企業ミマキエンジニアリング東証プライム:6638】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社グループでは、下記の4項目を経営ビジョンとして掲げ、経営の基本方針としております。

① 独自技術を保有し、自社ブランド製品を世界に供給する「開発型企業」を目指します。

② 顧客に満足いただける製品を素早く提供する小回りの利いた会社を目指します。

③ 市場に常に「新しさと違い」を提供するイノベーターを目指します。

④ 各人が持っている個性・能力を力一杯発揮できる企業風土を目指します。

(2)中長期的な経営方針及び経営指標

 当社グループでは、2025年5月に、2030年3月期を最終年度とする5か年の新中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」を策定いたしました。

①「Mimaki Innovation 30」基本方針と業績目標

 安定的な収益性で売上高成長の追求を継続し、資源の積極的な活用により新たな領域にチャレンジすることで、2030年3月期(FY2029)に売上高 1,500億円 を目指す。

1.安定的な収益性の維持・強化

・コア事業の成長と粗利率改善の追求を継続

・売上高成長率(CAGR)10%以上を継続し、2030年3月期に売上高1,500億円、営業利益率8%以上を目指す

・イノベーションに適切な新製品を継続的に市場へ投入し、新製品売上高比率 年30%の達成

2.新たな領域へのチャレンジでInnovationの創出

・塗料・工業用機能材料などの 高粘度領域 にチャレンジ。IP市場向けの飛躍的な拡大を目指し、Digital Paint領域へ

・フレキシブル有機ELシートにチャレンジ

・セカンドブランド「ミマキ ラメカニカ」を立ち上げ、プリンタ・カッティングの周辺機器へ進出

・3Dプリンタ事業の進化を推進、事業拡大で3Dをコア事業の新たな柱とすべく育成

・Mimaki Innovation 30 (2026年3月期~2030年3月期)の5年間は既存の開発投資とは別枠で、新たな領域への投資に売上高の 1~2% を充当

3.技術開発マネジメント体制の確立と人的資本の拡大

・新製品の開発スピードを向上し、競争力のある開発体制を構築

・AIの活用による業務効率化、DXによるプロセス改革、ノーコード化とユーザーインターフェイスの最適化を推進し、経営管理体制の高度化を図る

・技術開発から営業力強化に至るまで、全社的な専門教育の深化で新しさと違いを提供するイノベーターの創出

(3) 中長期成長戦略「Mimaki Innovation 30」重点施策

①新しいMimakiに向けてインクジェット技術と印刷技術の蓄積とノウハウの応用・発展により高粘度領域やフレキシブル有機ELシートなど新しい領域へチャレンジ

②周辺機器への取組みとしてセカンドブランドの立ち上げ

③製品戦略は、定期的かつ革新的な新製品を上市やラインナップの充実を図る

SG(サイングラフィックス)市場

・UVプリンタと環境負荷を低減した最新のUV硬化型サステナブルインクで競争優位性を強化

・多様な顧客ニーズを的確に捉えたハイエンドからエントリーモデルまでのラインナップ戦略で顧客体験価値の向上を図る

・ハイエンド〜エントリーモデル領域に未参入レンジを追加し、ラインナップの充実でさらなる市場シェアの拡大を図る

・UVーDTF モデルで高付加価値の印刷ビジネスを創出、リテール・DIY向けの製品展開でターゲット市場を開拓、新たな顧客層を獲得

・高画質の実現と優れた操作性に加え、収益性を維持したエントリーモデルの展開で差別化し市場シェアNo.1を奪取

IP(インダストリアルプロダクツ)市場

・小型FB(フラットベッド)市場:自動化・省人化で生産効率を重視し、産業用印刷のデジタル化を推進。No.1シェアを独走し続ける

・大判・ミドル市場:生産性を重視した高付加価値のプロダクトモデルをラインナップ戦略で販売強化し、No.1シェアを維持

・高粘度領域・Digital Paintで新たな分野を開拓

・付加価値の高いサステナブルなUVインクを強みに差別化を推進

TA(テキスタイル・アパレル)市場

・デジタル化の潜在的拡大市場であると捉え、注力市場と位置付け

・昇華転写市場のエントリー・ミドル・フラッグシップモデルのラインナップの拡充と販売チャネルの活用でシェアNo.1を目指す

・デジタル化推進に欠かせない、DTFモデルにさらなる付加価値を加えた製品を展開し圧倒的な差別化を図る

・サステナブル領域への追求・・・環境や印刷作業者に配慮した安心・安全な製品とインク開発の追求を継続

3Dプリンティング事業

・インクジェットプリンタ(IJP)の開発で培った技術を応用し、様々なマルチマテリアルで特性の異なる材料を複合化

・3Dプリンタ技術のプラットフォーム化を推進し、将来的に3Dを次の柱へと成長を図る

・高生産性に注力し色彩表現に優れた高品質の強みとインクコストを抑えた製品開発

・アライアンスパートナーの検討など、販売チャネルマーケティングの強化でユーザーメリットのある商品企画を推進

FA事業

・FA装置事業  自動車関連事業を強化

・半導体事業  未成熟市場であるAI処理に特化した半導体チップの“AIチップ”に注力し対応装置の販売でシェア拡大を図る
ダイボンダ(CIS,LPH)市場に注力

・基板実装機器事業  後工程の挿入・塗布工程装置を提供可能な強みを活かし、販売強化で自動車部品メーカーをターゲットとする

・基板検査事業  大型化需要を捉え高性能を追求した装置の開発で台湾・日本の販売強化のほか中国を強化し重点エリアを拡大

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、「Mimaki Innovation 30」の達成に向けて対処すべき課題は以下のとおりと認識して、取り組んでまいります。

① デジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供

 当社が開発型企業として持続的な成長を実現するためには、SDGsで定められた持続可能な開発目標への貢献という社会的な要請はもちろん、個々のお客様の困りごとやニーズに的確に対応する必要があります。また、技術革新のスピードや市場環境の変化が加速に伴い市場のニーズや顧客の志向は急激に変化しています。加えて、eコマースの浸透に伴い、消費者はよりパーソナライズされた志向と過剰在庫問題などの環境負荷低減への意識の高まりにより益々「オンデマンド」供給への要求が強まり、多様なニーズに対応できるビジネスモデルの構築が求められています。このような環境変化に的確に対応し、持続的な成長を果たすためには、当社グループが所有する競争優位性の高い独自技術を基盤とした製品、ソフトウエア、サービスの提供に加え、今後ますます進展するデジタルトランスフォーメーション(バリューチェーンを含めて新たな付加価値につながるデジタル化)を、中期的な観点から成長ドライバとして取り込んだうえで、産業用印刷市場におけるデジタルオンデマンド・プリントソリューションの提供を進めてまいります。具体的には、当社グループは、産業用印刷市場で必要とされる「プリントだけでなくその前・後工程の処理装置も含めた幅広い製品ラインナップ」と「充実した機能性インク」のほか、当市場を開拓する過程で蓄積してきた「問題解決のノウハウ提供力」を保有しています。とりわけ、当社のFA(ファクトリーオートメーション)事業では、プリント対象物の前処理/前加工や、プリント作業後の後処理/後加工に適した製品の開発・生産能力を有しています。このFA事業を自ら保有する優位性を最大限発揮するとともに、蓄積した有形・無形の資産を源泉とし、プリントに必要となる製品、ソフトウエア、ノウハウ等のご提供を通じて、お客様が制作する成果物の品質までをサポートする取り組みを進めています。また、プリント工程の自動化による省人化・無人化等のノウハウを安定して提供し、お客様の制作プロセスの変革支援につなげる提案を、積極的に行ってまいります。このように、産業印刷における前工程・プリント・後工程までの一貫システムによる、デジタルオンデマンド・プリントのトータルソリューションを提供するソリューションプロバイダーとしての役割を果たし、市場のニーズに的確に対応すべく、特に以下の2領域にフォーカスして取り組んでまいります。

a.デジタルプリントのIoT

 5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが開始され、当社が手掛けているSG(サイングラフィックス)市場、IP(インダストリアルプロダクツ)市場、TA(テキスタイル・アパレル)市場等の産業用インクジェットプリンタ事業の可能性が、大きく広がります。これらの市場に向け、当社が保有するデジタルプリントの前処理装置、プリンタ、インク、カッティングプロッタ、後処理装置、ワークフローソフトまでを含めた幅広い製品ラインナップと、プリント成果物制作プロセスの構築ノウハウを基盤に、プリント工程の自動化による省人化・無人化といった、デジタルプリントのIoTを推進してまいります。

 また、SG市場やIP市場で使用される機能性インクは、従来主流であった有機溶剤系インクから、環境負荷が低く生産性が高いUV硬化型インクへの転換が始まっており、同インクは向こう数年間で市場規模が大幅に増加すると見込まれています。当社は、UV硬化型インクの開発とそれを使用するインクジェットプリンタの開発にいち早く取り組むとともに、当社が保有するUVプリンタ特許技術の活用など、業界での競争優位性を確保しています。

 今後は、これらの優位性を生かし、産業用印刷市場に対してデジタルプリントのIoTとUV硬化型インクを含めた高い生産性を実現するトータルソリューションを提供し、マーケットリーダーとしての地位を確実なものとしてまいります。

b.3Dプリント事業

 IP領域における3Dプリントビジネスにおいては、2017年に発売したUV硬化インクジェット方式で1,000万色のフルカラー造形を世界で初めて実現した3DUJ-553を皮切りに、2021年にはその小型化を実現したエントリーモデル3DUJ-2207を発売する等、着実に製品ラインナップの拡大を進めてまいりました。今後も、お客様の多様なニーズにお応えする製品ラインナップのさらなる拡充に取り組むとともに、新たにマルチマテリアルで特性の異なる材料の複合化等に注力してまいります。さらに材料開発においてはアライアンスの検討や有力な3Dソフトウエアメーカー等の幅広いパートナーシップの構築を進め3D造形の市場成長を加速させるなど、多様な用途やアプリケーションの提案等に取り組み、3Dプリントを当社の次の事業の柱として育成してまいります。

② インクの収益性改善

 当社グループにおいて、機能性インクは競争力の源泉であります。ストック性の高いインクの収益性を高めるため、揮発性有機化合物を削減したインクの開発など印刷作業者や環境に配慮した安心・安全なインクの開発に取り組みつつ、さらなる品質改善やインクのスケールメリットによるコストダウンなどに取り組むことで、収益性の改善を図ることで競争力強化を図ってまいります。また、市場での品質問題発生時の情報早期フィードバックや見える化により、迅速な対応を実現してまいります。加えて、これらの取り組みの前提として、不具合が発生した際の要因をより正確かつ迅速に把握し、的確な対策が実施できるよう、原材料の受け入れ段階、生産、出荷までの各時点での膨大な検査データを収集・蓄積し、適切に分析したうえで、生産工程から検査工程までの各段階での工程を改善するプロセスを、一層強化してまいります。以上の取り組みにより、インク品質のさらなる向上による競争力強化を図ってまいります。

③ 内部統制・コンプライアンスの徹底

 企業の社会的責任として、内部統制及びコンプライアンスに徹底して取り組んでまいります。関係法令・規則の遵守はもとより、お客様の情報管理等に対するセキュリティーポリシーを確立し、役職員一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指して社内教育を行ってまいります。当社は、内部統制システムの整備・運用を推進し、独立した内部監査部門による定期的な内部監査により、業務監査及び財務報告の適正性を確保しています。また、各本部・部門単位で必要とされるコンプライアンス教育を、所属員を対象に年2回以上実施し、法令遵守に関する意識向上を図っています。さらに、1,000億企業としての新たなワークフロー、規程、マニュアルなどの作成をグローバルの推進に努め、本社及び全ての製造・販売子会社を対象として、内部統制・コンプライアンスの仕組み作りを進めてまいります。具体的には、グローバルでの貿易ルールの見直しに向けたHSコード(輸出入統計品目番号)の確認・運用や、購買発注ワークフローの見直し改定などに取り組み、複雑化する法規制に適切に対応するための仕組みや業務フローを整備してまいります。また、反社会的勢力との関係に対しては、断固とした対応で臨むことにより一切の関係を遮断し、コンプライアンスに則った経営を行ってまいります。

④ 生産・物流体制の改善

 当社グループにおいて、グローバルなお客様が求める商品・サービスを最適なタイミングで効率的にご提供するとともに、地政学的リスクの顕在化等の影響による船舶及び陸上での輸送リードタイムの長期化や、物流コストの上昇への適切な対応により、売上、利益、キャッシュ・フローの最大化を図ることは重要な経営課題です。そのため、グローバルでの需要変動に柔軟に対応できるよう、販売、物流、生産・調達などの各機能を密接に連携させ、週次での生産管理を実現する体制整備に加え、製品ごとに最適な生産地で生産して効率的かつ機動的な物流・在庫マネジメントを実現する体制の構築を進めてまいります。また、グローバルでの在庫マネジメント再構築への取り組みとして、エリア在庫の効率化を目的としたNRI(Non-Resident Inventory)倉庫の設置も進めており、既に稼働しているオランダに続き2022年9月にはマレーシアにも設置して機動的な在庫マネジメントの確立につなげ、機会損失の最小化とコスト競争力の確保及び適正在庫の実現に取り組んでまいります。さらに、2022年4月に長野県上田市に新たに設置した丸子工場に加え、生産・開発スペース不足の解消を目的に、2024年5月に取得した本社・加沢工場の隣接地に新社屋の建設を開始しております。(2026年4月稼働予定)これらを活用し、本社・加沢工場におけるエントリーモデルからハイエンドモデルまでの多岐にわたる生産能力を増強し、今後の事業拡大に対応してまいります。

⑤ 研究・開発体制の強化

 当社グループは、コロナ禍を経て顕在化した市場ニーズや顧客志向の変化を見据え、製品開発でイノベーションを起こし、新規市場・新規アプリケーションの開拓に取り組んでまいります。具体的には、今までの開発計画を全面的に見直し、新しい市場向けのプライオリティを上げる取り組みとして、新製品売上高比率年30%を目的とすることや、効率的な研究・開発体制のもとで優れた製品をタイムリーに市場投入するため、要求機能に対し、あらかじめ準備された製品・ユニット・部品・技術情報より適切なものを選び、組合せにより新しい製品を開発するモジュール開発により売上高の拡大と同時にSKU=在庫の削減につなげること等に取り組んでいます。また、基盤となる製品プラットフォームを横展開して、短期間で効率的に新製品を投入する開発プロセスを確立し、開発サイクルの短縮化を進めています。これらの活動の結果、2024年3月期から2025年3月期までの2年間で合計16機種の新製品を発表し市場投入を実現しております。今後もこの取り組みの一層の強化・充実を図ることにより、「新しさと違い」を出せる製品の市場投入を進めてまいります。

⑥ CX(コーポレート・トランスフォーメーション)

 当社グループは会社の構造変革に取り組んでまいります。固定費の圧縮と事業体質の筋肉質化に向け、固定費の投入を押さえつつ、生成AIやローコードツール等を導入して業務の棚卸と自動化・AI化を進めてまいります。また、資金効率を向上させ財務体質を強化するとともに、フリーキャッシュ・フローの最大化を目的としたCCCの短縮活動にも取り組んでまいります。具体的には、全社在庫管理プロジェクト活動により、サプライチェーン全体の在庫適正化を進め、特に滞留在庫・不動在庫の一掃を図るとともに、リードタイムを考慮した適正在庫水準の管理する在庫マネジメントを確立し、CCCの短縮を進めてまいります。さらには、グローバルマネジメント体制の強化が重要課題であると認識し、子会社管理の強化、基幹システムや会計システム、人事制度等のグローバルな見直しとともに、業務の標準化やルールの明確化等を含めた管理強化に取り組んでまいります。加えて、為替リスクの低減に向けた施策にも取り組んでまいります。

⑦ 営業体制の変革

 当社グループはグローバルなお客様の多様なニーズにお応えするため、国内営業拠点及び海外販売子会社において、個々の地域特性に合致した販売戦略のもとで、新規ユーザーの開拓、製品の用途提案、製品導入後のアフターフォローや迅速な保守サービスの提供等、地域密着型の営業活動を推進し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、実際に製品を体験できる機会として当社独自に開催するミニ展示会によるチャネル・顧客との商談を効果的に行う営業活動を継続して実施してまいります。加えて、インサイドセールス機能の強化を通じ、SFAやCRMを活用した営業分析により既存・見込客への営業活動状況を記録・管理して顧客接点を拡大するとともに、顧客からの引き合いプロセスの管理により着実に成約に繋げる活動など、ITの進化を活用した営業活動のオンライン化にも、積極的に取り組んでまいります。また、顧客へ向けての販売チャネルにつきましても、従来のSG市場向け主体のチャネルの強化・拡大による№1シェアの獲得・維持に加え、新規のチャネルとしてIP市場、3D市場、プロダクション機、エントリーモデル、カッティングプロッタにおいて、それぞれの領域での販売拡大に適したチャネルの開拓・構築を進めるとともに、自動化・省人化ソリューションの提供に向けたパートナーシップ構築により、産業用印刷のデジタル化提案を一層強化してまいります。

⑧ リスクマネジメントへの取組み

 近年の事業環境下では、想定を上回る規模の自然災害や感染症の発生等に加え、ロシア・ウクライナ問題や米中対立に代表される地政学的なリスクの顕在化により、事業継続計画(BCP)の重要性が増しています。大規模な自然災害が発生した場合でも、被害を最小限に留めるべく、復旧までの時間を最小限におさえて業務を継続できるよう、業務インフラ、緊急時連絡体制、本社屋をはじめとする各設備の防災対策等の体制強化を行ってまいります。また、感染症等によるパンデミックの発生に際しては社会全体での取り組みが必要となりますが、当社グループとしても、役職員を始め地域やステークホルダーの皆様の安全確保と感染症拡大抑止を最優先に、適切な対策を検討・実施してまいります。さらに、地政学的なリスクの顕在化に伴う需要の低迷や部品・原材料等の調達難とコスト上昇、生産の遅延や輸送の混乱によるリードタイムの長期化とコスト上昇等のサプライチェーン全体に係る諸課題に対しても、適切なリスク評価に基づき最適な対策を検討・実施してまいります。

⑨ 知的財産戦略の強化

 自社ブランド製品を開発・製造・販売する開発型企業である当社にとって、知的財産戦略は競争力を確保し、独自性を守り、持続的な成長を実現するために重要かつ欠くことのできない要素です。とりわけ、自社の知的財産を適切に保護するために、特許、商標等の権利の適切な登録・保護手続きを行い、他社による模倣や侵害から自社製品やブランドを守る必要があります。当社では、技術本部に知的財産部を置いて知的財産権の登録・保護活動を進めておりますが、今後当社の市場での競争力を一段と強化するために、製品の企画・開発から量産に至る各段階において多くの権利を出願・登録できるように知的財産権権利化プロセスを変革し、持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

⑩ SDGsへの取組み

 2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」において、人間及び地球の繁栄のための行動計画として「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」が掲げられました。当社グループもこの目標に賛同し、さまざまな社会問題に真摯に向き合うとともに、事業を通じて社会や環境に良い影響をもたらすことで、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

 特に、気候変動などの地球環境問題への対応も重要な経営課題として捉え、とりわけ産業印刷市場においては環境や資源への負荷の高い従来のアナログ印刷主体の産業構造から、デジタル化によるオンデマンドプリントに転換させることにより環境負荷を大幅に低減できることから、今後の製品開発を含む事業活動において環境に配慮した製品展開を推進するなど、積極的に取り組んでまいります。

 当社の重要な販売市場であるテキスタイル・アパレル市場では、従来からのアナログ方式による素材や商品の生産・捺染に始まり、輸送、在庫、販売、利用、廃棄・焼却という長いサプライチェーンの過程から大量のCO2が排出され、また素材生地の生産・捺染工程においては大量の水資源が使用されています。さらに、使用された商品だけでなく未使用の商品も含め、全生産量の70%以上が廃棄・焼却処分され、リサイクル・リユース率は合わせても僅か15%程度とも言われています。このように、同市場は地球環境への負荷が最も高い産業の一つとされており、世界的に対処すべき重要な問題と認識されています。当社ではこの問題に対処するため、インクジェット技術でのデジタルオンデマンド捺染による「サステナブル・プリントソリューション」を提供しています。かつ従来のデジタル捺染プリント方式と比べ排水の約90%を削減し、環境にも人にも経済的にも優しい次世代捺染システム「TRAPIS(トラピス)」に加えて、最新の印刷脱色技術「ネオクロマト・プロセス」による循環型のサステナブル・アクションへの貢献など、今後もサステナブル・プリントソリューションを世界的に普及させることで、サステナブルなテキスタイル・アパレル産業の実現を目指して取り組んでまいります。

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