マテリアルグループ
【東証:156A】「サービス業」
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企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書(以下、本書という)提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「Switch to Red.」(個性に情熱を灯し、価値観や常識を変え、世界を熱くする。)をビジョンに、「Switch the Materials to Red.」(すべての個性に情熱を灯し、可能性を最大化する。)をミッションに掲げております。また当該ビジョン・ミッションを実現するために5つのバリューを設定し、ビジョン・ミッションと共に経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹の考え方・価値観として位置づけ、グループ全体として持続的成長を目指しております。
(2)経営環境
当社グループが属するマーケティングコミュニケーション領域では、テレビ・新聞・雑誌・ラジオのいわゆる4大マスメディアの影響力も大きい中、SNSや動画配信サービスといったソーシャルメディアの影響力もますます高まっていると認識しております。またSNS等の影響力の高まりによって、マスメディアだけでなく、個人や特定の集団が多様な情報を発信・受信するようになり、様々な情報や意見が社会に広がるようになっております(1億総メディアの時代)。
従来のマーケティングコミュニケーションの目的は、多くの消費者/生活者に情報を知らせることであり、マスメディアを活用し、自社が伝えたいことを統一的なメッセージでより多くの消費者/生活者に届けることが重要とされておりました(一方通行の時代)。
しかし上記の環境変化に伴い、現在のマーケティングコミュニケーションにおいては、顧客と生活者/消費者等のステークホルダーの深い関係性・リアクションを得ることを目的として、企業と消費者/生活者等のステークホルダーの共通の興味・関心を軸にトライブコミュニケーション(特定のトライブに向けた情報発信・コミュニケーションを行い、トライブ内での商品・サービスの認知度向上等を行うこと)を行うため、PR発想/ストーリーテリングが欠かせない発想術となっております。
マーケティングコミュニケーション領域における変化
なお日本国内の広告市場は2023年において7兆3,167億円(前年比3.0%増)と成長しており、その内、インターネット広告市場は2023年において3兆3,330億円(前年比7.8%増)と広告市場全体の成長を牽引しております(出典:株式会社電通が2024年2月27日に発表した「2023年日本の広告費」)。
加えて、企業内における広告・マーケティング予算の配分が広告からPRへ移っていく中、PR業市場は、2020年において約1,111億円、2022年において約1,479億円(出典:公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会 2021年5月発行「2021年 PR業実態調査 報告書」及び2023年5月発行「2023年 PR業実態調査 報告書」)の売上規模とされており、継続的に成長を続けております。
(3)経営戦略等
当社グループの今後の成長戦略は以下の3点となります。
・採用の加速によるサービス供給体制の強化
特にPRコンサルティング事業及びデジタルマーケティング事業において、価値提供の源泉であるプロフェッショナル人材の採用・育成を積極的に行うとともに、当該プロフェッショナル人材が生産性高く顧客へサービス提供を行うための業務フローやプロジェクト管理体制等を高度化することで、引き続きPR発想/ストーリーテリングを用いてステークホルダーの認知度の向上・認知の変容を戦略から実行まで支援及びデジタル領域におけるマーケティングコミュニケーションの戦略設計、実行支援を行ってまいります。
・準コア事業であるデジタルマーケティング事業のコア事業への引き上げ
デジタルマーケティング事業は当社グループの中長期的な成長を担う準コア事業として位置づけておりますが、PRコンサルティング事業における大口顧客への提案含め各子会社間のクロスセルを活性化する仕組み※や株式会社マテリアルの採用力等のグループのアセットを活用しながら、人材等のリソースを集中的に投下することによって、同事業のコア事業への引き上げを目指します。
※グループ横断のプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトメンバーを中心に積極的なクロスセルを実施するとともに、各社従業員への研修や動機付け等、クロスセルを活発化する仕組みづくりを行っております。
・規律を持った戦略的なM&Aによるコア事業及び準コア事業の規模/領域の拡大
M&Aの対象領域、着目するKPI及び当社グループの財務数値への影響、対象会社または対象事業単独での成長可能性及びシナジーによるグループ全体の企業価値向上の可能性等において一定の規律を持った上で、戦略的なM&Aを実施することにより、当社グループの強みを生かすことができる周辺領域への進出・拡大を図ってまいります。
具体的には以下の方針のもと、M&Aを検討・実行しております。
(注)1.エグゼキューションとは、企画・設計したプランに基づき、PRの各種手法を用いてメディアへの露出等を獲得する業務を指しております。
今後も、各事業セグメントにおいて、市場の動向や技術の進歩も踏まえながら、将来にわたってより安定的かつ効率的な収益を獲得できるサービスの開発に取り組み、顧客のブランド価値の最大化を総合的にサポートできる事業の強化を継続的に進めることで、業界における競合優位性を強化し企業価値の向上に取り組んでまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、グループ全体の主な経営指標として売上高、粗利(注1)、営業利益、EBITDA(注2)を特に重視しております。またデジタルマーケティング事業の売上高(注3)を重要指標と考えております。加えてPRコンサルティング事業に属する株式会社マテリアルの成長性を示す指標としてPRパーソン数(注4)、生産性を示す指標として同社のPRパーソン1人あたり粗利額(注5)を重要指標と考えております。
(注)1.案件から得られる売上高から、案件進行に係る外注費を差し引いた金額であり、社内リソースによって獲得した利益の金額を示しております。
2.EBITDAは、営業利益に減価償却費及びのれん償却費を加えた数値となります。
3.デジタルマーケティング事業のセグメント売上高(外部顧客への売上高とセグメント間の内部売上高又は振替高を合計した数値)となります。
4.PRパーソン数は、株式会社マテリアルの年間平均従業員数であります。
5.株式会社マテリアルの粗利をPRパーソン数で除した数値を12で除した数値となり、1人の従業員が月次で獲得する粗利金額の平均値を示しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、(1)及び(3)に記載した経営の基本方針及び経営戦略等を遂行し、将来にわたってグループの成長を継続させ企業価値の向上を実現するために、以下の課題に積極的に対処してまいります。
① 人材の確保及び育成強化
当社グループでは、今後の成長戦略を着実に遂行していくためには、特にPRコンサルティング事業及びデジタルマーケティング事業における人材の採用と育成強化が重要であると認識しております。
既存の従業員を含む人材市場における当社グループの魅力を高めるため、制度面では福利厚生や研修の充実、グループ間の人材交流等を伴う多種多様な経験を通じた育成制度の構築を、組織風土面では多種多様な人材や働き方を受け入れる価値観の醸成を行ってまいります。さらに、将来の当社グループを担う人材の採用のため、積極的な新卒採用を進めていく方針であります。
② 事業体制の強化と収益性の向上
顧客への付加価値の高い領域へのリソース投下を実現し、引き続き更なる新規顧客の獲得、既存顧客との継続的な取引関係の維持が重要であると考えております。
そのため、顧客に対する付加価値の高さから逆算した業務フローの見直し及び属人性の排除、プロジェクト管理体制の強化によるオペレーショナルエクセレンス(企業が価値創造のための業務の品質・効率性を徹底的に磨き上げることで競争上の優勢を構築している状態)の実現、外部パートナーとの効果的かつ効率的な連携を行ってまいります。
また、当社グループの強みである情報流通の設計術の更なる言語化、形式知化により、組織としてのレベルアップを図り、顧客への提供価値及び請求単価を向上させてまいります。
③ ESG/SDGsへの取り組み
当社グループのESG/SDGsへの取り組みを加速させるとともに、ESG/SDGsに取り組む企業等をPR領域において支援することができる能力・知見を組織として獲得してまいります。
具体的には、グループ内に当社グループのESG/SDGsに関する取り組みを進めるプロジェクトチームを組成しております。
当社グループは同プロジェクトチームを中心に、当社グループのコーポレートサイトにてESG/SDGsにおける当社グループとしての重要課題とそれらの課題に対する取組み等の情報を開示(https://materialgroup.jp/sustainability/)するとともに、当該重要課題に対する取り組みを進めております。また特にPRコンサルティング事業におけるESG/SDGsに関連する案件の実績を継続的に積み上げ、当社グループの顧客が一層ESG/SDGsに対して取り組むための支援を行う能力・知見の蓄積を行っております。
④ 財務基盤の強化
当社グループは、現時点において財務上の課題は認識しておりませんが、継続的かつ安定的な事業の拡大を図る上では、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。このため、一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、財務基盤の強化を図ってまいります。
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