マルハニチロ 【東証プライム:1333】「水産・農林業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とする、グループ中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定いたしました。計画の策定にあたりましては、企業価値向上と持続的成長の実現に向け、長期経営ビジョンを次の3つに再定義しております。
① 事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地球・社会づくりに貢献する
② 総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する
③ 水産資源調達力と食品加工技術力にもとづく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現する
以上の長期経営ビジョンの実現に向けて、非連続な成長のロードマップをバックキャストで描き、中期経営計画では、「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」の3つのコンセプトに取り組んでまいります。
① 経営戦略とサステナビリティの統合
・ 経営戦略とサステナビリティを一体として実現する、当社グループの価値創造のあり方として、Maruha Nichiro Value(MNV)を定義
② 価値創造経営の実践
・ 価値創造経営を推進するガバナンス体制の構築
・ マテリアリティの特定、財務・非財務KGIの設定
・ 事業ポートフォリオに基づく資源配分
・ 成長ドライバー領域への戦略投資
・ 水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンの価値最大化
③ 持続的成長のための経営基盤強化
・ 多様化する消費者のニーズに対応した健康価値の創造と提供
・ イノベーションエコシステムの構築
・ 人財への積極的な投資
・ コーポレートブランドの発信強化
・ 知財リスク対応と無形資産の活用・強化推進
・ DX推進基盤の構築とデジタル技術の活用
「海といのちの未来をつくる」というブランドステートメントのもと、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献するというグループ理念の実現に向けて、変化の激しい経営環境の中にあっても、「経済価値」「社会価値」「環境価値」の創造に引き続き取り組み、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指してまいります。
(3)経営環境
2023年5月より、新型コロナウイルスの感染症法上の区分が2類相当から季節性インフルエンザ等と同等の5類に移行となり、ウィズコロナの生活様式定着がより一層加速し、社会経済活動の正常化も一段と進むことで、個人消費の回復が継続すると想定しております。また、水際対策の緩和も行われることで、インバウンド需要が本格的に拡大し、外食・旅行等のサービス消費への追い風となることが見込まれております。
その一方で、ウクライナ情勢長期化等の影響を受けた原材料・エネルギーコストの高騰による消費マインド低下や、世界主要各国の金融引き締めに伴う急激な金利上昇・金融不安を発端とした、世界経済の減速リスクも想定されており、予断を許さない状況が継続すると考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするグループ中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」の2年目を迎えます。
当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4つを報告セグメントとしております。
各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。
水産資源事業
漁業ユニットは、燃油代を中心に原価上昇が予想されますが、事業環境の変化に対応し、安定した漁業オペレーションを実施するとともに、自社加工度を高めるなど販売ルートを多様化することにより、収益の向上に努めてまいります。
養殖ユニットは、燃料代、飼料代等の高騰による原価上昇が予想されますが、国内におけるマグロ・ブリ・カンパチの養殖を主軸として、技術改善とコスト削減、輸出拡大に取り組み、収益確保に努めてまいります。
水産商事ユニットは、資源国の漁獲・生産状況と主要な需要国の変化の激しい消費動向を把握し効率的な調達と販売を行うことにより、収益の拡大に努めてまいります。
海外ユニットは、海外事業拠点における収益基盤の強化、販売促進を進めてまいります。北米では人件費、燃油等のコスト上昇に対し、工場の生産効率化や生販一体となった事業運営により収益の向上に努めます。欧州ではM&Aにより強化された販売網を連携させて売上拡大を目指します。タイのペットフードについては、商品開発により競争優位性を高めて販路拡大に取り組んでまいります。
加工食品事業
加工食品ユニットは、マーケティングや研究開発部門との連携を強化し、商品開発力を向上させるとともに、積極的な販促活動を展開し、売上の拡大とブランド認知の向上を図ります。
広島工場焼失後における家庭用冷凍食品事業では、事業構造の見直しと転換、拡大を進めてまいります。また、外部環境に応じた価格改定や商品の差別化に努め、収益性を更に高めてまいります。
ファインケミカルユニットでは、機能性取得による既存商品の拡販を行い、更に医薬原薬(EPA、ヘパリン)の拡大、「予防食・未病食」分野への取り組みなどにより、事業規模拡大に努めてまいります。
食材流通事業
食材流通ユニットは、量販店・外食・コンビニエンスストア・宅配生協・介護食など顧客起点による販売活動を更に強化し、食品・水産・畜産の枠組みを超えた提案を推進してまいります。また、アイテム集約等による業務効率の向上及び工場生産性改善を実行し、収益率の向上を目指してまいります。
畜産ユニットは、飼料、エネルギーコストの上昇から世界的な畜肉相場の高値継続など厳しい事業環境が見込まれますが、国内外に渡る多様な調達網を活用して市場のニーズに対応し、グループ内連携を強化することで収益力の向上を図ってまいります。
物流事業
物流ユニットは、大都市圏を中心とした物流拠点を最大限に活用し、保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた総合物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指します。また、電気料金の上昇に伴う動力費の増加や荷役ほか人件費等の増加によるコスト上昇分を適切に価格へ転嫁することにより、持続可能な物流体制を構築します。
(5)目標とする経営指標
中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」における財務KGIは次のとおりであります。
| 24年度計画 (A) | 27年度目標 (B) | 22年度実績 (C) | 差異 (A)-(C) | 差異 (B)-(C) |
MNEV(億円) ※ | 95~ | 110~ | 140 | △45 | △30 |
売上高(億円) | 9,600~ | 10,000~ | 10,205 | △605 | △205 |
営業利益(億円) | 270~ | 310~ | 296 | △26 | 14 |
EBITDA(億円) | 465~ | 500~ | 474 | △9 | 26 |
ROIC | 4.3%~ | 5%~ | 4.8% | △0.5pt | 0.2pt |
ROE | 9%~ | 9%~ | 11.0% | △2.0pt | △2.0pt |
ネットD/Eレシオ | ~1.2倍 | ~1.0倍 | 1.5倍 | △0.3pt | △0.5pt |
※MNEV(Maruha Nichiro Economic Value):事業活動の成果に伴う経済付加価値額として、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の差(MNEVスプレッド)に、投下資本を乗じ算出しております。
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