利活用に関する研究開発

 当社グループは、ユーグレナを中心とした微細藻類等の商業生産やバイオマス系廃棄物等の未利用資源の活用を目指して、バイオマス資源のバイオ燃料・飼料・肥料用原料としての利用可能性に関する研究開発や実証を進めております。微細藻類等の商業生産の実現には、生産コストの更なる削減、大規模生産技術の確立、大規模生産の候補地調査と現地データ収集、品種改良や脂質抽出後の脱脂藻体活用に関する研究等、様々な課題に取り組む必要があります。微細藻類の大規模培養に関しては、国内の「先端科学研究所」「生産技術研究所」やマレーシアに開設した「熱帯バイオマス技術研究所」において、これまで蓄積してきた微細藻類ユーグレナの大規模培養に関する研究開発成果をはじめとする知見や技術を活用しながら、ユーグレナなどの微細藻類、その他の藻類や植物など、バイオ燃料原料用途のバイオマス生産・利用の最大化・最適化を中心とする研究を推進していきます。また、バイオマス系廃棄物等の未利用資源に関しても、「資源サーキュラー技術研究所」を中心に当社グループ内外で生産や調達の可能性を検討するとともに、バイオ燃料・飼料・肥料用原料への転用に向けた研究開発を進めていきます。

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