企業ムゲンエステート東証スタンダード:3299】「不動産業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、経営理念として「夢現 -夢を現実に-」を掲げ、お客さまの夢を実現することで企業としての成長を遂げ、ひいては株主・投資家の皆さまを含むすべてのステークホルダーの価値向上に貢献することを目指しております。

 この理念のもと、当社は『不動産に新たな価値を創造し、すべての人の豊かな暮らしと夢に挑戦する』というミッションを掲げ、事業活動を通じて地球温暖化や少子高齢化、空き家問題、住宅ストックの老朽化など、不動産業界が直面する社会課題の解決に取り組んでおります。これにより、持続的な企業価値の向上を図り、長期的な成長を実現してまいります。

 また、このミッションの実現に向け、『速さを追求』『あくなき挑戦』『多様な連携』『先を見通す』『貫く責任』の5つのバリューを行動指針とし、企業の競争力を高めてまいります。

 そして、2030年に向けた長期ビジョンとして「不動産事業を通じた持続可能な経済価値・社会価値の創造」を掲げております。この目標を達成するため、2025年12月期から始まる第3次中期経営計画において、「資本コストと株価を意識した経営」と「サステナビリティ経営」の2軸を経営方針として据え、企業価値のさらなる向上に努めてまいります。

(2)経営環境と中期的な会社の経営戦略

[経営環境]

 当社グループが属する不動産業界におきましては、日本銀行によるマイナス金利政策の解除や追加利上げが実施されたものの、不動産需要への影響は限定的であり、需要は引き続き堅調に推移しております。
 居住用不動産に関しましては、インバウンド需要の回復が鮮明となり、商業地を中心に地価が大きく上昇したことに加え、継続する円安基調や働き方改革関連法の施行に伴う建築コストの上昇により、不動産価格は上昇基調が継続しております。近年では、リノベーション技術の向上により、新築不動産と遜色ないデザイン性・機能性を備えた中古不動産が供給されており、比較的低価格な中古不動産へ需要がシフトしております。2016年以降、首都圏においては中古マンションの契約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状況が続いております。

2025年には省エネ基準への適合義務に伴い、新築マンションの建築コストは更なる増加が予想され、中古マンションの需要は引き続き高い水準を維持すると想定しております。
 投資用不動産に関しましては、日米金利差に伴う円安や低金利環境の継続により、国内外の不動産投資家の投資意欲は高い水準を維持しております。特に、首都圏や主要都市のオフィス市場ではオフィス回帰の本格化に伴う空室率の低下が続いており、賃料の上昇が見込まれるなど、安定的な収益性が期待され、オフィス投資への関心度も高まり続けております。
 一方で、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、供給面での制約並びに金融資本市場の変動の影響等、多岐にわたる要因によって引き起こされる不動産市場への影響について注視が必要と認識しております。

[中期的な会社の経営戦略]

<第2次中期経営計画 2022年~2024年>

 当社グループは、2022年12月期を初年度とする3カ年の第2次中期経営計画を進め、この3カ年では、「事業拡大に向けた収益基盤の強化」「収益機会を捉えるネットワークの構築」「事業成長を支える組織力の向上」「事業拡大・成長を支えるDXの推進」を経営の基本方針として掲げ、大きく飛躍することを目指しました。

 主力の買取再販事業は、積極的な人材採用で営業力の強化を図るとともに、営業エリアを1都3県から地方都市へと拡大させることで居住用・投資用不動産の取引量を増やし、事業の成長を成し遂げました。2023年5月の大阪進出を皮切りに、2024年1月に札幌・名古屋・福岡、8月には仙台へ出店し、営業エリアを拡大しております。各地方都市は、企業の誘致や国際的イベントの招致、交通網の整備等で、今後も経済活動の活況が見込めると想定しております。また、首都圏の更なる営業力強化を目的として、2024年5月に渋谷へ出店しております。

 成長事業の一つである不動産開発事業は、これまで当社グループが長年培ってきたノウハウを活かしつつ、環境に配慮した賃貸マンションやオフィスビルの開発を当社グループ間のシナジーを活かし拡大を図りました。この3カ年で10棟を開発し9棟の販売実績となっております。もう一つの成長事業である不動産特定共同事業は、販売ネットワークの拡充をしつつ、組成商品の多様化、規模の拡大を図り大きく成長しました。この3カ年では4物件の組成に留まりましたが、アセットタイプは賃貸マンション・介護施設・宿泊施設と多様で、その地域の特性を活かした商品構成を意識しております。

 これらの事業戦略を支える、経営基盤の強化として、人材の採用・拡充と育成、ガバナンスの強化、DXの推進、財務健全性の確保、株主還元の強化に加えて、非財務情報の開示を充実させ、また上場企業に求められるサステナビリティ水準も充足してまいりました。

<第3次中期経営計画 2025年~2027年

 当社グループは、2025年2月14日に2025年12月期を初年度とする3カ年の第3次中期経営計画を発表しております。

 第3次中期経営計画では、「資本コストと株価を意識した経営」「サステナビリティ経営」を経営方針として掲げ、「事業領域の拡大」と「新たな価値創造」の2つを事業戦略の軸とおき、更なる企業価値の向上に取り組みます。事業によって創出された利益は株主の皆さまへ還元するとともに、人材・DXへの投資や新規事業創出・M&Aにも積極的に配分し、既存事業の更なる成長につなげる好循環を生み出します。

 主力の買取再販事業は、営業生産性の向上と営業エリア拡大で組織力の向上を図るとともに、営業チャネル及び取り扱うアセットタイプを拡充することで、事業の更なる成長を推進してまいります。

 不動産開発事業及び不動産特定共同事業は、仕入・販売力の強化や両事業部の連携強化で事業領域を拡大するとともに、物件価値の向上・アセットタイプの多様化を図ることで、事業を大きく成長させてまいります。

(3)目標とする経営指標

 第3次中期経営計画では、事業の「成長性」「資本効率性」「財務健全性」「株主還元」を重要な経営指標としております。経営指標の詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。また、第3次中期経営計画の1年目である2025年12月期の連結業績見通しにつきましては、足元の事業環境を鑑み、売上高は806億94百万円(前期比29.8%増)、営業利益は109億61百万円(同13.9%増)、経常利益は99億55百万円(同12.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は65億4百万円(同6.9%増)を予想しております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

[経営環境]及び[中期的な会社の経営戦略]に記載の経営方針及び中期的な会社戦略を実行する上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 不動産売買事業における新規物件の取得

 当社グループは、2022年から開始した3カ年の第2次中期経営計画において「事業拡大に向けた収益基盤の強化」を掲げ、不動産買取再販事業を主力とした事業拡大を計画し、更なる事業成長のためには営業エリアの拡大を進めてまいりました。また、昨今の不動産価格の高騰が止まらない厳しい市況の中、新規物件の取得には幅広く情報収集し、スピード感を持った判断が必要となってまいります。
  2023年、西日本エリアへの初進出として大阪営業所を開設し、2024年には札幌・名古屋・福岡・仙台の4都市に新たな営業所を開設しました。これにより営業エリアを大幅に拡大し、多様なアセットタイプの取り扱いを強化しております。各営業所では地域に根ざした活動を通じて、豊富な物件情報の収集に努めています。また、ITを活用した仕入判断力の向上と迅速な意思決定により、新規物件の仕入を積極的に推進しております。

2025年から開始する第3次中期経営計画では、コア事業である買取再販事業の更なる強化と成長を目指し、以下の施策を推進します。営業生産性の向上、営業チャネルの拡充、取り扱うアセットタイプの拡充、継続した営業エリアの拡大を通じて、新規物件の取得を一層加速してまいります。

② 販売用不動産の在庫回転率の向上

2025年12月期は、インバウンド需要の活性化などを背景に、国内外の投資家需要は底堅く、不動産市況は好調が続くと見込まれております。一方で、金利上昇、資材高騰による建築コストの増加、米国の新政権による政策の影響など、不動産市況は不透明な要素が多い状況が予想されます。このような環境において、不動産の保有期間を短期化し在庫回転率を高めることで、市場変化に迅速な対応が可能であると認識しております。

当社グループでは、2024年に工事部門を子会社から当社へ移管し、より強固な施工体制を構築することで、内外装工事の短期化を図り、早期の商品化に取り組んでまいります。また、仲介会社向けの物件紹介サイトの機能充実や、不動産テックを活用した販売活動の効率化や顧客の購入意欲向上を図る等、投資家・エンドユーザーに対して情報を提供する環境を整備していくことで、早期の販売を行ってまいります。

③ 工事原価削減による収益性の向上

 国際情勢不安の長期化や円安による資材高騰、昨年から続く運輸業・建設業の人員不足に起因する労務費の高騰により、工事原価が増加する傾向にあります。

 当社グループでは、常に資材調達先や工事協力会社の拡充を行うことで調達コストや委託費用の適正化を図り、加えて、業務オペレーションの見直しによる労務費単価の低減や、価格及び品質の統一化によるコスト低減、工期短縮に努め、利益率の維持・改善に取り組んでおります。

成長を支える安定収益の拡大

 当社グループは、主力の不動産売買事業が連結売上高及びセグメント利益全体の90%以上を占めており、将来的な不動産市況の変化に備えるための安定収益の確保が課題となっております。

 そのため、長期・安定的な収益確保の機会として、優良資産の取得と管理戸数の増加に取り組んでおります。優良資産の取得に関しましては、不動産動向を見極めた上で、各年度のキャッシュ・フローや手元資金の水準を考慮し取得を決定しております。管理戸数の増加に関しましては、当社保有不動産の売却時にアセットオーナーからの受託を得られるよう営業部門と連携し、契約獲得に取り組んでおります。加えて、当社グループの収益拡大に向け、アセットマネジメント事業に参入し、出口戦略の多様化によるリスク分散と安定した収益の確保に取り組んでまいります。

既存事業及び新規事業への積極的な投資

 当社グループは、主力事業である不動産買取再販事業へこれまで以上に積極的な投資を行うとともに、外部環境の変化を踏まえた成長分野への新規参入を慎重かつ積極的に行うことにより、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築することを目指しております。

 足許では、成長事業である不動産開発事業・不動産特定共同事業の収益を拡大させて、新たな事業の柱として構築することを目指してまいります。不動産開発事業は、資材高騰や工賃の上昇などにより収益性を確保することが難しい状況が続いておりますが、立地の選定や品質の向上だけではなく、環境に配慮したプランニングを行い、付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。不動産特定共同事業は、組成商品・組成スキームの多様化や出口戦略の拡充、販売ネットワークの拡大を図り、年間組成数の増加、組成枠の拡大に取り組んでまいります。

 また、当社グループの収益拡大を目的として、不動産アセットマネジメント事業に参入いたします。不動産アセットマネジメント事業は、今後数年間で段階的に私募ファンドを組成し運用残高の拡大に取り組んでまいります。

 新規事業に関しましては、全てを内製化して単独での事業推進に固執することなく、事業化や収益化までの期間を考慮し、他社との業務提携やM&Aなどの戦略的投資も併せて活用しながら推進してまいります。

サステナビリティ経営の強化と推進

 当社グループは、持続可能な成長の実現に向けて、気候変動をはじめとする環境課題への対応、人材の採用・育成、組織力の強化が重要であると認識しております。これらを軸としたサステナビリティ経営を推進することで、社会やステークホルダーの皆さまからの信頼を揺るぎないものとし、新たな価値創造を創出する企業でありたいと考えております。

 環境課題への対応としては、脱炭素社会への移行に対応すべく、環境に配慮した事業活動への取り組みを推進してまいります。具体的には、再生可能エネルギーの利用促進や建物の省エネルギー性能向上を積極的に進め、環境負荷の一層の低減に取り組んでまいります。また、金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同するとともに、TCFD提言に基づく透明性の高い情報開示を継続し、環境保全に向けた取り組みを深化させてまいります。

 人材・組織力の強化については、新卒及びキャリア採用の強化に加え、社内外の教育研修プログラムの充実やOJTを活用した中核人材の育成、専門スキルの取得支援を通じて、従業員の生産性向上を図っております。また、ダイバーシティの推進や多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境の整備、挑戦を後押しする風土の醸成に取り組み、組織力の向上を図っております。こうした取り組みを支えるため、全社的な組織文化調査を継続的に実施し、従業員の声を反映させながらエンゲージメントの向上にも努めております。

コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、企業価値の最大化を図るために、経営の透明性と健全性の確保及び環境の変化に迅速・適切に対応することが重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスはその重要な経営課題の一つと位置付けており、業務執行役員に対する監督・牽制の強化、情報開示による透明性の確保、業務執行の管理体制の整備を推進して、ガバナンス機能の強化を図ってまいります。

2021年11月に設置した任意の指名・報酬委員会をはじめ、2022年1月には執行役員制度の導入、同年7月にはサステナビリティ委員会を設置するなど、社外取締役による監督や牽制の強化、経営の意思決定の迅速及び機動的な業務執行の実現、並びに持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティ課題への対応を図ることで、コーポレート・ガバナンス体制をより一層充実させ、中長期的な企業価値向上に努めております。

 取締役会の構成に関しては、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性が求められており、また独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任することが求められております。また、政府が発表した「女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)」によれば、プライム市場の上場会社について、女性役員の比率を2030年までに30%以上とする目標が示される等、多様な価値観や考え方を企業に取り入れ、成長につなげることが求められております。

 当社は、役員の選任にあたり、優れた人格、見識、能力、豊富な経験を有していることを選任の基準としております。従来、当社の取締役会は全員男性かつ日本人で構成されている点が課題と認識しておりましたが、2024年3月には、女性の社外監査役を選任し、2025年3月には、女性の社外取締役を選任しております。引き続き、ジェンダーや国際性及び、知識・経験・能力のバランスに留意し、多様性の確保に努めてまいります。

 当社は2022年4月の市場区分見直しにより、プライム市場を選択いたしました。その後、上場維持基準の適合状況を踏まえ、今後の適合に向けた計画について協議した結果、2023年10月にスタンダード市場を選択しております。今後は、プライム市場再上場を目標に、業績の向上、IR活動の推進、株主への利益還元及びコーポレート・ガバナンスの強化を図ることで、上場維持基準の安定的な充足を目指してまいります。

資本効率の改善
当社グループは、事業規模の拡大と高い財務健全性を維持しつつ、主力事業及び成長事業への投資を実行するとともに、株主還元の充実を図ることを経営戦略の基本方針としております。また、「資本コストと株価を意識した経営」に向けた対応として、資本コストや資本収益性の改善、株主との対話の推進が求められております。

資本収益性の改善策として、環境変化に対応するための財務余力を確保しつつ、資本と負債のバランスを意識しながら、株主資本コストを上回るROEの持続的な向上に取り組んでまいります。また、市場評価の改善策として、PBR1倍超を目標に株主・投資家への適切な情報開示と、積極的な対話を進めてまいります。

金利の上昇

2024年は、3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、7月に政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げました。

 当社グループのビジネスモデルにおいて金利の上昇は、物件仕入資金の借入コスト増加、住宅ローン等の金利上昇による顧客の購入意欲の低下、不動産市場の需要低下等が想定されます。現時点で追加利上げによる大きな影響は見込まれておりませんが、金利の動向を注視するとともに、資金調達の多様化、需要動向を注視した価格設定の見直し、在庫回転率の向上等を図り事業の安定性を確保してまいります。

PR
検索