企業マルイチ産商名証メイン:8228】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針等

a.経営理念

 一、人命の根源たる食品の流通を通して社会に奉仕し、衆知を結集して価値ある流通機能の創造に努めよう。

 一、会社は、社会の公器であり、社員の福祉向上を願う開かれた広場である。私心を捨てて、真に生きがいの場としよう。

b.経営方針

 当社は1951年、四方を山に囲まれ、新鮮な魚を求めることが困難だった長野市に㈱長野中央魚市場を設立し、水産物の卸売事業を開始しました。以来、「人命の根源たる食品の流通を通して社会に奉仕し、衆知を結集して価値ある流通機能の創造に努めよう」の経営理念に基づき、豊かな食生活を支えるべく、美味しさと安全・安心をお届けすることを社会的使命に事業を推進しております。

 創業時に制定した屋号の「」の丸は日本を表し、そこに一の字が大書されているのは「日本一」になりたいという願望が込められています。「長野県のマルイチ」から「日本の中のマルイチ」への脱皮は、創業時から語り継いできた当社の普遍的な経営方針でもあります。

c.事業展開方針

 当社グループは、長野県を中心とする甲信越及び北関東を含む首都圏、中京圏を主な販売エリアとして、水産物をはじめ畜産物、デイリー食品、冷凍食品、一般食品、菓子、業務用商品などの食品をフルラインで取り扱う総合食品卸売事業を展開しています。お客様にとって価値ある食品とサービスの提供を通じ、地域社会において、ゆたかな食と生活文化を創造することを目指し、事業活動を進めております。主力販売エリアである甲信越地域では地域密着の強みを活かした提案営業活動によりマーケットの深耕化を進め、首都圏・中京圏エリアでは生鮮流通網の拡大による事業エリアの拡大を進めております。

(2) 経営環境及び中期経営計画

a.経営環境

(環境分析)

 わが国経済の動向は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大などを背景に緩やかな回復基調が期待される一方で、関税を巡る保護主義的な動きや地政学リスクの高まりなどによる不安定な国際情勢と、それに伴う物価上昇や為替変動など、依然として先行き不透明な状況が予想されます。食品流通業界では、人件費や物流費等のコスト上昇や、物価上昇に伴う個人消費の停滞が予想されるなど、厳しい経営環境が継続するものと思われます。

 当社グループのコアビジネスであります水産事業を取り巻く環境では、生産及び調達面において世界的に水産物生産(天然及び養殖)が頭打ちとなる一方で、世界的な人口増加等による水産タンパク質への需要が増大する中で日本市場の相対的地位の低下もあり、水産物の安定的な調達は大きな課題となっております。販売面では、成熟消費社会・高齢化社会が急速に進み、生活者のライフスタイルや年齢・家族構成の変化による食へのニーズの多様化など、変化への対応力が重要となることが予想されます。

 また、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)経営の推進や、SDGsへの取組みの必要性が世界的な共通課題として認識されており、企業としてリスクの減少のみならず、収益機会にも繋がる重要な経営課題として、積極的・能動的に取り組むことが求められております。

(環境認識の全体観)

(環境変化への対応)

 当社グループは、生鮮品を基軸としたフルライン食品卸売事業を進化させることで持続的成長を目指しております。具体的な戦略及び施策につきましては、b.中期経営計画に記載しております。

 さらに、サステナブル経営を全社グループにて戦略的に推進すべく、環境問題等に対して中長期的な視点で基本方針と目標を定め、具現化に向けた施策を検討し、実行しております。具体的には、節電対策や太陽光パネル設置など事業価値向上に向けた普遍的な取り組みと、小学校での食育活動やブルーカーボン事業への参画などの社会・環境価値向上に向けた当社グループ独自の取り組みを両輪で推進しております。

b.中期経営計画

■中長期的経営ビジョン「ビジョン2030」

 当社グループは未来に向けた経営ビジョンの策定に際し、経営理念をベースに、「経済/社会価値の同時実現」「共感者(パートナー)の輪を拡大」「マルイチの独自性を発揮」「エンゲージメント経営の推進」をキーワードに定めました。

 そして2030年度をゴールとする中長期的な経営ビジョンに「地域のスペシャルパートナー」を掲げ、当社グループの独自機能の提供とステークホルダーとの協業を通じて、日本全国の地域における食品流通の問題・課題を共に解決し、共に成長することを目指してまいります。具体的には、「信州」「顧客」「産地」の3つの事業領域をつなぐプラットフォーマーとして、当社グループのコアコンピタンスを磨きながらステークホルダーとの「共生」を図ってまいります。

(「ビジョン2030」の全体像)

(3つの事業領域)

c.中期経営計画2025

■「中期経営計画2025」の位置づけ

 ビジョンの達成に向け、2026年3月期を目標年度とする「中期経営計画2025」を策定しました。現在の当社グループの位置付けを「ユニークな存在」と定義し、2030年度に「スペシャルな存在」へなる為のステップとして、「3つの事業領域において必要とされる存在になる」ことを中期経営計画期間における到達すべきステージと位置付け、企業価値の向上を目指します。

(「中期経営計画2025」の位置付け)

■事業戦略

 達成に向けた具体的な5つの経営戦略としまして「多面的・多角的な事業インフラの拡充」「信州事業の再強化・グループ最適化」「非効率事業・資産の見直し」「業務構造改革の推進」「サステナブル経営の取組み」を掲げ、各施策を実行してまいります。

 また、経営戦略の推進を下支えする組織運営方針としまして、「エンゲージメント経営の実践」「連結経営の推進」「ガバナンス体制の強化」に取り組んでまいります。

(「中期経営計画2025」の全体像)

(「中期経営計画2025」の定量目標及びKPI)

 戦略施策の実行により、2026年度時点の実力値として連結営業利益25億円+αを目指します。

(2026年3月期の経営方針)

 当社グループは2030年度をゴールとする経営ビジョンの達成に向けた2025年度を目標年度とする「中期経営計画2025」の最終年度として、「信州」「顧客」「産地」の3領域別方針と、定量目標の達成に向けた重点施策として「業務構造改革の実行」「エンゲージメント経営の実践」「サステナブル経営の推進」に取り組んでまいります。

■領域別方針

「信州(長野・山梨)」

 子会社㈱丸水長野県水との経営統合における最重要課題であります信州域内における水産事業と本社機能の再編について、統合効果の最大化と生産性向上に向け、新体制の構築と間接系業務の効率化を進めてまいります。成長分野であります惣菜・業務用分野については、競合他社との差別化やマーケット拡大に向け、フードサービス部門と冷食部門を母体に事業の強化を図ります。

 また、今年4月に組織再編した畜産事業については、製造・加工機能を拡大した子会社大信畜産工業㈱のさらなる生産性向上と、販売機能の強化による新たな販路開拓など、ビジネスモデルの再構築を推進いたします。

「顧客(信州域外)」

 水産部門では、豊洲市場の機能活用や消費地加工機能の拡充による首都圏エリアの更なる拡大と深耕化を図ります。また、昨年11月に子会社化した㈱ダイニチの機能を付加しながら、関西をはじめとしたエリア戦略を加速してまいります。

 デイリー部門は、首都圏生鮮流通センターを有効活用した販路拡大と、ドラッグストアへの販売戦略を推進してまいります。

「産地」

 養殖魚事業については、当社グループベースで生産や加工、物流、販売等のあらゆる分野でのシナジーの最大化を目指します。子会社信田缶詰㈱については、当社グループの強みである鮮魚調達力を活用した生原料商品の製造・販売を強化することで業績回復を目指します。

 また、生産領域における事業ポートフォリオ分析に基づく効率的なリソース配分と、新たな販路構築に向けた取り組みを進めてまいります。水産分野における国内天然魚と養殖魚の2本柱で当社グループ独自のビジネスモデル構築を加速してまいります。

■重点施策

「業務構造改革の実行」

 新基幹システム「M-BASE」の運用定着と、WEB請求書や電子契約の拡大や、RPAを活用した業務の標準化と効率化、生成AIの活用範囲の拡大とノウハウの社内展開などにより、業務の合理化による生産性向上を進めてまいります。

「エンゲージメント経営の実践」

 経営と従業員との双方向コミュニケーションの充実による組織風土改革の推進と、人材育成に向けた階層別・職能別の教育・研修の充実、ライフイベントに直面する社員が安心して働き続けることを目的とした人事諸制度の改定を進めてまいります。

「サステナブル経営の推進」

 CO削減に向けた施策の推進など事業価値向上に向けた普遍的な取り組みと、食育活動やブルーカーボン事業など社会・環境価値向上に向けた当社グループ独自の取り組みの両輪を継続して推進いたします。

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループでは、本書提出日現在において、以下のような全社として優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を認識しております。

1.SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の強化

 生鮮全般における生産者との連携と加工・流通機能との一元化によるSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の構築を推進してまいります。

2.安定的な事業の継続

 安定した事業の継続を可能とするため、BCPの策定と実行を推進してまいります。

3.与信管理の徹底

 得意先をはじめとする取引先とは十分なコミュニケーション取りつつ、与信管理を徹底してまいります。

4.在庫管理の徹底

 商品相場の急激な変動や需給状況の変化等、過剰在庫及び調達不足の原因となり得るリスクを想定した販売計画策定と商品調達を行うことによる在庫コントロールを徹底してまいります。

 セグメントごとの具体的な課題及び施策は以下のとおりです。

(水産事業)

 水産事業を取り巻く環境は、長引く国内天然魚の水揚量減少と小型化傾向や、世界的な魚食需要の増加と円安の継続により水産物全般の相場高が継続しており、安定的な商品供給の維持と拡大が求められております。

 水産事業セグメントにおきましては、水産部門では、養殖事業領域を従来のトレードモデル(集荷・販売)から生産分野へと拡大することで収益力の強化を図ってまいります。デイリー部門では、営業力と物流機能の更なる強化と、エリア卸とのアライアンス戦略を推進いたします。

(一般食品事業)

 一般食品事業を取り巻く環境は、原材料価格の高騰に伴う商品の値上げが続き、消費者の生活防衛意識が強まることで買上点数が減少する中、さらなる収益力の向上が課題となっております。

 一般食品事業セグメントにおきましては、収益体質の改善に向けたコスト構造の見直しや、全国卸とのアライアンスによる自社開発商品の販路拡大を進めます。また子会社信田缶詰㈱については、製造利益の改善施策の実行により業績回復を目指します。

(畜産事業)

 畜産事業を取り巻く環境は、飼料価格の高騰などコスト高による国産の牛肉・豚肉の高値傾向と、円安による輸入畜肉の仕入価格の高止まりが継続する環境下、収益力の向上が課題となっております。

 畜産事業セグメントにおきましては、4月にグループ内の畜産事業を組織再編し、経営資源の集約による事業の合理化と、製販一体の収益モデルによる製造・加工機能の強化を推進いたします。

(丸水長野県水グループ)

 現在、2025年度を目途とする子会社㈱丸水長野県水との経営統合によるグループ内の組織再編を進めております。これによりグループ内に同一形態の会社が存在することで発生している非効率性を解消し、経営資源を集約することで合理化と効率化を図り、長野県内における経営基盤の強化を図ってまいります。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、成長戦略による事業規模の拡大と付加価値による収益力の向上の観点から、事業規模を示す指標である連結ベースの売上高と稼ぐ力の指標である営業利益を経営指標としております。

(2026年3月期の定量目標)

(単位:百万円)

 

2025年3月期実績

2026年3月期目標

売上高

269,141

290,000

営業利益

1,027 (営業利益率0.4%)

2,200 (営業利益率0.8%)

経常利益

1,727 (経常利益率0.6%)

2,500 (経常利益率0.9%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

540 (親会社株主に帰属する

当期純利益率0.2%)

1,500 (親会社株主に帰属する

当期純利益率0.5%)

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