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【東証スタンダード:331A】「サービス業」
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企業概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は「自由と責任」及び「信頼」を経営理念に掲げ、当事者意識をもって事にあたり、立場にとらわれず正しいと信じることを提案・発言しながら、全てのステークホルダーとの信頼関係を構築することを重視しております。変化の激しいインターネット広告代理店業界において、自らが率先して複雑さと変化をキャッチアップし、成長・進化し続けてきました。そして、今後も更なる成長・進化を目指すということを、社内外に改めてきちんと表明しようと、40周年を迎えた2025年3月期に、目指す企業像をロゴ・ステートメント・タグラインで表現したものを発表しました。
また、ビジョンとして掲げる「デジタル領域のNo.1マーケティングパートナー」を目指し、短期的なプロモーション課題に対する解決策だけではなく、本質的にクライアントのビジネスに貢献することを目指して、中長期にわたる課題解決を何よりも大切にしています。
今後もさらなる既存事業の拡大や新規事業への投資等も行いながら、企業価値の継続的な向上を目指してまいります。
(2) 経営環境
当社の属するインターネット広告市場の2022年度の市場規模は2兆9,340億円(前年比112.2%)でした。(出所:矢野経済研究所「2023 インターネット広告市場の実態と展望」2023年11月発表)
このインターネット広告市場は年々拡大していますが、2021年は景気回復と急速なDX化の影響により大幅な増加を遂げた一方で、2022年はコロナ禍中にオフラインからオンラインに振替られていた広告主の予算がオフラインに戻り、市場の成長率が前年に比べて鈍化しました。なお、2023年度も引き続き成長するものの、前年からの傾向は続き、市場規模は3兆1,180億円(前年比106.3%)が見込まれており、2024年の同市場は、前年比106.0%の3兆3,050億円に、その後毎年107%程度の前年比で成長をつづけ、2027年の同市場は、4兆870億円に成長すると予測されております。
広告の運用手法別では、運用型広告が引き続き拡大しており、2022年度には2兆4,288億円(前年比113.2%)、市場構成比は82.8%と市場拡大を牽引しています。デバイス別では、スマートフォンの広告市場が拡大しており、2015年度には市場規模が約6,000億円で構成比は約4割でしたが、2022年度には2兆4,704億円に達し、市場構成比は全体の84.2%を占めています。広告フォーマット別では、近年の動画配信プラットフォームの成長に伴い動画広告市場も拡大しており、2022年度は6,202億円(前年比116.0%)でした。動画メディアはYouTubeが、圧倒的なシェアを持っていますが、近年TikTokとTVerの成長が著しく、TVerは2022年3月期の売上高が47億7,500万円で前期比184.6%と、高い伸長率で伸びており業界が注目しています。
近年のインターネット広告代理店業界は、市場の成熟化とともに競争は激化しておりますが、依然として業界全体は拡大が続いています。
また、マーケティングDX/アクセス解析、Webサイト制作サービスがターゲットとする企業のデジタルマーケティングを、IT及びビジネスの側面から支援する2023年の国内のデジタルマーケティング市場規模は、事業者売上高ベースで3,019億9,000万円と推計されており、2024年の同市場は前年比114.0%の3,442億5,000万円に、その後毎年113%程度の前年比で成長をつづけ2027年の同市場は5,016億円に成長すると見込まれております。
CRM/SFA及びMAでは大手企業だけでなく中小企業による活用が増加傾向にあり、導入するユーザー企業の層が拡大しており、かつてのように大企業が大規模な投資をするケースは少なくなっていきますが、未開拓の層を中心に今後も市場は拡大していく見通しであり、CDP(注)に関しては成長期であり、今後も拡大していく見込みであります。
また、CRM/SFAやMAなど様々なデジタルマーケティングツールの導入が進んだことで、ユーザー企業の内部に様々なデータが蓄積されるようになりました。さらにAIの活用が進んでいることで、AIの学習に用いる社内データの重要性が高まっている点も市場の追い風になっているといわれております。(矢野経済研究所「2024年版 デジタルマーケティング市場の実態と展望」2024年7月)
(注)CDP(Customer Data Platform)とは、あらゆる顧客データを一つのシステムに集約し、活用しやすいように整理・統合するためのプラットフォームのことです。
(3) 経営戦略
当社の現在の主力事業であるインターネット広告事業を確実に成長させながら、デジタルマーケティング市場全体において、現在のサービスのシェア拡大並びに新商品等の投入による事業成長をはかっていきたいと考えています。当社はクライアントのビジネスモデル特性(BtoC、BtoB)をベースに中長期的な視野で成長を牽引していきたい領域(データマネジメント・その他)も鑑み、3つに領域を分け経営戦略を構築しています。尚、戦略3領域と商品及びサービスの関係性は以下のとおりです。
① インターネット広告市場におけるシェア拡大を軸にしたBtoC、BtoB領域における拡大
当社としては、インターネット広告の領域での更なる成長を目指し企業成長の基盤に据えていきたいと考えています。広告効果の向上のためには、広告クリエイティブの品質向上・差別化が非常に重要となっており、当社では、バナー広告やLP(ランディングページ)、動画広告といったネット広告の制作に特化した広告クリエイティブ専門組織があります。それは、狭い範囲の機能を担う部署ではなく、広告効果を最大限に高めるために様々な知見を幅広く駆使する、スペシャリスト集団です。専門知識を有する経験豊富なディレクターやデザイナー、ライター、コーダー、プランナーなどが集結し、チームを構成しています。クリエイティブを社内で完結する仕組みを持ちつつ、外部パートナーとの強いネットワークも構築し、専門性、キャパシティともに、個々の案件に最適な体制を用意して、毎月、数百のクリエイティブを作成しておりますが、この組織強化をさらに図っていきます。加えて、当社の特徴としては、アカウントプランナーと各専門領域を担当するエキスパート(スタッフ)が在籍しています。アカウントプランナーは、いわゆる“営業”とは異なり、デジタルマーケティングの総合的知識を持ったプロフェッショナルとして、集客、制作、解析・分析、CRMといったデジタルマーケティング活動全体を設計。それぞれのエキスパートを統括し、個々の活動の実施・運用・分析・報告、すべてを一貫してコントロールさせていただいております。そして、アカウントプランナー一人当たりの担当顧客数を数社に絞る専任制により、顧客の成果にこだわる運用を特徴として磨き続けてきており、業界の中でも高い顧客グリップ力が実現できており、この強みをフックに更なる事業拡大をめざしていきます。
特に、BtoB領域は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (2) 販売方針と主な商品及びサービスの特徴」にも記述したようにBtoC領域以上に、獲得したリードを育成するためのコンテンツ制作やインターネット広告の配信状況とオフラインでの営業状況のデータ連携をした上でのデータ分析がデジタルマーケティングを成功させる上で非常に重要と考えており、素早く良質なコンテンツ制作を可能にする環境整備やウェブサイト制作の専用パッケージ化等を行うなどフォーカス業界(SaaS、製造業)をきめて推進することで、インターネット広告はもちろん、インターネット広告以外の取引を拡大する事で売上拡大を促進したいと考えております。当社は1998年、企業向けIT製品情報サイト「キーマンズネット」の営業と制作支援を開始して以来、IT系企業を中心に400社以上のBtoB企業のマーケティングを支援してきました。「顧客視点」と「ソリューションニュートラル」な姿勢は、この領域での成長を牽引する一つの大きなエンジンにしていきたいと考えております。
② データマネジメント・その他領域を軸にしたデジタルマーケティング支援の拡大
マーケティング分野でも「DX」(デジタル変革)が加速する昨今ですが、当社は業界に先駆けて2007年に専門組織を立ち上げ、これまで実績を積み上げてきました。従来のようにWeb広告データ、Web行動ログ、顧客データ、購買データなどを個別に分析・活用して部分最適に留めるのではなく、データ取得・統合・可視化・分析、施策展開のそれぞれの領域で、導入支援から施策立案・運用までをトータルでサポートし、事業KPI・マーケティングKPIを最大化する支援へ領域を拡大していくことにより、Webサイト制作支援もからめながら、デジタルマーケティング支援会社として拡大を図っていきます。そのためにはパートナーとの連携や共同商品づくりの活動も強化していきたいと考えております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社が重視している経営指標は、売上高、営業利益、売上高営業利益率及び3期目以上取引のある顧客の売上高であります。事業拡大と収益率向上により企業価値の向上と株主価値の向上を図ってまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の優先的に対処すべきと考える事業上の課題は以下のとおりであります。当社を取り巻く市場環境は、今後も継続的な成長が見込まれているため、クライアント基盤を拡大させながら現在のサービス品質の維持・持続的な向上をさせることが、重要な課題であると認識しております。また、業務運用の効率化やリスク管理のための内部管理体制のさらなる強化が重要な課題であると認識しております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。なお、財務上の課題については、内部留保が十分確保されており、借入等による機動的な資金調達も可能であることから、特段の該当事項はありません。
① サービス品質の維持・持続的な向上
サービス品質の維持・持続的な向上をさせることが、重要な課題であると認識しております。そのため、AIやツールを活用した運用型広告、広告クリエイティブ、デジタルマーケティング支援の自動化・品質の維持向上や人材の採用と育成に取り組んでまいります。
② クライアント基盤の拡大
既存クライアントとの継続的な関係構築、新規クライアントの開拓推進が重要であると考えております。
当社は、短期的なプロモーション課題に対する解決策だけではなく、本質的にクライアントのビジネスに貢献することを目指して、中長期にわたる課題解決を何よりも大切にしており、現状では、信頼と実績を背景に顧客との深い関係性を築き、安定した取引基盤を確立しており、既存の顧客からの取扱高が95.6%(2025年3月期)を占めております。また、2023年から顧客満足度の状況をきちんと把握するだけでなく、業績向上との相関成果が高いといわれているNPS(注)の活用もスタートしております。質の高いデジタルマーケティングサービスを提供することで、代理店を介さない直接取引クライアントとの取引を拡大しながら、セミナー、イベントの活動推進、他広告代理店、パートナーとの協業を拡大することで、新たな顧客の獲得をめざし、更に強い安定した顧客基盤の構築に取り組んでまいります。
(注)NPS(Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤルティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る指標を指します。
③ 人材の採用と育成の更なる強化
当社の企業規模の拡大及び成長のためには、高品質で顧客満足度をさらに向上させるサービスを提供していくことが必要であると考えております。そのためには、当社では、採用活動を積極的に推進するとともに、社員への教育体制の整備及び改善、そして、人が活躍する職場環境づくりを強化しつづけることで個々人の才能を伸ばすとともに、社員全員が経営理念や経営方針を深く理解し、社員が活き活きと持っている力を存分に発揮し、成長速度を高める環境づくりを推進してまいりました。その結果現在では、オープンワークの企業評価点(OpenWork「社員による会社評価スコア」2025年3月26日時点)においてもインターネット業界の平均値を大きく上回るスコアを獲得し、「20代成長環境ランキング」で、上位1%にはいる2,566社中10位、「総合評価ランキング」でも上位2%にはいる2,566社中48位にランクインするまでになりました。この強みをさらに強化すべく、従来からの当社の独自の施策である外部研修補助制度や、コンピテンシー評価制度などにくわえ、2023年4月に上位職級の人事制度改定を行い、現在の職級にとらわれることなく、都度最適なアサインを行う「役割期待グレード制度」に変更するなどの取組を開始しました。また、人材流動性の活性化施策としての「イマコレシート」(注)を導入し、従業員とのより密なコミュニケーションを行う取組を開始しました。今後も人材がより成長できる環境づくりを行うことで、人がより高いパフォーマンスを発揮するとともに、より優秀な人材が集まってくる企業へと進化をしていきたいと思っています。
(注)「イマコレシート」とは、社員の部署間やプロジェクト単位での適材適所の配置を行うことで、個々の成長機会を最大化し、組織全体の活性化と生産性の向上を目指すために、一人ひとりのスキルや希望、現状の役割を見える化するために開発されたシートです。
④ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社が持続的な成長を維持していくためには、内部管理体制の強化を通じた業務の標準化・効率化が重要であると考えております。それらの実効性を高めるための環境を整備し、組織的な統制・管理活動を通じてリスク管理を徹底するとともに、業務の標準化と効率化を目指しております。また、コーポレートガバナンス・コードの基本原則に従い、株主の皆様をはじめとする全てのステークホルダーからの社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命とし、コンプライアンス体制の強化、迅速かつ正確な情報開示の充実に努め、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。その取組の一つとして2023年3月には監査等委員会設置会社へ移行するとともに、社外取締役を取締役メンバーに加え取締役会の監督機能を強化するとともに、業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を通じた透明性の高い経営を実現しております。
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