企業ポラリス・ホールディングス東証スタンダード:3010】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

(基本方針)

 当社グループは、株主、投資家、顧客、従業員、取引先、債権者、地域社会等の全てのステークホルダーの皆様に価値を提供する企業として持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。

 当社グループは、当社のスポンサーグループであるスターアジアグループと業務提携契約を締結し、当社グループとスターアジアグループとが両者の強みを活かし協働し、人的・物的リソースを有効活用して持続的かつ安定的に成長することについて合意しております。

(目標とすべき経営指標)

 当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを目標としております。経営指標としては、継続的な営業利益及び経常利益の増益と自己資本利益率(ROE)15%超の実現に努めてまいります。

(振り返り)

 当社グループは、2020年2月以降新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、訪日外国人旅行者(インバウンド)が大幅に減少し、更に日本政府による緊急事態宣言の発令に伴う外出制限やイベント等の自粛により国内需要も大きく減少したことにより主力であるホテル事業の業績が大きく落ち込む厳しい経営環境下において、スターアジアグループとの資本業務提携に基づき、以下のような様々な施策を実行してまいりました。

1.長期固定賃料支払の賃貸借契約タイプの運営から“Fee-For-Service”モデルへの移行

 当社グループは、日本国内において「ベストウェスタン」、「バリュー・ザ・ホテル」及び「ココホテル」の3つのブランドを中心にホテル事業を展開しております。

 「ベストウェスタン」は、世界100ヵ国以上の国と地域で4,700軒以上のホテルを展開する世界最大級のワールドホテルチェーンである「ベストウェスタン」ブランドであり、当社グループは日本国内における唯一のエリア開発会社として「ベストウェスタン」ブランドによる宿泊特化型ホテルを運営しております。

 「バリュー・ザ・ホテル」は、当社の中長期滞在型ホテルブランドであり、当初は震災復興支援施設として開業しましたが、現在は大型の宿泊需要に対応できるホテルとして一般企業やスポーツ団体等幅広くご利用いただいております。

 ベストウェスタン及びバリュー・ザ・ホテルの運営形態の多くは長期固定賃料支払の賃貸借契約タイプの契約に基づくものであったため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による稼働の落ち込みにより固定賃料を下回る逆ザヤの状況となり、損益を含む財務内容が大きく悪化する原因となりました。

 そのため、当社グループでは、スポンサーであるスターアジアグループとともに積極的な店舗開発を実施してまいりました。具体的には、スターアジアグループがコロナ禍において割安となったホテル施設の積極的な取得を行い、当社グループがホテルの運営を受託するというものであります。当社グループがスターアジアグループから運営を受託した新規受託ホテルは「ココホテル」という自社ブランドとし、運営形態は運営委託契約を中心とした“Fee-For-Service”(サービスの対価としてのフィー) モデルとすることにより確実に収益を獲得する資本効率の高いビジネスモデルを推進してまいりました。

2.競争力の高いホテルを割安で取得

 当社グループでは、長期固定賃料支払の賃貸借契約により運営していたベストウェスタンプラス福岡天神南とフィーノホテル札幌大通について、両ホテルのオーナーとの協議により、スターアジアグループと共同でSPCを通じてそれぞれホテル資産を販売用不動産として取得し、オーナー・オペレーターモデルに移行することにより固定賃料負担を解消し、損益分岐点の改善に寄与するとともに、将来的な物件売却による収益貢献へのベースを築きました。

 また、2023年3月にレッド・プラネットホテル運営会社を大幅なディスカウント価格にて買収することができました。レッド・プラネットブランドによるホテルは、フィリピン国内で13ホテルあり、13ホテルのうち2ホテルは土地と建物ともに所有し、11ホテルは建物のみ所有しております。当該13ホテルは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で稼働が大きく落ち込んでおりましたが、現在は回復傾向にあり、将来的には企業価値の向上に貢献することが期待されます。

3.財務基盤の強化

 新型コロナウイルス感染症拡大という厳しい環境下において、取引金融機関との緊密なコミュニケーションを通じて信頼関係の維持と向上に取り組んでまいりました。その結果、取引金融機関からの継続的な支援により、事業運営のための資金繰りを確保しております。

 また、当社グループは、スターアジアグループとの資本業務提携以降、財務基盤強化と新規事業への積極的な投資を目的とした普通株式発行による増資や新株予約権の割当による資本増強を図り、コロナ禍における厳しい財政状態を支えるとともに、将来の収益基盤の獲得に向けた投資を実行してまいりました。

(今後の戦略)

 当社グループは、今後もこれらの路線を維持するとともに、更なる収益性の向上、積極的な新規出店、不採算店舗の改善等を確実に実行し、目標とすべき経営指標の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

1.積極的な店舗展開

 当社グループは、2023年4月に第三者ホテルオーナーより京都市に所在する「KAYA 京都 二条城 BWシグネチャーコレクションbyベストウェスタン」の運営を新たに受託し、加えて今秋にはスターアジアグループより仙台の複数のホテルの受託が予定されています。更に当社グループはRed Planet Hotels Manila Corporation(フィリピン共和国)の買収を進めており、買収完了後は買収対象企業が開発しているRed Planet Hotel Manila The FORT(245室、2023年10月開業予定)が新たに運営ホテルに加わる予定であります。

2.ブランディング強化及び契約形態の見直し

 当社グループは、自社のホテルブランドである「ココホテル」ブランドの認知度・ブランド力の強化を図るとともに客室構成の最適化等を含む改装の実施等、今後の利益成長に資するアクティブな戦略にシフトしてまいります。

 また、当社グループは、今後もローコスト経営による損益分岐点の低下を図っていきますが、ポストコロナにおいて収益機会が期待される案件については選別的にマスターリース契約も視野に入れ、企業価値の最大化に向けたポートフォリオの最適化の検討を進めてまいります。なお、マスターリース契約につきましては、これまでの長期固定賃料支払タイプから、固定賃料を抑え変動賃料を加えた契約とすることで、稼働が低下した際のリスク軽減を図ると同時に収益向上時のアップサイドをより多く享受出来るスキームについて積極的に検討していく予定であります。

3.オーナー・オペレーターモデルの推進

 ホテルマーケットの顕著な回復が見られる中、ホテル物件を割安に購入出来る機会は減少しているものの、引き続き積極的に情報収集を行い、割安な価格で取得できる機会があれば、オーナー・オペレーターモデルの推進も行ってまいります。それと合わせて、ホテル物件の取引価格が高騰していれば、保有しているホテル物件の売却による利益確保も検討してまいります。

 なお、オーナー・オペレーターモデルの推進にあたっては、当社のスポンサーグループであるスターアジアグループとの資本業務提携契約に基づき、引き続き協働及び人的・物的リソースの有効活用を継続し、マーケットにおける機会を最大限具現化してまいります。

4.サステナビリティへの取り組み強化

 当社グループは、環境問題への対応や地域社会への貢献を通じての持続可能な社会の発展と、当社グループの中長期的な成長の両立を目指し、サステナビリティに関する様々な取り組みを推進してまいります。

・食品ロス対策

 仕込み品を減らし、既製品を用いて必要な予約分の材料を用いて、予約分の調理提供を実施しております。また、実際に余った料理を新たにリユースメニューとして翌日以降にも提供できるようにすることにより、従来よりも廃棄率を減少する取り組みを実施しております。

・地産地消

 朝食食材で地元の食材を一部使用し、地産地消を推進しております。

・受動喫煙対策

 一部ホテルでは客室は完全禁煙化し、共用部の喫煙室のみで喫煙可としております。

・バリアフリー対策

 法令にしたがって各店舗ではユニバーサルルームを設置し、車いすでの利用がしやすいよう配慮しております。

(2)経営環境

 日本国内では、ウィズコロナに向けた対策が実施され、社会経済活動の正常化が進み、総じて緩やかに回復しております。2022年10月に水際対策の緩和が行われ、入国者総数の上限が撤廃されて以降、急速な回復がみられ、また2023年5月に新型コロナウイルスが5類に分類されたことを受けて、今後中国からの団体客を含むインバウンド中心に宿泊需要が大きく伸びることが期待されております。

 一方で、ウクライナでの戦争等によるエネルギー価格・原材料費の上昇など、物価高による影響は継続しており、コスト面で厳しい状況は継続するものと思われます。

 海外の状況について、フィリピンのレッド・プラネットホテルのうち、マニラ及びその近郊にあるホテルは、フィリピン国内のビジネス需要への依存度が比較的高いため、長引くコロナ禍での企業の出張予算の制限やリモートワークの継続により、国内の一般企業・政府のビジネス需要は2019年比で引き続きマイナスと厳しい状況が続くと見込まれています。また、フィリピン共和国におけるインバウンドの宿泊需要も2022年対比では大きく回復しているものの、中国からの旅行者は引き続き制限されていることもあり、2019年対比ではマイナスとなっております。一方で、セブ島などの観光地のホテルは、フィリピン国内のレジャー需要が2019年を超えるなど顕著な回復を見せております。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 国内ホテル運営

 コロナ禍においては客室販売戦略及び料金戦略の立案、実行を通じた売上・利益の最大化を目的とするレベニュー・マネジメントを徹底し、また、運営コストの削減のため効率的な運営体制の確立による収益の最大化並びに損益分岐点の低下に努めてまいりました。また、フィー収入型モデル及びオーナー・オペレーターモデルによる損益分岐点の低い運営モデルを中心に運営ホテル数の拡大を図り、国内のホテル運営客室数は2023年3月末時点で2020年3月末時点と比較して約1.8倍に増加しました。2024年3月期においても、2023年4月に京都市においてフィー収入型モデルで新規ホテルの運営を受託し、また、2023年秋には仙台市の複数のホテルをスポンサーグループから新規にフィー収入型の運営委託契約で受託するべく協議を進めており、更なる損益分岐点の低下を図ってまいります。

 また、物価の上昇、人件費の上昇等によってホテル運営に係るコストは上昇傾向にありますが、きめ細かな販売料金設定、各種マーケティング施策の実行、改装等の実施によるRevPAR(注)1及びGOP(注)2の向上を図ることで収益の最大化を図ってまいります。

② 海外ホテル運営

 「Red Planet」ブランドはエコノミー又はミッドスケールクラスにおいてアジア有数のホテルブランドであり、統一したブランドスタンダードの下、ハード及びソフトの両面から高品質のサービス提供を通じて、高い競争力を誇るホテル運営手法を強みとしています。また、先進的なITプラットフォームを活用することで、セールスマーケティング等の販売面のみならずコスト面からも効率的な運営がなされています。また、運営するホテルの建物は当社の子会社が所有しており、損益分岐点が低く抑えられていることから、今後のアフターコロナの需要回復に伴い、収益の回復が見込まれますが、国内ホテル運営と共同でのマーケティング施策の実施等、シナジー創出のための取り組みについても推進してまいります。また、当該レッド・プラネットホテル運営会社の内部監査の手続を実施しており、内部統制システム並びに適切な業務プロセスを確立しガバナンスの強化も図ってまいります。

③ IR活動

 当社は、過去に実施した転換社債型新株予約権付社債、普通株式及び新株予約権の発行により、海外投資家の比率が足元で増加しており、今後国内外の幅広い投資家層に向けたIR強化が急務であると考えており、より積極的な情報開示と開示内容の充実を実現してまいります。

④ コーポレート・ガバナンス

 当社グループは、当社を取り巻く幅広いステークホルダーとの信頼関係を構築し、経営の透明性を高め、内部統制機能の強化を図っていくことが企業価値の向上に重要であると考えております。今後は買収した海外子会社を含むグローバルでのコーポレート・ガバナンスが求められることから、新たに高い専門性を有する取締役を幅広い分野から人選し、新たな経営体制のもとコーポレート・ガバナンスの充実・強化を図ってまいります。

⑤ 財務関連・資金調達

 新株予約権の行使等により手元流動性は改善しているものの、今後も新たな投資機会に対する積極的な投資を確実に実行していくため、引き続き財務基盤の強化が必要と考えており、金融機関を中心に新規借入の交渉を行うとともに、金利負担の軽減を図るため既存借入のリファイナンス等も合わせて検討していきたいと考えております。

(注)1.RevPAR:販売可能客室数当たり宿泊部門売上(Revenue Per Available Room)をいい、一定期間の宿泊部門売上高合計を同期間の販売可能客室数合計で除したものをいいます。

2.GOP:売上高営業粗利益(Gross Operating Profit)をいい、ホテル全体の営業収入から、ホテルの運営を行うために直接関係する営業費用を差し引いた金額をいいます。

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